仮面ライダーメルシャウム   作:fuki

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第八話:Dance with me! Dance with you! - 3

   *

 

 黒澤ダイヤは入部届けを保留ボックスに入れてから、数秒前に退室していった生徒の顔を思い出す。

 いや、思い出すまでもない。

 妹の黒澤ルビィと幼稚園の頃から友達だった、国木田花丸だ。

「預かってください。受理してほしい時に連絡します」

 そう言っていた。

 ダイヤは息を漏らす。

「受理タイミングをずらしてほしい、ってお願い、生徒では始めてですね」

 パソコンのキーボードを叩く副会長のいつきが言った。

 申請書類の効力の発生日は、書類の作成日ではなく、生徒会と職員会または理事会が押した承認印の日付だ。そのタイミングの調整は、教職員の間では書類作成の効率化を図る上であることだった。

 だがいつきの言う通り、生徒は直近のタイミングでの承認を求めてくる。「校内施設を今週末に使いたい」「明日から自転車で来たい」「今日から部活を始めたい」「今すぐ証明書がほしい」などなど。

 だが。

「一例だけ、ありましたわ」

 ダイヤは腕時計を見る。

 一六時一分三八秒を示してとまった、三本の矢を。

「自分たちの記憶を書き換え、過去を消し去った申請が」

 書かれなかった名前。

 押されなかった承認印。

 刻まれなかった時計の針。

「存在を許されなかった夢への線路……ですわ」

「どうしたんです?」

 いつきが頭ごと視線を向けてきたのに気付き、ダイヤは急に恥ずかしくなった。

「すみません。こんな詩的な言い回し、わたくしらしくありませんわね」

「中二病的では?」

「はあ!?」

 思わず声を荒げてしまったが、硬直したいつきの顔を見て、心を落ち着かせる。

「その申請、連絡があり次第、すぐに対応できるようになさってくださいませ」

「は、はい」

 ダイヤは息を抜く。

 別々の角度を向いた、三つのベクトル。

 それを揃えるには?

 まったく違うベクトルを合成するしかない。

 その役目は、時間がとまってしまった自分にはできない。

 あの二人には、それが分かっているだろうか。

 

   *

 

「無用心だなあ」

 ジャージ姿の松浦果南は、もぬけの殻になったスクールアイドル同好会の部室に立っている。

 海風で湿った埃に砂が混じった、すえた匂いがする。懐かしい匂いと言ってもいい。

 壁際に寄せられた長机に乗っていたスケッチブックをパラパラとめくると、曜が描いた宣伝用のポスターらしきパステル調のイラストが、何種類かあった。一回り小さな図案はビラ配り用だろうか。

 これらを何枚刷るのだろう。その予算はどこから? 小原家に頼るのか?

「ふん」

 部屋の奥へ進む。

 ガラスと鉄格子の向こうに見える体育館に、果南と同じ緑色のジャージを着た三年生がまばらに入ってきた。

 球技のコートを二面並べた広さのアリーナは、二〇人を切ったクラスメイトには広すぎるし、二〇〇人を切った内浦の住民にも広すぎる。

 そこに千歌たちは、何人集められるのだろう。

 どんな景色を見るのだろう。

「なにが見えるのォ?」

 背後から声がした。

「『二人の囚人が鉄格子の窓から外を眺めたとさ。一人は泥を見た。一人は星を見た』。これ、フレデリック・ラングブリッジって人の詩だったらしいんだけど、知ってた?」

 近付いてくる足音に、果南は目を向けもしなかった。

「アナタが見るのはもちろん、星よね」

 どうせそこには、右側頭部で金髪を輪にした同級生が立っているに決まっているからだ。

「この黒板、まだ残ってたんだ」

 振り返る。

 少女は移動式の黒板を指で叩き、目と口を三日月のように細める。

 取り残された“A”と“q”、そして“o”。

「覚えてる?」

 金髪の少女と目が合う。

 金色の虹彩に反射した自分と目が合う。

 舌打ち。

 果南は顔を体育館への窓に戻す。

「つれないわねェ。スコもコウも、アナタも」

 鼻にかかる甘ったるい声に、ガラスに映る自分の眉間にしわが寄るのが見える。

「≪パイルアップ・フォーメア≫を捕獲したわ。そのスランバラー――産み出した人もね」

 ガラスに映る少女が黒板に指を這わせ、チョークの粉と埃を拭って黒い線を描いた。

「私がこの二年で成し遂げた成果、見に来ない?」

 なんでそんなに楽しそうなんだ?

 なんで私の前で笑っていられる?

 そんな気持ちさえも見透かしたような目が、ガラスに映っている。

「気が向いたら来てね」

 細長い封筒が長机に置かれ、サッシ戸がザリザリと音を立てて閉まる。

 ややあって、金髪の少女が体育館に入ってきた。

 第二教官室のこちらに手を振りながら。

「ふん」

 星も泥もない。

 鉄格子から見えるのは、この街を諦めた女子高生たち。

「戦え」

 それを見つめる、ガラスに映った自分の鏡像だけだ。

「分かってるわよ、言われなくても」

 

   *

 

「じゃあ改めて、よろしくね」

「は、はい! よろしくお願いします!」

 学校指定のスクール水着を着た黒澤ルビィは、競泳水着姿の渡辺曜に頭を下げた。

「あんまり硬くなんないでよ。今日はまだ様子見だから、ハードにはいかないよ」

「は、ハードになります?」

「んー……ルビィさんが本気なら、かな」

 曜がプールサイドを見て、ルビィも目を向ける。

 そこには同じくスクール水着に身を包んで体育座りをする、花丸の姿があった。

 大きなドームに覆われた沼津市立総合水泳場の利用者は、ルビィ、花丸、そして曜の三人だけだ。

 ここは浦の星女学院の水泳部が飛込の練習に使っているプールらしいのだが、先週の金曜日に点検中の天井板を破損させてしまう事故を起こし、使用不能となっていた。ところが水泳部が代替施設にしていた静岡県富士水泳場も、先日のフォーメア騒動で使用不能となってしまったので、急遽、照明の動作テスト期間に使用許可が下りたというのだ。

 水泳場のオーナーである沼津市と関係が強く、浦の星女学院の理事会を実質牛耳っているOGIグループの力が働いたことは、黒澤家のルビィにも分かっていた。

 だというのに。

「とりあえず、水に浮いてみようか」

 そこで行われているのは、二〇一五年度JOCジュニアオリンピックカップ春季水泳競技大会優勝者が、たった一人のカナヅチ高校生に行う基礎水泳講座なのだ。

(うう、いいのかなあ)

 沼津市内には五〇メートルプールや飛込プールが使えずに困っている学校がたくさんあるだろうに、そしてルビィのすぐ前にいる人はオリンピックに向けて飛込の練習があるだろうに。

 これで泳げるようになれなかったら、どうしよう。

「じゃあ、まずは蹴伸び。なにがあっても息はとめててよ」

「とめてるんです?」

「水の中で息はできないでしょ? さ、ルビィさんのタイミングで」

 と、曜はルビィから少し離れ、水面に手を差し出した。

 考えていてもしょうがない、ルビィは爪先立ちで触れていた床で何度か跳ね、意を決して蹴る。

 ぷうっと膨らませた頬を水につけ、伸ばした手を支えてもらい、身体をうつ伏せに伸ばした。

 そして、ゴーグルの中で閉じた瞼を恐る恐る開き――

(ピギィ! ふ、ふか、深い! 深いよう!)

 ――暗くて遠い水底に、身体が竦んでしまう。

(あ、あ、沈んじゃう、どうしよ、どうしよ!)

 どうしようもない。

 瞼と口を強く閉じていると、両脇を抱えられ、すごい勢いで水面に引き上げられた。

「ぶはあ!」

 プールサイドに掴まり、息を大きく吸う。

 やっぱりダメだ。

「平気?」

 振り返ると、曜がプールの中でルビィを見ていた。

「は、はい……」

「もう一回、やってみようか」

「え?」

 今ダメだったのに?

「休む?」

「い、いえ……」

 言って、足元を見る。

 今日の五〇メートルプールは、一昨日の児童用プールよりずっと深い。それでもここは、一五四センチのルビィでも足がつくくらいの浅い場所だ。底が暗く見えたのも、天井の電気が調整中でついていないせいだろう。

 そんなこと、分かっているのに。

「もう一回やってみよう」

 曜は水を挟むように手を叩いて、ゆらゆらとプールサイドから離れていった。

 水面を漂うその動きは優雅だった。身体のどこをどう動かしているのかは分からないが、爪先立ちでキョンシーのように飛び跳ねて動くルビィとはレベルが違う。

「あの、もしかしたらルビィ、吸血鬼かもしれないんです」

「どゆこと?」

「水に浮けないんです」

「ルビィさんが?」

 花丸曰く、吸血鬼が弱いのは流水らしいが、曜はこれで信じてくれるだろうか。

「あっははは! 吸血鬼なんているわけないじゃん! 気のせいだよ、気のせい!」

 ダメだった。

「ほらほら、そんなこと言ってる暇はないよ。やろう!」

 曜は笑顔の残った顔で、ルビィに手を伸ばした。

 もう一度、ルビィは蹴伸びをし――

(ピィ……!)

 ――やはり沈んだ。

 またプールサイドに引きずられる。

(うう、やっぱりスパルタだよう……)

 口を閉じて沈んでいるから、この前のように水を飲むことはなかった。だがこの調子で蹴伸びを繰り返していたら、疲れて溺れてしまう。

 オリンピック選手候補の先輩は、そんな可能性を想像していないのかもしれない。人はすべからく水に好かれると、本気で信じているのかもしれない。

(でも、もう呆れちゃったよね)

 そう思って、おずおずと先輩を見ると、

「ほら、吸血鬼じゃないよ!」

 曜は何故か、安心したような顔をしていた。

「よかった、物理的に浮かない身体だったら、どうしようかと思ってたよ」

「え? あの――」

「――国木田さん!」

 ルビィが言葉を返す前に、曜は手を上げて花丸を呼んだ。

「私、一本飛んでくるから、その間、お願いできる? 背面蹴伸びでね」

「は、はい」

 曜はプールサイドに上がり、飛込プールの方へ歩いていく。その脂肪の一欠けらもなさそうなお尻や脚は頼もしくて、それが離れていってしまうのを見ると、さっきまでスパルタだなんだと怖がっていたにもかかわらず、ルビィは急に不安になった。

「背泳ぎだって、ルビィちゃん」

「う、うん……」

 花丸の水着が濡れて濃い紺になる様を見ると、児童用プールの特訓を思い出して泣きそうになる。

 と、

「胸で浮くんだよ! 両腕を伸ばして、弓みたいに!」

 ドームを反響するアドバイスが飛んできた。

 見ると、曜は敬礼のようなポーズをしていた。

「弓?」

 ルビィが呟く。

「やってみる?」

「……うん」

 物は試しだ。

「ちゃんと支えてよ」

「デメテル号に乗った気持ちでいるずら」

「なんだっけ、その船」

 床を蹴り、両腕を頭の上へ伸ばして水に伸びる。

 花丸の柔らかい手を手の甲で感じ、言われた通り、弓をイメージする。

 胸で浮くというなら、大きく反る鳥打ちが胸だろう。腕を姫反と見立て、握りを腰に、大腰から小反にかけてを足に置く。

 大小異なる三つの反りが、総体としてなだらかな曲線を描く和弓に、自分を合わせる。

 沈んだ腕に頭を乗せているために額まで濡れてしまうが、我慢だ。

 その一方で、

(なんだっけなあ、デメテル号。どこかで聞いたと思うんだけど)

 高いドームの天井を眺めながら、余計なことを考えている。

(『ポセイドン・アドベンチャー』はポセイドン号だし、『白い嵐』はアルバトロス号だし、ってどっちも沈むじゃん。『マルティナは海』――はいきなり寝ちゃったんだ、えっと後は――)

 ドームの天頂に近い部分に、天井板が外れた箇所がある。それは十字架の形をしていて、花丸に案内された教会を思い出した。

「――ドラキュラさんだ! 船員が一人ずつ謎の失踪をびびぶぐぼぼごぼごぼご」

 思い切り水を飲んだ。

 今度は花丸に引っ張られ、水面に復帰して散々にむせる。

「ダメだよう、やっぱり――」

「――すごいずら! ルビィちゃん、浮いてたずら!」

「え?」

 花丸は、プールサイドの壁にかかっている大きな時計を指差して、ふわふわと水中を飛び跳ねている。

「三〇秒くらいずら! ぷかぷか浮いてたずら! ぷかぷかぷかぷか!」

「そ、そうなの?」

 見回すが、目印がないため、自分がどの辺りから泳いできたのか分からない。

 もしかしたら浮いていただけで、動いていないのかもしれないが。

「ほんとに浮いてた?」

「もちろんずら! もう一回浮かぶずら! ぷかぷかぷかぷか浮かぶずら!」

「それ、ピエロさんの顔を思い出しちゃうから、やめてほしいな……」

 

   *

 

 渡辺曜が飛込台の階段を上がっていくと、最上段の台に腰掛けた人影を目にとめた。

 脚に何箇所もの穴が塞がった跡を残す、競泳水着を着た小柄な男子。

「考朔……くん?」

「やっぱり曜だった」

 と、内浦から去った幼馴染みは、人懐っこい顔で笑った。

「なんでここに?」

「体調的には問題ないから、って小原さんに紹介されたんだ。でもこれだけ人が少ないと、飛び込みにくくてさ」

 そういえば、考朔が入院していた病院は、OGIグループの研究所を兼ねていた。曜がこの水泳場を使うから、気を遣って合わせてくれたのだろうか。だがなんのために?

「ねえ、あれって友達?」

 飛込台から見通すと、五〇メートル以上離れた競泳プールに、花丸とルビィの姿が見えた。

 花丸にバトンタッチした場所から少し離れている。背面蹴伸びで浮かんだり沈んだりしているので、諦めてしまったわけではなさそうだ。

「後輩。泳ぎ方、教えて、って言われたから」

「面倒見いいよね、曜って」

「へ? そ、そうかな」

「うまくいきそう?」

「たぶん。怖がってるだけだよ」

 それは最初の感触で分かった。

 ルビィは水に顔を付けること、というより水の存在感に萎縮してしまっている。だからフォームを維持できずに沈んでしまうのだ。小さな頃からそれを繰り返したことで、「自分は浮けない」と感じていたのだろう。

 その恐怖心を取り除くには、自信を育てるしかない。顔を水に向けなくても浮ける背面蹴伸びを指示したのは、そのためだ。

「まず飛び込んでみよう、って感じだよね」

「俺と同じパターンだ」

「え?」

「忘れたの? 俺にも言ったでしょ、『まず飛び込んでみなよ』って」

「そうだっけ?」

「そうだよ、ヤダヤダ言ってるのに崖の上に連れて行かれてさ、飛び込むまで千歌と見張ってるんだもん」

「ええ?」

「ほら、忘れてるよ」

 考朔は苦笑し、飛込台の上を歩いていく。

「でも、あそこで飛び込まなかったら、今頃俺、こんなことできてないよね」

 そういうと振り返り、背中から虚空に倒れ込んだ。

 201A――後宙返り半回転伸び型。

 まるで映画のワンシーンのように仰向けに落ちていく考朔は、緩やかに頭を真下に向け、両手で水面を突き破った。

「そんなこと言ったっけ」

 それを飛込台の横から眺め、曜は呟く。

 下から笛の音が聞こえた。考朔がプールから上がり、飛込の準備ができた合図だ。

 曜は飛込台の縁まで進む。

 花丸と、彼女におぶさるルビィが、こちらを見ているのが分かる。

 そう、ちょうどあの関係だ。

 花丸は曜に、ルビィを泳げるようにしてほしいと頼んだ。

 それが、花丸がスクールアイドル活動に参加する条件だった。

 その交換条件は、友達思いと言えば聞こえがいいが、主体性はゼロだ。

 だから曜は即座にヨーソローを出せなかった。

 ルビィ本人にその希望があるか確認できなければ、成立しない条件だったから。

 花丸が主体的にスクールアイドルをやりたいと思わなければ、意味がないから。

(ウソだ)

 恐怖心を取り除くには、自信を育てるしかない?

 それを私が言うのか?

 私が水泳を教えられるとでも?

「ダメだよ曜ちゃん! 頭からっぽにしなきゃ!」

 口に出し、プールに背を向ける。

 荒い呼吸を、鼻息で無理矢理絞る。

 技は決まっている。

 宙に身を投げ、身体を折り畳み。

 膝を抱え込んだ姿勢で後方へと回転。

 307C――前逆宙返り三回半抱え型。

(〇――)

 小学校に入る前から、実家の目の前にある内浦湾で飛込をやっていた。

 最初は千歌ら幼馴染みの子たちみんなで、成長してからは考朔と二人で。

 その才能をどこかで知った大人にフックアップされた曜は、小学生の大会で頭角を現した。

 船長だった父が船と職を失った後も、彼の願いである『みんなを照らす太陽』を目指すんだ、と邁進した。

(――一――)

 中学校二年生の時、初めて成功した前逆宙返り三回半抱え型。

 当時のコーチが「これでオリンピックも夢じゃない」と言ってくれたことで、その技は曜の代名詞となった。

 期待の新鋭として地元新聞にも載り、たぶん、有頂天になっていたのだと思う。

 そんな時、招聘された中国合宿で、彼女と出会った。

(――二――)

 彼女が109C――前宙返り四回半抱え型を成功させたのは、その時が初めてだったという。

 「三回半では回転が速すぎる」と四回半に挑戦した彼女は、小柄な曜よりさらに小さな少女だった。

 演技群こそ違うが、難易率は曜の前逆宙返り三回半抱え型よりも〇・一高い。

 負けるわけにはいかなかった。

(――三――)

 だが曜は前逆宙返り三回半抱え型の精度を上げられず、中三、高一と記録を残せなかった。

 女子選手では世界でただ一人の技を持つ彼女は、≪リオデジャネイロオリンピック≫の出場権を獲得。

 曜は太陽にはなれなかった。

(――・五!)

 手のひらで水の面を貫く。

 目を閉じる。

 失敗だ。

 自分で分かった。

 重力に合わせて脚を下ろし。

 揺れる水面を見上げる。

 自分にとって≪ラブライブ!≫は、オリンピックの代わりなのだろうか。

 一人で実現できなかった夢を、千歌たちの力で叶えようとしているのだろうか。

 花丸には主体性がないだって?

 学校を廃校から救うために千歌への協力を決めた曜には、≪スクールアイドル≫自体に対する情熱はない。

 情熱がない太陽は、誰かを照らせるのか?

(頭、からっぽにならないなあ)

 身体から泡が離れていく。

 たった三メートル先の、手の届かないところへと。

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