「ったく、予定外にも程があるぜ。」
「も、申し訳ございません……。」
私、只今抱っこされてます。盗賊の首領に。
事の経緯はこうだ。
口頭での契約ではあるが、隷属が決まってさぁ移動となった時である。私の腹の虫が盛大に鳴きやがりました。それはもう周りにいた盗賊団
そういえば今日丸々一日何も食べてないんだよね……。朝一で拉致られてあれよあれよと現在に至る訳だし。
で。流石に恥ずかしいので急いで取り繕おうとしたんだけど、身体に力が入らず倒れてしまったのだ。
咄嗟に
そんなこんなで抱っこされました。最初は背負おうとしてたけど、私の一部分を見て抱き抱えることにしたらしい。意外と初心かこの人。あ、姫抱っこじゃないよ?
「まぁいい。話は出来るな?」
「は、はい…!」
「よし、ならウチでの今後のお前の事について先に話しとく。二度は言わねぇ、一度で覚えろ。
なんですとっ!空腹で思考能力が鈍ってる所に何と非道なっ!頼むから数が少なくなりますように…!
※※※
あはは。この世に頼みを聞いてくれる存在なんて無かったんです。多分今の私は顔色が真っ青を通り越してるだろう。なんなのさあの注意事項。
と、とりあえず覚えてる事をおさらいしよう。
一つ、団の意向に逆らわない。
一つ、家事担当団員のバックアップ。
一つ、寝顔を見せない。
一つ、団員のことはコードネームで呼ぶ。
一つ、許可範囲以外に立ち入らない。
一つ、首領の命令は絶対。
一つ、食事の号令以外、首領の前での発言禁止。
んん、意外と覚えてる!良くやった私の脳細胞!
まぁ確か後3つ位あった気がするけど、もうどうにもできない。そこは諦めよう。しかし、だ…!
家事の手伝いだと…っ!残念美人のこの私にっ!
「あぁそうだ、最後に。」
絶望に打ちひしがれていた私だけど、急にご主人様が立ち止まって地面に降ろされた。
「ようこそ、我が盗賊団
おっと。まさか歓迎されるとは思ってなかった。予想外の展開に鳩が豆鉄砲喰らったみたいな顔をしていると、頭を優しく撫でられた。
……奴隷、なんだよね、私?
もしかして、根は良い人…なのかな?
何だか心がホッコリしてきて、頭を撫でてた手を掴んで握手した。そして精一杯の笑顔を浮かべて。
「よろしく、お願い致します!」
あ、あれ?なんでご主人様以外の皆は顔に手を当ててるの?なんか、憐れなものを見る目なんだけど……。
ご主人様はといえば――
「っ!?」
めっちゃスマイル…!これ以上ないくらい、私の猫人としての本能が危険を訴えてくる…!
「発言は禁止、だったよな?」
握手していた手をそのまま引っ張られ、再び抱き抱えられてしまった。
「言いつけを守れない駄目な奴隷には、キツい仕置きが必要だな。」
言葉の内容とは裏腹に、口調はウキウキしていた。ご主人様の顔を見てみると、その顔はイタズラが成功した子どもみたいだった。
ま、まさかこの人……!初めからこれを狙って!
ということはあのごちゃ混ぜ注意事項も!?
優しい良い人なんかじゃ無かった!この人、とんでもないドSだぁっ!
あ、ご飯はきちんと貰えましたよ。(遠い目)
仕置き内容?
耳でもモフられたんじゃないかな(適当)