本話にて漸く主人公の名前が決まりました。
おはようございます。私です。
あの激動の日から数えて3日目、私が『スカウンドレル』に来てから2回目の朝日です。
昨日はメンバーの名前を覚えたり、アジト内部の説明をされたりして時間が過ぎたので、実質今日が私の奴隷生活スタート。
……言ってて何か奴隷っぽくないけど、一応盗賊団のメンバーとしてカウントされてそうだし、皆の反応自体は目をあまり合わせてくれなくて奴隷に対する態度っぽいから気にしない。それにコードネームも貰ったし。
そう、コードネーム!元男としてかなりグッとくるものがあるよね!そしてその名はズバリ『スノー』である!
……うん、私の毛色が白だからスノーだって。安直だよね。安直すぎて……
私の本名と被ってんだよぉぉっ!本名『スノウ』だよぉぉっ!!母さん安直って思ってごめんなさいぃぃっ!!!
はい、改めまして『スノー』です。紛らわしいけど訂正できないんだから仕方ないじゃん。発言禁止だし。……うぅ…耳触られた事なんて母さん以外無かったのにぃ……。
で、私は今何をしているかと言うと……
「痛ッ!」
包丁に大苦戦中である。誰だよ猫の手してたら指切らないって言ったの!私猫人だけど指切りまくってるよ!でも食材押さえないとどっか飛んでっちゃうし……。
「だーっ!使えねぇヤツだなホントに!」
「ご、ごめんなさいっ!」
もうさっきからこのやり取りばかりである。
料理担当『ライト』さんの手伝いに来たのだが、足を引っ張るだけ。現代日本みたいに便利な調理道具なんて無いから、野菜の皮むきもみじん切りもほぼ包丁1本でこなさないといけない。
うぅ、皮むき機が欲しいよぉ……。玉ねぎは目にしみるよぉ……。ちなみにこの場にご主人様は居ないので、喋るのはOKなんだよ。
あっ、また舌打ちされた。自分が情けない…。
「
「え、あっはい…!」
ライトさんがすぐ隣で、今私がやってるのと同じ作業をしてくれた。なるほど、猫の手って形の事なんだね。あ、指切れない!すごい!
「あ、ありがとうございます!」
「ぉ…ぉぅ。」
お礼を言ったらぷいっと目を逸らされてしまった。そっか、私奴隷だもんね、馴れ馴れしくしちゃ駄目だよね。気を付けないと。
※※※
「メシの準備はからっきしだってライトの奴から聞いたが、まさか掃除洗濯も、だなんてことはねえよな?」
「…………。」
「おい、目ェ逸らすな。」
ライトさん、貴方はなんてことを……!
ご主人様に呼び出しを受けて尋問中です。
ふっ、私に出来る家事などない!あるのは肉体労働だけさ!残念美人の異名を舐めるなっ!
ごめんなさい、ホントごめんなさい。威張れる事じゃないです、はい。だからそのドSスマイルで私を見ないでぇ!
「そうだなぁ、手伝いに行かせたはずが、余計にライトが苦労したみてぇだし、これはお仕置きコースだな。」
「!?」
なん…だと…!?
「……いや、こういう可能性がある事を考えなかった俺の失敗でもあるか…。今回は保留にしといてやる。」
ほ、保留?助かった……
「掃除洗濯で挽回できりゃ見逃してやるよ。」
筈がないじゃないですかヤダー。
そうだよ、こういう人だったじゃんか!さっきの私の反応見てやってるよ、確信犯だよ!その証拠にめっちゃニヤニヤしてるし!
い、いや!挽回し
ここで
※※※
うふふ。あはは。
ええ、私、できました。ついに成功しました!
目からハイライトを消すことに!
掃除機も洗濯機も無いんだもん、私には無理だって。文明の有難みが今になって心に沁みるよ……。
というか、清掃担当の『ヒール』さん、おっかないです……。塵一つ、汚れ一つたりとも許さないと言わんばかりの、あの鬼気迫る迫力。あの人は怒らせちゃいけない。現時点でご主人様の次に恐い人だ……。口調も相まって姑みたいだし……。
はは、心、折れそうです……。自業自得なんだけど……。
「ふぅん。かなり落ち込んでるわね。でも、ワタシは手は抜かないわよ。いずれアンタは
「は…い…。」
……ん、専属?
「あの、専属って……?」
「アンタは
え、何だそれは。もしかして将来的に監禁されるんじゃなかろうか。
「一昨日アンタが寝た後で、『いい玩具が手に入った』なんて上機嫌で話してたんだから。」
な、なんですとぉーっ!?
「そ、そんな事、私に話してよかったんですか?ご主人様にバレちゃうかもしれませんよ?」
「あら、大丈夫よ?ワタシ達はあの人を裏切るつもりはないし、アナタには発言禁止が課されてるもの。それに、この事をアナタに伝えちゃダメとも言われてないしね。」
「ぐっ…!」
なるほど、知られても構わないと。むしろ事実を知った後の私の反応を見て余計に楽しみそうだよ!
あとヒールさん、ウインク止めてください。
「よう、どうだ順調か。」
「あらボス。わざわざアナタから来るなんて珍しいじゃない。」
え、ご主人様?お口にチャックしとかないと。
「何、新しい玩具の調子でも、ってな。……ん、その様子じゃヒールから聞いたみてぇだな。」
「えぇ、話しといたわよ。」
「ありがとよ。で?ブツは?」
「良いのが撮れたわよ~。」
え?え?ブツ?撮れた?ヒールさんが何かをご主人様に渡してるけど……。
「お、良い表情じゃねぇか。流石だなヒール。やっぱいい女は違うぜ。」
え、カメラ!?カメラあるの!?
「あらやだ照れちゃう~。ワタシも役得だったわ。この子とーってもカワイイもの。」
「へぇ。昨日もそうだが、アンタが女を可愛がるなんて珍しいもんだな。」
「んふふ。ホントに美しい娘を前にして、ずーっと昔に捨てたオトコがひょっこり顔を覗かせちゃったかしら?」
「……やらねぇぞ?」
ヒッ…!?ご主人様からどす黒いオーラみたいなのが!?
「やぁねぇ。分かってるわよ。ワタシじゃこの子の美しさに敵わない。んもぅ、女として完敗よ。……見た目だけだけど。」
「……つーことは。」
「えぇ。駄目だわ。」
逃げたい。今すぐここから逃げたいです。
でも無理です。ガッチリヒールさんに捕まってます。慈悲は、無いっ!
「まぁどの道、ヒール相手なら初日は無理だろうけどな。」
「えぇそうね。本当ならベッドメイクなんかもやって貰わなくちゃいけないもの。」
ドSが2人に増えたよ、やったね!
おいやめろ。
あれか、最初から嵌めるつもりだったのか。
まだ初日だよ?辛すぎない?また耳とかやだよぉ……。
「
なんなの、5倍って。
し、尻尾は……
尻尾はらめぇぇぇっ!!
3日目にして耳も尻尾もモフられたスノウちゃん。
まだドMじゃないよ。