相変わらず短いですがよろしくお願いします。
どうも、スノーです。
もうすぐ入団から2ヶ月が経とうとする頃になりました。季節は夏がやってきます。
……うん、なんとかやってけるようになったよ。この2ヶ月、私頑張った。超頑張った。
漸くモフられ地獄を耐えられるようになったよ!
はい、相も変わらずお仕置きの毎日です。でも最近は私の反応が落ち着いてきたから、ご主人様の機嫌はあまりよろしくない。ふふん、いつまでもやられっぱなしな訳にはいかないのだよ。
家事自体の腕に関してはノーコメントで……。というか毎日お仕置きされてる時点で、ねぇ?
まぁご主人様なら出来てても、あの手この手を使ってお仕置きしてきそうな感じはする。ヒールさんと組ませたら……それはもう……!
まぁそんな事はさておき、今は最近手伝いだした帳簿管理の真っ最中。集中してやらないと、計算ミスなんか出したら皆の迷惑になっちゃう。ご主人様はアレだけど、他の皆はなんだかんだ優しくしてくれるからね。
ここに来て最初の頃、私と目を合わせてくれなかったのは、みんな女性に免疫が無いからだ、ってヒールさんが教えてくれた。
私の中身はまだ男の部分があるつもりなんだけど、ガワは女の子だしね。だから、私と同性(って言わないとめっちゃ怒る……)のヒールさんを間に通してちょっとずつコミュニケーションして。
最近はライトさんを筆頭に、頭をポンポン撫でてくれるようになった。因みにこれも、ご主人様へのささやかな反撃である。ふんふふ~ん。
「スノー。出来たんならこっちも頼む。」
「はい、『ガイド』さん。」
間違いが無いかをよく確認した上で、新たな計算に取り掛かる。私を入れて9人とはいえ、そのうち成人男性が8人も居ると食費だけでもかなりの額になる。さらに全員大酒飲みだ。自重なんか一切しない、譲れない部分らしい。
その結果一月で9桁、日本円にして百万は軽く越す。
「はー、聞いちゃいたが、計算は出来るんだな、スノー。」
「あぁ、しかも速くて正確だ。マジで大助かりだぜ……!」
「お、おい泣くなよガイド…。俺等はいつもおめェに感謝してるぜい?」
「感謝の前に手伝って欲しいんだよアーム!」
ガイドさん、マジ泣きである。
詳しくは知らないけど、ここの団員は皆スラム出身らしい。となると当然教育なんて受けているわけが無い。
1桁2桁程度の計算なら生活の中で覚えるかもしれない。けどそれ以上となると基礎知識が無いと簡単には出来ない。
盗賊団結成当時は、そんなもん知ったこっちゃないと言わんばかりに、奪って飲んでバカ騒ぎの繰り返しだったんだとか。
最初はそれでも生活に困らなかったらしいが、徐々に盗賊団への警戒が強くなり、それまでみたいに活動できなくなると、あっという間に底をついて全滅寸前になってしまった。
ちなみにその時の原因は、食糧やお酒の購入時に店側にちょろまかされていたんだって。
その異変にいち早く気付いたのがガイドさんだったから、そのまま団の経理を任されてしまったらしい。そこから地獄の猛勉強である。本人曰く最悪の貧乏くじだとか。
盗賊団№2である『アーム』さんは、簡単なものであればたまに手伝ってくれるが、さっきも言ったように団の財政状況は最低9桁。膨大な額の計算は全てガイドさん頼みになってしまう。頭脳にも精神にも大ダメージなのは誰から見ても明らかだ。
「終わりました。後どれくらいありますか?」
「うおっ、速ぇ…」
「後は……この山2つだな……。」
ガイドさんが指差したのは、ちょっとこんもりした紙やら木札の集まりだ。この人達にとっては山でも、前世知識と今世でもしっかり勉強し直した私には何の苦でもない。ぱぱっと終わらせてしまおう。
「……なぁスノー。今度でもいいからよ、やり方教えてくれねぇか?」
「えっと、私は全然構いませんけど……。」
ご主人様が許してくれるかな?
「兄貴には俺から言っておく。子どもに頼り切りなのは流石にヘコむからな……。」
「わかりました。お願いします。」
「お、俺もいいか?」
「アームさんも、ですか?」
「もし兄貴の機嫌を損ねちまったら、ガイド一人じゃ辛いだろうからな。俺も一緒に行くぜい。」
「アーム……!」
ここの団員同士ってホント仲がいいなぁ。
※※※
「で?2人に勉強教えるってか?付きっきりで?」
威圧感パないです、ご主人様。今までで一番機嫌悪いよ……。
「どうなんだスノー?」
「(コクコク)!」
無言で首を縦に振る。注意事項その8『ご主人様への隠し事は無し』だ。
「ほーう。俺の聞き間違いじゃなかったようだな。」
あぁぁ、更に不機嫌さが増してる…!
この状態のご主人様と2人きりは不味い気がする!
因みにアームさんとガイドさんの2人は、私の後ろに転がっている。
話を聞いたご主人様が手加減無しの右アッパーで2人を沈黙させた。
結果、私は正座でご主人様の前にいる。猫人としての本能が決して逆らうなと警鐘を鳴らしてる……!
「別に他の団員と仲良くなるなって訳じゃねぇ。だがな、お前が真っ先に考えなきゃいけねぇのは、主人の俺じゃねえか?……最近はまるで俺へ見せつけるように親しくしてるしなぁ?」
う、バレてる……。
「ここらで一度、はっきり分からせるべきなのかもなぁ。ん?」
ぐぅ…。ちょっとやり過ぎたかもしれない。
ご主人様が私に目線を合わせるようにすぐ前にしゃがんで、じっと私の顔を見てくる。
「動くな。」
パシンッ
「えっ……。」
乾いた音が響いた。頬がヒリヒリする…。
叩…かれた……?
「チッ……」
しかも舌打ち……。まさかここまで怒らせてたなんて……。
パシンッ
「ぁ…!」
ぁ…んっ……また…!
……?
あれ?今の……?
「よし、もういいぞ。ったく、蚊ごときが…!」
……はい?
「蚊?」
「……聞かなかったことにしてやる。とっとと次行け。」
と、とりあえず、怒って叩いたわけじゃないのかな。
なんかちょっと…残念……ってあれ!?何でこんな考えになるの!?
叩かれた頬が、違う意味で熱を持ったように感じるのは……気のせい?
蚊「合法被虐趣味開発機…(ガクッ)」