前半も後半もグダグダの駄文詰め合わせセット。
さらにもう一話続きます。
おかしい、主人公より属性てんこ盛りになりそうなんだけど…
――俺は親の顔を覚えてねぇ。
物心ついた頃にはもう、路地裏の継ぎ接ぎだらけの手作り小屋の中にいた。俺は捨て子で、ここにいた兄姉に拾われたんだ。
名前も貰った。『クレイブ』それが俺の名前さ。だが、路地裏での暮らしは楽なもんじゃねぇ。
いつも腹ペコで、飲むもんもよくて泥水。それでも毎日必死になって食いもんを探してきてくれる、同じ生活をする義理の兄姉のおかげで、俺は死なずに済んだ。……残念ながら、その兄姉も今は殆ど居なくなっちまったがな。
そんな生活が10年くらい続いた時の事だ。
俺は初めて他人の命に手をかけた。そん時に初めて金を目にしたんだ。
今までの苦労が嘘みてぇに、そのちっぽけなモンを渡すだけで食う物も飲む物も手に入った。
もっと早くにコイツの存在を知ってりゃ、兄姉も死なねぇで済んだかもしれねぇと思うと、涙が止まらなかった。
エモンド兄(後のライト)とセンス兄(後のヒール)が居なきゃ、暫く立ち直れなかっただろうな。
そっから俺は、直接食いもんを奪うんじゃなく、金を盗む事を目的にしていった。
何度も繰り返すうちに、身綺麗な奴ほどたんまり持ってやがる事に気づいた。だがそういう奴は滅多に見かけねぇし、簡単には盗れねぇ場所にしまい込んでやがる。俺一人じゃ無理だ。
だからいつか、同じような暮らしをしてる仲間たちと手を組んで、こんな生活を終わらせてやると決めたんだ。
――それから更に約10年後、俺達は路地裏の家族全員で、盗賊団『スカウンドレル』を結成した。
まさか弟達だけじゃなく、皆の両親代わりになってたエモンド兄とセンス
盗賊団結成時に、俺を除く全員に新しい名前を付ける事にした。あの苦しい暮らしを思い出さねぇ為にだ。俺自身はこの盗賊団の首領。その肩書きだけあればいい。
それに元々、俺の事を名前で呼んでくるのは
金のアテは無かったが、拠点のアテはあった。森の奥に古ぼけた小さな小屋が2つ。人の出入りが数年無いのは確認済だ。ありがたく使わせて貰ってるぜ。もし家主が帰ってきても、丁寧に
そっからは奪って食って飲んで騒いでの繰り返しさ。毎日がバカみてぇに楽しくて、初めて飲んだ酒はあり得ねぇくらい美味いもんだった。
だがまさかあんな事になるなんてな…。
俺達の噂が流れたのか、街を出歩く人がめっきり減りやがった。しかも襲ったところで金目の物なんざ何も持ってねぇ奴らばかり。
それでも毎日バカ騒ぎしてたら、たんまりあった筈の金も底を尽きやがった。
獲物が無ぇ、金が無ぇ、食いもんも酒も無ぇ。
まさかここまで来て、野垂れ死んじまうのか。俺に着いてきてくれたばかりに、家族まで巻き込んじまった。
滅茶苦茶後悔して、胸が押しつぶされそうだったさ。
だが俺達は生き残った。ガイドの奴が、ある時からの金の減り方がおかしい事に気付いたんだ。
俺達はそん時に初めて、『価値』というものを知ったのさ。
今までは適当に金を渡して、『これと食いもんを交換してくれ』と言っていただけだった。だから毎回どの硬貨がどれだけ減ったのかなんて気にしちゃいなかった。
まさか店のオヤジが金を多く取ってただなんて思いもしなかったぜ…!
盗賊団が金を盗られるとか笑いもんだ。結局そのオヤジを脅したら、あっさり今までの分を返しやがったぜ。ついでにおまけもつけて貰ったがな。ざまぁみろ。
――その貴族を狙おうとしたのは、単なる気まぐれだ。貴族っつーのは比べもんにならねぇくらい大量の金を持ってる、そう聞いたからだ。
しかもこの辺を取り仕切ってるお偉いさんだとも聞いた。全く反吐が出るぜ。奴は他人の金を我が物顔でぶん取って、金を渡せない奴には怒鳴り散らして袋叩きにしてやがった。クソ野郎め、何がお偉いさんだ。
だが腐っても貴族。護衛らしき男共がうじゃうじゃいやがる。俺達が束になって掛かった所で返り討ちに合うのは分かりきっていた。だから焦らず、じっと機会を待った。
2年後、漸くその時が来た。何をとち狂ったか知らねぇが、わざわざ真夜中に馬車を走らせやがった。しかも今日は月が出てねぇ。条件としては最高だ。
下の弟達の偵察もあって、奴の馬車が通る道は全部下調べ済みだ。先回りできる森の中を通って待ち伏せして、一気に片を付けてやる…!
※※※
「……(今だ!)」
奴の馬車が目の前を通る瞬間、俺達は一斉に茂みから丸太を押し出した。思った通り、馬車は丸太に引っかかって転けやがった。その弾みでクソ貴族と……ありゃ何だ?白いのも出てきたぞ?
まぁいい、護衛の野郎共もこの暗さのせいでまだ俺達を見つけれてねぇ。暗闇での戦いなら俺達のお得意だ。速攻でケリを付ける!
「戻れ!主様をお守りし…ぎぁぁっ!?」
「!?隊ちょっ……!!」
「なっ!何処からっぁぁぁあっ!?」
まずは目から潰す!アイズの投げた小石が完璧に奴らの目を撃ち抜いた。立派な兜があっても、目玉はお留守だぜ!
奴らが怯んでる隙に、全員で後ろの護衛共を一人ずつ始末していく。数に余裕が出来りゃ殺れねぇ相手じゃねぇ!
「ぅ…ゲ、何が起きた…!おい、お前達!」
チッ、気が付きやがったか。うるせぇ野郎だ。
だが暗闇で俺達を護衛と見間違いしてやがるな?これは好都合だぜ。
「何をしとる!?さっさとワシを守らんか!!このグズ共めがっ…!?」
「ほらよ。」
護衛の死体から奪った剣で、クソ貴族のぶっとい腹をぶっ刺してやった。
「なっ!?ゲッェえああぁ!?」
「うるせぇ。汚ぇ声聞かせんじゃねぇよ。」
護衛の剣をもう一本使って首を跳ね飛ばしてやった。……やった。やったぜ!これで俺達は大金持ちだ!
「根こそぎ持って帰るぜ!馬車ん中探せ探せ!」
『おぅよ!!』
はははっ!見たことねぇモンが山ほどあるぜ!全部持って帰れるか!?
ニヤける顔を止めらんねぇぜ!
……ん、そういやあの白いのは何だったんだ?
「人……か?」
チラッと見ただけだが、それっぽい形はしてたな。確認してみるか。
「どこ行った?……あそこか。」
思ったより遠くに飛んでいったらしいな。それにしてもやけに小せぇ……子ども、か…?
「あらボス。どうしたの?」
「ヒールか。あそこ、見えるか?」
「んん、どこかし………子ども…?」
やっぱりそう見えるか。あのクソ貴族に子どもでも居たのか?
だがもう奴は殺しちまった後だ。ちと心苦しいが、もし奴の子どもなら一緒くたに始末しとかねぇと後が厄介だ。
一歩一歩、ゆっくり近づく。徐々にその顔がはっきり見えて――
「かわいい……。」
さっきまでの警戒心が全くなくなり、いつの間にかそう口にしていた。自分でもびっくりだ。
倒れている子どものすぐ隣に膝をつき、その姿をまじまじと観察した。
真っ白な長い髪、ほっそりした手足、前髪から覗く整った顔、そして一際目を引く胸部の膨らみ。
女の子…だろうか。こうしてじっくり見るのは俺が8歳の時に死んだ姉以来だな…。
とにかく、可愛い。なんだ、この気持ちは?
「……とりあえず。」
俺の後ろは死体がゴロゴロ転がってる。見えねぇように向こうに向けといてやろう。それに、目立った傷はねぇが、こんだけの距離を飛ばされたんだ。多少の打ち身はあるだろう。安全な姿勢にしてやらねぇと。
って、んん?
「尻尾…か……?」
子どもの尻から、人間にはない物が出ていた。よく見たら耳も頭から生えてんのか?
「猫…か?」
「猫人かしらねぇ。」
「ぅおっ!?ぉ、お袋、いつの間に!?」
「呼び方が昔に戻ってるわよアナタ…。それで?どうするのこの子。」
どうする…どうする?明らかにクソ貴族には似てねぇ。なら何で一緒に乗ってた?
まさかとは思うが……奴隷か?
「兄貴、どうも変ですぜい。」
「どうしたアーム?」
「ガイドが言うにゃ、金が異常に少ねぇみてぇです。」
「何だと?」
となるとやっぱり……コイツは買われたか?
「もう一度探せ。他の荷物に忍ばせてる可能性もある。」
「へい、わかりやした。」
「……コイツが起きたら聞くしかねぇな。」
なんてこった。せっかく大金が手に入ったと思ったのに、あのクソ野郎。もしもの時はこの子どもから聞くしかねぇな。
なるべく早く目を覚ましてくれよ…?
※※※
「わ、私の、代金として、払ってました…。」
意識が戻ったから質問してみたが……やっぱりか。殺しといて正解だな。こんな子どもにまで手を出そうとしやがるなんてよ。
……声、綺麗だな……。
……と、そうじゃねぇ!
「そうか。」
くそ、素っ気ねぇ返事しか出来ねぇ…。
っとそうだ、もう一つ聞いとかなきゃならねぇ事があるな。
「金を受け取ったヤツは知ってるか?」
「お、覚えて…ません……」
知らないじゃなく覚えてない、か。恐らく嘘だろうな。売った奴に弱みでも握られてんのか、ただのお人好しなだけか。
「……ならいい。」
どっちにしろ、無理には聞き出せそうにねぇな。こんな子どもを脅すわけにはいかねぇし。
ただ、帰してやれそうにねぇな…。まぁ、俺としては好都合だ。
「い、いいんですかい、兄貴? この金の量じゃ、このガキに半分以上払ってますぜい?」
半分…か。ガイドの見立てじゃ10年は余裕だって話だったな。その半分だと……何年だ?3、4年くらいか?
ウチの末っ子共はちとガッカリするかもしれねぇが……まぁいいか。
幸い、全部解決出来る手はある。
「しょうがねぇさ。本人が知らねぇってんだからな。それによ。……金としては無くなったが、コイツという形で残ってると思えばいい。そうだろ?」
俺がこいつを買ったことにすればいい。
それならウチの連中は文句を言わねぇだろう。
――それに、もう無理だ。この気持ちを抑えらんねぇ…!
「お前は今から俺の奴隷だ。」
こいつはもう俺のモノだ…!
いろいろツッコミ所満載だけど許して…!