ダンジョンへ行かずに恋人と過ごすのは間違っているだろうか?   作:翠星紗

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同僚に翻弄されるの間違っているだろうか?

アスフィの忠告もむなしく、リューとカイトは大賭博場(カジノ)へ乗り込みアンナを救い出すための準備を始めていた。

資金や武器の準備は着々と進められているが、如何せん重要な問題の解決が見つかっていない…

大賭博場(カジノ)への侵入。仕事が終わった後に二人で様々な作戦を探りあったが決定打となる案が見つからない。

 

攻め手が見つからないまま二日が経過した晩。いつもの用に部屋で話し合っていると、扉をノックする音が聞こえてきた。

二人して顔を見合わせてリューが扉を開けに行くと、そこにはシルが立っていた。

 

 

「シル? どうしたのですか、こんな夜更けに?」

 

 

そこにいたのは寝間着姿のシルだった。急な訪問にリューは疑問に思い声を掛けたのだが、何故か訪問してきた彼女の頬をどことなく赤くなっていた。

どうしたのだろうと首を傾げたリューにシルは申し訳なさそうに口を開いた。

 

 

「ちょっと話したいことがあったんだけど。も、もしかしてお取込み中だった?」

 

「なッ!?」

 

 

もじもじと上目遣いでリューをみつめるシルだったが、恥ずかしそうにするシル以上に反応したのがリューだった。

顔を真っ赤にして言葉を失う彼女を見て、奥に座っていたカイトが扉に近づきシルを中に招く。

 

 

「入っても、良いの?」

 

『別に何もしてないよ。それより用事があったんでしょ?』

 

 

恥ずかしそうにチラチラとカイトを見ては頬を染めるシル。

何を期待してたんだと軽いため息を漏らしながらも話を進めようとしたが、未だ扉の前で硬直状態にいる彼女を思い出す。

いい加減、こういったことにも慣れないものかと彼女に近づくと何やら耳まで真っ赤にしてブツブツと喋っていた。

 

 

「い、今はそういったことをしている暇は残念ながらないのですが……でもそれをカイトに打ち明けることなど私から出来る訳もなく…うぅ」

 

 

嘘を付けないエルフのせいなのか、それともリュー自体の性格か。小さな声で本音をぶちまける彼女を見て、鼓動が早くなってしまう自分を何とか抑え込んで彼女を現実の世界に戻した。

意識を取り戻したリューだったが、カイトの顔を見ると徐々に頬を染め上げる。まるで生娘のような反応にカイトも抑え込んでいたものが溢れそうになるが、自分たちの目の前で両手で顔を隠しながらも確りと指の隙間から二人を見つめるシルの存在に気づいた。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

全員が落ち着くのに数分要したが、ようやく全員席について話が進められた。

先ほどの失態から少し頬を赤くして恥ずかしそうにしているリューだが、シルへ部屋に来た理由を問いかける。

 

 

「それでシルはこんな夜更けにどうしたのですか?」

 

「えっとね。二人にこれを見て欲しいの♪」

 

 

徐に取り出されたのは一通の封筒だった。二人は顔を見合わせてからシルを見ると、ニコニコしたままこちらを見ていた。

カイトはテーブルに置かれた封筒を受け取り、中身を確認する。封筒の中には一枚の手紙があり読んでいくとカイトは目を見開き驚愕する。

一緒に中身を確認していたリューでさえも手紙を見て息を呑んだ。

それは、二人が欲してやまなかった難問を解く大賭博の招聘状(カギ)だったからだ。

 

どうしてこんなものをシルが持っているんだと、二人は彼女を見る。すると、何処か申し訳なさそうにするシルの姿があった。

 

 

「どういう…ことですか…?」

 

「実は、この間のリュー達の話を聞いちゃって。無理かなって思ったんだけど、大賭博場(カジノ)に入れませんかって、この酒場で仲良くなった人に頼んだの。そうしたら――」

 

 

開いた口が塞がらないとはまさにこのことだ。

あれだけ侵入方法を模索していた二人の前に、堂々と入場できる通行証から転がり込んできたのだから。

カイトはシルが持ってきた招聘状を静かに見つめる。

本来は国の要人たちへ送られるはず。偽物でもなければ、これを譲り受けた人物と知り合いなれるシルの人脈の広さに驚くばかりだ。

 

 

”シルは魔女ニャ!!”

 

”純朴そうニャンて嘘ニャ!!”

 

 

アーニャとクロエの言っていたことに同意してしまうリューとカイトだった。

 

 

しかし、これで大賭博場(カジノ)に入り込む鍵は手に入れた。流石に招聘状の人物になりきる為にそれ相応変装は矢無負えないだろうが、ブラックリストに載っているリューとガネーシャ・ファミリアの数名に顔を知られているカイトが乗り込むのだから問題点ではない。

二人は顔を見合わせて頷きシルにお礼を言おうと口を開けた瞬間…

 

 

「私も付いてって良い?」

 

「…はい?」

 

 

予期せぬシルの言葉に二人はまたも言葉を失うのだった。

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