ダンジョンへ行かずに恋人と過ごすのは間違っているだろうか? 作:翠星紗
豊穣の女主人が閉まりミア母さんやほかの従業員たちがいないのを確認したカイトとリューは静かに部屋を出て店を後にする。
ワンピースを身に纏い肩まであるフードを深く被るリューは、何処か恥ずかしそうに頬を赤らめていた。
夜も更けていることからすれ違う人は少ないが、誰か彼女の横をすれ違うものなら過剰に反応する姿が見られたため、彼女を不思議がる人は少なくない。
そんな彼女の後ろを静かに歩く彼は何処か可笑しそうにクスクスと笑っていた。
「誰のせいでこうなったと思っているんですか…///」
自分の後ろを歩く彼に振り返り、ジッと睨むリュー。その頬を少し赤く、フードで首元を隠すようにしっかりと両手で隠す。
彼からは隠そうとしている彼女の首元は見えており、首元に赤い痕が見えていた。
◇◇◇◇◇
「カイト。貴方はここに残っておいてください」
リューが着替えて部屋を出ようとしていたが、カイトはそれを拒み続けること数十分。
危険な場所に彼を連れて行きたくないリューと一人で危険な所に向かわせたくないカイトの一歩も譲らない硬直状態。
ドアノブに手をかけ回そうとするリューの手を軽く押さえて行かせようとしないカイト。
『君一人で行かせると思う?』
「貴方にこれ以上傷ついて欲しくない」
『それはこっちも同じ』
「「……」」
数秒のにらみ合いの末、カイトは何やら笑みを浮かべた。
急にどうしたと彼を怪しむリューだったが、彼が指をなぞり…
『連れて行かないと……悪戯する♪』
「なにを…ひぅ!?///」
急に何を言いだすかと思った矢先。
カイトはリューを抱き寄せて彼女の首元にキスをした。唐突のことに対応しきれなかったリューだったが、悪ふざけを始めたかのような彼から離れようとした瞬間―――
「か、カイト!! ふざけるのも………ふぁ!?///」
今度はキスされた箇所を強く吸われた。それも何度も角度を変えては彼女の首筋に跡を残していくカイトであった―――
◇◇◇◇◇
結局、いろんな個所を悪戯されたリューが根負けして現状に至る。
その時のことを思い出したのかまたも頬を赤くして彼を睨むリュー。そんな彼女の訴えなんて気にも留めていないカイトは、彼女を抱きしめようと手を伸ばした。
しかし、過敏に意識しているリューは彼が手を伸ばした瞬間に距離をとる。
「貴方には節操というものはないんですか///」
苦笑いを浮かべるカイトに対して、リューは大きなため息を漏らした。
こんな大通りで言い合いをしているわけには行かないと、彼女は足を動かす。歩き出すリューの後ろをカイトは静かについていった。
ヒューズから聞いた表通りから裏通りへ入り込むと、もともと少ない人気がさらになくなる。すれ違う人間から嫌な視線を感じた。
カイトの前を歩くリューはそんな人間たちなど気にもせず、目的の酒場へと歩を進める。
裏路地のさらに奥、暗い階段を降りたところに酒に酔う下賤な笑い声が聞こえる酒場はあった。
リューは自分の後ろを歩くカイトを見ると、彼は静かに頷いた。それを確認した彼女は酒場の戸を開けて中に入った。