先日、この小説がルーキー日刊に載ることができました!本当にありがとうございます!
暴走しかけた3人を宥めた僕は、チノちゃんからコーヒーの淹れ方の指南を受けていた。因みにココアはリゼからラテアートを教わっている。
「なかなか難しいな……」
僕が淹れたコーヒーを2人で味見をする。
ただし、チノちゃんは砂糖とミルク入りだ。
コーヒーを口にする。僅かな雑味。
一応、チノちゃんがお手本を見せてくれたのだが、全く上手く出来ない。
「ハクヤさん、コーヒーカスを見て下さい」
チノちゃんは、僕がコーヒーカスに視線を向けた事を確認し、解説を始める。
「泡が少なく、厚みが均一ではありません。
これは雑味が出てしまっている証拠です。
中心でのの字をかくようにお湯を注ぐといいと思います」
「なるほど……ありがとう、やってみるよ」
もう一度、チノちゃんに教わった通りに工程をこなす。
口に含む。先の物より改善された雑味、香ばしい香りが引き立っている。
だが──
「チノちゃんが淹れたみたいにはならないなぁ」
「ハクヤさんはこれが初めてなので仕方ないですよ」
チノちゃんは時計を確認した。
「そろそろいい時間ですね。お客さんもいませんし、これで終わりにしましょう」
「うん、わかった。──ねえ、チノちゃん」
「はい、なんでしょうか」
「また、教えてくれるかな?コーヒーの淹れ方」
「もちろんです」
チノちゃんは、柔らかい笑みを浮かべていた。
「ココアさん、リゼさん。時間ですし、そろそろ閉めましょう」
「ああ、お疲れ様」
「ねえねえ聞いてよチノちゃんっ、ハクヤくん!リゼちゃんったらラテアートがすごく上手なんだよ!」
「あ、あまり大声で言いふらさないでくれ……」
ラテアートか……楽しそうだな。
そんな思いが表情に出ていたのか、控えめにリゼが話しかけてくる。
「ラテアート、やってみたいのか?わ、私でよければ教えるぞ」
「ありがとう。じゃあ、今度教えてね」
「ああ。私はそろそろ帰らないと……」
リゼがちらりと外に視線を向ける。
日は既に沈んでおり、かなり暗くなっている。
「家まで送ろうか?外はだいぶ暗くなっているみたいだし」
瞬間。リゼの顔が驚愕と困惑に染まる。
何かやってしまったのだろうか。
「おい、ハクヤ。護身術は習ったか?」
「え? いや、習ってないけど……」
「なら、今度私の家に来い。簡単なものだが、役に立つものを教えてやる。無防備すぎるぞ、お前は」
「えっと……わかったよ?」
「まぁ、いいか。じゃあ私は帰るよ。三人とも、またな!」
そう言い残しリゼが出ていく。
(ふふっ、あいつが私の家に来る、か。
…楽しみ、だな)
きぃ、と音を立ててドアが開かれる。
中からバーテンダー服の男性が出てきた。
「君たちがハクヤ君にココア君か。……チノと仲良くしてやってくれ」
男性はティッピーを頭に乗せ、店内へ行ってしまった。
「チノちゃん、あの男性は……?」
「あちら、父です。ラビットハウスは夜になるとバーになるんです」
「なんか、裏世界の情報を提供してそうでかっこいいね……!」
「何言ってるんですかココアさん」
すると、ココアのお腹からくぅ、と音が鳴る。
「えへへ…お腹空いちゃった。ご飯にしない?」
ココアの提案により、夕飯の準備をすることになった。
「こうしてみると私たち、兄妹みたいだね」
「兄妹…ココアお姉ちゃんに、ハクヤお兄ちゃん、ですね」
「僕もチノちゃんみたいな妹がいたらしあわせだなあ」
「あっ、ありがとうございますっ」
ほんのり顔が赤く染まったチノちゃんの頭に手を置く。恥ずかしそうにしながらも受け入れてくれた。
なるほど、これが妹か。嗚呼、妹とは良いものだ。
「所でハクヤくん、私のこともお姉ちゃんって呼んで?」
「え──」
「呼んで?」
ずいっと体を寄せてくる。なんだ、この圧力は。まるで野獣のような──やるしか、ないのか。
「お、お姉ちゃん……」
「うんうん、お姉ちゃんに、任せなさ〜いっ!」
なるほど、これが姉……いや、姉か……?
その後、食事と入浴を済ませた僕は、部屋で読書をしていた。
「喉乾いたな……」
水を飲みに行こう。時計を確認すると、長針も短針も、天井を指していた。
喉を潤し部屋に戻る途中、
「……あれ、ココア?」
廊下ですうすうと寝息を立てるココアの姿が視界に入った。
……寝ぼけてここまで来たのだろうか?
春とはいえ、夜中はそれなりに冷えるのである。
風邪を引いてしまうかもしれないので、ベッドまで運ぼう。
膝裏と背中の辺りに手を滑り込ませ、ゆっくりとココアを抱き寄せる。
まぁ、俗に言うお姫様抱っこという形だ。
「──っ」
かなり恥ずかしいが、無視する。このまま放っておいて風邪を引かれるよりも、ずっとましだ。
そのまま部屋へ連れて行き、ベッドに寝かせる。
「おやすみ、ココア」
気持ちよさそうに寝ているココアの頭を軽く撫でて、部屋を出る。
さて、もう寝よう。
◆◆◆◆
つめたい床の温度で目を覚ます。
冷えた体に不快感が生じる。
それを消す為に起き上がろうとする。しかし、
「……あれ、ココア?」
咄嗟に寝たふりをする。
どうしよう、どうしよう。覚醒した頭を回転させる。薄く目を開いて状況を確認しようとする。
しかし──
彼に抱き寄せられる。驚愕と羞恥で、思わず声が出そうになる。
「──っ」
私を包み込むあたたかい感覚。
甘くて、心地良い匂い。
ふと、それがなくなり、柔らかい感触に包まれる。
頭を撫でられる感覚。
「おやすみ、ココア」
やさしく、ささやかれて──
寝ようにも寝付けない。
鼓動がうるさい。身体があつい。
何故、彼はここまで優しくしてくれるのだろうか。
ふと、彼の残り香を感じる。
「ハクヤくん、ごめんね。私、あなたのお姉ちゃんにはなれないよ。だって──」
原作との相違とかけっこうあるけどゆるして下さい!何でもしますから!
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…そういえばそろそろココアちゃんの誕生日ですね。
ちなみに作者は何も用意してません。
すまない。
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