ダンガンロンパ~黄金の言霊~   作:マイン

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なかなか筆が進まない…他の作者さんすごいな…


翼もがれし愚者との邂逅

「……ねえ、聞こえる?」

 

 

「…ねえ、大丈夫?」

 

 

 

「……ん…お兄ちゃん…?」

 呼びかけの声で目を覚ましたこまるが見たのは、知らない天井であった。

 

「ここ…どこ?」

 先ほどまで荒廃した街並みの中にいた筈が、視界に映るのはどこか近未来的ながらも質素な部屋の一室のみである。

 

「あ、気づいたみたいだね」

「ッ!!?」

 ぼやけた頭のまま混乱するこまるに、再び『声』が掛けられる。その『声』を聴いた瞬間、こまるの頭はまるで冷水を浴びたかのような衝撃を受けた。…なぜならばその声は、他ならぬ『兄』にそっくりだったからである。

 

(…お兄、ちゃん…?)

 淡い期待を抱きながら、こまるはその声の方向を向く。

 

 

 

 …が、そこにいたのは誰よりも頼りにしている『兄』ではなく。

 

 

 

「…だいぶ参ってるみたいだね」

 『左腕』を不自然なまでに布で覆っている、『鎖のついた首輪』をした白髪の青年であった。

 

「…え?」

「…あ、もしかして期待させちゃったかな?悪いけど、僕は君のお兄さんじゃあないよ。おかしな話だよね、これだけ『声』が似ていても、僕は『彼』の足元にも及ばないほどに、『脆弱』で『惰弱』で…『希望』の欠片もない存在なんだから…」

 呆気にとられたかのようなこまるの表情を見て、青年は自嘲めいた表情でそう呟く。

「そこまで下卑しなくても…ところで、あなたは…?」

「僕かい?僕は…そう、僕はただの…『召使い』さ」

「召使い…?」

「と言っても、君のじゃあないよ。ここの『主』たちの召使いさ」

「主、って…」

「いや、ホントに参ったよ。この街なら安全だって聞いてやって来たのはいいんだけど、来て早々に『暴動』に巻き込まれちゃってね、あの『モノクマ』に捕まって危うく殺されるところだったんだ。…でも、全力で命乞いしたら『召使い』になれば助けてくれることになってさ、結構『ラッキー』だったよ」

「あの、えっと…」

「…ああ、ごめん。僕の話なんかより、君のことについて話そうか。君、よっぽど混乱していたのか、ここに来てから『丸二日』も寝ていたんだよ」

「ふ、二日もッ!?」

「丸二日…世界が様変わりするには十分すぎる時間だよね…。でも、君からすれば、『世界』の事なんかより『自分』の事の方が大事だよね。こんな『牢屋』みたいなところに閉じ込められて、どうなるんだろう…ってね」

「ど、どうなるんですか…!?」

 

 

 

 

「……ハァ」

 こまるの問いに対し、青年は答えることなくため息をついた。

 

「へ…?」

「あ…ゴメン。君のリアクションがあんまりにも『普通』すぎて驚いちゃってね。『彼』の妹などいうから少し過剰に期待しちゃったんだけど、やっぱり『黄金の精神』を以てしても『人の本質』まではそう簡単には変わることはないみたいだね」

「あ、あの…?」

「まあ、そう落ち込むことは無いよ。世界の凡そ9割の人間は君みたいな『平凡』な人間で構成されている訳だしね。だからこそ、『ジョースター家』や『ツェペリ家』みたいな人たちの存在が輝くわけだし。…それに、君みたいな何の変哲もない『凡人』のほうが、より多くの人たちが『感情移入』できる訳だし…うん、『合格』だよ」

 勝手に落胆して、勝手に納得している青年についていけず、こまるは混乱しながらもなんとか言葉を絞り出す。

 

「…あの、聞いてもいいですか?」

「ん?何?」

「さっきから言ってる『彼』って、私のお兄ちゃん…『苗木誠』のことですよね?あなたはお兄ちゃんの友達なんですか?」

「…『友達』、か。確かにそう呼ばれていた時期もあったかな。でも、今の僕には…『彼』の『友達』である『資格』なんかないのさ」

「資格?」

「君のお兄さんの所在に関しては、残念ながら僕も知らないんだ。…最も、知っていたとしても会いたくもないんだけどね」

「え…?」

「そんなことより、君のこれからの方が重要なんじゃあないかな?」

「…そ、そうだった!で、どうなるんです…?さっき『合格』って言ってましたけど…」

「君、自分に都合のいいことには敏感だね。…確かにそうは言ったけど、それはあくまで『僕個人』の視点の問題でしかない。ここの『主』は『彼等』だから、君の処遇を決めるのはあくまで『彼等』だ。それは『召使い』の仕事じゃあないからね。君にはちゃんと、『テスト』を受けて貰わなければいけない…」

 そう言いながら彼はこまるの方へと歩み寄ろうとし…

 

「…っとと」

 直後ふらつくようにその場に膝を着く。

 

「だ、大丈夫ですか?」

「ああ、気にしないで…。まだ慣れなくてさ、『左腕が使えない』ことに…」

「…その左腕、どうかしたんですか?」

「心配されるようなことじゃあないさ。…ただ敢えて説明するなら、『太陽を目指したイカロスはその翼を焼かれてしまった』と言ったところかな」

「はあ…?」

「まあ、僕の自業自得だから気にしないでよ。…それより、これを返しておくよ」

 そう言って青年が差し出したのは、先ほどまで自分が持っていた筈の『ハッキング銃』であった。

 

「こ、これ…!」

「君が寝ている間に少し見させてもらったよ。いや、なかなか面白いね!『信号』を『コトダマ』というエネルギーに変えてそれを撃ち出すことで、命中した『機械』をハッキングして『信号』を実行させる。流石は『未来機関』の技術だよ!…ただ、そのままだと『フェア』じゃあないから、ほんのちょっとだけ『デチューン』させてもらったよ」

「で、でちゅーん…?」

「平たく言えば、『難易度調整』さ。『強くてニューゲーム』だなんて、クリア済みならともかく萎えちゃうでしょ?僕も中古のゲームを買って酷い目に遭ったからね…」

「はあ…」

 青年は銃を手渡すと、踵を返して出口へと向かう。

 

「それを使って、『皆』のところまで来なよ。そうすれば『テスト』は合格だ。僕は先に行って待ってるね」

「え?ちょ、待っ…」

「……あ、そうそう」

 青年はふと思い出したかのように振り返り、こう告げる。

 

 

 

「『忠告』しておくけど、『スタンド能力』は使わない方がいいよ。『彼等』に知られると、面倒になるからね。僕も含めてだけど…」

「ッ!?スタンド能力のことを…なんで!?」

「それは秘密だよ。それじゃ、頑張ってね…」

「あっ!待って…!」

 こまるの呼び止めに応えることなく、青年は部屋を出て行ってしまった。

 

「…何なの、あの人…?」

 こちらの都合など全く気にもしない青年の態度に憤懣やるたかない気分になるこまるであったが、居ない人間のことをいつまでも気にしていても仕方がないので『ハッキング銃』を手にこまるも部屋を後にする。

 

テクテクテクテク…

 

「…それにしても、あの人なんでスタンド能力のことを知ってたんだろ?もしかしてあの人もスタンド使いなのかな?…でも私、まだ自分のスタンド出てきてないのに、なんであんなこと言ったんだろ…?」

 生活感のない鋼鉄の通路を道なりに歩きながら愚痴るこまる。とそこに

 

 

 

テクテクテクテク…

テフテフテフテフ…

 

 

バッタリ!

「ッ!?」

 曲がり角で鉢合わせになったのは

 

『イエーイ!』

「も、モノクマッ!?」

 ついさっきこまるを恐怖のどん底に叩きこんだモノクマであった。

 

「こ、この…ッ!あっち行けぇ!」

 反射的にこまるはハッキング銃を構え、モノクマの顔面に撃ち放つ。

 

ドギュン!

『グフッ!』

「や、やった!」

 『コワレロ』の『コトダマ』をモロに喰らってのけぞったモノクマを見て、こまるは撃退を確信する。が…

 

 

 

グワンッ!

「…ひゃあッ!?」

『やったな~!』

「う、嘘…なんで!?」

 モノクマはのけぞった勢いのまま腕を振り回してきた。間一髪でそれを回避したものの、今まで一撃で全て倒してきた筈なのに、ここにきて倒しきれなかったことにこまるは動揺を隠せない。

 

「どうして…さっきまでワンパンだったじゃん!?なんで壊れないのよぉ!?」

『まてまて~!』

「嫌ああああッ!!」

 完全に混乱してしまいモノクマからひたすらに逃げ惑うこまる。しかし、一本道の直線である以上隠れる場所など無く追いかけられ続けるのみであった。

 

「ど、どうしよう…!?そ、そうだ!まだ他にも弾が…」

 ダイヤルを捻って他の『コトダマ』へとチェンジしようとするこまる。しかし

 

「…えっ!?な、なんで『2種類』しかなくなってるの!?」

 『コトダマ』のメニューに記されていたのは、先ほど使った『コワレロ』と、『ウゴケ』の2種類のみで他の『コトダマ』は表示されなくなっていた。

 

「しかも残ってるのが『ウゴケ』って…どう考えても駄目そうだけど、駄目で元々だぁ~!」

 こまるはダイヤルを捻って『コトダマ』を『コワレロ』から『ウゴケ』に変え、後ろから追いかけてくるモノクマに狙いをつける。

 

「喰らえッ、『ウゴケ』ぇッ!」

ドギュン!

 ハッキング銃から放たれたのは、『動』の文字の形を成した緑色のエネルギー。それはモノクマの顔面目がけて狙い違わず直進し…

 

 

 

パチュン

『ん?なにコレ?』

「……」

 当たると同時に、シャボン玉でも弾けるかのように霧散した。

 

「…やっぱり駄目だった!うわーん!」

『ぐひょひょひょ~!』

 ノーダメージという事実にショックを受けつつも、こまるは逃げながらも尚抵抗を続ける。

 

「こうなったらヤケクソだぁー!『壊れる』までブチ込んでやるッ!ミスタさん、力を貸して!」

 兄の部下であった変な帽子の狙撃の名手に祈りながら、こまるはコトダマを『コワレロ』へと戻してモノクマ目掛けて乱射する。

 

「この!このこのこのこのこのこのこのこのこのこのぉ!」

 ドギャンドギャンドギャン!

『あひん!ぎゃふん!ひ~は~!…また来週~!』

「はあ…はあ…はあ…」

 かなりの無駄撃ちをしてしまったが、どうにか3発ほどの銃弾をモノクマに命中させモノクマの破壊に成功した。

 

「な…なんでこいつ『強くなってる』の?…違う、この銃が『弱くなってる』んだ。でも、急にどうして…」

 

 

『…ただ、そのままだと『フェア』じゃあないから、ほんのちょっとだけ『デチューン』させてもらったよ』

 

 

「…!も、もしかして『デチューン』って…『弱体化』ってこと!?あの人が弱くしたの?…どうやって、ううん…なんで?」

 もしこの銃が弱くなる理由があるとすれば、あの青年に取り上げられていた時しか考えられない。しかし、何故彼がそんなことをしたのかこまるには見当がつかなかった。

 

「…とにかく、前に進まなきゃ。あの人に会って銃を直してもらわなきゃ…」

 苦戦の理由が分かったとはいえ、自分ではどうにもならないためこまるは仕方なくそのまま進む。

 

 

 

 

 

「……ん?…うわっ…!」

 しばらく歩いた後角を曲がろうとした矢先に、こまるはその先に何かを見つけすぐさま角に隠れる。無論そこにいたのは

 

テフテフテフテフ…

「うう…まだいるよぉ。こんなのゴキブリレベルじゃあん…」

 まだこちらには気づいていないものの、歩き回りながら周囲を窺うモノクマにこまるは思わず弱音を吐く。

 

「なんかあいつら、『弱点』とかないのかなぁ…?『頭』…さっき当たったけど駄目だった。『しっぽ』…あんなの当てるの無理。『色の境目』…?…ないない。あー、どうしたら…ん?」

 と、モノクマの全身をくまなく観察していると、ふとこまるの目に『ある場所』が止まる。

 

「…あの『赤い左目』…。な~んか怪しいよね、そういえばあのマンションで顔見た時も、あの赤い部分から機械の部分が透けて見えたし……試してみよう」

 半信半疑ながらもこまるは物陰から半身を乗り出し、モノクマの頭部…『左目』に狙いを定める。

 

「ミスタさんからの教え…。『拳銃を撃つときは、当てるんじゃあなく、当たると確信して撃つこと』…!」

 何を教えてるんだ、と兄に怒られていたミスタの言葉を反芻し、こまるは震える手を抑えながらチャンスを窺う。そして後ろを向いていたモノクマがこちらを向き切った瞬間…

 

「…当たれぇ!」

ドギュン!

 放たれた『壊』のエネルギーは、モノクマが気づくよりも早く左目の『赤い部分』に命中する。

 

『うひゃあ~!』

ボガァン!

 すると、モノクマはものの一撃で悲鳴を上げて大破してしまった。

 

「や、やった…!やっぱりあのモノクマ、『左目』が弱点なんだ!よし、これならいけるかも…!」

 弱点を知ったことで、どうにか『希望』を持ったこまるは不意打ちを喰らわないようおっかなびっくり先へと進んでいくのであった。

 

 

 

 

 

 

「…へえ、思ったよりやるみたいだね。流石は苗木君の妹、危機的状況における『対応力』ぐらいは持ち合わせていたみたいだね。でもまあ、そうでないとね。本当に『ただの凡人』じゃあ、生き残っても『意味が無い』。『この世で最高の希望』を知る彼女だからこそ、試す『価値』があるのだから。クフフフフフ…」

 




今回ここまで
なんとなく感づいている人もいるかもしれませんが、今回の狛枝の左腕は原作とは異なる状態にあります。どうなっているのかは物語の後半で…


スーパーヒーロー大戦GP観てきたら3号が予想以上にかっこよくて妄想が止まらない。3号のライスピ介入ネタなんぞを思いついてしまい暇を見てちょろちょろ書く始末…。できたらクロスオーバーネタに投稿するので特撮好きな人は気が向いたら見てくれると嬉しいです。
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