ダンガンロンパ~黄金の言霊~   作:マイン

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第一のボス戦です
ぶっちゃけ初見プレイの時はエライ苦労しましたけど、オドレのコトダマが効くのが分かったら楽勝でした
あと、できるだけ全員に魅せ場を作れるよう頑張ってみました


進撃、マークガイバー!

ギャルルルルルルルッ!!

 『勇者ロボ マークガイバー』の両腕のドリルが高速回転し、その矛先をこまる達へと向ける。ドリルと言えば大嫌いな歯医者が使う治療用ドリル程度しか見たことが無いこまるであっても、それをもろに喰らえばどうなってしまうかぐらいは容易に想像がついた。

 

「いっけー!マークガイバーッ!!」

「うわわわわわッ!!」

「く、来るわよッ!」

 大門の指示を受け、マークガイバーはガシャンガシャンと重厚な足音を立てて突っ込んで来る。

 

「躱せェッ!!」

「ぬうッ!?」

「きゃああッ!!」

 

ドギャァァァァンッ!!

 間一髪横っ飛びで躱したこまる達が居た場所を、突っ込んだ勢いのままドリルを振り下ろしたマークガイバーの腕が打ち据える。その一撃は地面を砕くと同時にさらにその場所を深く掘り下げ、さながら小さなクレーターを作るほどであった。

 

「逃げんじゃあねーよッ!お前らを殺して高得点を取れば、俺っちが『デモンズハンティング』の勝者になれるんだ!そうすれば、楽園もモナカちゃんも独り占めできるんだぁーいッ!!」

「む、無茶苦茶言ってんじゃあねーよッ!!」

「とはいえ…流石に分が悪いわよ。アタシらのスタンドは基本的に『対人戦』用の能力重視型のスタンド…、単純なパワーが足りない分まともに相手にするのは厳しいわよ…」

「お前さんの『メタリカ』でも駄目か?相手は鉄のカタマリだろう?」

「…無理ね。木偶の坊ならともかくああも動かれたら集中できないわよ。それに、この周りの柵…かなり頑丈な『プラスチック』でできてるわね。どうやらあいつ等、アタシの『メタリカ』の対策をしてきたみたいだし、うまくいく可能性は低いわね…」

「ど、どうしよう…」

「…仕方ねえ、やるかねぇか…!『エンペラー』!」

 何かを決めたような一言の後、ホル・ホースは右手に『エンペラー』を構える。

 

「…なにやってんだあのオトナ…?」

「…どうすんのよ?いくらスタンドとはいえ拳銃でアレを倒せると思ってんの?」

「いや、無理だろうな。…だが、俺の『エンペラー』でも奴を『止める方法』はある」

「え?」

「ホントはこんなこたぁ趣味じゃあねーし、俺の男としてのプライドが許さねーんだが…背に腹は代えられねェ…ッ!!」

 苦々しくそう言うとホル・ホースはその銃口をマークガイバーではなく…ステージ上にいる『大門』へと向ける。

 

「ッ!ほ、ホル・ホースさんまさかッ…!?」

「安心しな…殺しゃあしねーよ。ただまあ、『再起不能』にはなってもらうがな…!」

「え?…ププッ!お前、オトナの癖にピストルごっこかよ~?もう俺っちだってそんなのだっさくてやらね~ぜ~?けど、俺っちは気前がいいからな!ほれほれ、狙ってみろよ~?」

「…ああ、いいぜ。お望みどおり…狙ってやるよッ!!」

ドォンッ、ドォン…!

 子供を撃つという罪悪感を飲み込んで、ホル・ホースは挑発するように前に出た大門めがけて2発の銃弾を放つ。

 

(狙うは『両腕』…!コントローラーを狙ってもいいが、うまいことアレだけを壊す自信はねえ…、当たればラッキーでとりあえず操作だけでもできねえようにする…ッ!!)

 スタンド使いにしか見えない、不可視の銃弾。大門は勿論その存在を聞いている石丸や朝日奈であっても銃声すら聞こえないそれは、何者の妨害を受けることなく大門の両腕へと命中する…筈であった。

 

ザザザザッ!!

「何ィッ!?」

 しかし、銃弾が放たれると同時に、大門の周りにどこからともなく『壁』のようなものが出現する。

 

「なッ!?あれは…」

「子供たちが…?」

「お、おい!お前らどけよ!前が見えないだろ!」

 大門と銃弾の前に割り込んだ『壁』の正体は、スクラムを組むようにして自分の体で大門を覆い隠した子供たちであった。

 

「マズイッ…『エンペラー』ッ!!」

 着弾先を隠されたことでホル・ホースは急いで『エンペラー』の軌道を変える。銃弾は子供たちの壁にぶつかる直前でどうにか下へと逸れ、子供たちの足元に銃痕を残す。

 

「糞ッ…!肉壁とは面倒なマネを…」

「うわぁッ!?な…なんだよコレ…!ホントに撃たれてるじゃんか!お前、ごっこ遊びじゃなかったのかよッ!?」

「…?」

 突然音がしたかと思うと足元に銃痕ができていることに驚く大門であったが、それを見たホル・ホースは訝しげな表情を見せる。

 

「…どういうこった?」

「ど、どうしたんですか?」

「…嬢ちゃん、俺はよ、あのガキが『スタンド』のことを知っていて、知ったうえで俺を挑発してあのガキ共を盾にした…そう思っていたんだが…」

「だが?」

「アイツの反応を見なさい…どう見たって狼狽えてるじゃない。あの手のガキにあんな迫真の演技ができるとは思えないし、多分本気でスタンドの事を知らなかったみたいね…」

「え?でも…」

「ああ、だが実際あの周りにいるガキ共はなんの合図も無しにアイツを守る為に盾になりにきやがった。つまり、あの大門とかいうガキはスタンドの事を知らねえが、周りにいるガキ共は『何故か』スタンドのことを…あるいは俺の『エンペラー』のことを知っていたということだ」

「ええっ!?で、でもあの子は子供たちのリーダーなんだよ?リーダーが知らないことを普通の子供たちが知らないなんて…」

「さぁな…そこまでは知らんさ。だが、嬢ちゃんのサポートに現れた奴といい、あのモノクママスクのガキ共には何か『裏』が…」

「…よくもやりやがったなぁぁぁぁッ!!」

 ホル・ホースの推察を打ち消す怒号と共に、視界を開ける為しゃがんだ子供たちのスクラムの中から顔を真っ赤にした大門が現れる。

 

「卑怯なオトナめッ!もう許さないぞッ、お前ら全員コナゴナにしてやるぅッ!!」

ガチャガチャガチャ!

 大門がコントローラーのレバーを激しく動かすと、マークガイバーはドリルを水平に構えたまま駒の様に回転しながらこまる達へと迫る。

 

ギュオオオオオオッ!

「必殺!大回転ベーゴマアタァックッ!!」

「ぐおッ!?」

「危ないこまるッ!」

「きゃあ!」

 

ズギャルッ!

「うげぁッ!」

「ふ、腐川さんッ!?」

 ホル・ホースは咄嗟に伏せたため機体に跳ね飛ばされた程度で済んだが、反応しきれなかったこまるをかばった腐川はドリルが肩を掠め、腕ごと持っていかれはしなかったものの肩口を削られて、そこから激しく出血してしまう。

 

「ふ、腐川さん!そんな…血が…!」

「こ、こんなのかすり傷よ…!大したことないわ…。そんなことより、今はアイツをどうにかすることに集中しなさい…ッ!」

「で、でもどうすれば…」

「…じ、嬢ちゃん…!」

 自分を庇って負傷してしまった腐川に混乱するこまるに、吹っ飛ばされたホル・ホースが叫ぶ。

 

「さっき…こいつの足元に伏せた時に、コイツの腹にちらっとだが『モノクマの顔』みてーなのが見えた…!こいつがあのモノクマ共と同じ技術で作られてんなら、もしすっとだが…!」

「モノクマの…顔?」

 そう言われこまるがマークガイバーへと視線を向けると、ドリルに着いた腐川の血糊を払う様に腕を振るったことで、一瞬露わになった胴体に確かに『モノクマの顔』を模したようなそこだけ毛色の違う装甲が存在した。

 

「見えた!あそこを狙えば…」

「いよーしッ!これで止めだーッ!!」

 倒れたホル・ホースと腐川に止めを刺すべく、ドリルを前方に構えて突進しようとするマークガイバーに、こまるはハッキング銃の銃口を向ける。

 

「必殺!メガドライブドリ…」

「『オドレ』ッ!」

 マークガイバーが走り出すより一瞬早く放たれた『オドレ』のコトダマを受け、マークガイバーは突進の構えを解いて体操でもするかのように踊り出す。

 

「なッ…!?な、何してんだよ勇者ロボ!そんなことしてないでそいつらを…」

「『コワレロ』ッ!!」

「ッ!?」

 大門が戸惑って操作を放棄している隙に、こまるががら空きになった胴体のモノクマ装甲に向けて『コワレロ』のコトダマを放つと、マークガイバーはその巨体をよろめかせ、効果があることを目に見えて証明する。

 

「なんだよ…なんだよその『銃』!?なんでお前みたいなのがそんな武器持ってんだよ!?」

「よし、効いてる…!これなら…」

「させるかよぉーッ!!」

 硬直が解けるや否や、大門はマークガイバーを操作しこまるへと狙いを定める。

 

「もうおっさんやそこの地味そうな奴なんかどうでもいいッ!一番倒さなくちゃいけないのは『魔王の妹』だったんだ!お前から先にやっつけてやるッ!」

「え?うわっ…きゃあッ!」

 こまるに銃を撃たせる隙を与えない、大ぶりな連続攻撃にこまるは身を躱すのが精いっぱいになってしまう。

 

「うわははははーッ!見たか!これが俺っちの力だ!子供たちの、皆の『希望』の力だーッ!!」

 眼前で確実にこまるを追い詰めている事態に、大門は完全に勝った気になってこまるをいたぶる様に攻撃し続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 故に、彼はすっかり忘れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 この戦いが始まってすぐ、戦闘から姿を消してしまった、『2人』の存在を。

 

 

「やめろこの野郎ぉぉぉッ!!」

「…えっ!?」

 背後から聞こえた叫び声に振り返ると、子供たちのスクラムを跳び越えた朝日奈が大門を押し倒した。

 

「うわぁ!な、なんだよお前ッ!?逃げたんじゃなかったのかよ!?」

「こまる姉ちゃんが闘ってんのに逃げることなんかできっかよ!お前を止めれば、あのロボも止まるんだろ!?」

「く、糞…!おい、お前ら!はやくこいつをどっかに…!?」

 同じスポーツ万能同士とは言えど、流石に中学生の朝日奈相手は不利と判断した大門は周りの子供へと助けを求めるが、朝日奈を庇うようにして立ちはだかる石丸が威圧するような視線を向けて子供たちを委縮させる。子供たちも、リーダーである大門が捕まったためか戸惑ったように動けずにいた。

 

「まったく…最初に作戦を聞いた時は正気かと疑ったぞ…」

「へへへ…でも、うまくいったろおっちゃん?」

「ヒヤヒヤものだったがな…」

「ち、チクショウ…オトナめッ…!」

「…お前の気持ちは分からないでもないよ。俺だって、分かってくれない大人にイライラすることだってあるもんな。でも、それでも兄貴ならきっとこう言うと思うんだ。『自分を見てくれる人がいないのなら、自分の力で見つけるしかない。例えどれだけ傷ついても、自分の事を正面から見てくれる人を見つけること、それが『生きる』っていうことなんだ』って…!今のお前は、それを『諦めている』だけだ!自分だけが苦しいと思って、他の皆を不幸にしてでも思い通りの世界を作ろうとヤケクソになっているだけだッ!そんなものを『勇気』なんて言わない、ただの『自己満足』って言うんだよッ!!」

「ぐぅッ…!」

 

ガショ…ォ…ン…

「…あれ?ロボットが…」

「姉ちゃん!」

「悠太君!?」

「ロボットの動きは封じた!あとは思いっきりやっちまえぇぇッ!!」

「頼んだぞ苗木さん!」

「悠太君…石丸さん…!ありがとう!」

 大門を押さえつける二人に礼を言い、こまるは操縦者を失って棒立ちのマークガイバーにコトダマを撃ちこむ。

 

「『コワレロ』!『コワレロ』!『コワレロ』ぉッ!!」

ドガァン!

 立て続けにコトダマを浴び、耐え切れなくなったマークガイバーのモノクマ装甲が壊れ、その奥からいかにも弱点らしき『モノクマ型の赤いランプ』が現れる。

 

「…嬢ちゃん!多分そいつが弱点だ!おもいっくそやっつけちまえぇッ!!」

「は、はい…」

「ふっざけんなよぉぉぉぉぉッ!!」

「ひっ!?」

 止めを刺そうとするこまるを大門の怒号が一瞬竦ませる。その隙に大門は自分を押さえつけている朝日奈の腕におもいきり噛みついた。

 

ガブッ!

「痛ってぇッ!!?」

「んがああああッ!」

「し、しまっ…!」

 一瞬力が抜けたところを大門は『超小学生級の体育の時間』としての最大パワーで朝日奈を押しのける。慌てて再び取り押さえようとする石丸と朝日奈に、リーダーが解放されたことで士気を取り戻した子供たちが飛び掛かって逆に抑え込む。

 

「き、君たちッ!やめなさいッ!」

「このっ…離せよぉッ!!」

「そこでじっとしてろ…!魔王の妹をぶっ殺したら次はお前らだ!けどその前に…アイツに止めを刺してやるッ!!」

 怒り心頭の様子で大門はコントローラーを握りしめる。

 

「今度こそ…死ねぇッ!魔王の妹…『ドンコマル』ぅッ!!」

「う…!?」

 力強くレバーを動かした大門の指示により、マークガイバーの逆襲が始まる…

 

 

 

 

 

…と、思われたが

 

ギギ…ギ…

「…え?」

「な…なんだよッ!?なんで動かないんだよッ!」

 再び動き出したマークガイバーの動きは酷く鈍重で、一挙一足動こうとするたびに、『関節部』から錆びたような音が鳴り、先ほどまでの軽やかな動きが嘘のような有様であった。

 

「この、動け!動けよぉッ!…なんで動かないんだよぉッ!!?」

「…残念ながらそいつはもうポンコツよ。どれだけ高性能だろうと、『機械』である時点でそいつはもう『詰んでる』のよ…」

「ふ、腐川さん!?」

 大門の苛立ちに答えたのは、傷を抑えながらふらふらと立ち上がった腐川であった。

 

「まったく…あのまま倒しきれてりゃこの『奥の手』をばらさずに済んだと思ったんだけどね…。ホントアンタって奴は手がかかるんだから…」

「お前…俺のマークガイバーに何をしやがったッ!?」

「…確かにアタシが何かをやっているのは事実だけど、強いて言うなら、『原因を作った』のは『アンタ』の方よ」

「は?」

「アンタのロボはアタシを攻撃した時にアタシの『血』を浴びた…。アタシの『血』には、アタシのスタンドの『メタリカ』が含まれている。『メタリカ』は『鉄分を操る』スタンド…、勇者ロボだかなんだか知らないけど、『機械』…『鉄でできた物質』である時点でアタシの『メタリカ』は付着した対象をある程度操ることができる…」

「なッ…!?」

「最も、そのままじゃ表面をいじるのが精いっぱいだったし、ここまでしても流石にコントロールを丸々奪うことはできなかったけど、関節部に『メタリカ』を侵入させて動きを阻害することぐらいはできたわ…!もうそいつはただのウスノロよ…こまるッ!さっさとやっつけちゃいなさい!」

「腐川さん…!」

 腐川の言葉を受けたこまるは、今一度動けずにいるマークガイバーへと向き直り、胸のランプへと銃口を向ける。それと同時に、こまるの意志に応える様に『イン・ア・サイレント・ウェイ』が姿を現す。

 

「これで…最後だよッ!『イン・ア・サイレント・ウェイ』、『一緒に』行くよ!」

「や、やめろぉぉぉッ!!」

「『ドカン』と…『コワレロ』ォォッ!!」

 『イン・ア・サイレント・ウェイ』の能力の使用に必要な『擬音』を含めた『コトダマ』。通常の『コワレロ』に『イン・ア・サイレント・ウェイ』のスタンドパワーを籠めた一撃は、マークガイバーのランプに命中すると同時に回路だけでなく機体そのものにもダメージを与え、『内』と『外』の両方を破壊されたマークガイバーはスパークと煙を吹き出しながらその場に崩れ落ちると、胸のランプから竜巻の様に炎が噴き出、まるでそれに逆にドリルで貫かれるようにして

 

 

ドガァァァァァンッ!!

 轟音を上げて爆発した。

 

「そ、んな…俺っちの、マークガイバーが…俺っちの『希望』が…」

「うっしゃぁ!」

「やったぜこまる姉ちゃん!」

「ああ………?」

 こまるの勝利に喜ぶホル・ホースと朝日奈。石丸もホッとしたような表情を浮かべるが、すぐにその顔つきが怪訝なものに変わる。

 

 ついさっきまで自分たちを取り囲んでいた筈の子供たちが居なくなっていることに。

 

 

「やったよ腐川さん、腐川さんのおかげだよ!」

「…ふん、手間かけさせるんじゃあないわよ。おまる」

「ご、ごめん…」

「べ、別に怒っては…」

 そこまで言いかけて、腐川の言葉が途切れる。

 

「…腐川さん?」

 腐川の様子にこまるも同じ方向へと視線を向け、同じように絶句する。

 

「くっそぉ…お前らなんかに…!」

 2人の視線の先には、膝を着きながらも憎々しげな視線を向ける大門…その『背後』には、

 

 

 

 モノクママスクの目を紅く光らせた子供たちが立っていた。

 

「…ハッ!?」

 そのことに大門が気づいた時には、既に遅かった。

 

グバァッ!

ガシッ!

「な…なんだよッ!?お前ら、なにすんだよぉッ!?」

 後ろから伸びた無数の手に掴まれた大門は、そのまま子供たちの輪の中へと引きずりこまれる。

 

「お、おいッ!?」

「待て朝日奈君、危険だ!」

「だ、だって…」

 寸でのところで朝日奈が手を掴もうするが、巻き添えを喰らうことを恐れた石丸に止められる。二人の視線の先で、大門は『守る筈だった』子供たちにもみくちゃにされている。…だがそれは、『慰め』や『歓喜』と言った物とはかけ離れた、『殺意』すら見え隠れするかと思うほどに暴力的なものであった。

 

「い、痛いよ…皆、やめろよぉ…!俺っちは、『勇者』なんだぞ…『希望の戦士』の、『リーダー』なんだぞ…!『仲間』なのに…なんでこんなことするんだよぉッ…!」

 必死に逃れようとする大門であったが、数の暴力には逆らえず徐々に輪の中に引きずりこまれていく。

 

「や、やめろ…やめてくれ…やめてよぉ…!助けて…もう、怖いのは…『痛い』のは嫌だ…嫌だ、嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 必死の叫びも虚しく、大門はあっけなく子供たちの中心へと姿を消した。子供たちはそのまま後方の出口からどこかへと走り去っていく。後に残ったのは、コロシアムの中心に居たこまると腐川、ホルホース。そして近くにいたにも関わらず意にも解されなかった朝日奈と石丸。

 

…そして、置き土産の様に取り残された、大門のヘッドホンだけであった。

 

 

 

 

「…なんだよ、なんだよコレ…!?」

「何なの…アレ…?どうして、『子供同士』で…?」

「『仲間割れ』…ではなさそうだな…」

「…まさか、負けた『おしおき』とか?だとしたら…『趣味』も『始末』も悪すぎるわよ…!」

「…え?何?」

「…要するに、『見せしめ』ってことかい。『大人』に負けた弱い『勇者』に用はねえ…そういうことだろうな」

「そ、そんな…」

「…ふざけんなよッ!なんだよソレッ!?アイツだって頑張ってたじゃあねーか!そりゃあ、イイ奴とは言えないけど、それでも『友達』の為に闘っていたじゃあねえか!なのに…」

「朝日奈君…」

「……ここでこうしていても仕方がないわ。とりあえずアタシたちも外に出るわよ。あのガキが倒されたからか入って来た入り口が開いてるし、もたもたしてるとあのガキ共が戻ってきかねないわ…」

「う、うん…そうだね」

「お痛つつ…お二人さんも行くぜ!」

「…行こう、朝日奈君。彼の事は私も心配だが、今は我々のことが最優先だ」

「うん…」

 

 勝者である筈の彼らは逃げるようにしてその場を去る。今見てしまった光景を拭い去る様に。

 

 

 しかし、彼らはまだ気づいていない。これはまだ、この街で繰り広げられる『悪夢』の始まりに過ぎないということを。

 




今回ここまで
ダンロン2の舞台の先行抽選2回とも落選しました…おのれディケイド!イグドラシル絶対ゆるさねぇ!(八つ当たり)
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