…と、伝説のスーパーヤサイ人的なノリで今日も更新します
まあ未来編がどう終わろうが僕はいいんですけどね、…やっぱりレギュラーキャラが死ぬのはキツイよ…。
それといまさらですが、あのおいちいさんマジでいい男だったんですね。流流歌の為なら死ねるとか…お菓子抜きで本気で惚れてたんですね。ここにきて急に殺すのが惜しくなるとは…どうしよか?生かそうかね?
…ところで日向のアレはまだ回収しないのかね?いい加減「どっち」なのかはっきりしてほしいぜよ。今度の絶望編でフラグが立つのかな?…代償として七海の安否が気になるけど…
「………え?」
眼前で吹っ飛んだロボットの残骸の上で、こまるたちの視線が集まる中モナカは我に返ったように呟く。
「嘘…モナカ、負けちゃったの?」
「…そうよ、アンタの負けよ」
「もうロボも味方のあの黒いクマも吹っ飛んじゃったわよ。アンタに味方はもう居ないわ」
「言っとくけど、またスタンドがあるとか思ってんじゃあないわよ?…今のアンタに『敵意』なんて持っちゃいないわ。もうアンタは『敵』にすら成りえないんだからね」
「や…やだ…!殺さないで、死にたくないよ…!」
「殺さないよッ!そんな終わりで…納得なんかしないもん!」
「…ただし、その『コントローラー』を渡さないとタダじゃ済まないわよッ!」
「だ、駄目だよ!これを渡したら、モナカの計画が終わっちゃう…モナカが『2代目』になれなくなっちゃう!」
「…悪いこと言わねーから、それだけはやめとくべ。江ノ島っちのマネしたって多分しんどいだけだべ。大体、あんなのは一人で充分だべよ」
「グダグダ言ってないでさっさと渡しなさいッ!じゃないとその尻腫れあがるまでぶっ叩くわよ!」
「…わ、分かった…」
モナカは半泣きでコントローラーを差し出した。
「…あり?なんか妙にあっさり…っつーか…」
「…言っても子供でしょ?そりゃ怖くて当然じゃないの?」
「けど…なんつーか…なあ、腐川っち?」
「…確かに、妙に素直ね。てっきり渡すぐらいならぶっ壊すぐらいすると思ったけど…」
「でも、どの道壊すんでしょ?だったら別にいいんじゃないかな?」
「そりゃそうだけど…」
「…まあ細かいことはひとまずいいべ!んじゃこまるっち、思いっきりやっちまうべ!」
「…これを壊せば、モノクマも、コドモ達の『洗脳』も解けるんだよね?」
「そうね…。これでひとまずこの街の騒動もカタが着くってワケね」
「これでやっと大手を振って歩けるわー。あー…しんどかった」
「花音っち、まだ気を抜いちゃ駄目だべよ!遠足は家に帰るまでだべ!」
「なに小学生みたいなこと言ってんだか…」
「……」
しかし、コントローラーを手にしたこまるはそれを見つめたまま一向に壊そうとしない。
「…どうしたのこまる?」
「…あ、あのね。…本当に、これを『壊していい』のかな…って」
「ハァ?…今更何言ってんのよ!早いとこここを終わらせて白夜様を迎えに行かなくちゃいけないんだからね!」
「…まあ確かに、苗木っちなら『本当にこれで終わりなのか?』…って言いそうな感じだけど、今回は…大丈夫なんじゃねえかな?」
「お兄ちゃんなら…」
(…そうだ。こんな時、お兄ちゃんならどうする?お兄ちゃんなら、この状況で何を考える?)
「……」
ただ茫然と事の推移を見つめるモナカ。
「…こまる?どうしたの?」
「こまるっち?」
「ちょっと…何黙ってんのよ?」
自分を見る腐川たち。
『さっさと壊せーッ!』
『壊せ!壊せ!壊せ!壊せ!』
モニター越しに『壊せ』コールをする大人達を見渡し、こまるはじっと考える。
(考えろ…考えろ…考えろ…考えろ…!)
「…駄目でーっすッ!!」
『ッ!?』
叫びながら部屋へと飛び込んで来たのは、逃げた筈の言子であった。
「あ、あんた…急にどうしたのよ?」
「そのコントローラーを壊しちゃ駄目です!お願いですから、待ってくださーい!」
「…言子ちゃん!モナカを助けに来てくれたんだね!」
「…黙れクソカスッ!テメーなんかどうでもいいんだよ!そのまま死ねッ!」
「…え?」
猫なで声で助けを求めたモナカにそう吐き捨てると、呆然とするモナカを捨て置き、言子はこまるに懇願する。
「お願いしますお姉さま!それを壊されたら、せっかくのモノクマキッズたちの洗脳まで解けちゃいます!モノクマちゃんはどうでもいいですけど、折角できた『お友達』がいなくなったら、言子はまた一人ぼっちになっちゃいますぅーッ!」
「…なにかと思えば、くっだらない…」
「もとはと言えばアンタらのせいでこうなったんだろうが…って、アンタよく見たら地下鉄でアタシら追い回したガキじゃんか!」
「え?…あ、あの時のお姉さんと『イガグリ頭』!?」
「イガグリじゃねーっつの!」
「…言子ちゃんの言うとおりだよ。お願い、それを壊さないで。…そしたら、今度こそオトナをぶっ殺しまくって『楽園』を創るからさ」
「…よ、余計な口を挟むな!皆を…仲間を殺した『裏切り者』の癖にッ!」
「裏切ってなんかないよ~!私は、皆の計画の『ついで』に私の計画を成功させようとしちゃっただけなんだよぉ~!…もう反省してるからさ、過去を水に流して一緒に頑張ろう?」
「…黙れッ!この…売女ッ!」
「…見るに堪えないわね。こんなのほっといて、さっさとやっちゃいなさい」
「……」
「…こまる?」
「待って…もう少し、もう少しなの…」
「もう少し…何がよ?」
「分かんないけど…もう少しで分かりそうなの。お兄ちゃんなら、何を考えるのかって…」
「苗木ならって…なに言ってんのよ?そうそうアイツの思考回路に追いつけるはずが無いでしょ?時間の無駄だからさっさとやっちゃいなさい…!」
「だ、駄目…待って…!私から、『希望』を奪わないでください…!」
「『希望』…」
「…そうだよ。苗木こまるさん、くれぐれも…『正しい選択』をしてね…」
(…そうだ、私だけじゃない。お兄ちゃんは自分だけじゃなく『相手の希望』を理解して行動しろって言ってた。響子お義姉ちゃんも不比等おじいちゃんも、『一つの視点に拘るな』って言ってた…。だとしたら、この子が私にコントローラーを渡すことで考えられるのは…)
「…あれー?どうして壊さないのお姉ちゃん?…この街の狂ったコドモ達を止めたいんじゃなかったの?」
「…あ、あれ?なんかこいつ…雰囲気違くない?」
「ちょ、ちょっと!なによその言い方!?まるで『壊せ』って言ってるみたいじゃないの!」
「…だって、ここってそういうシーンでしょ?モノクマも、モノクマキッズも、皆『終わって』ハッピーエンドって…そう言う感じでしょ?」
「そりゃそうだけど…なんでお前が仕切ってんだべ?」
「ねえ…苗木こまるさん。アナタはここに何をしに来たの?この街を悲劇から救う『ヒロイン』になりたくないの?…お兄さんみたいな、『希望』になりたかったんじゃあないの?」
「…それ、は…」
「そ、そんな奴の言葉聴かないでくださいッ!お姉さんは間違ってませんよ!」
「言子ちゃん…。もう諦めよう?一緒にコントローラーを壊されるのを見届けようよ?」
「…煩いッ、黙れッ!」
仲間割れを続けるモナカと言子を尻目に、こまるは未だにコントローラーを手に考えていた。
「……」
「…こまる。アンタが何を考えてるのかは知らないわ。けど、ここまで来た以上…もうアタシはアンタに全部ベッド(賭け)するわ。結果どうなろうと付き合ってあげるから、やりたいようにやりなさい」
「…ま、ここまで頑張ったのはアンタだし?好きにすれば?」
「俺はこまるっちの意見を尊重するべ」
「皆…」
(…お願い、私の中のお兄ちゃん…!教えて、何が正しいの?何が間違ってるの?…今ここには、何が『隠れているの』?)
『制御装置』…
『塔和グループロボット開発部門』…
『戦いを見ている大人達』…
『モナカのスタンド能力』…
『要救助民の皆』…
『モノクマリング』…
『モノクマキッズの仮面』…
『洗脳』…
『2代目江ノ島盾子』…
『正しい選択』…
『モノクマも、モノクマキッズも、皆終わって…』
パキャァァァン…!
「……」
「…こまる?」
「…つながった」
「え?」
「全部つながったんだよ!今ここにある『真実』が!…そして、やっと分かった!やっぱり、これを壊しちゃ『駄目』なんだよ!」
「はぁ?」
「ど、どういうことだべ?」
「…ふ~ん。なんでそうなったの?」
「…ずっと引っかかってたことがあるの。どうして君は、新月君に自分のスタンド能力を『かけた状態』で送り込んだのかなって」
「どうしてって…アイツを『洗脳』するためじゃないの?」
「洗脳できる『仮面』があるのに?」
「…それも、そうね」
「あんなことをしたら、自分のスタンド能力の『ヒント』を教えるようなものだもん。…それに、私と戦う時も早いうちから自分の能力を教えていた。まるで私たちを『試している』みたいに…」
「そりゃ…自分の能力に自信があったんじゃねーか?」
「そうかもしれない…。けど、そうじゃないかもしれない…」
「…何が言いたいのよ?」
「…もしかしたら、この子は初めから『倒されるつもり』だったんじゃあないかって…」
「…ハァ!?」
「倒されるって…コイツ最初から負けるつもりだったってことですか!?」
「勿論本気で私を殺そうとはしてたかもしれないけど…でも、それ以上に私が『勝てるように』したような…そんな気がするの」
「な、なんだってそんな…」
「…アンタ、どうなの?答えなさい!
「…えー?モナカなんのことか分かんないー?『証拠』でもあるのー?」
「…証拠は、『これ』だよ」
こまるが示したのは自分が手に持つコントローラー。
「それがどうしたのよ?」
「やっぱり、あっさり渡したのが気になるんけ?」
「それもだけど…これはモノクマとモノクマキッズの『制御装置』なんだよね?」
「そうだよー…それが何?」
「…あのモノクマの仮面が『洗脳装置』だって分かった時、なんだかどこかで同じもののことを聞いたことがあるような気がしたの」
「同じもの?……まさかッ!?」
「うん。…ホル・ホースさんが言ってた『肉の芽』ってもののこと…!ホル・ホースさんはその肉の芽にあの『モノクマリング』と同じような制約があるって言ってた。…だったら、もしあの仮面にも同じようなものがあったら…?」
「モノクマリングって…これ?これが何よ?」
「…それ、『爆弾』が内蔵されてんのよ…」
「ば、爆弾ッ!?……ッ!」
「爆弾…!?」
「…爆弾ッ!?」
そのワードが出た瞬間、こまるとモナカを除いた全員の顔が凍りつく。
「…もし、モノクマリングとモノクマの仮面が同じようなものだとしたら。あの仮面にも、リングと同じように『爆弾』があるのだとしたら…!これを壊したら…それが全部『爆発』しちゃうんじゃないの?…それが、君の『本当の狙い』なんじゃないの!?」
「……」
こまるの追及を受けたモナカはしばしポカンとした後…
「…なんで分かったの?」
「「「「ッ!!」」」」
どこか生気の抜けたような虚ろな目を向けそう答えた。
「やっぱり…!そうだったんだね…」
「こ、こまる…!?アンタどうして分かったのよ?」
「…さっきこの子が言ってた、『終わって』…って言い方が気になったんだ。普通だったら『止めて』の方がしっくりくるのに、どうして『終わる』なんて言い方なのかなって…」
「…終わるって、ガキ共が爆発して死ぬって意味だったってワケ!?」
「…そういえば、前にこいつとクロクマがそんな話をしていました!モノクマキッズの仮面は『モノクマの動力』と連動していて、モノクマが止まると仮面も爆発しちゃうって…!」
「ハァ!?なんでそんな大事な事忘れてたのよ!?」
「あの時はただの冗談だと思ってたんです!…けど、今のこいつならやりかねない…!そんなことをしたら、オトナはどうでもいいですけどコドモ達の首なし死体で街が溢れかえっちゃいます!」
「いや、大人だって死んだら駄目だべ」
「…でも、これでハッキリしたよ。この子の『本当の計画』…それは、私たちが街を救った…と『思い込ませて』、このコントローラーを壊すことで子供たちを皆殺しにして、私たちを絶望させる…。そして、それを成功させた自分が『2代目江ノ島盾子』になる…それがこの子の計画だったんだ!」
「……」
ギィィ…
「…成程な。そういうことだったってことかよ…」
「…え?」
扉を開けて入って来たのは、灰慈であった。
「は、灰慈さん!」
「あ!やっと来てくれたー!もう、遅いよ『お兄ちゃん』―!」
「お兄ちゃ…やっぱアンタ達マジで兄妹だったの!?」
「……」
灰慈は広間に入るなりこまる達を無視してズカズカとモナカの前に歩み寄る。
「……」
「ねえお兄ちゃん、モナカを助けてくれるよね?オトナもコドモも、寄ってたかってモナカの事を苛めるんだ。…モナカの言うとおりにしたら、お兄ちゃんの腕をそんなんにしちゃったコドモが皆死んじゃうんだよ?それって…すっごく『イイ事』だよね?だったら…モナカのお願い、聞いてくれるよね?」
「……」
「あ、あんたまさか…?」
「…っくっくっく、アッハッハッハッハッ!!」
「…は、灰慈さ…」
「…ザケたことぬかしてんじゃねーッ!!このクソガキがッ!」
「…え?」
「テメエを『家族』だなんて思ったことは一度もねー…。親父の子だから置いといただけで、テメーは昔から『疫病神』なんだよッ!だれがテメーなんか助けるかッ!そのままクソみてーに野垂れ死ねッ!!」
「そ、そんな…」
「…だが、テメーの『計画』とやら自体は悪くはねーみてえだな」
「へ?」
灰慈はこまるへと向き直るとその手に持ったコントローラーを指差す。
「…何やってんだ?さっさとそいつをぶっ壊せよッ!」
「こ、壊すって…」
「アンタ話聞いてたのッ!?それを壊したらどうなるのか…」
「…聞いてたさ。モノクマだけじゃねえ、あの忌々しいガキ共も全部おっ死ぬんだろ?…だったら、『願ったりかなったり』じゃねえか」
「え…?」
「俺達は…最初からあのガキ共を許すつもりなんてねー…!奴らはそれだけのことをやった…もう『やった』んだよッ!だからッ!俺達ももう容赦はしねーッ!…お前が俺達に与えてくれた『希望』のおかげで、俺達はやっとここまで来れた…!あとは、お前の手でそれを『終わらせて』くれれば、それで決着が着くんだよッ!」
「で、でも…そんなこと…」
「アンタ…マジで言ってんの?復讐でどうにかなってんじゃあないの?」
「安心しろ、俺は至って真面目だぜ…。心配すんな、テメーに全部おっ被させたりはしねーよ。この街の全員が、お前の『味方』だ。誰もお前を非難したりなんかしねーよ…」
「……でも」
「…それでもまだやりきれねーってんなら、俺が手伝ってやるよ…」
「え?」
灰慈はモナカに向き合うと髪を引っ掴んで無理やり顔を上げさせる。
「痛ッ…!」
「おい、折角だ。テメーの計画が分かったのなら、洗いざらい全部吐いちまいな…。テメーな何を考えて『2代目江ノ島盾子』なんてもんを目指したのか、全てをなッ!…そうすりゃ、お前も少しは踏ん切りがつきやすくなるだろ」
「わ…分かったよ…」
灰慈から解放されると、モナカはゆっくりと話し出す。
「…最初のきっかけは、モナカが『ふざけて』希望の戦士の皆と自殺しようとした時に…」
「ちょ…ちょっと待ってください!ふざけてって…」
「ああ、モナカは死ぬ気なんかなかったよ。…皆は本気だったみたいだけどね」
「……」
「…で、そんな時にジュンコお姉ちゃんと出会ったの。あの時は本当に感動したなー!ジュンコお姉ちゃんは、私に『新しい光』を見せてくれるヒーローだったんだから!…けど、すぐにそれは『偶然』じゃなくて『必然』だったって気づいたんだ。だって、ジュンコお姉ちゃんは最初からモナカを『利用』する為に待ってたんだから」
「利用…?」
「うん。その時モナカは既に塔和グループの『ロボット開発部門の開発主任』だったから、ジュンコお姉ちゃんはそれが目当てで私と接触したんだよ。…あ、ごめんねお兄ちゃん。あの時は肩身が狭かったでしょ?歳の離れた妹ばっかり活躍してさ。言子ちゃんもショックだよね?ジュンコお姉ちゃんの目当ては私だけで、他の皆は『おまけ』だったんだから」
「…ッ!」
「お、まけ…?…で、出鱈目を言うなッ!ジュンコお姉ちゃんは、私たちをどっぷり愛して…」
「…愛?何言ってんの?…親にも『子供扱い』されなかった言子ちゃん達が愛されるわけが無いじゃん」
「…ッ!?」
冷たく言い放った言葉に言子は唖然とするが、脱線しかけた話を灰慈が押し戻す。
「…いいから、さっさと続けろッ!」
「わ、わかったよ…。ジュンコお姉ちゃんは、元々モノクマちゃんを増産できる技術を持った『後ろ盾』を探してたんだ。もちろん、『人類史上最大最悪の絶望的事件』に投入するためにね。モナカはお姉ちゃんの期待に応えるため、モノクマちゃんの大量生産を頑張ったんだ。塔和グループのロボット開発部門の全精力を注ぎこんでね…」
「学園のモノクマまで全部ここで作ってたんけ!?道理であんだけある筈だべ…」
「…他の塔和の連中はなにしてたのよ?止めようとか思わなかったの?」
「パパとお兄ちゃんには『嘘』ついちゃった。被災地や日常生活のお手伝いをする次世代型ロボットって言ってね」
「…んなもんに騙されてたっての…?」
「…と言うより『見て見ぬふり』だったんだよ。そいつは家族の中では腫物扱いだったが頭脳と行動力は天才的だった。稼いでくれるうちは放っておけっていう方針だったんだが…それを利用されてこのザマだ。俺もマヌケだったっつーのは否定しねーがな」
信じられないと言った目の腐川に、灰慈は弱弱しくそう言い訳する他なかった。
「ジュンコお姉ちゃんはとっても喜んでくれたよー!モノクマちゃんのおかげで『あの事件』にも増々拍車がかかって、どんどん規模が大きくなって…」
「…そこで、事態に気づいた親父をお前が脅したんだよな」
「脅した?」
「今更モノクマの製造を止めても遅い。そんなことをすれば塔和グループがモノクマの開発に関わったことがバレて塔和は終わりだ…ってな。そして、むしろモノクマに対抗できる『武器』を創るべきだって言いだしやがった…」
「…マッチポンプもいいところじゃない…!モノクマが増えるだけ、塔和が潤う…反吐がでる経営手腕ね」
「…オトナらしい汚い手口です」
皆の白い眼に流石の灰慈もきまりが悪そうに冷や汗を流す。
「し、しかたねーだろ…。そうでもしなきゃ、塔和は絶望と世界の両方の敵になって破滅だったんだからよ…」
「そういう訳で、塔和グループは『あの事件』との『共存』を選んだのでした!汚染された大気に有効な『空気清浄器』を作れたのも、汚染物質を創ったのが塔和だから。塔和シティーが絶望の影響を受けなかったのも、塔和グループが絶望の『スポンサー』をしていたからなんだよー!」
「そ、それ…!苗木っちたちの『予想』が大当たりじゃねーかッ!」
「やっぱり白夜様が正しかったのね…!あのクソボクサーと副会長、憶えときなさいよ…!」
腐川の脳裏に、苗木の代理として十神と霧切が上奏した意見を一蹴した二人の幹部の顔が浮かび、思わず悪態を吐いてしまう。
「な…ッ!?未来機関にはもうばれてたってのか!?」
「…アタシ達にはね。最も、上層部には相手にもされなかったけど…」
「だから…灰慈さんは未来機関を敬遠してたんだね」
「…例え腐っていても、塔和グループは俺の帰る場所なんだよ…!」
「…でも、全部モナカが悪いって訳じゃないよ?結局はパパもお金と名誉に目がくらんでノリノリだったし。そうやって全てがうまくいって、このまま私たちの理想の世界が来ると…そう、思っていた、その矢先に…」
と、モナカはこまるの方を向き
「…ジュンコお姉ちゃんは死んだんだ…!苗木誠の…あのクソカスのせいでッ!!」
「…ッ!?」
憎しみに満ちた目でそう叫んだ。
「アイツさえ…アイツさえ居なければッ!モナカたちは幸せだったんだ!ジュンコお姉ちゃんも、私だけを見ていてくれたんだッ!私と話をしていても、出てくる名前は苗木苗木苗木…ジュンコお姉ちゃんの心にアイツが居たから、私はジュンコお姉ちゃんの『1番』になれなかったんだ!あんな奴…、『あの時』に、おとなしく『死んでいれば』よかったんだッ!!」
「ちょ、ちょっと待って!死んでいればって…あの時って、どういうこと!?」
「…ああ、苗木こまるさんは『アレ』を見てないから知らないんだっけ?」
「え…?」
「…苗木誠は、一度『死んでる』んだよ」
「………え?」
モナカのその一言に、こまるの表情が凍りつく。
「死んだ…?お兄ちゃんが…?」
「お兄ちゃんも見てたよね?あの『超高校級の希望』同士の『コロシアイ』♡」
「…ああ、そんなもんもあったな。つーことは、あの『頭ぶち抜かれた方』がこいつの兄貴だったって訳か」
「殺し合い…?なんの、こと?…ねえ、腐川さん。冗談だよね…?そんなの…」
「…悪いけど、事実よ。苗木は『あの事件』の最中に起きたあの戦い…『カムクライズル』っていう希望ヶ峰学園が創った『超高校級の希望』との闘いで…一度『死んだ』わ」
「ッ!?う、そ…」
「…思い出したくもねえ、思い出したくねえけど…あんなの忘れられねえべよ。舞園っちや朝日奈っちどころか…戦刃っちやあの霧切っちまで取り縋ってわんわん泣いてたんだからな…」
「なにしろ『全世界生中継』だったからねー!ジュンコお姉ちゃんらしい最高のエンターテイメントだったよ!…見せてあげたいのは山々なんだけどねー、尺の都合上カットでーす!」
「お兄ちゃんが…死んだ?じゃあ、お兄ちゃんは…もう…」
「…ああ、安心しなさい。ちゃんと『生き返った』から」
「…へ?」
放心しかけたこまるを腐川の一言が呼び戻す。
「詳しい説明は省くけど…その後色々あって生き返ったのよ。だから苗木はちゃんと生きてるわ。安心しなさい…」
「…ほ、ホントに?本当にお兄ちゃんは無事なの?」
「だ、だから大丈夫だって…あいつがそう簡単にくたばるワケないでしょ?」
「そう…だよね!良かった…」
「…全然良くないよ…。ま、今更どうでもいいけどね。けど、ジュンコお姉ちゃんが死んじゃってから、事態はどんどん悪くなっていったんだ。絶望の残党たちの士気の低下、未来機関とパッショーネによる治安の回復…モナカもなんとかしようと思ってたんだけど、流石に一人でどうこうできるものじゃなかったんだ。…そしたら、パパが急に『潮時だ』って言って手を退こうとしたんだよ。大人の得意な掌返しでね」
「…お前は、それが許せなくてこんなことをした…」
「私たちには…そう言いましたよね」
「正直なところ、希望の戦士の皆には『感謝』してるんだよー!オトナはジュンコお姉ちゃんを殺した『魔物』だって言ったら、バッサバッサとオトナを殺してくれたんだもん!…ホント、コドモってオトナに比べて単純だよね」
「…ッ!」
馬鹿にしたような物言いに、言子ははち切れそうになる怒りをなんとか堪える。
「けどね、モナカにとって一番大事だったのは『楽園』でも『復讐』でもなくて、ジュンコお姉ちゃんの『遺志』を継ぐことだったんだよ。ジュンコお姉ちゃんが遺した『絶望』を、絶やさない為にね…」
「それで…『2代目』なんてものを名乗ろうとしたってワケ?」
「…なあ、俺にはよくわかんねーんだけどよ。なんでそれでガキンチョどもを皆殺しにしようだなんて思ったんだべ?確かにとんでもねーことだとは思うけどよ、江ノ島っちの『2代目』なんてものになるにしては…なんつーか、言っちゃ悪いけど『地味』っつーか…、それだとただの『サイコパス』だべ?」
「…勿論、それで終わりなんかじゃないよ。それはあくまで『きっかけ』に過ぎないんだよ。ジュンコお姉ちゃんの跡を継ぐためには、もっともっと凄いことをしないと駄目だもんね!」
「凄いこと…?」
「…『戦争』だよ」
『ッ!?』
戦争。その言葉に広間に居た皆だけでなく、モニター越しにこの様子を見ていた大人達も息を吞む。
「戦争を起こすんだよー!だって、おっきな戦争が起これば、世界中に『絶望』を広げることができるでしょ?…お姉ちゃんの跡を継ごうとするなら、一人で戦争ぐらい起こせないとね…!」
「戦争だと…?んなもん誰がやるってんだよ…」
「……ッ!!ま、まさか…ッ!」
「ふ、腐川っち?」
「…ようやく分かったわ。アンタの真の目的がね!アンタ、『塔和シティ』と『未来機関』で戦争をさせようとしてるんでしょッ!!」
「…なんだって?俺達が、未来機関と『戦争』を…?」
「よく考えてみなさい…!もしそのコントローラーを壊して、あのガキ共が全部吹っ飛んで、それを未来機関が知ったら…誰を疑うと思ってんの?」
「そんなもん…こいつのせいじゃねーか」
「確かにそれを創ったのはこいつよ…けど、それを『実行』したのは誰だって言ってんのよ?…まず間違いなく、真っ先に疑われるのは『塔和シティーの大人』よ」
「なッ…!?な、なんでだよ?」
「さっき自分で言ってたでしょ…!こいつらには許せないほどの事をされたって。『動機』は十分すぎるほどあるじゃないの。それに、塔和グループがモノクマの製造に関わっていたなんて事実を知られてみなさい…。そうなったら、未来機関…特にあの副会長みたいな『過激派』の連中はアンタ達のことを『絶望の残党』とみなして目の色変えて制圧にかかるでしょうね。…そうやって、この街を『戦場』にするのがアンタの目的なんじゃないの!?」
腐川の問いに、モナカは動揺した様子もなく淡々と返答する。
「…それは違うよ」
「…え?」
「だって、そんなもんじゃ終わらないもん」
「そんなもん…ですって?」
「塔和シティの大人を『絶望の残党』と思うのは、未来機関だけじゃないよ。…今も各地に散らばってる『絶望の残党』たちも、この街のオトナを『仲間』と思って集まってくるはずだよ。そうなれば…戦争の戦火はどんどん大きくなる…この世界を覆い尽くすほどにね。そこまで行ったら…もう『2代目江ノ島盾子』を名乗るには十分じゃないかな?」
「そ、そんな…」
「ちょ、ちょっと待てよ…。流石にそりゃねえだろ?それに…ほら、いざとなったらお前らが未来機関を説得すりゃあ…」
「…それは望み薄ね」
「は?」
灰慈の縋る様な問いに葉隠は目を逸らし、腐川は吐き捨てるようにそう言う。
「さっきも言ったでしょ?未来機関には『過激派』のグループがあるって…。そいつらの基本方針は『絶望の残党の抹殺』…もしそいつらがこのことを知ったら、『穏健派』に情報が回る前に塔和シティーに制圧のための人員が送られるわ…!」
「なんだと…!?」
「それにー、そもそも街中に子供の『首なし死体』が転がってる時点でアウトだよね?…多分『人質』だって無視して制圧にかかるんじゃあないかな…?」
「なッ…!?そんなこと…けど、あの副会長ならあり得なくも…」
「人質って…十神っちのことけ!?そりゃまずいべよ!」
「『子供のいる大人』だけを殺したのもその為ね…!こいつらに、復讐のための『タガ』を外す為に『親』だけを皆殺しにしたってこと…!?」
「な…ッ!?じ、じゃあ俺らはこいつらに敢えて『生かされた』ってのか?戦争を起こさせるために…」
「…『親子の絆』を利用されたのは、アンタ達の方だったみたいね」
「…この、悪魔…ッ!」
流石の言子も、もはや怒りを越え恐怖の表情を浮かべてモナカを罵倒する。
「うぷぷぷぷ……でもね」
と、そこでモナカは区切りを入れる。
「モナカの『本当の目的』はね、まだその『先』にあるんだよ」
「先…だと?」
「ま、まだ何があるって言うんですか!?」
「…未来機関と絶望の抗争がまた大きくなれば、それを黙って見ていられない『連中』が出てくる…。モナカはそれを待っているんだよ」
「連中?」
「…まさか…『パッショーネ』ッ!?」
「え!?」
「…パッショーネ?んだそりゃ?」
「…未来機関と同等の力を持った、『絶望の残党』と戦うギャング組織よ。そして…こまるの兄、『苗木誠』が率いる組織でもあるわ…!」
「じ、じゃあ!こいつの目的って…!?」
「…そう!私にとって、塔和シティも、未来機関も、ぜーんぶ『前座』~!私の目的は最初から『パッショーネ』…ううん、お姉ちゃんたち『希望ヶ峰学園の生き残り』…いいや……」
「……ッ!ジュンコお姉ちゃんを殺した、苗木誠『ただ一人』だけだッ!!アイツが『絶望』することこそが、私の『真の目的』…この街も、この街のオトナもコドモも、その為の『生贄』なんだよッ!!」
苗木とカムクラの戦いに関してはゼロ編まで待っててね!…いつになるか分からんけど!