…という記念で我慢できずに交錯編も頭だけ見せちゃいます。これ絶女やってない人にとっては少しネタバレになるかもしれないけど、我慢できなかったんです!許してください、なんでもしますから!
それと、この話は僕が未来編観てて支部長連中に「なんやこいつらムカつくなあ(畜生感)」と思いながら描いたものなので、若干の「俺tueeee!」要素がありますのでご了承ください。
交錯編:舞い戻る希望
バババババババ…!
…そいつの第一印象は、正直はっきり覚えていない。むしろはっきり覚えているのは『第二印象』のほうだ。
忘れもしない、我々…『未来機関』の活動がようやく軌道に乗り、『絶望の残党』どもの暴動に対し制圧行動に乗り出そうとした、そんな時期であった。
海上を飛行するヘリコプターに揺られながら、未来機関第二支部支部長にして未来機関副会長、『元超高校級の生徒会長』宗方京助は物思いにふけっていた。
最初にそいつの顔を見たのは、彼らがあの『希望ヶ峰学園』を脱出し、当時仮本部となっていた杜王町支部へとやって来た時であった。そいつの事自体は、私の後任で希望ヶ峰学園の生徒会長を務めていた村雨より聞いたことがあった。実際に見てみると、成程利発そうな奴だとは思ったが、それだけであった。我々未来機関の上層部に噛みつく度胸は認めるが、とてもあの江ノ島盾子が恐れるような男だとは思えなかった。
…そいつへの認識が改まったのは、つい先日の事だ。絶望の残党が組織だって暴動を起こしていると聞き、天願会長を筆頭に我々支部長クラスの人間で短期制圧を図ろうとした。
暴動の中心は、『眼帯をした小柄な青年』であった。まるで『ヤクザ』のような雰囲気を醸し出していた彼はそばに居た『日本刀を持った銀髪の女性』、そして背後に居た『大柄な男』と『筋肉質で野性的な女性』と共に我々に抵抗の意志を示した。我々も闘いの経験のある面々が前に出て、一触触発の雰囲気になりかけた…
…その時であった。
「…楽しそうですね、僕も混ぜてもらいましょうか」
『ッ!?』
突然聞こえたその声とともに、上空から『何か』が落下してきた。ちょうど我々の中間に落下したそれは、土煙一つあげることなくその場に降り立つと、我々の方へと顔を向けた。
「君は…!?」
「どうも、ご無沙汰してます。天願会長。それに未来機関の皆さんも、……そして」
そいつは今度は絶望の残党へと向きなおると、驚く彼らに対し笑みを浮かべながらこう言い放った。
「…お久しぶりです。九頭竜さん、辺古山さん、弐大さん、終里さん」
「苗…木…ッ!」
「お主、なぜここに…!?」
「ちょっと事情がありまして、つい先日日本に戻って来たんです」
「…成程、どうやら俺らはタイミングが悪かったみてーだな」
「そういうことです、『先輩』」
「…お前は、まだ私たちの事を『先輩』と呼ぶのだな」
「当たり前ですよ。…あなた達がどう変わろうが、皆さんが僕の『先輩』であるということに変わりはありませんから」
そいつの登場に初めて動揺を見せた彼等と、まるで旧友と接するかのように話すそいつを我々は見ているしかできなかった。…正直、我々もあの時は混乱していたのだ。
「…さて、未来機関の皆さん。彼らの相手は僕に任せて貰えないでしょうか?」
「…ああん!?テメエ急に出てきて何言ってやがる…」
「お前一人で何ができる…」
「勿論、彼らと『交渉』…と言いたいところですが多分無理でしょうから、『制圧』します」
「はぁ?一人でできる訳が…」
「まあ見ててください。…さて、できれば抵抗しないでもらえませんか。既にソニアさんと小泉さん、それと花村さんと狛枝さんに…『今は』十神さんと田中さんは保護しています。僕もできれば、皆さんに手荒な真似はしたくない…」
「…フン、随分上から目線じゃあねえか。いつそんなに偉くなったんだ?」
「こう見えて今じゃ結構偉いんですよ。……『日向君』も待っています」
「「「「ッ!!」」」」
「皆さんの気持ちは分かっているつもりです。…ですが、僕はそれが正しいとは思えない。どうか、もう一度だけ…彼と向き合ってくれませんか?」
「…そういう訳にはッ…、行かねえんだよッ!」
「お主と事を構えるのだけは避けたかったが…、ワシらとてそれだけは断じて断るッ!」
「終里さん、弐大さん…」
「…もう、遅ぇんだよ。俺たちは、遅すぎたんだ。もう、アイツの顔を見ることなんて、俺達にはできねえよ…」
「…『臆病者』と蔑まれても構わん。だが…ッ!私たちには、もう耐えられないのだ…!『あの悲劇』を止めることも、アイツの気持ちを汲んでやることすらもできなかった私たちに…もうアイツと会う資格などないのだッ!」
「九頭竜さん、辺古山さん…」
一様に拒絶の意志を示す彼らを見回し、そいつはこう言った。
「…『安心』しました」
「…は?」
「…何が『安心』なんだコラ?」
「皆さんも、日向君のことをまだ『想っていてくれた』ことにですよ」
「!」
「まだ皆さんの中に日向君がいる…。それだけ分かれば十分です。なら、まだ『希望』はある…!」
笑いながらそう言うとそいつは身構える。
「悪いですけど引き摺ってでも連れて行かせて貰います…!皆さんにはやってもらうことが山ほどありますから…!」
「…ッ撃てッ!」
青年の指示を受け、後方に控えていた残党共が手にしたマシンガンを我々に向ける。しかし、我々が回避しようとしたその瞬間
ドォンドォンドォンッ!
『…グアアアアアアッ!!?』
銅鑼のような銃声が先だって放たれ、残党共の手がマシンガンごと『吹っ飛んだ』。そしてその音の正体は、何時の間に持っていたのかそいつの手に握られていた。
「な…なんだそりゃ…!?」
「…ドイツの軍部を中心とした技術者たちに作ってもらった『僕専用の銃』です。全長34センチ、重量は14キロ、弾は11ミリ徹甲榴弾。人間の力じゃトリガーを引いた瞬間手の骨が砕ける代物ですけど、…『今の僕』にはちょうどいい…」
(…実は前に山田君から借りたマンガで吸血鬼のキャラが使ってた銃を再現しただけなんだけどね)
硝煙の立ち昇る大きな拳銃を手に、そいつは彼等へ向き直る。それが…
「…僕はもう、あの頃みたいに甘くは無いですよ」
「苗木…ッ!!」
『超高校級の希望』にしてギャング組織『パッショーネ』のボスを務める男、苗木誠との二度目の邂逅であった。
…太平洋に浮かぶ人工島。あらゆる地図にもその場所が記録されていないその島には、たった一つの巨大な建造物だけが存在している。それこそが、『未来機関本部』。その存在は未来機関の各『支部長クラス』にしか知らされておらず、一般機関員はおろかパッショーネですらもその存在を知る者は一握りである。
その会議室に、未来機関の上層部メンバーは集められていた。
「…これだけの面子が揃うのは久しぶりじゃな」
薄暗い会議室に集まった面々を見渡しながらそう言うのは、未来機関現会長にして『元希望ヶ峰学園学園長』の天願和夫である。
「会長、今回の召集の件はやはり…」
「うむ、君も聞いているだろう。パッショーネの苗木誠君から我々に『交渉』の申し出があった」
そう訊ねた牛の覆面を被った大男は、未来機関第一二支部支部長で『元超高校級のレスラー』であるグレート・ゴズだ。
「苗木君に会うのも久しぶりだなあ!また新しい作物の再生をお願いできるかな?」
「大丈夫なんじゃない?アイツ…そういうことは断らないらしいし。アタシもそろそろ薬草でも貰おうかな…」
その体格と顔に見合わず可愛らしい声を発するのは十一支部支部長で『元超高級の農家』の万代大作、気怠そうなマスクをした女性は第四支部支部長で『元超高校級の薬剤師』の忌村静子だ。
「呑気なもんだな…!あんなバケモンをこの本部に入れることがどれだけ危険か分かってんのか!?俺は今でも反対だぞ!」
「それ賛成~。別にここでなくてもいいじゃん、ていうかアタシ居なくてもいいじゃん、ね?はい、あーん」
「あーん…おいちい。…確かに、ここの場所を教えてやる必要性はない」
口々にそう言うのは第六支部支部長で『元超高校級のボクサー』逆蔵十三、第八支部支部長で『元超高校級のお菓子職人』の安藤流流歌、その膝枕で与えられたお菓子を食べているのは第九支部支部長で『元超高校級の鍛冶屋』の十六夜惣之助だ。
「その心配は杞憂だと思うぜ。…奴の事だ、ここの存在ぐらいとっくに知っててもおかしくねえ」
「確かに…彼は昔から抜け目が無かったからねー」
「……」
そう苗木を評するのは第三支部支部長で『元希望ヶ峰学園スカウト担当』だった黄桜公一と、第五支部支部長にして『元超高校級の家政婦』の雪染ちさ、終始無言を貫くのは第七支部支部長で『元超高校級のセラピスト』の月光ヶ原美彩である。
「まあそう邪険に扱うこともなかろう。…この半年でイタリアはおろかイギリス、フランス、ドイツ、そして軍事大国のノヴォセリック王国すらも絶望の残党から解放したほどの男だ。こんな小さな島一つにこだわる様な事はせんだろう」
「流石は『最強のスタンド使い』にして『吸血鬼』ってとこか…。まったく惚れ惚れする実績だね」
「…伝説みたく弱点が分かってんなら手の打ちようもあるんだがな…」
「SPW財団や十四支部支部長の霧切響子の報告が確かなら、奴にはニンニクも十字架も聖水も銀も心臓に杭を撃ちこんでも効かない…。最大の弱点の筈の日光すらも克服している…」
「アタマを吹っ飛ばせば死ぬらしーけど、スタンド能力ってやつのせいで攻撃が通らないんでしょ?どうしようもないじゃん…」
「…おい、話が物騒な方向に進んでいるぞ」
「アイツと戦うとか冗談キツイって…。アンタらもアイツの戦い見てたんでしょ?アタシらじゃどうやったって無理無理…」
「『寝ている猛牛角を折るな』だね!」
「なにそれ…?」
「…まあ、大丈夫なんじゃないかな?彼も私たちを信用してくれているから、霧切さんや舞園さん、朝日奈さん達自分の『奥さん』を預けてくれているんだし…」
ガチャン…!
「…はたしてそうかな?」
『!』
雪染の言葉を否定するように、扉を開けて宗方が会議室へと入ってくる。
「…遅れて申し訳ない」
「なあに、まだ主賓が来ておらん。それより…」
「…副会長、今の言葉はどういう意味ですか?」
「言葉通りだ。彼が身内を未来機関に残したからといって、それが我々に対する『信用』とは断言できない」
「どういうことかしら…?」
「まず、彼が彼女たちを未来機関に残したのは十中八九、こちらの内情を探るためだろう」
「『スパイ』ってことか。…だが、そいつは奴らを一つの支部に集めさせることである程度防げるんじゃねえか?今みたいによ」
「問題はそこではない。それにスパイなら我々も何度もパッショーネに対して諜報員を送っている。…ご丁寧に歓待まで受けてな。そこを言った所でどうにもならん。…問題は苗木誠が『最終的に』彼女たちをどうするかと言う事だ」
「最終的に?」
「考えられる選択肢は二つ、一つは『このまま切り捨てる』。もし苗木誠と彼女たちとの関係が上辺だけのものであれば、この選択も十分あり得る」
「…流石にそれは無いんじゃあないかな?学生時代からあんなにあの子たちの事を大事にしていた苗木君が、今更そんな…」
「そうは言いきれん。奴の父親は、かつて世界を征服しようなどと企てていた邪悪な吸血鬼『DIO』だ。奴の心にも、その邪悪が存在しない保証などありはしない」
「そんなことないよ!あんなに『命』を愛おしむことができる苗木君がお嫁さんたちを見捨てるなんて…!」
「…まあ、これはまだ『いい方』だ。問題なのはもう一つの可能性…『敵対する前に彼女たちを連れ戻す』という方だ」
「…?別に普通じゃん」
「言葉はありきたりだが、そう簡単な話ではない。霧切響子は今や未来機関の支部長の一人、それに舞園さやか、朝日奈葵、そして十神白夜や葉隠康比呂、現在塔和シティに残っている腐川冬子もまた、未来機関の『最高戦力』の一人だ。そんな彼らを、まとめて引き抜ける自信があるとするなら…それはつまり、彼は我々の事を『障害』とすら思っていないということだ」
「…つまり、嘗められてるってことか?」
「ま…向こうとウチの戦力差を考えればなくもないわな」
「…だが、面白い話ではないな…」
「……」
コンコン
『!』
扉をノックする音に、その場の全員に緊張感が走る。
「…来たか、入ってくれ」
「失礼します」
扉が開き会議室へと入って来たのは、一人の青年と4人の女性。
「遅れて申し訳…なんか暗いですね」
青年は部屋を見渡しそう言うと、指をパチンと鳴らす。
ポォォ…!
「!?」
それと同時に部屋の天井に光が出現し、薄暗かった部屋が少し明るくなる。それと同時に、入って来た青年たちの顔もハッキリとする。
「もう少し楽に行きましょう。…それほど辛気臭い話でもないんですから」
青年の後ろに控えているのは、十四支部支部長にして『元超高校級の探偵』、そして目の前の青年の『妻』である霧切響子と、同じく十四支部所属で彼の妻である舞園さやか、朝日奈葵、そして彼と共にパッショーネから出向してきた戦刃むくろ。
そして今支部長たちに話しかけている青年こそ、パッショーネのボスである『ジョジョ』のあだ名を持ち、『最強のスタンド使い』、『黄金の吸血鬼』、『完全生命体』、『元超高校級の幸運』、『超高校級の希望』などいくつも異名を持つ、かつて江ノ島盾子に完全なる勝利を収め『絶望の暴徒』を『絶望の残党』へと陥れた張本人。
「では改めて…お待たせしてすみませんでした」
「…待っておったよ、苗木誠君」
『ジョルノ・ジョースター』こと苗木誠、その人であった。
「今回は僕の要請を受け入れてくれて、ありがとうございます」
「礼を言われるようなことはしておらんよ。我々は目的を同じとする『同志』じゃからな」
苗木は天願や見知った顔ぶれと言葉を交わす。
「やあ苗木君、君とまた会えてうれしいよ!」
「お久しぶりです万代さん、…僕が置いて行った種苗の生育具合はどうですか?」
「もうばっちり!それで、できればまた新しい野菜の苗が欲しいんだけど…」
「…分かりました。後ほどお渡ししますよ」
「オッス苗木、今回は妹さん大変だったみたいだね…」
「忌村さん。…ええ、こまるには辛い思いをさせました。けど、もう大丈夫みたいですので」
「よう苗木さん、こんなところまで呼び出して悪かったな」
「黄桜さん…。その『さん』付けなんとかなりませんか?なんかこそばゆくて…」
「悪いな、俺は長いモノには巻かれる性質なんでな」
「アハハ…」
「…おい、いつまで無駄口叩いてんだ!とっとと本題に入れ!」
「…そうですね。じゃあ始めさせてもらいます」
逆蔵に一喝され、苗木は表情を改め本題へと入る。
「今回、僕が皆さんに交渉したい内容は一つです。…未来機関が既に確保しているという絶望の残党のうち、『罪木蜜柑』、『西園寺日寄子』、『澪田唯吹』、『左右田和一』…彼らの身柄を我々パッショーネに預けて頂きたい」
『!?』
苗木の口にした要求に支部長たちは目を見開く。
「無論タダではありません。…帰国する際に一緒に持参したこちらの物資と銃火器、そしてアメリカ、中国の絶望の残党からの解放に全面協力することを確約させて貰います」
「絶望の残党を引き渡せというのか…!?」
「そんなことしてなにするつもりなのさ!?」
「…彼らにはまだ『希望』に戻れる可能性があります。その可能性が億分の一でも残っているのなら、僕は彼らを救いたい。それだけです」
「…苗木君」
「…キミの要求を断ればどうなる?」
「どうもしません。…ただ、また何度でも交渉させて貰いますけどね」
宗方の問いになんでもないようにそう答えると、逆蔵が立ち上がって苗木に詰め寄る。
「…あんな奴らに救う価値なんざねえ。たまたまうまくいくこともあるらしいが、いい気になってヒーロー気取りか…?」
「それは僕が決めることだ。貴方の意見が全てじゃあない。…それに、言い方は悪いですが未来機関にいてもいずれ殺されてしまうんでしょう?それなら利のある取引をしましょうじゃあないですか」
「奴らがまた暴れ出したらどうするつもりだ!?」
「そうさせない為に僕がいます。僕がいる限り、もう彼らに破壊活動をさせるつもりは毛頭ありません」
逆蔵と舌戦を繰り広げる苗木に、天願が語りかける。
「…一つ聞いてもいいかね?君は彼等に特にこだわっているようだが、それは希望ヶ峰学園で交流があったが故の『同情』か?」
「…いええ、違います。僕が彼等を助けたいのは、彼らの力が『必要』だからです。この世界に…いや、こんな世界だからこそ、彼等の存在が必要なのです!」
「必要だと…?あれほどの『絶望』に染まった彼らがか?」
「だからこそです!…江ノ島さんが残した『絶望の残滓』によって暴徒と化した人たちとは違う…。本当の『絶望』に触れ、心まで折れてしまった彼等だからこそ、『絶望』の本当の『意味』を知っている…!僕等が『絶望』を受け入れ、先に進む為には彼らが必要なんです!」
「絶望を受け入れる…だとッ!?」
「その思想は危険すぎる!絶望は我々にとって害悪でしかないのだぞ!」
「絶望を否定してはいけないッ!絶望だって…人間を構築する『大切なモノ』の一つなんだ!絶望と希望…この二つは『表裏一体』なんだ!どちらか一つ欠けても、人間は『成長』することができない。『絶望』を受け入れて、それを乗り越えてこそ、人間はより前に進めるんだ!」
「…ッ!!『人間を辞めた』テメエが…人間を語るんじゃあねえッ!!」
バキィッ!
いきり立った逆蔵の拳が、苗木の顔面を『殴り飛ばした』。
「グッ…!」
「誠君ッ!?」
「な、なんで殴られて…レクイエムは、どうして…!?」
「…わざと殴られたのね、誠君」
「な、なんで…ちょっとアンタ!いきなりなにして…」
ビュンッ!
「ッ!」
ザクッ
逆蔵に抗議しようとした朝日奈がハッとして顔を逸らすと、そのすぐ近くを『ナイフ』が通り過ぎ後ろの壁に突き刺さる。
「…つぎ勝手に騒いだら、ヨイちゃんにその頭ブチ抜いてもらうから…!」
「……」
「くッ…!」
ナイフを投げた十六夜とそれを指示した安藤に朝日奈がなにかを言おうとした、その時
ドォンッ!
「ッ!?」
シュゥゥゥ…
轟音と共に苗木が放った拳銃の弾が今度は安藤と十六夜の真後ろの壁に突き刺さる。
「…誰の、頭を…ぶち抜くって…?」
「な、あ…!?」
「…ッ!」
「ま、誠…?」
低く唸るような声とともに、苗木がゆっくりと立ち上がる。
「やれるもんならやってみろよ…!だが、万に一つもあり得ないだろうが、もしそんなことをしてみろ…!お前生きてこの島から出られると思うなよ…ぶち殺すぞ人間(ヒューマン)ッ!!」
「…ッ!?」
銃口を向け怒りの眼差しを向ける苗木にたじろぐ安藤を庇うように十六夜が前に出る。同時に逆蔵も拳を構えファインティングポーズをとる。
「やっぱテメエとはこうなるか…ッ!前からテメエは気に入らなかったんだ!」
「流流歌の敵は…全て殺す…!」
「ま、まずい…!誠君本気で怒ってる…!」
「ま、誠君!落ち着いてください!」
「そうだよ誠!私なら大丈夫だから、さ…」
「逆蔵君!十六夜君も落ち着け!先に抜いたのはこっちだ、こちらが先に矛を収めるのが道理だろう!安藤君も謝りたまえ!」
「あんなもん突き付けてるバケモン相手に無防備になれってのか…!?馬鹿言ってんじゃあねえ!」
「もう謝ったって遅いでしょ…!どう見たってさ…」
「…最後に一つ『警告』しておく。僕が気に入らないのならいくらでも僕を殴ればいい。その全てを甘んじて受け入れよう。…だがッ!もし僕へのあてつけで僕の身内や知り合いを傷つけるというのなら…この島ごと沈む『覚悟』があると判断させてもらう…ッ!」
苗木の全身の筋肉がビキビキという音を立てて盛り上がる。それと同時に瞳は金から鮮血のような紅色に変わり、背中にかかるほどの金髪のポニーテールにも赤いメッシュが走る。スタンドを出している訳ではない、だがそこに立つ苗木の放つ『凄味』は、幾多の修羅場を潜りぬけてきた逆蔵やグレート・ゴズ、戦刃すらも竦むほどのものであった。今の彼らには、身長160㎝弱しかない苗木が、まるで天井まで届かん程の巨人のように見えていた。
「グッ…!?」
「これが…苗木誠…ッ!」
「化け物…ッ!」
「……」
…しかし、そんな硬直状態の中、苗木の傍にいた霧切が自然な動きで苗木の眼を手で塞ぐ。それと同時に、その場に満ちていた苗木の『凄味』が霧散する。
「霧切君…!?」
「…その辺でいいでしょう。これ以上脅かす必要はないわ。葵さんも大丈夫って言ってるんだし、少し落ち着きなさい」
「……ああ」
幾分か落ち着いた声でそう返答すると、苗木は手にしていた拳銃を『リス』に変えて懐にしまう。
「さ、流石響子ちゃん…。助かりました…」
「この辺りの扱いはまだ私に任せてもらうわ」
「だよね…。まだ私たちにはちょっち無理かも…」
「うん…。もっと慣れなきゃね…」
「僕は家電かなにかかい…?」
「…はーっ、よ、よかった…」
「し、死んだかと思った…」
「噂に聞いてたけど、キレた苗木ってマジヤバいのな…」
凄味から解放され息をつく皆にため息をつき、天願が苗木に語りかける。
「…苗木誠君、部下が失礼をした。すまなかったな…」
「か、会長!?」
「理由はどうあれ我々が先に手を出したのは事実だ。そこの筋は通さねばならん。…なあに、若いもんの後始末をするのは年寄りの特権じゃ。気にするな」
「天願会長…」
謝罪する天願としばし向き合うと、苗木はふと視線を外し…
ガンッ!
『!?』
自分の額を思い切り殴りつけた。皆が驚く中、少し額が切れ血が流れるが苗木は気にした様子もなく再び天願へと向き直る。
「…天願会長。少し頭を冷やしたい、しばし退室の許可を貰えますか?」
「あ、ああ…。宗方君も構わんかね?」
「…はい、では一時中断とさせてもらう。こちらの返答に関しては後ほどさせてもらう」
「では、失礼します。…行こう、皆」
「あ、はい…!」
皆に一礼すると苗木は踵を返して霧切たちを連れ立って会議室を出て行った
こんな感じでやっていきます。ちなみに交錯編ではスタンドよりも苗木の吸血鬼としての能力が目立つことが多くなります。…なので原作以上の能力もありますのでそこんところもご了承ください…