ダンガンロンパ~黄金の言霊~   作:マイン

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ホントは0時更新予定でしたが寝落ちしてしまったので中途半端な時間ですけど更新します

FGOの実況動画見るのが最近の楽しみ。ソシャゲは無課金派なので手は出しませんが、霧がなさそうなので…
殺生院キアラさん…ダンガンロンパやってるとどんだけヤバい人なのかCCCやってなくても分かりますね。あれこそ吐き気を催す邪悪以下のアレですわ…


…キアラさんと江ノ島だとどっちのほうがマシだろう?


交錯編:拳闘士の覚悟

 それは、苗木達が『デス13』との交戦と御手洗の説得に当たっている頃…

 

「さあて…で、響子ちゃん。宗方君達の居場所に心当たりはあるのかい?」

「ええ。おそらく、宗方さんたちは『開発室』に居る筈よ。…あの時の宗方さんの様子からして、彼は本気で私たち…もとい、誠君と事を構えるつもりの筈よ。だとすれば、誠君との絶対的な戦力差を埋めるために、開発室の強力な武器を準備しておくハズだわ」

「となると…やはり戦闘は避けられませんか」

「…そうね」

 霧切たちは霧切の推測を元に宗方たちの居るであろう開発室を目指していた。

 

「しかし…そうなるとゴズ君が居てもちょっとばかし不安だな。ゴズ君、あの銃は苗木君に返しちまったんだろ?」

「ええ、まあ。そもそも、私にも扱いきれる代物ではありませんでしたので…」

「…万が一の時は、私が戦うわ。『ムーディ・ブルース』は戦闘向きのスタンドではないけど、一方的に攻撃できるのなら時間稼ぎぐらいはできるわ」

「…頼むから、無理しないでくれよ響子ちゃん。君に何かあったら俺は…」

「分かっているわよ。…それとも、信用していないのかしら?」

「いやいや、そう言う訳じゃあねえけどよ…」

 

「…しかし、先ほどのアレはなんだったのでしょうか?」

 ふと、ゴズが思い出したように呟く。

 

「アレ?」

「急に本部の電源が落ちたことです。あの時、我々は全員が会議室に居たかモニター越しに居場所を確認しました。なので、電源を誰かが切ったとすればあの場に居た以外の人物と言うことになるのですが…」

「…確かにそうだな。あの消え方はブレーカーが落ちたとかそんなんじゃあなさそうだったしな。しかし…あの場に居た以外となると、宗方君か逆蔵君、それに苗木君しかいない筈なんだが…」

「副会長と逆蔵君はまず無さそうですしな…。では、やはり苗木君の仕業でしょうか?」

「…それは無いわ。誠君が動くことができたのは、電源が落ちて監視の目が無くなったからよ。誠君が電源を切ったのなら順序が逆だわ」

「……なあ、まさかとは思うんだけどよ…」

「む?なんですかな?」

「…あ、ゴズ君はまだ知らねえと思うけどよ。…消えちまった『ちさちゃんの死体』が関係してねえよな?」

「!?雪染さんの死体が消えたのですかッ!?」

「ああ…。俺らも理由は分からねえんだが…ゴズ君は何か分からねえか?君も似たような状況だったんだしよ」

「…まさか、いや…しかし、あり得ないとも…」

「…それについても気になるけれど、電源が落ちたことに関してなら一つ気になることがあるわ」

「気になること?」

「襲撃者の正体が御手洗さんだったのなら、あの時のタイムリミットで葵さんが襲われたのは眠らされた『直後』と考えるのが普通よ。…それなのに、誠君はそこからかなり離れている筈の『医務室』から駆けつけて間に合った。つまり、誠君は電源が落ちると同時に葵さんを救うために動き出した筈よ。…私たちが一か所に固まってた以上、誰が、何の為に電源を落としたのかも分からないのに、ね」

「…それはつまり、どういうことですかな?」

「私はこう考えているわ。…誠君は、電源を切った人物も、あのタイミングで電源が落ちる事も『知っていた』…いや、『知らされていた』のじゃあないかって。だとすれば、この一連の無駄のない行動にも説明がつくわ」

「ッ!?…つーことは、苗木君は電源を切ったのが誰か知ってたのか!?」

「おそらくそうよ。…そして、誠君の『言動』からして、考えられるのは…」

 

 

 

 

 

 

「…ッ!!」

 

バジバジバジバジッ!!

「ぐおあああああッ!!?」

「「ッ!?」」

 物陰の薄暗がりから飛び出した『何か』が手にした棒状の物をゴズの首筋に叩きつけると、スパークが発生しゴズは苦悶の叫びを上げる。

 

「ぐおッ…不、覚…!」

 

ドサッ…

 

「ご、ゴズ君ッ!?」

「…安心しろ、殺しちゃあいねえよ。こいつは『スタンロッド』とか言って、要するにスタンガンの強化型だ。最も、出力はマックスにしてあるから、当分起き上がれはしねえだろうがな…!」

「…逆蔵、さん…!?」

 ゴズを気絶させた張本人、逆蔵は倒れたゴズを尻目に黄桜と霧切に凶暴な笑みを浮かべる。

 

「あ、あり得ねえ…ッ!だって、今は『タイムリミット中』だぞ!?なんで君が起きているんだ!?」

「…ふん。宗方の言ったとおり、やっぱり苗木誠がバングルを外してやがったか。…だがな、『それ』ができるのはあのバケモンだけじゃあねえんだぜ…!」

「…!まさか…」

 思わずと言った表情で霧切が逆蔵を観察する。すると、すぐにその推理が当たっている事を理解した。

 

 

 …逆蔵のスタンロッドを持っていない方の手、バングルが嵌められている筈の『左手』は、手首から先が『消失』し、包帯で覆われていた。

 

「まさか…『切り落とした』のか!?自分の腕をッ!」

「ああ…。ちっとばかし痛かったが、このぐらい…どうってことはねえ…ッ!」

「逆蔵さん…貴方は、そこまで…」

 『ボクサー』にとって、手とは自身の研鑽の象徴であり、同時に命と同価値と言えるほどに大切なものだ。『元超高校級のボクサー』である逆蔵にとっても、かつて世界の頂点に立ったその手は自身のプライドそのものと言っても過言ではない筈なのに、それを捨てたということに霧切も黄桜も驚きを隠せない。

 

「俺達を嘗めてんじゃあねえぞ…ッ!…テメエらと苗木誠のことは、正直認めてやるよ。お前らは強い…だがなッ!俺にとって、信じられる『希望』は宗方だけなんだよ!このクソッタレな世界で、アイツは死に物狂いで戦った。未来機関の…アイツの信じる『希望』の為に…!俺は、そんなアイツをッ……」

「…!」

 威嚇するような逆蔵の目に、霧切は微かな『既視感』を憶え…やがて何かを感じ取った。

 

「…逆蔵さん。貴方は、宗方さんのことを…」

「…ウルセェッ!!…それを、お前らみたいなぽっと出の綺麗事ばっかほざくような奴に、邪魔されるわけには…いかねえんだよッ!!」

 霧切が自分の琴線に触れかかったのを悟ってか、逆蔵は強引に話を打ち切ってスタンロッドを構える。

 

「悪いがこれ以上話すつもりはねえ。…言いたいことがあるなら宗方の前で喋ってもらうぜ。理由は知らねえが霧切、テメエの身柄をご所望なんでな…!」

「く…どうする、響子ちゃん…?」

「……」

 互いの様子を窺う中で、霧切は現状を観察し自分の打てる『最善手』を模索する。

 

(…逆蔵さんの左手、包帯に血が滲んでいない。どうやら傷口を焼いて塞いだようね。出血による消耗を狙うのは難しい。…逃げる選択肢もあるけれど、ゴズさんの身の安全を保障できない。対話で時間を稼ごうにも、この状況ではこちら側の情報を話してもさほど意味は無いし、そもそも向こうにその気がない。なら…)

「…分かったわ」

「…何?」

「投降する、と言ったのよ。…私が宗方さんの所に向かえばいいのでしょう?抵抗はしないから、そちらも矛を収めて頂戴」

「き、響子ちゃん!?」

「どういうつもりだ?随分聞き分けがいいじゃあねえか?」

「別に…そもそも私たちは最初からあなた達の元に向かうつもりだったのよ。貴方が不意打ちを仕掛けたせいでややこしくなったけれど、こちらの目的を果たせるのならそちらに逆らう必要はないわ」

「…チッ」

 舌打ちをした逆蔵が思案しているうちに、黄桜が霧切に耳打ちする。

 

「…おいおい響子ちゃん、それでいいのかよ?奴さん、どう考えても響子ちゃんの事人質にする来満々だぜ?」

「黙ってて…そんなことは百も承知よ。この状況でそれ以外に私の身柄を抑える理由なんてないでしょう」

「だったらなんで…」

「…何こそこそ喋ってやがるッ!…いいだろう、だが同行するのは霧切、テメーだけだ。黄桜はとっとと消えろ。そんでさっさと苗木誠にこのことを伝えるんだな」

「分かったわ」

「きょ、響子ちゃ…」

 

…チラッ

 逆蔵の方へと歩み出す直前、霧切はふと黄桜に振り返り、僅かに目配せする。

 

「ここは私に任せて。多少の時間稼ぎぐらいはしてみせるわ。…ゴズさんの事、お願いね」

「…ああ、分かった。…気を付けてな」

「うん…」

 アイコンタクトを交え小声でそう言葉を交わし、霧切は逆蔵の許に近づく。

 

コツコツコツ…

「……」

「……」

 

 そして、霧切が逆蔵の横に並び立った、その瞬間

 

「…シッ!」

「…ッ!?『ムーディ・ブルース』ッ!!」

 

ガキィンッ!!

 突如霧切の首筋目掛け振り下ろされた逆蔵のスタンロッドを、間一髪のところでそれに気が付いた霧切の『ムーディ・ブルース』が受け止めた。

 

ギチチッ、チッ…!

「…チッ、スタンド越しじゃあ電流流しても効かねえみてーだな…!」

「…どういう、つもり…?貴方…ッ!」

「ハッ!見え透いてんだよ、テメーみたいなののやり口はよ!大方、口先で時間稼ぎしようってハラだったんだろうが、そうはいかねえよ…!テメーには黙って、あのバケモンをおびき寄せる『餌』になってもらうんでな…!」

「…ッ」

「響子ちゃんッ!!…やめろテメエッ!!」

 いきなりの事態に黄桜は思わず血気盛って逆蔵に掴みかかる。

 

「チッ…うっとおしいんだよ吞んだくれッ!」

 逆蔵は突っ込んでくる黄桜にタイミングを合わせ空いた左腕で肘鉄を叩きこむ。

 

ガスッ!

「ぐッ…!」

 とっさに黄桜は両腕をそれをガードするが、逆蔵の膂力に吹っ飛ばされる。…が、それが黄桜の狙いであった。

 

「…今だッ、響子ちゃんッ!」

「…『ムーディ・ブルース』ッ!!」

 逆蔵の注意が逸れた一瞬の隙を突き、『ムーディ・ブルース』が逆蔵を蹴飛ばし距離を取る。

 

「がッ…!こいつッ…」

「悪く思わないことね。先に手を出した以上、『落とし前』をつけさせてもらうわ…!」

 もんどりうった逆蔵に霧切は『ムーディ・ブルース』で追撃をかける。

 

 

 だが、ここで霧切にとって『予想外』の事態が生じる。

 

「…嘗めてんじゃあねえぞッ!!」

 

 

…スカッ

「ッ!?」

 なんと逆蔵はよろめきながらも『ムーディ・ブルース』によって放たれた不可視の筈の一撃を、紙一重の所で『躱した』のである。

 

「避けた…!?そんな…ッ!」

 偶然かと思い霧切は再び攻撃を仕掛けるが、逆蔵はその全てをギリギリのタイミングで絶妙に躱す。

 

(また…ッ!偶然なんかじゃない、逆蔵さんは意図して私の攻撃を躱している…ッ!でも何故?(…スタンド能力者であることを)隠していた?御手洗さんと同じ、無意識のスタンド能力者?それともこまるちゃんのような『特異体質』?一体…)

「…ハッ、随分焦ってるみてえじゃあねえか。澄まし顔ばっかのテメーが珍しいな」

「!」

 攻撃を躱しながら、逆蔵は厭味ったらしく霧切を嘲笑う。

 

「何故俺がスタンドの攻撃を躱せるか分からねえってツラだな?…それがテメエらの『驕り』だ。俺達が、テメエらスタンド使いにいつまでもデカい顔させとくと思ってんのか?俺達が何度、『スタンド使いになった』絶望の残党共と戦ってきたと思ってやがる…ッ!」

 

 あのコロシアイ学園生活によって『スタンド能力』のことが知れ渡って以降、絶望の残党の中にはスタンド使いに覚醒した者がちらちらと現れるようになった。このことについて、苗木はこのように推測する。

 

『おそらく、人類史上最大最悪の絶望的事件が起きる以前、つまり平和だったころにスタンド使いの素養があった人物、あるいは『本物』の超能力者の人たちが、スタンド能力と言う『概念』の存在を知ったことで、自身の力をスタンドという形にイメージが固定されてしまったのだろう』…と。

 

 とはいえ、それら全てが強力なスタンド能力ばかりではなく、殆どがただ人や獣の形を成して動くだけ、あるいは『名前』すらなく腕や足だけしか出現しないことが多く、力やスピードも常人より少し強い程度で仗助らの敵ではなかった。スタンドに強弱は無いと言っても、絶望に堕ち自分すら見失った暴徒ではその本当の力を引き出すことなどできないのである。

 

 …しかし、そうであってもスタンドはスタンド。普通の人間には見えず、一方的にしか触れることすらできないその力は、未来機関にとって脅威となった。無論機関内にもスタンド使いの素養を持つ者はいたが、秩序にとって統治され心身ともに安定した未来機関の内部では、スタンド能力を引き出す『きっかけ』となる精神の変化があまり起きず、残党たちに比べればそう多くは無かった。結果、それらの残党の相手は仗助や康一がすることが多く、実働部隊である逆蔵も引き下がらずを得なくなった。

 

 しかし、逆蔵は諦めなかった。自身を信頼してくれる宗方の期待に『今度こそ』応えるためにも、いつまでもスタンド使いの暴徒の相手を気にくわないSPW財団の関係者連中に任せきりにしてはおけなかった。逆蔵は任務の中で、密かに暴徒たちと交戦し、苦戦しながらもスタンドの動きやスタンド使いの『癖』を体で覚え、その戦い方を学習したのである。

 

「…ッ!まさか、貴方が見ているのは『ムーディ・ブルース』じゃなく、『私』…!?私の攻撃するときの目線や体の動きから、スタンドの行動を『予測』して躱しているというの…!?」

「…フッ」

 答える代わりにニヤリと嗤う逆蔵を見て、霧切はそれが正解であると確信する。プロボクサーのパンチの威力は200kg以上、スピードは時速40kmほどもある。一見遅いようにも見えるが、例えるならそれは手を伸ばせば触れれるほどの距離から自転車が最高速度で突っ込んでくるようなものである。体感している側からすれば見てから避けている暇など有りはしない。肩や腰などの一瞬の動きから次のパンチを予測し、躱しながら反撃する読みあいの応酬、それがボクシングだ。増して逆蔵はそんな世界で学生の間に世界の頂点に立った男、そんな男にとって、『素人が放つただ見えないだけのパンチ』を読み切ることは不可能ではなかったのである。

 霧切は甘く見ていた、元とはいえ『超高校級』の才覚を持つ逆蔵のポテンシャルの高さを。宗方の為にならなんであろうと踏みにじれる、その『忠誠心』の高さを。

 

「くっ…、この…ッ!」

 攻撃が当たらないことに若干の焦りを憶えた霧切は一旦距離を取るべく大ぶりな一撃を放って逆蔵をけん制しようとする。しかし

 

「…へっ…!」

 

ゴスッ!

 逆蔵は『ムーディ・ブルース』の一撃を躱さず、放たれた拳を自身の『肘』で防ぐ…『エルボーブロック』で受け止めた。

 

「ッ!当たった…違う、『当てさせた』…!?」

「…ご名答ッ!そして、見切ったぜ!」

 逆蔵は攻撃を受けた距離から『ムーディ・ブルース』の大体の間合いを瞬時に判断し、『ムーディ・ブルース』…もとい霧切が反応するよりも速くその懐に潜り込んだ。

 

「しまッ…」

「手こずらせたな…寝てろクソアマッ!」

 

バチィンッ!

 ついに逆蔵のスタンロッドが霧切の首筋を捕えた。

 

「ッあっ…!!?」

 頭が一瞬真っ白になるその電流に耐え切れず、霧切はその場で失神してしまった。

 

ドサッ…

「…ふん。面倒をかけ…」

「響子ちゃんッ!!…こん、畜生ォォォォッ!!」

 己の命にも代えがたい親友の娘が倒されたことに、弱っていたところを吹っ飛ばされて半ダウン状態だった黄桜はふらつきながらもいきり立って果敢に突貫する。

 

「チッ…やかましいんだよッ!」

 

ガスッ!

 しかし、逆蔵はそんな黄桜を無情にも軽くいなし、躱し際にスタンロッドの柄で後頭部を殴りつけて叩きつけた。

 

「うがッ…!」

「テメエはそこで寝てろ。雑魚が何をやったって無駄…」

 呻く黄桜に吐き捨てるように逆蔵が声をかけた、その時

 

 

 

…ガシッ!

「な…ッ!?」

 逆蔵の背後でゆらりと起き上がったゴズが、その剛腕で逆蔵を抱え込むように締め上げる。

 

「テメエ…ッ!まだ意識が…」

「やらせません…やらせはせんぞぉッ!!これ以上、貴方方に罪を重ねさせるわけには…いかんのだぁッ!!」

 

ギリギリギリギリ…!

 全盛期にはサンドバッグを押し潰したというその万力の様な抱擁が逆蔵を捕えて決して離さない。

 

「ぐっ…!この、馬鹿力が…ッ!」

「それはお互いさまと言う奴です…!怪我をさせるつもりはありません。このまま会長たちが目覚めるまで大人しく……ッ!?」

 と、完全に優位に立っていた筈のゴズに『異変』が起きる。

 

「…う、が…あッ…あ…!?」

「…?なんだ…」

 突如ゴズが苦悶の声を上げ苦しみだし、それと共に逆蔵を捕えていた腕から力が抜けていく。

 

「…フン!」

 逆蔵はすかさずその隙に拘束から逃れるが、ゴズはそれに構うことなくなおも苦しみ続け、遂には膝から崩れ落ちてしまった。

 

「ち、力が…体が、言う事を…ッ!?まさか、こんな時に…『限界』が…ッ、…ま、まだ…だ…!まだ、倒れる訳には…ッ!」

「…急になんだんだコイツは…?まあ、理由は知らねえが動けねえならじっとしてろ。…邪魔さえしなけりゃ、俺も殺しゃあしねえよ」

 いきなりの事態に面喰いながらも、逆蔵は倒れた二人に背を向け、霧切を担ぎ上げるとその場を立ち去って行った。

 

「ま…待てッ…!あなた達は、一体…何、を……」

「きょう、こ…ちゃん…ッ!クソッ…タレェェ…ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…と、言う訳だ…。本当に面目ねえ…」

 あの放送の直後、黄桜とゴズの回復を待ってから苗木達は宗方たちの指定した場所に移動するがてら、黄桜から事情の説明を受けた。ちなみに、バングルは襲撃者が特定されたせいか移動している間に皆の腕から外れて行った。

 

「いえ…ひとまずお二人とも大事には至らなくて良かったです。響子にしても、僕への人質なら手荒な真似はされないでしょうし…」

「申し訳ありません…!大口をたたいておきながらこの体たらく…、このグレート・ゴズ、一生の不覚…ッ!」

「まあそう自分を責めるな、ゴズ君。君とて万全ではないのじゃ、仕方がなかろう…」

「そうだよゴズさん!…それより今は、アイツらをなんとかしないと…!」

「はい…!響子ちゃんを人質にとるなんて、絶対に許せません…ッ!」

「…宗方さん」

 身内を人質に取られたことに憤りを隠せない朝日奈と舞園とは対照的に、苗木はさほど怒った様子を見せず複雑な表情をしていた。

 

「…その、苗木。もし宗方さんが、今回のことでまだ君を疑っているのなら、その時は僕が…」

「…御手洗さん、その必要はありません。貴方が襲撃者だったという事実は確かに知らせる必要がありますが、だからとって貴方に全ての責任を押し付けるつもりはありません。仮に宗方さんが『そういう』責任の取り方を強いたとしても、僕は貴方を死なせはしません…!」

「…ありがとう、苗木」

 

カラカラカラ…

「……ヨイちゃん」

 未だ半身にマヒの残る十六夜を、月光ヶ原ロボの残骸の傍にあった『電動椅子』(壊れていた為ただの車椅子状態であったが)に乗せ、それを押しながら安藤がか細く声をかける。

 

「流流歌…怖いのか?」

「うん…。やっぱさ、正気になってさっきまでの私を振り返ったら、私のしたこと…ホントに馬鹿ばっかりでさ。正直、怖いよ…。宗方…さんに糾弾されて、未来機関から追い出されたりしたら…私、どうしたらいいか…」

「…心配するな、流流歌。もしそうなっても、俺はお前と共にいる…。こんな身体では、むしろお前に迷惑をかけるかもしれんが、それでも…俺は、君と共に居たい。君が許してくれるのなら、俺が一生…君を守る」

「…るるちゃん。その時は、私も力になるから。もうるるちゃんを…『友達』を一人になんかしないから」

「…うん。ありがとう、ヨイちゃん、静子ちゃん…」

 

 

 

 

 そして8階に続く階段を上ったところで、そこから見える『連絡通路』の向かいに、彼らの姿を捉えた。

 

「…!」

 その姿を確認し足早に連絡通路の反対側まで向かうと、そこから苗木一人が通路の方へと歩み寄る。

 

「…来たか」

「ふん…」

「…ッ誠、君…!」

 向かい側の通路の入り口付近には、悲痛な面持ちで苗木に視線を向ける霧切と、彼女を後ろ手に捕まえて拘束する逆蔵がいる。そしてその先…苗木と同じように一人通路へと踏み出しているのは、暗く淀んだ瞳をギラつかせ、手にした『二振りの刀』を握りしめた男…未来機関副会長、宗方京介がそこにいた。

 

「宗方さん…ッ!」

「待っていたぞ、苗木誠。…ここで終わらせる。このコロシアイを、未来機関の『膿』を…全ての絶望を、滅ぼしてくれる…ッ!!」

 




雑魚スタンド使いの設定はオリジナルです。ちなみに割合としては絶望の残党100人の中に一人いるぐらいの割合です

あと逆蔵の扱いがあんまりだと思ったので、今作ではちょこっとだけ強化しました。といっても、マジな近接型のスタンドには勝てるはずもないですし、今回も本体が荒事慣れしていない霧切だったからなんとかなっただけでアバッキオが本体のままだったら勝てません。
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