ダンガンロンパ~黄金の言霊~   作:マイン

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ジョジョリオンの豆銑礼のスタンド…スタンド名はまだですけど面白そうなスタンドでしたね。徐倫と違って体全体を紐状にしているというよりは体の外側から紐状に剥がしている感じなので、切られてもダメージはそこまでないのかな?
今作では徐倫が登場しているので使い勝手次第では2部か3部で登場するかもしれません。

ジードにドラクエ11、ヴレインズにアポクリファ…今年の夏は楽しみにしているものがたくさんあってワックワクのドッキドキだね!…時間もお金も無くなるから執筆には大打撃だけどね。ジョジョ5部は…冬アニメに期待しよう。


交錯編:escape!!

 苗木と宗方。互いの『希望』を懸けた戦いにようやく終止符が打たれた。二本の刀を折られ、同時に自分が目を逸らしていた『真実』に向き合わされた宗方に、もう戦う意思は残っていない。苗木は勝利したのである。

 

「…う、ぐッ…!」

 敗北を認めた直後、宗方は後ろによろけ尻餅をつくように座り込む。肉体のリミッターを無理やり外した反動と、薬物による興奮状態からのリバウンドにより、宗方の肉体は既に限界を超えていた。

 

「…大丈夫ですか、宗方さん…」

 心配そうにそう問う苗木に、宗方はカラカラの体力を振り絞り気丈に答える。

 

「…心配など、要らん…!この程度、いくらでも耐えられる…」

「……」

「…そんな顔をせずとも、分かっている…。俺は死なない…死ねないからな。アイツの、ちさの為に俺は生きる。俺のふがいなさが故に、アイツは死んだ。なら俺にできるのは、その罪を背負い、生き恥を晒してでも生きるだけだ…。それが、俺の愛した雪染ちさへの、せめてもの罪滅ぼしだ…」

「…そう、ですか…」

「…苗木?」

 宗方の答えを聞き終えると、苗木は微笑みつつもふらふらとその場で震え…

 

「よか…った…」

 

ドサッ…

 笑みを浮かべたまま、大の字に崩れ落ちた。

 

「…ッ苗木…!?」

 仰向けに倒れたままピクリとも動かない苗木に宗方は駆け寄ろうとするが、自身も今にも意識が途切れそうな状態なため立ち上がることすらできなかった。

 

 と、そこに

 

 

タッタッタッタ…!

「誠君ッ!!」

「宗方!」

「お前たち…!」

 8階から駆け下りてきた霧切たちは、ホールの真ん中で倒れる二人を見るや否や駆け寄った。

 

「宗方!大丈夫か!?」

「…ああ、なんとかな」

「そ、そうか…。…良かった、本当に…良かった…!」

「…心配をかけたな、逆蔵。…色々済まなかった、だが…俺はもう『大丈夫』だ。『答え』は得た、もう俺は迷いはしない。ちさも、それを望んでいただろうからな…」

「…お、おう…?」

 まるで毒気が抜けたような、晴れ晴れとした宗方の様子に面喰う逆蔵。

 

 

「誠君ッ!!起きてください、誠君ッ!!」

「ッ!苗木…」

 しかし、聴こえてきた悲鳴のような呼びかけに二人の意識もそちらを向く。

 

「誠!起きて…ねえ起きてよ、誠ォッ!!?」

「う、うわエグッ…これ、死んでるんじゃ…」

「馬鹿な事言わないでくださいッ!誠君は…誠君は死んだりなんかしませんッ!!だって…誠君が響子ちゃんとの『約束』を破るワケないじゃあないですかッ!!」

「で、でも…こんなの…」

「……」

 呼びかけにも一切応えない苗木は、右腕は肩から斬り飛ばされ左脇腹を心臓ごと切り裂かれており、一見するとどう見ても死体にしか見えない有様であった。しかし、それでも舞園達は信じていた。吸血鬼…いや、『超高校級の希望』であり自分たちの大切な存在である苗木が、こんなところで死ぬはずがないと。

 

「東方ッ!!」

「分かってるぜ!『クレイジー・ダイヤモンド』ッ!!」

 十神の激と同時に仗助の『クレイジー・D』が苗木の身体を治しにかかる。

 

シュゥゥゥ…!

 『クレイジー・ダイヤモンド』。苗木とは異なる『治す』ことに特化したスタンド能力により、苗木のボロボロだった肉体は元の状態へと回復した。

 しかし、予断はできなかった。『クレイジー・ダイヤモンド』は傷こそ治せるが、『失われた命』までは治せない。仮に傷が治っても、既に死んでいれば手遅れなのだ。

 

 

 

「……うッ…」

 しかし、ほどなくして苗木の口から微かな呻き声が聴こえたことで、仗助たちは一安心し緊張を解いた。

 

「ふぅ…なんとか間に合ったぜ」

「誠君ッ!」

「僕は…そうか、ありがとうございます仗助さん」

「何、気にすんなよ。それより、そっちを気にかけてやれよ色男」

「はい……皆、心配かけてゴメン」

「…本当に、今更だよ…ッ!でも…良かった、生きていて…ホントに、良かった…!」

「……」

「…約束は、守ったよ。響子」

「ええ…おかえりなさい、誠君」

 

 

「…苗木」

「宗方さん…皆、ちょっとゴメン」

 タイミングを見計らって声をかけてきた宗方に、霧切たちは敵意の籠った視線を向ける。そんな彼女たちを制しつつ、苗木は穏やかな表情で宗方に向き直る。

 

「邪魔をしたようで済まないな…」

「いえ、構いませんよ。…心は、晴れましたか?」

「…ああ。やっと見つけた…いや、『戻ってこれた』。俺が本当に求めていたものを、絶望によって見失っていたものを…ようやく、取り戻せた。…もう、遅すぎたかもしれんがな…」

「…そんなことはありませんよ」

 そう言って、苗木は宗方の肩に触れる。逆蔵が警戒の意を示すが、何かを言う前に苗木の手から放たれた生命エネルギーが、傷ついた宗方の身体を瞬く間に癒してしまう。

 

「ッ…!?体が…」

「む、宗方!大丈夫なのか?」

「ああ…これが、『レクイエム』の力か。…道理で、敵わない筈だ。お前は与えられるべくして、この力を授かったのだな。俺なんぞが、及ぶはずも無かったということか…」

「それは違うよ。スタンド能力なんて関係ない。人の価値に、強さなんて必要ないんです。大切なのは、何を成したいかという強い『意志』と、それを貫き通す『覚悟』なんです。貴方は、それを二つとも持っていた。ただ、その方向をほんの少し間違えてしまっただけなんです。…今の貴方なら、きっと大丈夫。雪染さんも、きっと分かってくれますよ」

「…そうだな」

 

「…さて、ようやく全部片付いたみてえだな。だったら、とっととこんな陰気くさいところから出て…」

「…なあ、苗木。ちょっといいかな…?」

 と、そこに御手洗がおそるおそると言った体で口を挟む。

 

「どうしたんですか、御手洗さん?」

「その…今、雪染さんって聞いて思い出したんだけど…実は、一つ『気になっている事』があるんだ」

「気になること?」

「うん。僕のスマートフォンに入ってた洗脳ビデオなんだけど…」

 

 

 

 

 

 

 

 

…カチッ

ピーッ…

 

「…ッ!会長!東方さんッ!!」

「え?」

 

 

 

ドガァァンッ!!

「きゃあッ!!」

「むおッ!?」

 突如としてホールの柱の一本が『爆発』し、倒れた柱が近くに居た天願と仗助へと崩れ込んだ。

 

「なッ…て、天願さんッ!!」

「仗助ッ!」

「仗助さん!」

 爆炎と土煙に包まれる中、巻き込まれたであろう天願と仗助の名を呼ぶ。…しかし

 

 

 

「あ痛つつ…じ、承太郎さん。俺はなんとか無事ッスよ…」

「むうう…」

 土煙が晴れた先に居たのは、尻餅をつきつつも殆ど無傷な二人であった。

 

「会長さん、仗助さん…大丈夫なんですか?」

「う、うむ…ワシらはなんともない」

「俺もッス…つーか、下敷きになる前になんかに『突き飛ばされた』ような気が…」

「何か…って…」

 仗助の証言に皆が崩れた柱の方へと視線を向けると…

 

 

 

 

 

 

「…む、ぐ……う…」

 

「……ご、ゴズさぁんッ!!?」

 瓦礫と化した柱に下半身を押しつぶされたグレート・ゴズがそこに居た。

 

「ゴズ君ッ!まさか、ワシらを庇って…」

「お、お気になさらないでください会長…。貴方を守るのが、私の役目…先ほどは不覚を取ってしまい、お役に立てませんでしたが…これで、その汚名を少しでも返上できました…」

「アンタ…グレート過ぎるぜ、その忠誠心って奴はよぉ~…ッ!待ってろ、今助けてやっからよぉ…」

 仗助がすぐさま柱ごとゴズの身体を治そうとするが…ゴズはそれを手を出して止める。

 

「いいえ…お気持ちはありがたいですが、その必要は…ないようです」

「なッ…何言ってんスか!?今ならまだ間に合う、俺の『クレイジー・ダイヤモンド』で助けられるッ…!」

「…残念ですが、『もう遅い』のです。貴方がそのスタンドで私を治したとしても…おそらく私は『人』ではなく『物』として処理されるでしょうから」

「……え?」

「何…言ってるの、ゴズさん…?」

「……」

 困惑する皆に対し、ゴズは朝日奈に自分の手を差し出す。

 

「朝日奈さん、私の手を触ってみてください」

「え…う、うん…」

 怪訝そうに言われたとおりゴズの手に触れた朝日奈だったが、その瞬間驚愕に目を見開いた。

 

「え…!?嘘、こんな…」

「ど、どうしたの…?」

「…ゴズさんの身体、『冷たい』…まるで氷みたいな…こんなのって…」

 朝日奈が触れたゴズの手は、触れた瞬間に鳥肌が立つほどに冷え切っていた。…そう、まるで『死体』のように…

 

「お分かりになったでしょう。…そう、私は既に『死んでいる』のです」

「なッ…!!?」

「死んでるって…そんなの、あり得ないでしょ!?だって、アンタまだちゃんと喋ってるじゃん!」

「…死体が、動く…?…まさか、誠君…ッ!」

 ハッとなって苗木を見た霧切に、苗木は首を縦に振ることでその推察を肯定する。

 

「…ああ、そうだ。ゴズさんは今、僕が与えた『生命エネルギー』によって動いている。肉体は死んだまま、『魂』だけを肉体に無理やり繋ぎ止めた状態で…かつてのブチャラティのように、己の『意志』だけで体を動かしているんだ…ッ!」

「そんなことが…できるの!?」

「狙ってやった訳じゃあない…。ゴズさんが襲撃者…『デス13』に操られ、殺されそうになった時、なんとか助かる様に…ゴズさんが浴びた僕の『返り血』に残った生命エネルギーを使ったのだけど、結局…間に合わなくって…。こんな形でしか、ゴズさんに時間をあげることができなかった…ッ!」

「苗木…」

 今にも泣きそうな表情で、苗木はゴズの前で膝を突く。

 

「ごめんなさい、ゴズさん…!僕は、とんでもなく残酷なことをしてしまったのかもしれない…ッ!楽になれるはずだった貴方を、無理やりこの世に縛り付けて…苦しい思いまでさせて、僕は…ッ!」

 

ポン…

 謝罪する苗木に、ゴズはその頭に手を乗せ、優しく撫でる。

 

「苗木君…どうか謝らないでください。これは、『私が望んだ』ことなのです…。私は、あのままでは死ねなかった…会長から受けた恩を、あなた達未来ある若者が繋いでくれた希望を、全てを放り出したままあそこで終わることなど、私にはできなかった。だから私は、貴方がくれたこの『チャンス』に、心から感謝しているのです。おかげで私は、心残りを晴らすことができた…ありがとう、苗木君」

「ゴズさん…」

「…そんな、じゃあ…僕はゴズさんまで…」

「…御手洗君、気にしないでください。確かに、君は罪を犯した。けれど、私の為に貴方が思い悩み、未来を閉ざしてしまうことを私は望んでいません。何より貴方は、自分の罪にきちんと向き合っている。なら、私は貴方を許しましょうぞ。…張本人がこう言っているのです、分かってくれますな…?」

「……はい、はい…ッ!」

 そんな苗木と御手洗に満足そうに頷くと、ゴズは今度は黄桜と天願へと顔を向ける。

 

「…ゴズ君」

「黄桜さん…申し訳ないですが、『例の勝負』は…どうやら黄桜さんの不戦勝になりそうです。このグレート・ゴズ…NG行動でもあった『3カウントを取られる』ことも含め、不敗のまま人生を終えることを目標としていたのですが…どうやら貴方が、私の初めての『黒星』になるようですな。自画自賛になりますが、結構自慢になりますぞ…ハハハ…」

「……なんだ、君のNG行動はそんなのだったのか。成程、君らしいや……悪いけど、そいつは自慢できそうにねえな」

「…そう、ですか」

「ああ…何しろ、まだ『勝負はついてねえ』んだからな」

「…?」

「不戦勝って言葉は嫌いじゃねえが…今回ばかりは遠慮しとくぜ。君との勝負は『延期』だ。決着は…そう、『来世』でつけようじゃねえか。そん時お互いどんな立場で、憶えてるあどうかも分からねえが…そん時に、白黒つけようぜ。それまで、君の『黒星』は預かっとくぜ。だから…先行って待っててくれや」

「…ぷ、ハハハハッ…!それは、ありがたいですな…。では、必ず来世にて貴方の秘蔵の一本ついでに、その黒星を『白星』にして返していただきましょう…」

「おう…そのマスクの下見るのを、楽しみにしてるぜ」

 

「…やれやれ、今際の際に話す事とは思えんのう」

「天願会長…」

 呆れたような声音と反し、ゴズを見つめる天願の眼には深い悲しみが宿っていた。ゴズはそんな天願を真っ直ぐに見つめ返す。そんな二人は『師弟』のようであり、『主従』のようであり…どこか『親子』のようにも見えた。

 

「天願会長…私は、会長のお役にたつことができたでしょうか…?」

「…何を今更なことを言っておる。ワシは、君ほど誇り高く未来機関の在り方に殉じた男を知らん…ッ!君は、ワシの『誇り』じゃ…胸を張れ、ゴズ君…いや、『牛島猛雄』君」

「会長…ッ!」

 リングネームではなく、『本名』で名を呼ばれたゴズの脳裏に、走馬灯のように想い出が蘇る。かつて、幼少期に顔に負った古傷のせいで孤独を味わい、地下格闘技界で力を持て余していた自分を、当時学園長であったにも関わらず天願自らスカウトに訪れた、あの時の事を。

 

『ああんッ!?なんだテメエは!』

『ハッハッハ、血気盛んで結構結構。…じゃが、こんな場所ではその才覚も錆びついて見えるのう。君、こんなところで暴れて満足かね?』

『何ィ…?ふざけやがって、やんのかジジイッ!?』

『ふむ…それが一番手っ取り早いか。いいぞ、かかってこい若造』

『上等だァーッ!!』

 

 

『ぐおッ…!?ば、馬鹿な…この俺様が、手も足も出なかった…だと…ッ!』

『…ふむ、噂通りの実力じゃな。まさに猛牛の名に相応しい…じゃが、まだまだ荒削りじゃのう。無駄が多すぎるぞ、少年』

『じ、ジジイ…テメエ、何者だ…?』

『ワシか?ワシは…そうじゃな、ただの『半端者』のジジイとだけ言っておこうかの』

『半端者だと…?この俺をのしておいて、よく言うぜ…』

『…いいや、ワシこそ『半端者』の見本じゃよ。強さを求め、自分で選んだ道を、先が見えなくなったからと言って投げ出すような、どうしようもないロクデナシじゃ。ワシとて、ほんの少し何かが違っていれば、君の様に誰にも認められない場所で憂さ晴らしに明け暮れていたかもしれん』

『…爺さん、アンタ…』

『じゃがな、こんなワシでも誰かの為に役に立てることを教えてくれた人が居る。ワシはその人の為にも、未来ある若者を育て、彼らを通して世界に希望を広げたいと思っている。…キミのような、素晴らしい才能を秘めた若者たちを通して、な』

『俺が…希望に?』

『君にその気があるのなら、ここで満足していないのなら…ワシと共に来ないか?少なくとも…ここで燻っているよりは、良い景色が見れるとは思うぞ?』

『…ケッ!食えねえ爺さんだ…いいぜ、やってやるよ!希望だか何だか知らねえが、オレ様がこんなもんで終わる男じゃねえってことを見せてやるよ!そん時こそ、アンタに吠え面かかせてやっからな!』

『ハッハッハ!それはいい、ぜひ楽しみにさせてもらうぞ。牛島少年…いや、グレート・ゴズ』

『へっ…!』

 

 

 想い出に耽りながら、ゴズは思わず天願に手を伸ばす。天願はその手を力強く握りしめ、互いに涙を流す。

「…天願会長。このグレート・ゴズ…あの日天願会長に出会えた運命に、心から感謝しています…!私にとって、あの瞬間こそが『希望』だった…。貴方を守れて終わることができたこの人生に、悔いはありません…ッ!」

「…ゴズ君、君という『希望』を育てられたことを、ワシは誇りに思うぞ…!ワシの無二の親友にして愛すべき愛弟子、グレート・ゴズッ…!」

「天願先生…ッ!」

 

 

 

 

 

 

…カチッ

ピーッ…ピーッ…ピーッ…!

 

ドガガガガァーンッ!!

ゴゴゴゴゴッ…!

「な、なんだッ!?」

 再びの爆発音と共に本部の基礎と本部を支える支柱が爆発を起こし、支えを失った本部は轟音を立てて崩れ始める。

 

「ま、また爆発ッ…ていうか、や…ヤバくないコレ!?」

「本部が崩れるッ…!皆、急いで避難するのだッ!!」

「で、でもゴズさんが…」

「…いいのです。私は例え逃げ出せても同じ運命を辿るだけです。ならば、せめて皆さんの足手まといにだけはなるわけにはいきません!」

「で、でもッ…!」

 

ヒョイ

 後ろ髪を引かれる御手洗を、もう片方の肩に十六夜を背負った苗木が担ぎ上げる。

 

「ちょッ…!?苗木、何するんだよ!」

「…行きましょう、御手洗さん」

「行くって…お前はそれでいいのかよッ!?ゴズさんを…ここに置いて行くのかよッ!」

「…ゴズさんの、ゴズさんの『覚悟』を無駄にするなッ!!」

「ッ!」

 苗木や仗助たちならば、ゴズを引っ張り出して担いで連れて行くは可能だろう。しかし、この崩壊の勢いを見る限り、そうしている間に出口となり得る場所は全て潰れてしまうだろう。そうなってしまえば、結局のところゴズを置いて行くのと何も変わらない…下手をすれば道連れが増えるだけである。故に、例え納得できなくともゴズの言葉に従うしかない。…苗木の苦渋の表情が、それを物語っていた。

 

「…分かったよ。ゴズさん、ごめんなさい…」

「いいのです、ありがとう御手洗君。…さあ!早く行けぇッ!生きて、未来につなげぇッ!!」

「…アリーヴェデルチ、ゴズさん。貴方の誇り高き覚悟に、心からの感謝を…!」

「…会長を、未来を頼みます。苗木君…我らの『超高校級の希望』よ…!」

「…ッ!」

 

ダッ!!

 先んじて駆け出した皆の後を追って苗木が、そして最後に天願がゴズにもう一度振り返って走り出した。

 それを見送った後、ゴズは今まで堪えていた『死の脱力感』に身を任せ、倒れ込んだ。

 

「…ここが、私の墓場か。ハハハ…私には、過ぎた墓標になりそうだ…。だが、こんな最期も…悪く……ない…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…いいえ、まだ終わってないわ。だって…貴方にはまだ『最後のお仕事』が残ってるもの」

「…ッ!!?」

 頭上から聞こえた、『聞き覚えのある声』。もう二度と聞けぬはずだったその声に、ゴズは放りかけていた意識を無理やり繋ぎ止め、必死の思いで顔を上げる。

 

 

 そこに、居た。自分の想像通りの、しかし決しているはずがないその人物が。頭上から降り落ちる瓦礫を全く恐れる様子もなく、満面の笑みで自分を見下ろしていた。

 

「ば、馬鹿な…ッ!お前、いえ…あなたは…ッ!?」

「…うぷぷぷ♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガラ…ガラガラッ…!

ダダダダダッ!!

 崩壊する本部の中を、皆は一目散に駆け抜けていく。その先導になっているのは、十神、承太郎、仗助の3人であった。

 

「ちょ…アンタらさぁッ!先頭走ってるからついてっちゃってるけど…どこに行くのよ!?」

「やかましい!グダグダ言わずさっさと走れ!」

「こっちに、俺達が入って来た『抜け道』があるんス!そこからなら出られる筈っスよ!」

「ぬ、抜け道…?そんなのあったの…?」

「あった、というよりは…『彼女が作った』ものだ」

「彼女…?他に誰か来てるんですか?」

「あれ?お前ら知らねえのか。アイツは…」

「…無駄話はそこまでだ!見えたぞ!」

 十神が指差した先には、壁の一部がまるで『爆弾』で吹き飛ばされたかのようにぽっかいりと開き、そこから外の光が差し込んでいる抜け穴があった。

 

「よし…!全員、急いで脱出を…」

 

ガラララッ!!

「…ッ!?宗方ッ!」

「な…ッ!?」

 女性陣を先に行かせようと振り返った宗方の頭上に、一際大きな瓦礫が落下してきた。

 

「『スタープラチナ・ザ・ワールド』!」

 

ドギュウゥゥン…ッ!

 即座に承太郎が時を止め、その隙に瓦礫にラッシュを叩きこむ。

 

『オラオラオラオラオラオラオラオラッ!!』

 

ガココ…バキョッ!

「…ぐっ…!?もう、限界か…『時は動き出す』…」

 

フゥッ…

 しかし、まだ万全でないが故に思っていたほど止め続けることはできず、破壊しきれなかった瓦礫の一部が雨のように宗方へと襲い掛かる。

 

「クソッ…!どけ宗方!」

「逆蔵ッ…!?よせ、やめろ!」

 避け切れないと判断した逆蔵が咄嗟に覆い被さり宗方の盾になろうとした、その時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ブロロロロッ!

「…?何の音…」

 

 

ドパパパパパパッ!!

ガコココォッ…!

 

「わあああッ!?」

「うおッ!」

 突如として飛来したラジコンサイズの『戦闘機』が瓦礫の雨に機銃を掃射し、それらを瞬く間に、かつ正確に全て砕き切った。

 

「な、なんだ!?何がどうなった!」

 何があったのか分からず混乱する逆蔵たちを余所に、その戦闘機を見た舞園、朝日奈、霧切は唖然とする。

 

「こ、これって…この『スタンド』って!?」

「『エアロ…スミス』…!嘘、そんな…」

「こんな、こんなことが…」

 

 

「…皆、急いでッ!!」

『ッ!?』

 抜け穴の向こうから聞こえてきた声に思わず全員が振り向くと、『見えていない』面々は先の舞園達のように唖然とし、『見えていた』者たちはそれが『現実』であることに思わず目元から涙がこぼれる。

 

「あ…あ、ああ…ッ!」

「嘘…ホントに、本当に…本当なんだよね!?」

「…皆、無事か!?」

「誠君…ッ!あれを…あそこを見てッ!」

 遅れて合流した苗木は霧切が指差した先…そこにいる『人』を目視すると、まるで『分かっていた』かのように笑みを浮かべ、叫ぶ。

 

 

 

 

 

「…信じていたよ、『むくろ』ッ!!」

「誠君…ッ!!」

 『戦刃むくろ』はそんな苗木に、輝くような笑みを以て応えるのであった。

 




復活!戦刃むくろ復活!!復活ッ!!…まあ予想通りですけどね。
生きていた経緯に関しては次の話で。

ゴズさんの本名に関しては僕が勝手に考えました。買ってないから分からないけど公式の資料集には載ってるのかな?

さて…もう黒幕分かってしまったかな?黒幕の登場も次話になるので、それまでお待ちください
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