ダンガンロンパ~黄金の言霊~   作:マイン

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今回、非常に出来が微妙なため投稿しようか迷ってる間に日付が変わってしまいました

予定では、原作キャラを交えたエピソードを考えていたんですが、そうなるとかなり内容がしっちゃかめっちゃかになるため、今回は趣向を変えて『岸部露伴は動かない』的な内容に仕立ててみました。…それでもかなりおかしな文面になってしまいましたが

あと今回、オリスタンドが登場しますのでご了承ください


番外の番外編 日向・Z・創の奇妙な日常~出会い編2~

あれからというもの、日向と左右田達は良き友人としてよく会っては話をしていたりしていた。特に左右田とは気の合うソウルブラザーとして、花村には本場イタリア仕込みのナンパテクを伝授したり、弐大からは予想以上に鍛えられた体を狙われたり(マネージャー的な意味で)と、本来の本科と予備科の枠を超えた関係として仲良くなっていた。

無関心だった西園寺や十神(偽)といった面々も、左右田達を介してその存在を知り、会ってみればなかなか面白いやつだったと評価していた。…カタギの人間と関わらないと決め込んだ九頭竜とそれに追随した辺古山、依然まったく興味を示さない狛枝は除いてであったが。

 

そんなある日のこと、事件は起こった

 

「…ん?お前ら今日は日向って奴のところに行かねえのかよ?」

 普段なら放課後は夕食まで日向と駄弁っていることが多い左右田達が未だに教室にいるのを見て九頭竜がそんなことを言う。

 

「誤解されるような言い方すんなっつーの。…あいつなら今日はナンパした娘とデートだから放課後は忙しいってよ。…クッソ―、なんでアイツばっかナンパ成功すんだよ」

「んふふふ、それは左右田君に男の色気が足りないからだよ」

「見た目からしてモブキャラだしねー!」

「…チックショーッ!」

「……むー」

「ど、どうしたんですかぁ七海さん?」

「…別に、モ○ハンで支給品全部持ってかれたみたいな気分なだけ」

「…なんだそれは…」

「…ところで、明日はお休みですけど皆さんどうお過ごしになるのですか?」

「まあ学校に居てもつまらんだけじゃしのう、わしは家に帰ろうかと思っているのじゃが…」

「オレやソニアとかは帰るにしたって遠いしなぁ。…つっても学校に残るのも馬鹿らしいしな」

「だったらさ!親睦を兼ねて皆でどっか遊びに行かない?」

「おっ、いいね!偶にはいいこと言うじゃん花村!」

「ケッ、俺はお断りだね。ぞろぞろ連れ立って歩きまわるなんざ御免だね…」

「…九頭竜、そう邪険にしなくてもいいだろう。偶には皆と一緒に楽しむのも大事だぞ」

「…んだよペコ、お前行きたいのか?」

「…まあ、少し…」

「…チッ、しょうがねえな」

「おっ?珍しいこともあるっすねぇ」

「九頭竜君も少しずつ皆の事を信じれるようになってってことかな。…希望が一つになるのはすごくいいことだよ!」

「どうでもいいが、食事がうまい所でないと俺は興味はないぞ」

「…ねえ、どうせなら日向君も誘わない?」

「おっ!いいんじゃね?じゃあ今からメールで…」

「…なんで彼まで誘うの?」

 テンションが上がっていた面々は七海の提案にも好意的ではあったが、そこに狛枝が冷や水をかける。

「な、なんだよ…別にいいだろ一人ぐらい」

「全然よくないよ…なんで何の才能もないような凡人をわざわざ呼ばなくちゃいけないのさ。そんなの君たちとってなに一つの利点にすらなりはしないよ」

「…狛枝、お主少し言い過ぎじゃぞ」

「別にいいじゃないか、予備科の奴のことなんてさ…」

「アンタね…!」

「…あー、取り込み中悪いんだけどさ、今電話して聞いてみたんだけど日向君どのみち明日は無理だって」

「へ?なんで?」

「なんでも休日は用事があるらしくてさ、忙しいから今回はやめとくって…」

「どうせまたナンパなんじゃないのー?」

「わっかんねえなあ。何がそんなに楽しいんだ?」

「…なんかムカつくけど、用事があるってんじゃあ仕方ねえな」

「良かった。邪魔な奴がついてこなくて…」

「……」

「な、七海さん?もしかして怒ってますぅ?」

「…怒ってないよ。黒曜ブ○キより気が長い私が怒るわけないって」

「いやいやいやいや!プッツンどころじゃねーよなそれ!」

「ま、まあ無理な人の事を話してても仕方ないしさ、それよりどこ行くか話し合おうよ!」

 狛枝の態度に明らかにむかむかしている七海を宥めながら、77期生達は明日の予定について話し合うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、都内某所にあるマンションの一角に、日向の姿はあった。

 

「コオォォォォォ…」

 ジャージ姿で不思議な呼吸をする日向の手にはテニスボールほどの『鉄球』が握られており、その数メートル先には台の上に置かれたリンゴが置かれていた。やがて日向の手から光が迸り、それが『鉄球』へと伝わり銀色の光を帯びる。

 

「波紋疾走(オーバードライブ)ッ!!」

 叫び声と共に放たれた『鉄球』は光を放ちながらリンゴへとまっすぐに飛んでいき、やがて衝突すると光はリンゴに伝わり、どんどんとその強さを増していき…とそこでリンゴは突如内側からはじけ飛ぶように砕け散ってしまった。

 

「…糞!駄目だ、今のじゃただの『銀色の波紋疾走(メタルシルバーオーバードライブ)』だ。どうしてもこの本に書いてある『回転』を実現することができない…」

 そう言って日向が足元から拾い上げたのは古ぼけた一冊のノートで、そこには何やら渦を巻いたような曲線や数式のようなものがイタリア語の文章と共に描かれていた。

 このノートは、彼の曽祖父、つまりウィル・A・ツェペリの息子にしてシーザー・A・ツェペリの父であるマリオ・A・ツェペリが遺した波紋と『黄金長方形』に関する研究ノートであった。彼は元々ナポリでも腕利きの家具職人だったが、ある時を境に柱の男と闘う波紋戦士の一員となったが、残念なことに彼には父や息子のような波紋の才能はなく直接柱の男と闘えるような力など無かった。しかし、どうにかして彼らの役に立ちたいと思ったマリオは、生半可な波紋を受け流してしまう柱の男たちへの対策として波紋をより強力にする方法を模索していた。

 そんなある時、知り合いの画家から絵が最も美しく見えると言われる『黄金比』とそれから派生する『黄金長方形』のメカニズムを聞き、元々の家具職人としての芸術センスを最大限に生かし、マリオは波紋と『黄金長方形』との融合の可能性を日々研究していた。惜しくもそれを実現する前にマリオはカーズによって殺されてしまったが、彼の研究を記したノートはヴェネツィアのリサリサが大事に保管しており、日向が波紋の修業を受けることになった際に彼に受け継がれたのである。

 

「『黄金長方形』…その形が織りなす無限の回転エネルギーにより波紋の威力をほぼ無限に増幅することができる。その為には自然界に存在する天然の『黄金長方形』を発見し、それをスケールとすることが必然と思われる。…曾爺さんも難しい宿題を遺してくれたもんだよ」

 日向はそこそこの波紋を扱えるようになってから今までかれこれ6年間の間今のような修行を続けているが、未だにハッキリとした手ごたえを感じれずにいた。それでも一切めげることなく続けていられるのは、偉大な先祖たちへの畏敬の念が強いことの証明でもあった。

 

「…へこたれててもしょうがない。気持ち切り替えて少し遊びにでも行くかぁ」

 そう言って日向はさっさと片付けを済ませるとザッとシャワーを浴びて私服に着替え、いつものマフラーと『鉄球』を目立たない様に身に着けると駐車場に止めてある愛車の大型バイクに跨り街へと繰り出していった。

 

 

 

 

 

 

 一方その日の夕方、街へと繰り出していた77期生の皆は学園からそう遠くない位置にある繁華街を練り歩いていた。

 

「ふぅ~、結構遊んだねえ!」

「この人数じゃあ結構行けるとこ限られっけど、まあそれなりには楽しめたよな!」

 皆はこの一日、カラオケやショッピングなどをして思い思いに楽しみ九頭竜や辺子山などといった気難しい面子との間の壁も少しずつではあるがほぐれてきていた。

 

「…あと一か所ぐらい行けそうだよね?」

「どっか面白そうなトコねーかな?」

「…なら、少し寄りたいところがあるのだが構わないだろうか?」

「ペコちゃん?どこっすか?」

「知り合いに聞いたのだが、この辺に変わった『神社』があると聞いてな。一度行ってみようと思ったのだが、この際だから皆も一緒にどうだろう?」

「いいんじゃね?どうせ当てなんかねーんだからよ」

「ありがとう。…坊ちゃん?」

「…チッ、好きにしな」

「ありがとうございます」

「で、その店ってどこにあんの?」

「…すまん。私も詳しい場所は知らんのだ。小耳に挟んだ程度だからな」

「えー!探すのメンドーい!」

「…もし、そこの皆さん」

「ん?」

 声をかけてきたのは、どこか狐を思わせるような細めの面長の男であった。

「ちょいと聞かせて貰ったが、『神社』を探してるとか言っておったな?」

「ええ、そうですが…あなたは?」

「私はこの辺に住んでおるものです。その『神社』でしたらそこの小道をまっすぐ行った突き当りにありますぞ」

「あ、そうなんですか。ご丁寧にどうも…」

「いえいえ、その年で『神社』を参拝するとは見上げたものです。道中お気をつけて…」

「はい、ありがとうございます」

「んじゃ、行くとするかのう!」

 男に礼を言い、皆は揃って男の示した場所へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

「…御気になさらず。久しぶりの『客人』じゃ、存分にもてなしてやらんとのう。ヒッヒッヒ…」

 その後ろ姿を見送りながら、男が怪しげに嗤うのに気付かずに。

 

 

 

 

「……ん?あれ、左右田達じゃあないか。どこに行くんだ?…ちょっとついて行ってみっか」

 たまたま同じ場所に遊びに来ていた日向がこっそり後ろからついて来るにも気づかずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 皆は男に言われたとおりまっすぐにその道を歩いていた。…だが、進むたびにどんどんと辺りは暗くなっていき、人気も薄く辺りから聞こえてくるカラスの鳴き声が不気味さをより際立たせる。

 

「な、なあ…なんかヤバ気な雰囲気じゃね?」

「ぐるる…気味が悪ィぞ…」

「さっさと神社見て帰りましょ。…あ、あれじゃない?」

 小泉が指差した先には、人気のない通りにぽつんと佇む小さな神社があった。

 

「へえ…小さいけど趣があるね」

「狐が祭ってあるところからするに、ここはどうやら稲荷神社の系列らしいな。しかし…」

「この狐さん、しっぽが『9本』もありますよ」

 ソニアの言うとおり、社の両脇に祭られた狐の石像は、本来なら『1本』の筈の尻尾が何故か『9本』存在していた。

 

「フム…。古来より、9つの尾を持つ狐…俗にいう『九尾の妖狐』は様々な厄災をもたらしたと聞く。どうやらここはかなりいわくつきの神社のようだな…」

「ここ、怖いこと言わないで下さぁ~い!」

「じゃが、不気味なことには変わりないのぉ」

「…スマン。私のせいで気を悪くしてしまったようだ…」

「…気にすんな」

「ふ、ふん!別に、怖くなんかないし~!もう見るもんもないしさっさと帰ろ…」

 若干声が上ずった西園寺が足早に神社から立ち去ろうとした、その時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バッ!

「ッ!?ひっ…!」

「ブォナ・セーラ(こんばんわ)~!」

「きゃああああああああッ!!!?」

 鳥居の陰から飛び出してきた何かとそれが発する声に西園寺は悲鳴を上げて尻餅をつく。

 

 

「な、なんだッ!?」

「誰…?」

 悲鳴に驚いた皆が西園寺に駆け寄り、その正体を目撃する。

 

 

「ひ、日向ぁ!?」

「Yes、I am!皆ブォナ・セーラ!」

 声の主は飄々と笑いながら挨拶する日向であった。

 

「ひ、日向君…なんでここに!?用事があるんじゃあ…?」

「ん?あー…、そうなんだけどよ。ちょっと行き詰っちまってな、気晴らしに街に繰り出したらお前ら見かけたから後つけてきたんだけど…」

「あ…、あんたぁ!脅かすんじゃあないわよぉッ!!」

「悪い悪い西園寺、あんまり怖がってたもんだから魔がさしてな…」

「まったく、アンタって男は…」

「ふふ…」

 こんな状況であってもいつもと変わらない調子の日向に、不安げだった皆の表情が少し和らぐ。

 

(…こいつが日向か)

(立ち振る舞いに隙が無い…。成程、皆が気に掛けるだけの理由はあるということか…)

 一方、初めて日向と顔を合わせた九頭竜と辺子山は、日向の一見軽いように見える様子の中に自分たちに近い『何か』を感じ、その認識を改めていた。

 

 

 

「…ハァ、ストーカーとか最悪だね。君、正直言って気持ち悪いよ…」

 …そしてこの男…狛枝の反応は辛辣なものであった。

 

「…なんだこの陰険ヤローは」

「…お前なあ、こんな時にまでそんなこと言うんじゃあねーよマジで…」

「当たり前でしょ?どう考えたって『邪魔』でしかないもの。君らはいいのかい?こいつは君たちという素晴らしい『希望』のおこぼれに預かろうとしている、言わば明りに群がる『蛾』みたいなものなんだよ?僕だったら、成れもしない理想に憧れて希望に群がろうとする奴なんて耐えられないね」

「……狛枝君、いい加減にしてくれないかな?」

「ひいいッ!?な、七海さんが怒ってますぅ!?」

「七海落ち着け、ステイステイ。…狛枝つったか、オメーは一つ勘違いをしている」

「勘違い?」

「俺はこいつらが『本科』の生徒だとか『超高校級』の才能を持っているだとか、そんなモンの為にダチやってるわけじゃあねー。俺はこいつらのことを心底気に入ってるからダチになったんだ。そこに下らねー打算なんざ入る余地はねー。仮に皆が希望ヶ峰の生徒じゃあなかったとしても、俺はそれでもこいつらとダチになるっていう確信があるぜ。…何が言いてえかっつーとだな、…人をテメエの勝手な物差しで差し測ってんじゃあねーぞ根暗野郎ッ!」

「…ッ!」

「ひ、日向…!」

「…へっ、言うじゃあねーか」

「それでこそ日向じゃあ!」

「…騙されちゃ駄目だよ。こんな奴、口だけなら何とでも言える。都合が悪くなったらすぐ逃げ出すからさ」

「アンタ、いい加減に…!」

「凪斗ちゃん!ちょっと言い過ぎっすよ!」

「小泉も澪田も気持ちは嬉しいが落ち着け、そんなに好きなら今度デートしてやっからさ」

「ッ!?ちょ、あんた何言って…!?」

「うえええ!?い、いきなりそんな…照れちゃうっすよ~!」

「………」

「…あの、七海さん?視線が怖いんですが…」

「別に…」

「と、とにかく!まずはこんな気味悪いとこさっさと行こう!」

「そうだな。とりあえず来た道を戻るか…」

 そう言って境内を後にしようとした時、

 

 

 

 

「…あら?」

 不意に日向が間の抜けた声を発する。

 

「ど、どうした日向?」

「…お前らさ、そこの通りの小道からここ入って来たんだよな?」

「そうだが…それがどうかしたのか?」

「俺もさ、お前らの後つけてきたから来たルートは同じなんだよな。だからさ、俺も間違える筈がねーんだが…」

「…なんだというのだ?」

 

 

 

「…無えぞ。来た道」

「…はッ!?」

 日向の指差した先を見ると、先ほどこの通りにやって来たときに通ってきたはずの小道が無くなっており、その場所は辺りを囲う塀によって塞がれていた。

 

「う、嘘だろ!?」

「み、見間違いだ!どっかに在るに決まってるッ!」

 しかし、神社の周りを一周しても小道は見当たらず、それどころかいつの間にか神社のある通りの四方を塀で囲まれており、完全に隔絶されてしまっていた。

 

「ど、どうなっとるんじゃあ!?」

「出口がねー上に、周りを壁で囲まれて…これじゃあ帰れねーぞ!」

「ま、まさか…妖狐の祟りかッ!?」

「んな訳ねー…と言いてえけど、マジでそうなんじゃあねーか!?」

「一体なぜ…どうして私たちが祟られなければいけないのですか!?」

「…落ち着けお前ら。冷静になれ」

「落ち着けって…この状況で落ち着けるわけが…」

 

 

 

ガサッ!

「ひぃっ!?」

 突如聞こえてきた何かが動く音に、皆の表情が強張る。

 

「な、何…?誰か居るの?」

「だっ、誰だッ!出てこいッ!」

 呼びかけるものの、それに応える声はない。

 

「き、気のせい…?」

「ぐるる…、気のせいなんかじゃあねーぞ。見えねーけど『誰か』いる…!」

「だが気配を感じないぞ…?」

「…少なくとも、生きている奴は俺達以外にはいねーみてえだぞ」

「…なんでテメーにそんなことが分かんだよ?」

「これさ」

 そう言って日向が差し出したのは、水の入った紙コップであった。

 

「…ただの水じゃねーか。これが何だっつーんだよ?」

「まあよく見ろ。特に、水面をな」

「水面?」

 九頭竜が怪訝そうにコップの水面を見ると、コップを動かしていないにも関わらず水面には奇妙な波が渦巻いていた。

 

「…それが『波紋呼吸法』という奴か?」

「弐大、知ってんのか?」

「うむ。日向曰く、特殊な『呼吸』によって発生する不可思議なエネルギーを操るものじゃ。『超高校級のマネージャー』としては非常に興味深い話じゃったんでのう、根掘り葉掘り聞いとるうちにある程度理解できるようになったわい」

「…随分うさんくせー代物だな」

「それで、これが何の意味があるんだ?」

「この波紋は『生命探知の波紋疾走』、常時この水面に波紋を流し続けることで、周囲の生物の反応を捉えることができる。…が、今のところ俺達以外に生物の反応は無い。つまり今この場には俺達以外には『生きている者』はいないってことだ」

「じゃあ、やっぱり気のせい…?」

「違え…気のせいなんかじゃあねーぞ…!」

「お、終里さん?少し神経質になりすぎじゃあ…」

「いや、終里の言うとおりだ。確かにここには『何か』いる」

「…?意味が分からないな?ついさっき君自身が居ないって…」

「俺は『生きている』奴が居ねーと言っただけで、『何もいない』だなんて言った覚えは無いぜ?」

「…はい?」

「ままま、まさかそれって…ッ!?」

 日向の言葉の意味を薄々理解しかけてきた一同。そこに

 

 

ボシュッ!

「…ッ!危ねえッ!」

「きゃあっ!?」

 小泉の背後に突如出現した『青い火の玉』が襲ってくるのを、日向が間一髪で引き倒すことで回避する。

 

「なな、何じゃあッ!?」

「ひ、火の玉ぁッ!?」

「ゆゆ、ユーレイすぅッ!?」

 眼前でこちらをからかう様に揺れ動く火の玉に、一同は動揺を隠しきれない。

 

「…火の玉ねえ。どーいう理屈で浮いてんのかは知らねーが、襲ってきたところを見るに『敵』ってことでいいんだよな…?」

「ひ、日向…お前、なんでそんな落ち着いてんだよッ!?」

「生憎、俺はこの手の不思議現象にちと『耐性』があるんでね。幽霊だの妖怪だのでいちいちビビッてらんねーんだよ」

「…あんたいつもどんな日常過ごしてんのよ…?」

 

 

 

『フェフェフェ…童どもの中にも賢しい奴が居たとはのう…』

「ッ!?だ、誰だ!?」

「隠れてねえで出てこいクラァッ!」

『ホッホ…そう吠えるな。弱く見えるぞ?』

「なっ…!」

『それに、隠れるも何も既に見えておるではないか?』

「何…?」

 皆きょろきょろと辺りを見渡すが、周囲には何もいない。…目の前で揺らめく、火の玉以外は。

 

「ま、まさか…」

『そうじゃよ。お主らの前に居る火の玉が儂じゃよ』

「ひいいッ!?」

「や、やっぱりユーレイっすーッ!?」

「…やれやれ。稲荷神社の喋る火の玉ねえ…、さしずめそいつは『狐火』、テメエは狐の妖怪ってとこか?」

『ほう…、中々鋭いではないか。お主よもや陰陽師の類かの?』

「悪いがそんな高尚なもんじゃあねえよ。…一つ確認しときたい」

『なんじゃ?』

「…テメエは『スタンド使い』か?それともマジモンの『人外』か?」

「…スタンド使い?」

『ほお…成程、『そっち』じゃったか』

 日向の問いの意味を理解できない一同を余所に、感嘆したような声を漏らす火の玉はその問いに答える。

 

『その問いに答えるなら、『両方』と言った所かのう…』

「…両方だと?」

『うむ。…儂は元々、この地に古くからあった稲荷神社に祭られておった狐の像じゃった』

「狐の像…だと?馬鹿な、モノが意志を持つ訳…」

「その現場に居合わせておいてまだそんなことが言えんのかよ?」

「ぐっ…」

『…じゃが、時と共に信仰は薄れ、いつしかこの社を訪れるものも少なくなり…遂には下らん考えを持った人間どもによって取り壊されることとなってしもうた。儂もまた、本来なら粉々に砕かれ今頃はウメタテチとやらの底じゃろう。…じゃが、儂の強い無念の想いが、いつしかこの地に『ある筈のない神社』として形を成し、儂はこの地に残り続けることとなった』

「…成程、つまりお前のスタンドは『この神社一体を含めた土地そのもの』という訳か。そして本体は壊された筈の『狐の像の思念』…つまり、ある種の『本体の無いスタンド』ってことか。仮に名づけるとするなら『ザ・フォックス』ってところか。…だが、スタンド使いではない俺たちに何故この場所が見える?」

『それは儂がそうさせとるからじゃよ。儂のスタンド…ちょうど良いから使わせて貰おうかの。『ザ・フォックス』の発現条件は『儂自身がこの場所に導くこと』。だから儂は人間の姿を借り、噂や『ねっと』とやらにこの場所の情報を流し、噂を聞いてやって来た人間を儂自身がこの場所に誘導したのじゃよ』

「…あ!じゃああのオジサンは…」

『ああ、ありゃ儂じゃよ』

「なんと!?俗世を支配せし魔人へと姿を変えるというのかッ!?」

「…田中、お前が混ざると余計にややこしくなるから黙っててくれよ…」

「…で、わざわざそんなことをして何がしたいんだ?」

『ホッホッホ、そんなもの決まっておるじゃろう。…『復讐』じゃよ』

「ふ、復讐!?」

 突如として殺気の宿った言葉に、皆の表情に恐れの色が浮かぶ。

 

『儂はただこの地で人々を見守っていただけじゃ。それを貴様らは私利私欲の為だけに儂を破壊し、その存在を忘れ去ろうとしている。ならば儂には、それに対して復讐を成す正当な『権利』がある筈じゃ!…故に儂は、貴様らをこの場にて喰わせてもらうとしよう』

「そ、そんなッ!?」

「て、テメエ!俺らは関係ねーじゃあねーか!やるんだったらテメエをぶっ壊した連中をやればいいじゃあねーか!」

『この神社が取り壊されたのはもう40年も前のことじゃ。当人共はとっくの昔に死んでおる。…それに、人間の言葉にはこういうものがあるじゃろう?『連帯責任』というものがな…。貴様ら人間が犯した罪は、人間全てを以て償ってもらわなければ気が済まぬわ…!』

「う、嘘だろ…!?」

「テンメエ…だったらオレがブッ飛ばしてやるよぉ!」

『フン、お主等には無理じゃよ』

「なっ…!?んなもん、やってみなくちゃ…」

『無理じゃよ。スタンドはスタンドでしか傷つけられん。スタンド使いではないお主では、儂に触れることすらできんのじゃよ』

「なんじゃとお…!?」

 

「……ねえ、聞いてもいい?」

 と、ここで七海が火の玉に問いかける。

 

『…なんじゃ?』

「…君は、私たちを殺して人間に復讐するって言ってたけど、私たちを殺した後…その後、どうするつもりなの?」

『…決まっておろう。また他の人間がこの地にやって来るよう仕向け、そいつらも殺すだけじゃ』

「…まだ続けるの?」

『そうじゃ!この地の人間全てを根絶やしにせねば、儂の『怒り』は収まらぬ!』

「……」

『…なんじゃその眼は?』

「…辛くないの?」

『何…?』

「あなた、元々この土地の守り神だったんでしょ?だったらこの辺りに住んでいる人たちは、あなたが守ってきた人たちの子孫なのかもしれないでしょ?そんな人たちを傷つけて…悲しくないの?」

『…ッ!なにを、今更ッ…!そんなこと、あるわけがないじゃろうが!』

 

 

 

 

 

 

 

 

「…『嘘』、だな」

「…日向君?」

『なんじゃと?』

「アンタの生まれた理由だとか、その辺に関しては本当だろうが…人間に復讐したいだとか、人間に怒りを持っているとかそのあたりは『嘘』だな」

『…何故そう断言できる?』

「…俺はよ、ガキの頃からずっと波紋の修行に明け暮れてきたんだ。波紋を学ぶことで、偉大な功績を残したという爺さんや曾々爺さんたちのことを知ることができると思ったからな。けどよ、俺の波紋の才能は天才と呼ばれた爺さんたちや『ジョースター家』の連中に比べれば平凡なものでな、どんなに努力しようとも持って生まれた天性の『才能』の差を埋めることは出来なかった」

「……」

「だからよ、俺は別の視点から彼らに歩み寄ろうと考えたんだ。当時の彼らは波紋を『闘い』の為に鍛えていた。だが、今の世の中では波紋を闘いの手段として役立てる必要など無い…。だから俺は、波紋の『時代に合わせた活用法』というものを模索していた。その過程で覚えたのが、『人の善悪を見分ける』というものだ」

『善悪を見分けるじゃと…?』

「かのSPW財団の創始者、『ロバート・E・O・スピードワゴン』氏はいい人間か悪い人間かを『臭い』で判断できるほどの人選力を持っていたと聞く。波紋の力を正しく使うためには、それを行使する人間が相手の善悪を見分けられなければならないと考えた。俺は故人の教えに従い、修行しながら何度もヴェネツィアの暗黒街へと足を運び、いろんな悪党どもを目にしてきた。…その俺の『勘』が言ってるんだよ、アンタはいつまでもそんな過去を引きずるような奴じゃあないってな…!」

『………』

 

(…いいぞ日向!なんか動揺してるっぽいぞ!)

(そのまま説得してくれよぉ~!)

 日向の説得とも取れる皆は口を挟むことなく事の成り行きを見守っていた。こうなった以上、もう日向があの火の玉を説き伏せることを期待するほか彼らに選択肢は残っていなかった。

 

 

 

「…まあ、そんなことはどうでもいいんだがな」

「………え?」

 …が、事態は彼らの予想もしない方向へと動いて行った。

 

「お前が何を思ってこんなことをしているのか、その果てに何をしようとしているのか…そんなことは俺にとってはどうでもいい」

「ちょ…おいおい日向!何言ってんだ?もう少しで説得できそうなのに…」

「説得?無理無理、んなもんできっこねーよ」

「な、なんでだよ?」

「よく考えてみろ?幽霊だか化生だか知らねーが、復讐するんならもうちっと効率よくできそうな奴が、こんな足の付きそうなやり方でわざわざ人を集めてんだ。…つーことは、こいつは理由は知らんがかなり『追い詰められている』。そんな奴に虫のいい説得が通用するとは思えねーよ」

「ぐ…」

「…それに、俺の個人的な理由もあるしな」

「理由?」

「おう。…俺からテメエに言うことはただ一つ、誰であろうと、俺の前に『立ち塞がる』ってーんなら、この俺が直々に…ぶちのめす。それだけだ…!」

『…ホッホッホ、ぬかしおる小僧めが…!ならばかかってこい、久々に遊んでやろう…!』

「言っとけジジイ!ツェペリ家の『波紋』の極意、見せてやんよッ!」

 




オリスタンド解説

スタンド名…【ザ・フォックス】(元ネタ、Ylvisの『The Fox』)
性能…破壊力E、スピードD、精密動作B、持続力A、射程距離C、成長性E
本体…かつて稲荷神社に祭られていた狐の像(実物は既に破壊されているため実質的に本体は存在しない)
能力…特定の場所に『神社』のある空間を創り出す。相手を空間内に呼び込む必要があるが、射程内に捉えてしまえば脱出はほぼ不可能。敷地内をどれだけ破壊してもすぐに元に戻るためスタンドを倒すこともできない。本体自身が外に出すか、空間内にいる本体を倒すしか出ることができない。

イメージとしては、8部でジョニイが死んだ場所に『カツアゲロード』ができたような感じで生まれたスタンドです。

賛否あるかと思いますが次で終わりですん我慢してください

…続き書けてねーやどうしよ
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