ダンガンロンパ~黄金の言霊~   作:マイン

211 / 220
約1年半ぶりの本編更新…本当にお待たせしました
その間に色々ありましたね…。来週から始まる待ちに待ったジョジョ5部アニメ、そして小高さんたちダンロンチームのスパチュン離脱…。両作品のファンとしては喜んで良いのかどうか微妙な気分です

この先「ダンガンロンパ」が制作されるのかは分かりませんが、この作品を読んでくれる方が居る限り続けていくつもりですので応援よろしくです

ではどうぞ


追憶編:希望の信奉者

 希望ヶ峰学園は、通常の教育機関とは異なる存在である。故に、各学校で行われている『ペーパーテスト』というものは存在せず、本科生徒は年に一回の『才能実技試験』を受ける必要がある。これは、希望ヶ峰学園の教職員や各分野のご意見番とも言える人物に対し、自分の『才能』を示し、希望ヶ峰学園の生徒として申し分ない存在であるかと言うことを評価してもらうテストである。無論、77期生第一クラスの面々もそれを課されていた。

 

 

 

 

「…という訳で、プリントに書いてあるとおり試験は来週からだから皆頑張ってね!」

『はーい!!』

「いやー、初めての試験だから緊張するっすね!」

「ま、どうってことねえだろ。なんつったって俺らは『超高校級』なんだからよ!」

「ちょっと左右田、そんなこと言ってポカやらかしても知らないよ?」

「むう…そんなことより、俺には幻想に消えた同胞を見つけ出す使命があるのだが…」

「大丈夫です田中さん!私も田中さんのお友達を見つけるのに協力しますから」

「…ったく、呑気な連中だぜ」

 己の『才能』を試される重要な試験を前に、皆は特に気負った様子もなくのんびりしていた。それは彼らの才能が『本物』であるが故の無意識の自信であり、他の皆もきっと大丈夫だろうという信頼の証でもあった。

 

「…そういやよ、俺達はこうやって才能の試験を受けるけど、『予備学科』ってなんか試験とかあるんすか?」

「ええ、もちろんよ。予備学科は年に2回、本科の試験の前と年度末に定期試験が行われるわ。試験内容は現代文、古典、数学、生物、物理、地理、日本史、世界史、美術、体育、音楽、家庭科、郷土文化、外国語、対話面接の『15教科』があるのよ」

「多ッ!なんでそんなに試験があんの?」

「…いや、別に変じゃあねーだろ。予備学科ってのは『超高校級の才能を発掘する』ところだろ?なら手当り次第いろんな試験をするのは当然じゃあねーのかよ?」

「ふむ…そう言われれば仕方がないかもしれんが。しかし、日向のヤツちゃんと試験通ったのかのう…?」

「…大丈夫だよ。日向君ならきっと大丈夫」

「そ、そうは言っても…そんなに教科が有ったら大変ですよぉ…」

「そうだよなー…」

 

 

 

 

 

 

 

「…で、お前どうだったんだよ?」

「呼び出して何事かと思ったらんなことかよ…」

 放課後、日向を教室に呼ぶと左右田達は試験の結果を聞いた。

 

「……」

「…小泉おねえ、なんでそんな後ろでちらちら見てんの?」

「べ、別に…なんでもないよ」

「ふ~ん…」

「…まあ別に隠すようなことでもねーしな。ホレ、これが俺の試験結果」

 日向は自分の試験結果が記された用紙を差し出した。

 

「おーどれどれ…現代文65点、日本史68点…なんかパッとしねえ点数だな」

「しょうがねえだろ?こちとら小中はイタリアで勉強してたんだから、日本のあれこれにはまだ慣れてねえんだよ」

「そりゃそうだけ…どぉッ!?」

 と、一通り目を通していた左右田が突如奇声を上げる。

 

「ど、どうした?」

「お、おい日向…これマジかよ?」

「な、なんなんすか?和一ちゃん?」

「…『100点』」

「は?」

 

「数学と物理、それと外国語が…『満点』なんだよ…!」

「にゃ、にゃにいッ!?」

 予想外のことに皆が用紙を覗き込むと、そこには確かに数学、物理、外国語の3教科が『100点』と記載されていた。

 

「うおーッ!?すげーッ!!唯吹100点なんて見たの小学校の時以来っすよ!」

「日向…お主、勉強できたのか!?」

「あたりメーだろうが。いくら財団の推薦があったからって、希望ヶ峰学園の予備学科は設備こそフツーだけど授業内容は全国トップレベルだぞ。試験合格して入学した奴らに失礼にならないように、俺だって勉強してるんだよ」

「…確かに、そう考えれば小、中をイタリアの学校で勉強していながら国語関係や日本史でこれだけの点を取れているのは、むしろ凄いことなのかもしれないな」

「い、いや…でも、それでも100点ってものすごいよ!なんでこんな点数が取れるのさ?」

「ああ…前にもちらっと言ったかもしれねえけど、俺がこの学園に入学したのは、この『黄金長方形の回転』のメカニズムを解き明かすためだ」

 日向はそう言いながら腰の鉄球を取り『回転』をかけて弄ぶ。

 

「ええ、それはお聞きしましたけど…それが何か?」

「…けど、俺が持ってる『黄金長方形の回転』に関する資料は、60年前に俺の曾爺さんが遺したノートだけでな、ロクに知識がないやつが見てもさっぱり分からねえんだよ。だから、せめてそのノートの内容が理解できるようになるために、財団の協力で数学と物理学、それとその分野の専門家の人たちと論議できるように外国語の勉強だけは飛び級でやってたんだよ。おかげでその手の事に関しては『大学院生』レベルはあると思うぜ?」

「…ふぅ~ん。なぁ~んか意外~、日向おにいって案外努力家だったんだね~」

「意外ってなんだ意外って。俺は自分で言うのはなんだけど根は真面目なんだよ」

「…うん。日向君はそういう人だもんね」

 

 

「…まあ、努力するだけなら誰でもできるしね。けど、そんなもので本当に超高校級の才能が見つかるのか、正直怪しいものだけどね」

「…狛枝、お前またそんな波風立つようなことを」

「まあ、お主の言いたいことも分からんでもないがのう…ワシらとてこうして試験を受けるとはいえ、ワシらの何を以て『超高校級』などと呼ばれるのかはワシら自身にもよく分からんのじゃ。小難しいことはお偉いさん方に任せておけばよかろう」

「そうそう。…そんなことよりよ、試験の景気づけにどっか遊びに行こうぜ!」

「いいっすねぇ~!唯吹甘いもの食べたいっす!ケーキバイキングとかどうっすか?」

「ちょっとまった澪田さん!超高校級の料理人である僕の前でそれは聞き捨てならないなぁ?ちょっと待ってくれればミ○ュランだって星3つつけるような夢のケーキを用意してあげるよ?」

「お前ケーキまで作れんのかよ?」

「当然さ!…まあ、76期生の『超高校級の菓子職人』の人に比べれば流石に劣るけど、それでもそんじょそこらのお菓子屋さんには負けないさ!」

「それはいいね!僕も制作で糖分が欲しくてたまらないから是非お願いしたいよ!」

「…なら結局、いつも通り食堂に集まったほうがいいわね」

「よっしゃ!だったら俺がコーヒー淹れてやるよ。本場イタリア仕込みのイタリアンコーヒーをごちそうしてやるぜ」

「コーヒーぃ?オレちょっと苦手なんだよな~、苦ぇだけだし」

「そいつは本当にうまいコーヒーを知らないからだよ。見てろ終里、俺がお前のその偏見をぶっ壊してやっからな」

「ん…日向君、私砂糖とミルクマシマシの甘いのでお願い~…」

「フハハ!俺は深淵の如きブラックコーヒーを頼むぞ!」

「では私は折角ですのでカプチーノを」

「私コーヒー嫌―い!日本茶がいいー!」

「…お前らフリーダムだなぁ」

 試験から解放されたことで気が楽になったのか、皆は思い思いに喋りながら予定をたてている。

 

「…そうさ。努力なんかでうまくいくものなんて誰だってできるものなのさ。本当の才能は、『努力せず』にできるからこその才能なんだ。何の不確定要素も絡まない絶対的な才能…それこそが、『希望』と呼ぶに相応しいんだから」

 そんな中、狛枝の発した呟きを聞いた者は誰も居なかった。

 

 

 

 その日の午後…

 

「ふぃ~…遅くなっちまった。アイツら勝手におっ始めてないよなぁ?」

 日向は放課後に行われる試験頑張ろうパーティの為、一旦自宅に帰って自前のコーヒーサイフォンを手に会場である食堂へと向かっていた。

 

「…ん?あれは…」

 その道中、通りがかった第1クラスの前で狛枝がソニアとなにやら話し合っているのを見つけた。熱心に話しかける狛枝に対し、ソニアは困ったような顔で返事をしかねている様子であった。

 

「何やってんだアイツら…おーい!お前らそんなことで何してんだ?」

「…チッ。…じゃあソニアさん、『お父さん』たちによろしくね。それじゃ…」

「あ…狛枝さん!」

 声をかけて日向が近づいてくると、狛枝は小さく舌打ちしてソニアに言付けし、去って行ってしまった。

 

「なんだあの野郎…ていうかアイツ今舌打ちしやがったか?おいソニア、何話してたんだよ?まさかとは思うがナンパされてたんじゃあねえよな?」

「いえ、そうじゃなくて…よく分からないんですけど、今度の試験に『お父様達を呼べないか』って聞きにいらしたのです」

「ナニィ?ソニアの親父さんっていうと、ノヴォセリックの国王陛下か?そんな超VIP簡単に呼べるわけねえだろうが…何考えてんだアイツ?」

「…それが、そうでもないのです。実は、最近お父様が希望ヶ峰学園への視察を検討していると本国にいる友人から聞いたのです。希望ヶ峰学園が私の在学するに相応しい学校なのかを改めて見極めたいとのことで…」

「へぇ…随分フットワークの軽い王様だな」

「それがお父様の美点ですから。…けれど、流石に来週となるといくらお父様でも難しいかもしれないと…それに、そんな大事を私の一存決めるわけにもいかないと狛枝さんには伝えたのですが、中々諦めて貰えなくて…」

「…ん?てことは、狛枝はソニアの親父さんが学園に来たがっているってことを知ってたってことか?ソニア、それ他の皆に言ったのかよ?」

「いいえ…一応、そう言っていたと雪染先生には伝えましたが、クラスの皆さんには伝えていませんよ。…もしかしたら、先生に伝えたときに聞こえていたのかもしれません。ちょうどその時に入れ替わりで狛枝さんとすれ違ったので」

「…マジで何考えてんだアイツ?…まあいいや、俺が考えたところでアイツのことが分かるとは思えねえしな。それより、早く食堂行こうぜ。もう皆待ってんだろ?」

「あ、そうでした!じゃあ日向さん、行きましょうか」

「おう!」

 

 

 

 後日…本科生徒たちの実技試験当日を迎え、それに伴い予備学科の教員もその補助のために駆り出された為、日向たちは自習を余儀なくされていた。

 

「…なんで俺らが本科の奴らのために自習させられてんだか。俺らだって希望ヶ峰学園の生徒だって言うのによ」

「所詮俺達ぁオマケってことだろ?本科様々ってね…ムカつくぜ」

(…荒れてんなぁ、皆。まあ無理もねえけどよ…)

 明らかに蔑ろにされていることに自習そっちのけで愚痴を言い合うクラスメイトたちに日向が苦笑していると、ふと思いがけない会話が聞こえてくる。

 

「…そういえば知ってるか?今日の本科の連中の試験に、あの『ロックスター』のTAKESHIが来るんだってよ!なんでも本科の『超高校級の軽音部』って奴の試験を見に来るそうだぜ」

「ああ、俺も聞いた!他にも『三つ星レストランのシェフ』とか、『プロゲーマー』とかも来てるらしいぜ」

「スカウトとかだったりするのかな?…なんかズルいよねそういうの」

(…はぁ?そんな大がかりなことになってんのかアイツらの試験…?アイツらそんなこと言ってなかった…というか、知っている風には見えなかったが…)

 と、詳しく話を聞こうと立ち上がったその時…

 

 

ガラッ!

「我が盟友よ、ここに居るか!?」

「へ?た、田中?お前なんでここに…」

 息を切らせて教室に入ってきた田中に眉を顰めていると、田中は日向を引きずるようにして連れだして行く。

 

「悪いが『緊急事態』だッ!他の連中は試練の最中故手が空いていない、手を貸して貰うぞ日向!」

「おおっ!?わ、分かったから…マフラー引っ張るんじゃあねーッ!」

 

 

 

 

 

 

 

「…つまり、テスト前から行方不明になってたお前のワン公がまだ見つからなくて試験に集中できないから、一緒に探して欲しいってことか?」

「そういうことだ。…生憎雌猫共は試練の準備で手が離せん、お前ぐらいしか頼る宛てが無かったのでな」

「…ったく、こんな土壇場になる前に言えよな。ま、付き合ってやるよ。捜し物は得意だしな」

 田中から事情を聞いた日向はそれを快諾し、共に犬の捜索に当たることとなった。

 

「フハハ、流石は我が盟友!そう言ってくれると思ったぞ。…本来なら下らん試練よりも我が僕の魔獣を探すことの方が優先なのだが、俺の試練の裁定者にかの『王国の主』が見えるとあらば捨て置くわけにもいかん。一刻も早く我が友を探し出し、この『封印されし田中』の全力を見せつけてやらねば沽券に関わるのでな!」

「王国の主って…まさか、あの(有明海の名物)さんかよ!?…っと、そのことで聞きたかったんだ。お前ら、今回の実技試験のこと知ってたのか?俺は詳しいこと聞いてねえから知らなかったんだけど、そんな大物ゲストが来るってのによくもまああんな呑気で居られたもんだな」

 半ば呆れたように日向がそう言うと、田中は歯切れが悪いように答える。

 

「…いや、実は俺達もそこまでは知らされていなかったのだ。裁定者としてそれぞれの『才能』に関わる専門家が来るとは聞いていたが、それが誰なのかを知らされたのはつい『昨日』のことなのだ。おかげで学園の者どもは大騒ぎだ…」

「あんだって?…希望ヶ峰学園ともあろうものが、そんな初歩的な『伝達ミス』をしたってのかよ?担当者さんご愁傷様…」

「…果たしてただの『ミス』かな?この覇王の目には、何者かが『意図的』に事を荒立てたように思えるがな。少なくとも、雪染はつい昨日までそのことを知らなかったようだからな」

「先生が?そりゃいくらなんでも……おい田中、先生はそのことをどうやって知ったんだ?先生が試験の担当官じゃ無い以上、『誰か』から聞かなきゃ分からねえだろ」

「そこまでは知らん。…が、気になることが一つある。その話の後、雪染が狛枝を呼び出していた。何を話したのかは知らんが、なにやら抑えきれない『憤怒』を雪染から感じたぞ」

「狛枝…?そういえば前にソニアとも…まさか、あの野郎の狙いは…」

 

 

 

ズシン…ズシン…!

 突如として聞こえてきた重々しい『音』が、日向の思考を中断させる。

 

「んあ…?何のお…と…?」

 辺りを見渡そうとした日向と田中に『影』がかかり、思わず顔を上げた二人は…絶句した。

 

ズシン…ズシン…!

「…ワン!」

 どこからともなく二人の眼前を横切ったのは、全長『10メートル』はあろう巨大な『パピヨン』であった。巨大パピヨンは足下にいる二人に気づくこと無く、そのまま何処かへと行ってしまった。

 

「…おい、田中。まさかとは思うが…アレがお前さんの眷属って奴じゃあねえよな?」

「うむ…流石は我が至高の眷属だ!数日にしてここまで成長するとは、新入りではあるが俺の新たな側近として迎え入れる価値は十分にあるぞ!フハハハハハッ!!」

「…んなワケあるかッ!あれどう見たって『成長』したんじゃなくて『巨大化』してるだけだろうが!つか、なんであんなデカくなってんだよ!?お前なんか変なモン喰わせてねえよな?」

「フッ…よくぞ気づいたな!奴の食事は俺自らが厳選した究極の万能食(ドッグフード)だ。それを食せばあのようなことなど造作も…」

「い・い・か・ら…真面目に話せ」

「…ま、まあ確かに、少しばかり力の解放が早い気はするがな。俺にとってもアレは予想外の事態ではある…」

「ええい、何がどうなってんだ?……考えてもしゃあねえか、まずはあのワン公をとっ捕まえるぞ!」

「フフフ…待っているが良い『コンプA』!貴様の主が誰なのかを改めて調教してやるぞ!」

 

 日向と田中は慌てて巨大パピヨンの後を追いかけるのだった。

 

 

 




原作では菜摘とサトウが死んだことでクラスが消沈し、それを危惧した狛枝が試験を先送りにしようとしましたが、今作では二人が無事なので問題なく試験が行われます

…今回の狛枝の行動はだからこそ起きた、ということです。詳しいことは次回で…

同時更新のオーブ外伝の方もよろしく!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。