ダンガンロンパ~黄金の言霊~   作:マイン

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もうちょっとだけ本編更新します。今回日向のキャラ崩壊注意です。真面目な日向君が好きな人は心しといてね…

ジョジョ5部アニメ、ポルポの試練が始まりましたね。アニメで声が付くとポルポの人外感が一層増した気がしますね。…と言うより全体見ても5部は基本肉体的には「普通の人間」しか出てこないのに見た目が人外じみてる奴が多いんですよね。アゴの無いペッシとかカルネにバラバラになっても生きてるチョコラータとか。

ではどうぞ



リゾート・バケーション…!?

 日向たちが散開してから数時間後、散らばった生徒たちは再び浜辺へと集まっていた。

 

「さて…これで島中を見て回ったことになるが、お前たちの意見を聞かせて貰おうか」

 一同にそう問いかけるのは、『超高校級の御曹司』である『十神白夜』。太ましいその体型に見合ったような尊大な態度ながらも、皆はそれに対して各々口を開く。

 

「いやー、なんていうか…一言でいうと『リゾート』だね。この島は」

「確かに…閉じ込めるとかそういう感じではないよね」

「フフフ…現世に残るただ一つの楽園(エデン)か。羽を休めるには悪くない場所ではあるな…」

 感心したように言うのは、『超高校級の料理人』である『花村輝輝』と、『超高校級の写真家』の『小泉真昼』、『超高校級の飼育委員』、『田中眼蛇夢』である。

 

「いやいやいや!騙されんじゃねーってお前ら!『空港』があんのに飛行機が一機も使えねーのは考えてもおかしいだろうが!」

「確かに…『スーパー』や『ホテル』といった生活に必要な設備はあるが、外との『連絡手段』が一切ないのは少し気になるのう…」

「それだけじゃあねえ…。島中にある『モニター』や『監視カメラ』…どう考えたって怪しいだろうが!」

 猜疑心を隠し切れないのは、『超高校級のメカニック』の『左右田和一』、『超高校級のマネージャー』の『弐大猫丸』、『超高校級の極道』『九頭竜冬彦』だ。

 

「ん~…でもー!ウサミちゃんが言ってた通り危ないもんとかはなかったし、これはこれで面白そうじゃないっすかー?」

「オレは別にいいぜ!ここの食いモンはうまそうだしな!」

「これがジャパニーズ『臨海学校』ですのね!私、感激です!」

 それに対し楽観的な感想を述べるのは、『超高校級の軽音楽部』『澪田唯吹』に、『超高校級の体操部』の『終里赤音』、『超高校級の王女』である『ソニア・ネヴァーマインド』である。

 

「プークスクス!バカどもが悠長なこと言ってホントに馬鹿みたーい!」

「…どちらにせよ、まだ様子を見るべきだろう。それに、この島ともう一つの島以外が『封鎖されている』ことも不可解だ…」

「はうう…何も分からないのって不気味ですぅ~…」

「…ふぁ~あ」

 特別これといった意見を出さないのは『超高校級の日本舞踊家』の『西園寺日寄子』、『超高校級の剣道家』『辺子山ペコ』、『超高校級の保険委員』の『罪木蜜柑』に、『超高校級のゲーマー』の『七海千秋』である。

 

「…とりあえず全員に共通するのは、まだ『信用できない』ということか。この島も、あのウサミとかいう謎のぬいぐるみもな…」

「…あれ?全員?誰か足りないような…」

「あのノーテンキ野郎と白髪頭がまだ戻って来てねえみてえだぞ」

「行きは遅れて帰りは遅刻とか、本当に最低ねアイツ…!」

「ま、まあまあいいじゃないか!島の散策中には会ったんだし、きっとなにか訳があるかもしれないし…」

 

 

 と、その時。

 

「…おーい!待たせたなー!」

「やっと来た…!おっせぇぞお前…ら…?」

 遅刻したことに左右田が怒鳴ろうとしたが、それは急にしぼんでしまう。

 

「…あ、やっぱり皆驚いてるよ?」

「だろーな、ハハッ!」

 なぜなら向こうからやって来たのは、どういう訳か『馬』に乗って歩いてくる日向とその隣にいる狛枝だったからだ。

 

「…おい日向。その馬はどうした?」

「こいつか?実はさっき『牧場』でよ…」

 

 

 

 

 話は数分前のこと…

 

「ここは…牧場か?」

「みたいだね…のどかでいい所じゃないかな?」

 島の散策中、日向と狛枝は島の一角にある『牧場』へとやって来ていた。

 

「しかし…なんか寂しい牧場だなこりゃ。馬が一頭に鶏がちょろちょろ…枯れ木も山の何とやらとは言わねーが、なんとかならんかったんかね?」

「それは…僕に言われてもなあ…?」

 

 

 

「よくぞ言ってくれまちた!」

「どぉッ!?」

 突如足元から現れたウサミに思わずたじろぐ日向。

 

「ど、どっから来たんだお前は…?」

「ウフフ…あちしは世界一神出鬼没なウサギなの!最近巷で話題の『喋るアンゴラウサギ』にはまだまだ負けまちぇん!」

「…さいでっか」

「それにしても困りまちたね…。確かに少し寂しいでちゅ。特に『牛さん』がいないのは死活問題でちゅ。牛のいない牧場なんて、砂糖と炭酸の入っていないラムネでちゅ…」

「それただの水だよね…?」

「よーし!ここはあちしとこの『マジカルステッキ』にお任せくだちゃい!」

「マジカルステッキって…それか?ホントに大丈夫なのかよ?」

 ウサミの手に持つパッと見玩具にしか見えないそれに、日向は胡散臭そうな顔になる。

 

「むー!信用してまちぇんね!じゃあご覧あれ!」

 ウサミは近くにいた鶏にステッキを向け、呪文のような言葉を話し出す。

 

「ペ~イジジョンズプラ~ントボ~ンナ~ム…」

「おい、あれ呪文か?」

「多分…そうじゃない?」

「えいやー!牛さんになれー!」

 その言葉と共にステッキから光が放たれ、それに包まれた鶏は…

 

 

 

 

 

ボウン!

 煙と共に『牛』になってしまった。

 

「…はあッ!?」

「これは…驚いたね」

 唐突な出来事に日向も狛枝も愕然としてしまう。

 

「えっへん!大成功でちゅー!」

「ま、待て待てぃ!いくらなんでもおかしい…ハッ!そうかウサミ…お前ヌイグルミとか言って実は『スタンド使い』だったんだろ!」

「…スタンド使い?」

「それは違いまちゅよ。あちしは本当の『魔法』が使えるんでちゅ。その証拠に、日向君や狛枝君にもあちしの魔法が見えてたでしょ?」

「…た、確かに…」

「ねえ…何の話なの?スタンドとか…」

「…気にすんな。知らない方が幸せになれっからよ…」

「…?」

 

 

パカ…パカ…

「…ん?」

 と、理解に苦しむ日向の傍に、一頭の馬が近づいてきた。

 

『ヒヒーン』

「…どうしたんだコイツ?」

「妙に日向君にすり寄って来るね」

「ウフフ…どうやらその子は日向君のことが気に入ったみたいでちゅね」

「え?…そう、なのかお前?」

『ブヒヒーン!』

 優しく鬣を撫でながら問う日向に、馬は元気な嘶きで応える。

 

「…ハハッ。なかなかカワイイ奴じゃあないか」

「よかったら日向君、名前を付けて面倒を見てあげたらどうでちゅか?」

「え?いいのか?」

「もちろんでちゅ!餌は辺りの草を食べさせればいいから、偶に遊んであげてくれればそれでいいでちゅよ!」

「…ならいいぜ。しばらくこいつを預からせてもらうよ」

「りょーかーい!それじゃ、名前を付けてあげてくだちゃーい」

「名前ねえ…」

「日向君は、どんな名前にするの?」

「そうだな…こいつ、よく見りゃ結構トシいってるからな。競馬の馬みたいに元気な名前も合わねえし……よし!決めた、お前の名前は『スローダンサー』だ!」

 

『ヒヒーン!』

「スローダンサー…なかなか洒落た名前だね」

「オッケーでちゅ!じゃあ日向君、その子の事よろしくでちゅ!サービスで『鞍と鐙』もつけてあげまちゅ!…あ、あとそろそろ皆も見て終わる頃でちゅから最初の砂浜のところまで戻ってきてくだちゃーい!」

「あいよ」

「それじゃ、あちしは皆にも伝えなきゃいけないので…バイバーイ!」

 日向に馬…スローダンサーを預け、その背に『鞍と鐙』を取り付けるとウサミはそのままどこかへ行ってしまった。

 

「…じゃあ、そろそろもどろっか」

「だな。…お前も行こうか、スローダンサー」

 

『ヒヒーン!』

 

 

 

「…ってことがあってな」

「それはまた…随分凄いプレゼントをもらったな」

「ここに戻る前に渡された『電子生徒手帳』といい、ウサミって結構太っ腹っぽくないっすか?」

「まあ、腹は出てるしな」

「誰かさんみたいにねー?」

「…おそらく俺の事だろうが突っ込まんぞ」

「わあ!可愛いですねー!」

「う、うむ…おとなしいな…」

「…どうやら遅刻のこと、うまいこと誤魔化せたみたいだね」

「計画通り…!」

 

「…さて、その馬とこいつらの遅刻の事に関してはもういいだろう」

「…あ、駄目だったみたいだね」

「チェッ…」

「それより…俺はこの島を見て回って『ある重大な事実』に気が付いたのだ」

「重大な事実…?」

「この島から橋を渡った先にある『公園』は知っているな?」

「ああ…あの『3人のイイ男の銅像』があったあそこだよね?それがどうかしたの?」

「イイ男ってあんた…」

「もしかして…この島の事が分かったのか?」

「アレを見た時、以前聞いた『ある噂』を思い出したのだ。…太平洋のど真ん中のどこか、『世界で最も引力が弱い場所』と呼ばれるそこに風光明媚な常夏の楽園と呼ぶにふさわしいある『島』があると。そこは某国の宇宙開発事業の一環の為に基本的は知られてはいないが、世界の名だたるVIPが集うリゾート地でもあるらしい。中央の小さな島を中心として『5つの島』から構成されているその島々は、『島の守り神の像』を島の象徴としているらしい」

「それって…この島と同じですよね?」

「で、その島の名前は?」

 

「その島の名は…『ジャバウォック島』だ」

「ジャバウォック島…?」

「…おいおい、随分物々しい名前の島だなそりゃ」

「へ?ど、どういう意味だ?」

「『ジャバウォック』というのは、『不思議の国のアリス』というお話に出てくる『正体不明の怪物』の名前です。日向さんが仰りたいのはそういうことですね?」

「流石ソニア、博識だな」

「じゃあまさか…僕たちがいるこの島が、そのジャバウォック島ってことなのかい?」

「そうなると…俺らはさしずめこの島に迷いこんだ『アリス』で、ウサミは俺たちを呼び込んだ『白ウサギ』ってことか?」

「妙に状況が一致しすぎているな…」

「…だが『妙』だな。俺が聞いた話ではジャバウォック島は既に…」

「え?」

「…いや、やめておこう」

「待ったれや。随分中途半端な話の切り方じゃあねーか」

「喚くな。…まだ確信が持てないのでな。もう少し調べたら俺から話してやろう」

 

「つーか、別に島の名前なんてどうでもいーけどな。ニコニコ島だろうとひょうたん島だろうとさ…どの道しばらくはこの島から出られねーんだろ?」

「そうっすよね!ウサミも『修学旅行』って言ってたし、その内帰れると思えば南国での共同生活とかチョー楽しみじゃないっすかー!」

「…ま、そうだよな!学校行事とはいえメンドクセー学校に通う訳じゃあねーモンな!」

「わーい!私もこの島は気に入ったよー!…参加メンバー以外はね」

「あれ?空耳が聴こえたなあ…?」

 状況が曖昧なだけに、『島から出られない』と考えるよりも『その内帰れる』という考えにシフトしていったのか、皆の間からも前向きな声が出始めた。

 

「…呑気なものだな」

「ま、いいんじゃあねえの?ずっと後ろ向きな考えに浸ってるとかよりはナンボかマシだろ?…それによ、『疑い続ける』よりも『何かを信じる』気持ちがあったほうが人生楽しいと思うぜ?」

「……フ、お前のような奴に励まされるとは俺もヤキが回ったな」

「どーいう意味だそりゃ!?」

「…素晴らしいよ!その考え方!」

「うおッ!?」

「『何かを信じる』…それはまさに『希望』そのものじゃあないか!やっぱり君について行ってよかったよ!ハハッ!」

「…お前、結構気持ち悪いのな…」

「しかし…そうは言っても何らかの『脱出手段』ぐらいは講じておくべきだろう。あのウサミが完全に信用できるわけではないのだからな」

「泳いで帰ればいいだけじゃあねーの?」

「気合じゃああッ!!」

「馬鹿!無理に決まってんでしょ!」

「なら、その辺の木を切って筏でも…」

 

 

「あ、それは駄目でちゅよ!」

「うおッ!?また出たッ!」

 またもやいきなり現れたウサミに皆が驚く。

 

「駄目って…どうしてですかぁ?」

「ミナサンの『電子生徒手帳』の『修学旅行のしおり』の項目を見てくだちゃい」

「しおり?…『この島の植物をむやみに傷つけたりごみを捨ててはいけません。自然は大事にしましょう』…」

「ね?ミナサンにはこの美しい自然と共存しながら平和な日常を送って欲しいんでちゅ」

「…随分とルールにこだわってるようだな。何か『理由』でもあるのか、白ウサギ…?」

「ほわッ!?べ、別にそんな深い理由はないんでちゅよ!ただ…ほら、一応皆さんは『希望ヶ峰学園』の看板を背負って来ている訳でちゅし、そういうことをされると学園の評判にも関わって来るって言うか…そういう訳じゃダメでちゅか?」

「…それなら、仕方ないよね」

「急に先生らしいこと言い出したなお前…」

「うう…みんな酷いでちゅね。そんな言い方をされると『プレゼント』をあげまちぇんよ?」

「プレゼント?」

「プレゼントというか…『動機』でちゅね?」

「動機?」

「そう!ミナサンがより仲良くなる為の『動機』を用意したんでちゅ!折角南の島に来たんでちゅから、それっぽいことしないと思い出にならないでちょ?」

「なんだ?歓迎パーティでもすんのか?」

「ピンポーン!」

「お祭りですか?ではお神輿ですわね!すごく楽しみですわ!」

「いやいやソニアさん、それ日本のお祭りです…」

「ところでソニアさん…僕の下半身が毒で腫れてしまっているので、お口で吸いだしてくれると非常に助かるのですがッ!」

「ちょっと!花村クンってば!」

「下半身ですね、分かりました!」

「ソニアさんも分かっちゃ駄目だって!」

「アンタいい加減に…」

「待て花村!」

「あ、良かった…。日向君も止めて…」

 

 

 

 

「いきなりそれはハードルが高い!まずは『指』とかから慣らしていくのが『紳士』のやり方だ!」

「成程、それもそうだね!」

「アンタもそっち側かいッ!」

「「イェーイ!!」」

 

ピッ、ガシ、グッグッ

 

「いやー、初めて会った時から君とは気が合いそうな気がしてたんだよ!」

「ニョホホ、俺もだぜアミーゴ!」

「変態共が馴染んでやがる…」

「フ…これが強者の共鳴か…」

「強いのは『性癖』だけだけどねー」

「ウフフ…さっそく仲良くなれてるみたいで先生は嬉しいでちゅ」

「ところでところで!プレゼントって一体なんなんすか?」

「それは…これでーちゅ!」

 ウサミがどこからともなく取り出したのは、男女でそれぞれ色分けされている『ナイロンバッグ』であった。

 

「これは…『水着』!?つーことはもしや…!」

「はいッ!ミナサンの水着を用意させて頂きまちた。とりあえずスクール水着だけど勘弁ね」

「これで泳いでもいい…ってことかな?」

「…おいウサミ!」

「は、はい!?お気に召さなかったでちゅか?」

「…それは『旧式』か?『新式』か?」

「へ?」

「『旧スク』か『新スク』かと聞いているんだッ!」

「そこ重要なの!?」

「え、えと…一応『旧式』でちゅけど…駄目でちたか?」

「…ウサミ」

 日向は真顔でウサミに目線を合わせると

 

 

 

 

 

「…グッジョブッ!!」

 爽やかな笑顔で『サムズアップ』する。

 

「へ?」

「ニョホッ!お前分かってるじゃあねーかよぉ~!やっぱりスク水は『旧式』だからな?『新式』も悪くないがあの『セパレート』がなんとも言えねえんだよなぁ~?」

「へ、変態だーッ!!」

「失礼な、変態ではない!仮に変態だったとしても、それは変態という名の『紳士』だ!」

「まったくその通りだね!」

「アンタらいい加減にしろぉッ!!」

「「イェーイ!」」

 完全に悪ノリしている日向に真面目な小泉などは早くも振り回されていた。

 

「…いいなー、楽しそうで」

「あれ?左右田君は混ざらないの?」

「バッ…!バカ言うな!俺をアイツらと一緒にすんじゃあねーよ!」

「アレ?でも今いいなーって…」

「わーわー!言うんじゃあねーッ!」

「と、とにかく気に入ってもらえたようで何よりでちゅ…。じゃあ、向こうに個室があるから泳ぎたい人はどうぞでちゅ」

「いやっほぉぉぉうッ!!」

「よっしゃ行くぞォォォ!」

 叫ぶや否や大多数のメンバーがカバンを取ると着替えの為に走り去っていった。

 

「走って転ぶなよー!特に罪木―、お前そそっかしそう…あ、もうコケた」

「…なんだ、お前は泳がんのか?」

「あれだけ変態丸出しだったのに意外だねー?もしかして日向おにい泳げない?」

「馬鹿言ってんじゃあねーよ。俺が本気出したらオリンピックの記録総なめにできるぜ?…ただ、訳あってガキの頃に死ぬほど海で泳いだからよ。しばらくはこりごりなんだよ…」

「へー、溺れかけたとかか?」

「んなもん有り過ぎてトラウマになんかなりゃしねーよ。ただ単に嫌な思い出ばかりなだけだよ…」

「ケッ、メンドクセー野郎だ」

「…フフ」

 

 

 

 

 

 それからしばらくして、着替えを終えたメンバーは皆思い思いに海辺で遊んでいた。

 

「イヤッホォォォウッ!!」

「わーいわーい!海ですよぉ!」

「ねぇー!スーパーから日焼け止め持って来たけど、塗って欲しい人はいるー?」

「応ッ!気が利くのぉ!では、さっそく頼むとするぞぉ!」

「え…?筋肉モリモリのマッチョマンにオイル塗れって……うん、オッケーだよ!僕って守備範囲広いからね!」

「広すぎでしょ…一人で全ポジションカバーしちゃってんじゃん…」

 

 

「…マーベラスッ…!ここが…ユートピアッ…!!」

「楽しそうだね…」

「海に入っても無いのにここまで恍惚とした表情を浮かべる人間を俺は初めて見たぞ…」

「ちょいちょい創ちゃーん!唯吹達を視姦して楽しむなんてイヤラシイっすよーッ!そんな変態はこうだーッ!!」

 

バシャアッ!

「うわっぷ!?…な、なにしやがる澪田ぁ!」

「やーいやーい!悔しかったらここまでおいでーっす!」

 波打ち際にいた日向に海水を吹っかけそのまま海に逃亡した澪田は、着替えていない日向を挑発する。

 

「…よーし!お望みどおり行ってやろうじゃあないかッ!」

 日向はニヤリと笑うと首に巻いたマフラーと腕のバンダナを外し、シャツと靴を脱いで上半身裸になる。

 

「うおッ!?日向の奴…よく見たら弐大に負けねえぐらいムキムキじゃねーか!」

「ぬうう…なんという無駄のない筋肉じゃあ…!まるでギリシャの彫刻のような美しさ…筋肉の量では負けておらんが、『肉体美』では奴の勝ちじゃあッ…!」

「うほっ!いい男…!」

「ちょ、ちょっと!日向君、水着に着替えないまま海に入っちゃ駄目でちゅよ!」

「分かってるって!…要するに、『海に入らなきゃ』いいんだろ?」

「へ?そ、そうでちゅけど…」

「だったら黙って見てな…そりゃ!」

「あ!日向君!」

 意味深な言葉を言い残し日向は波打ち際から海へと飛び込んだ。そしてそのまま海中に突っ込むかと思われたとき…

 

 

「コォォォォ…!」

 日向が突如奇妙な『呼吸』をすると同時に

 

バシャン!

「…え?」

 日向は、『海面に』着地…というより『着水』した。

 

「…えぇぇぇぇぇぇぇぇえッ!!?」

「う、海の上に『立ってる』ッ!?」

「どど、どうなってるの!?ありえないよ!」

「それがあり得るかも♪…ってな。さぁて…そこから動くなよ澪田ぁ~?」

 周囲の皆が揃って唖然とするなか、日向はポカンとする澪田に向かって『海面を歩きだす』。

 

バジッ!バジッ!バジッ!

 一歩歩くごとに、海面には奇妙な『波』が立ち足元からなにやら『弾く』ような音がするが、日向が海面を歩く姿は陸を歩いているかのごとくスムーズなものであった。

 

「ひぇぇぇぇッ!?か、海面をッ!海面を『立つ』だけじゃなくて『歩いて』やがるッ!?」

「『ニンジャ』ですッ!あれは『ニンジャ』の『ニンポー・ミズグモ』です!日向さん『ジャパニーズニンジャ』だったんですねッ!」

「忍者とはちょい違うんだよなぁこれが…」

「お、おい日向!それどーやってんだよ!?オレにも教えてくれよ!」

「そいつは後でな。まずは…どこに行こうというのかね澪田クン?」

「ひぃ…!?」

 にじり寄ってくる日向に恐怖を覚えたのか泳いで離れようとする澪田であったが、『泳いでいる』澪田が『歩いてる』日向を引き離せるはずもなくあっという間に回りこまれて眼前でしゃがまれ道を塞がれてしまう。

 

「あ、あの…創ちゃん?さっきのは唯吹の冗談っていうか…」

「お前言ったよな?『悔しかったらここまでおいで』って…ってことはだ、追いつかれたら『おしおき』される覚悟があるってことだよな?」

「ひぃぃ!け、汚されるーッ!唯吹のヴァージンナイトが汚されるーッ!」

 嬉しそうに笑いながら両手を怪しく動かす日向に澪田は思わず悲鳴を上げる。

 

「こ、コラーッ!日向君、えっちぃことは禁止って言ったでしょー!」

「えー?いいじゃあねーかよウサミ先生よぉ。こういうのは『お約束』ってもんだろ?」

「駄目なものはダメーッ!過度なスキンシップは『同意の上』でしか認めまちぇん!」

「同意の上ならいいんだ…」

「…しょぉ~がねぇ~なぁ~」

「ホッ…。助かったっす…」

「…じゃあ『エロくない』おしおきならいいよなぁ!」

「ひーッ!やっぱり助かってなかったす!ヘルプミー!」

 澪田へのおしおきを止める気が無い日向に、皆が呆れ返りながらも止めようとした時…

 

 

 

ゴロゴロゴロゴロ…!

「…ん?」

 雲一つない晴れやかな青空が一転、突如として暗雲が辺りを包み込みあっという間に真っ黒な曇り空になってしまった。

 

「え?…え?な、なんなんすかコレ!?」

「まさか…南国特有の『スコール』か?いや…それにしては急すぎるな…おい!ウサミ先…生?」

 余りにも急激な天候の変化に状況を教えて貰おうとウサミの方を見るが、当のウサミの様子は異常であった。

 

「え?…あれ?」

「おい、どうした?貴様なら何か知っているだろう…」

「あ、あわわ…な、なんでちゅか!これぇぇぇぇえッ!!?」

「…お前の仕業じゃあねーのか?」

「し、知りまちぇん!あちしは何もしてないのに…こんなことあり得ないでちゅよ!」

 

「…どうやらウサミ先生にも分かんねーみたいだな。一体何が…」

 

 

…と、その時であった。

 

 

 

 

『あー、あー!…マイクテス!マイクテス!』

『ッ!?』

 砂浜に設置されていたモニターから、そんな陽気な濁声が聴こえてくる。

 

『うぷぷ…こいちゃった?ビックラこいちゃった?…ですよねー!』

「な、なんだこの声は…?」

『さて、大変長らくお待たせしました。下らない余興はこのぐらいにして…そろそろ、『真打ち』の登場でございます!オマエラ…『ジャバウォック公園』にお集まりくださーい!』

 そう言い残すと、その『声』は聞えなくなった。

 

「なんなんだこれは…。おいウサミ!お前はなにか…」

「ま、まさか今の声って…!」

「…ウサミ?」

「あ、あちしがなんとかしないとッ!!」

 声を聞いた瞬間焦りだしたウサミはすぐさまジャバウォック公園へと飛んで行ってしまった。

 

「あっ!おい、ウサミ!?」

「ど、どうしたんでしょうウサミさんは…?」

「どうやらあの『声の主』を知ってるようだが…態度からするにロクでもない奴らしいな」

「…どの道、ただごとじゃあねーようだな。俺も行ってみるか…」

「へ?行くって、どこに…」

 目の前の日向の言葉に澪田が首を傾げた瞬間

 

 

「パウッ!!」

バシャァ!

 掛け声と共に日向は『しゃがんだままの体勢』で砂浜目掛けてジャンプする。

 

「うひゃッ!?」

「しゃ、しゃがんだままッ!しゃがんだままの体勢であれほどの跳躍をッ!?」

「やっぱりニンジャです!ニンジャパワーです!」

 またもや驚く皆の頭を跳び越えると、日向は先程跳んだ波打ち際に着地する。

 

「来いッ!スローダンサー!」

『ヒヒーン!』

 

 手早く足元の衣服を拾い上げると、日向は砂浜で待機させていたスローダンサーを呼び寄せその背に飛び乗る。

 

「お、おい日向ッ!?」

「俺は先に行くッ!何があるか分かんねえから皆は着替えてから来てくれ!」

「ま、待てよぉ!」

「行くぞスロー…」

 

ドスッ

「うおッ!?」

「…私も一緒に行く」

 スローダンサーを走り出そうとした日向の後ろに七海がしがみつくように跳び乗る。

 

「な、七海!?け、けど…危険かもしれないぞ?」

「この島から出られない時点でどこに居ても危険なことには変わらない…そうでしょ?」

「…しょうがねえな。じゃあしっかり掴まってろよ!」

「うん…」

「行くぞスローダンサー!ハイドゥ!」

『ヒヒーン!』

 展開について行けない皆を残し、日向と七海を背に乗せたスローダンサーはジャバウォック公園へと駆け出していった。

 

「ま、待てって…つーか馬速ぇ!」

「チッ…仕方がない。貴様ら、日向の言うとおり着替えてから来い!俺達は先に行く!」

「なんなんだよクソが…」

「むー!カニさん、もっと潰したいのにー!」

 日向の後に続いて海に入らなかった組が、その後に大急ぎで着替えた海遊び組もジャバウォック公園へと向かっていった。

 




唐突に馬が出てきた理由は、ゲームやってるときに「いくらゲームでも島を移動するのに徒歩ってキツくね?」と思ったが故の移動手段です。…まあ、勘の良い皆様なら本当の理由はお見通しでしょうが

同時更新のオーブ外伝の方もよろしく!ではまた次回
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