…ヒロイン回は3話構成と言ったな。スマン、ありゃ嘘だ…。苗木とのイチャコラ回を含めると4話構成にせざるを得なかったぜ。まあ、尻切れトンボよりはマシと思うからこらえてくれ…
絶望編7話視聴。
生徒会の虐殺事件…予想以上にヤバい!本当に無印コロシアイ学園生活のデモンストレーションだったんですね…。しかもあれと違って短期間でのコロシアイな分死んでいくスピードがマッハ+エグいのばっかり…。
キャラ描写が薄かった分ちょいとばかし物足りなさはありましたけど、その分各キャラのどんどん狂っていく感がすごかったですね。…あのロリ系オッドアイ娘はもったいなかった。番外編で登場できないかな…?
あと生徒会長「村上」って名前だったけど村雨じゃないん?もしかしてゼロとは少し時系列をずらしてあるのかな?まあ面倒ですからこっちは村雨で通しますけど
残姉ちゃんの「翼をください」と狛枝のシャワーシーンとかいう2大サービスシーン。後者はともかく前者は良かった。完全にエヴァのパロだったけど。収録してる時に緒方さんが苦笑いしてそうでしたね
そして御手洗のアニメ。想像以上にやばい代物だった模様。ネウロに出てきた「電子ドラッグ」を思い出しました。妹様はどう悪用するつもりなのか。そして御手洗は最終的に「どっち」なのか。拉致られた罪木の行く末も含めてどうなるか楽しみですね。
…ところで休養すると聞いた野原ひろし役の藤原さんの代理、森川さんになったらしいですけど、黄桜役の方はどうなるんでしょうね?森川さんは宗方ですから兼ね役は無理でしょうし…その辺教えて公式さん!
…ところでまったく脈絡はありませんが皆さんシン・ゴジラ観ました?
あれは素晴らしい映画でした。僕はあの映画に庵野監督なりの「日本賛歌」というか「人間賛歌」を見ました。常識が通用しない怪物に人間の意地と誇りを持って戦いを挑む…。あれはジョジョに通じるものがあったと僕は思います。あくまで主役はゴジラですが、今までのゴジラシリーズにはない「リアル」な視点での人間の抵抗。ああいうのを見ると「何か書かなきゃ」って気分にさせられるんですよね。
以上、僕の勝手な映画感想でした。もう一度言う、ゴジラはいいぞ!
舞園の呼び出しを受け、苗木は指定されたテレビ局近くにある臨海公園に来ていた。
「…舞園さん!」
「!…苗木君、来てくれたんですね…」
他に人影も無いせいか特別気取った変装もせず、茫然と海を眺めていた舞園に声をかける。
「すみません。苗木君の都合もあったのに、わざわざ呼び出したりなんかして…」
「気にしなくていいよ。ちょうど僕の用事も終わりかけてたところだったしね。…それで、話ってなにかな?」
「…苗木君、少し『相談』に乗ってもらってもいいですか?」
「相談?…もちろん、僕に答えられることなら」
「実は…」
舞園はつい先ほどプロデューサーから持ちかけられた『ソロ出演』の話を苗木に話す。
「…良いことじゃあないか。でも、そういうのって僕よりも社長さんとかマネージャーさんに話した方がいいんじゃあないかな?」
「それは…」
「…もしかして、『例の噂』のことを気にしているの?」
「ッ!苗木君、知ってたんですか…?」
「まあ、なんとなくは…ね」
「…そうですか」
苗木が言う『例の噂』とは、舞園の希望ヶ峰学園への入学が決まった辺りから、ネット上で実しやかに騒がれているものである。それは、こういうものであった。
『舞園さやか、独立疑惑!?グループ解散の危機か!』
噂の発端はなんてことはない、舞園が希望ヶ峰学園にスカウトされたことを関係者の誰かがそれとなく漏らしてしまったからだ。希望ヶ峰学園の新入生の情報は、入学するまでは機密事項とされている。しかし、どれほど秘匿しようともどこで誰が聞き耳を立てているかしれたものではないのが今の世の中。現に完全なる『抽選』で選ばれた苗木と自ら売り込みに行った霧切を除けば、78期生のほとんどの情報が真偽の程はともかくネット上で噂されており、専用のスレッドが立つほどであった。
しかし、舞園の場合は他の生徒達とは『事情』が違った。山田やセレス、十神のように既に独立していたり、大和田のように一団を率いる立場にあるのなら問題は無い。しかし舞園は、『センターマイク』を握っているとはいえ表向きは『アイドルグループの一人』なのである。舞園のグループは『5人組』だ。それぞれが違った『魅力』を持っており、メンバー内での『序列』は『表向き』には存在しない。
…しかし、その中で舞園『だけ』が希望ヶ峰学園にスカウトされた。それはメンバー内に置いて自動的に『舞園さやかが最も優れたアイドルである』ということを証明されたに等しいことであった。その事実にファンは一時期大いに荒れた。舞園が選ばれたことに喜ぶものも居れば、自分が推すアイドルが選ばれなかったことに不満を漏らす者もいた。事務所の人間やグループの仲間は気にするなと言っていたが、勝手に序列をつけられて面白くないのは事実であろう。
やがてメディアも次第にグループの中でも舞園を中心的に採り上げることが多くなり、希望ヶ峰学園の卒業生は必ず『成功する』というジンクスも相まって、その風潮から生まれた噂こそが、舞園の『独立疑惑』なのである。
「苗木君は…あの噂を信じているんですか?」
「全然。紅刺さんもそれらしい素振りが無かったし、第一舞園さんがファンに黙ってそんなことをするとは思えないからね」
「…ありがとうございます」
「お礼を言われるようなことじゃあないさ。君の『ファンとして』の率直な意見だからね。…でも、その様子だと舞園さんたちにとっては『ただの噂』では済まないみたいだね」
「はい…」
当然、舞園も事務所もメディアやネットを通じてそれを否定している。しかしそれを馬鹿正直に受け止める者はごく少数で、ネットでは未だに下火になる気配を見せず、それどころかどこから見つけてきたのか舞園の根も葉もない『悪評』がちらほらと見受けられるようにすらなり、その空気が影響してか舞園に対して肯定的であったメンバー内でもどこかぎこちない雰囲気になることがしばしばあった。そんな時に舞い込んできたのが今回のソロ出演である。下手をすれば火に油を注ぐことになりかねないのは目に見えている。
今の舞園は、自分が、皆が望んだアイドルという『希望』によって真綿で首を絞められ続けているような、そんな気持ちの渦中にあった。
「…苗木君、私はどうしたらいいんでしょう?もちろん、違うってちゃんと言うことが大切なのは分かっています。…でも、口で説明したところで、多分何も変わらない…。今はファンの人たちもメンバーの皆もそこまで口に出したりはしないけど、もし改めてそう言ってしまうことで余計に疑われてしまうのなら…私は、どうするのが正解なんでしょう…?」
「……」
縋る様な舞園の言葉を聞きながら、苗木は自分の『予想』が的中してしまったことを確信する。
(やっぱり、そうだったのか…。舞園さんは、きっと最初は『アイドルになりたかった』訳じゃあなかったんだ。彼女は…)
しばし自分の中で口にすべき言葉を厳選し、やがて苗木は口を開く。
「…舞園さん」
「はい」
「舞園さんがそんな人じゃないことはきっとファンの人たちも分かっている筈だよ。だから、君がどう対応しようと、きっとそれに間違いはない筈だ」
「…そう、なんでしょうか…?」
「ただ…」
「ただ?」
「…舞園さん、君はそれを『誰の為』にするつもりなんだい?」
「誰の…って、どういう意味ですか?」
「そのままさ。君のそのあらぬ『誤解』を解くのは、一体誰の為にするつもりなんだい?」
「そ、そんなの…」
「『ファンの人たち』の為?『事務所』の為?『グループの仲間』の為?君の『超高校級のアイドルとしての誇り』の為?…いいや、違うはずだ。君がそうしたいのは…『自分』の為なんじゃあないか?」
「ッ!!?」
驚愕に見開かれた彼女の眼を見て、苗木は改めてそれを確信する。
「な…何を…ッ!?」
「舞園さん、君が本当に恐れているのは『アイドル』としていられなくなることじゃあない。…君が恐れているのは、『孤独』…『自分の居場所を失う』こと、そうだろう?」
「…あ…あ、ああ…ッ!?」
動揺で揺れ動く彼女の瞳に、驚愕に混じって『恐怖』の色が浮かぶ。それは、自分が決して誰にも知られないようにと決めていたことを、一番知られたくない人物に知られてしまった、その事実を認めたくないという彼女の心の現れであった。
(見られた、知られた…ばれた…ッ!!私の一番汚いトコロ…よりにもよって、苗木君に知られてしまった…ッ!)
バレタバレタバレタバレタバレタバレタバレタバレタバレタバレタ…コレイジョウ、コンナワタシヲミナイデ…
ギュッ
「…え?」
混乱の余りよからぬ方向へと思考が傾き始めた舞園を呼び戻したのは、無言のまま彼女を優しく包み込んだ苗木の抱擁であった。
「…ごめん。少し急過ぎたね。もう少し、ゆっくり聴いてあげるべきだった。ごめん、本当に…ゴメン…」
「なえ…ぎ、く…あ、あああああああああ゛ッ!!」
暖かな苗木の謝罪と体温に、舞園は自慢の美声などかなぐり捨てるかのように縋りついて大声で泣き喚いたのであった。
「…落ち着いたかい?」
「はい…」
それから数分後、やっと落ち着いた舞園を近くのベンチに座らせ、苗木はその隣に座って舞園の背中を優しくさすっていた。
「さっきも言ったけど、急にあんなこと言ってゴメン。もう少し、舞園さんの気持ちを尊重してあげるべきだったよ…」
「…いいえ、あれでいいです。そうじゃないと、きっとまた目を背けようとしましたから…」
「舞園さん…」
「…どうして、分かったんですか?私が『居場所』を失くすことを恐れているって…」
「…舞園さん、君は無意識の内に『何かの一員』になろうとしていた。普段からのその丁寧な口調も、どんな人にも同じように接しようとするのも、自分が『孤立』しないための君なりの『努力』だったんじゃあないか?誰かと共にいることで、そこが『自分の居場所』なのだと、自分が『居ていい場所』なんだと、自分に言い聞かせようとしていた。…なにが君をそこまで駆り立てたのかは分からないけど、君は『自分一人』になることを極端に恐れている」
「……」
「君が『アイドル』を志す様になったのもそうなんじゃないか?テレビの向こうで煌びやかに輝くアイドルは、どんな時でも近くに『誰か』がいる。仲間が、ファンが、常に君の『居場所』を証明し続けてくれる。君にとってアイドルは、君自身の『居場所』を守ってくれる『希望』そのものなんじゃあないか…それが、希望ヶ峰学園での君を見ていて僕が感じたことだよ」
「…すごい、ですね。苗木君の方が…ずっと『エスパー』なんじゃないですか?中学の時にずっと苗木君を見ていた私より、希望ヶ峰学園に来てから私を見てくれていた苗木君の方が、ずっと私の事を『理解』してるじゃないですか…」
「…希望ヶ峰学園に来てからじゃあないよ」
「え…?」
「自慢じゃないけど、僕はずっと、アイドルとしての君を応援し続けてきたんだよ?君が僕の事を知る、ずっと前から…ね」
「そんな、嘘ですよ…」
「嘘じゃあないよ。その証拠に…ほら」
苗木は手帳から綺麗にラミネートされた『カード』のようなものを取り出し舞園に差し出す。
「これ、は…私の、『ファンクラブ会員証』…会員番号…『3番』!?」
舞園が驚くのも無理はない。今や舞園さやかのファンクラブの会員数は『2万人』を越えるとすら言われている。そんな中での『3番』といえば、舞園さやかのファン…通称『サヤカー』にとっては血涙物の代物であることは常識であった。
「君のグループがデビューした時のファーストライブ…偶々あれに出くわしてね。君を一目見て応援したくなっちゃって、すぐにファンクラブに申し込んだんだ。実を言うと、あの時CD即売と握手会の時にも居たんだよ?」
「そ、そうだったんですかッ!?私…あの時は一杯いっぱいでなんにも憶えてなくて…ごめんなさい!」
「謝られるようなことじゃないと思うけど…。けど、これで嘘じゃないって分かってくれたかな?」
「…はい!そっか…、苗木君は、ずっと私の事を見ていてくれたんですね…」
「そんな大層なモノじゃないさ。僕はただ、君の『笑顔』が好きだっただけなんだから」
「…『笑顔』、ですか」
「…舞園さん?」
「…でも、苗木君が好きなその笑顔は、私の『本当の笑顔』じゃないんですよ…」
「え…?」
「私にとって、『笑顔』でいることは…本当はとても『辛い』ことなんです。心の底から笑おうとすると…どうしても、『思い出してしまう』から。あの頃の、なんでもない…でも幸せだったあの時間を…」
「……」
「…私、父子家庭なんです。小さい頃にお父さんとお母さんが離婚して、私はお父さんに、妹はお母さんに引き取られて…それ以来、お母さんとも妹とも会っていません。…でも、だからってお父さんを恨んでいる訳じゃないんです。お父さんはたった一人で私を育ててくれた…。私がこうして『アイドル』になれたのも、お父さんが私の見えないところで手をまわしてくれたおかげだって、社長さんから教えて貰いました。だから、お父さんには感謝してるんです」
誇らしげにそう言う舞園であったが、徐々にその声のトーンが下がり始める。
「…でも、でも…やっぱり『寂しい』んです。私が本当に欲しかった『居場所』は…『あの時間』だったから。メンバーの皆や事務所の人たちも、私にとってはかけがえのない『家族』のような存在です。でも、だからこそ…皆の事を『家族』として思おうとすると、どうしても『あの時間』の記憶を思い出すんです。そのたびに、私は皆の事を勝手に『家族の代わり』にしようとしていると自覚して、そんな自分が浅ましくなって…笑えなくなる。でも、そんな私を誰も求めていないから…だから無理をしてでも笑おうとしてるんです。私の笑顔は、私の『汚い部分』を見せない為の、『嘘と言う名の蓋』なんです」
「……」
「『アイドル』という職業は好きです。じゃないと、あんなに嫌な目に遭って続けようなんて思いませんから。…けど、『アイドルと言う職業』を、『自分の為だけに』利用している私の事は大嫌いです。…アイドルを続けていれば、きっとお母さんや妹も私の事を見てくれているんじゃ、もしかしたら…『あの頃』に戻れる日が来るんじゃあないか。…そんな打算でファンの人たちに応えている私に…『超高校級のアイドル』なんてものを名乗る資格なんて、最初から無かったんですよ…」
そう言って、舞園は深く息を吐いてゆるゆるとベンチにもたれかかる。自分の中に溜まったなにもかもを吐き出したかのように、その表情にはどこか『諦め』のようなものすら見て取れる。
その様子を見て、苗木は感じた。彼女は、『覚悟』を決めたのだと。例えどれほど糾弾されようとも、彼女はもう抵抗しようとは思わないだろう。全てを自分の『罪』として受け入れる、今の舞園はそういう心づもりなのだと、苗木は理解した。
「……」
だからこそ、
「…それは、違うよ」
「…え?」
苗木はその『覚悟』を真っ向から否定した。
「違うって、どういう…」
「舞園さん、君のそんな『覚悟』を誰も望んではいない。君に必要なのは『罪を受け入れる』ことじゃあない。…『自分の心に正直になる』覚悟だ」
「正直…に…?」
「そうだ。君はかつての『家族の思い出』を他の何かに重ねようとしている。けど、君はそのことが自分勝手だと許せないでいる。…そうだろう?」
「…そうです。それが、私の『罪』だから…」
「…それの『何が悪い』んだい?」
「…え?」
舞園の口から、思わず間の抜けたような声が出る。
「君が事務所の仲間やユニットのメンバーを『家族』と思う事の、何が間違っているというんだ?」
「だ、だって…!皆は『皆』なのに、私は…勝手に皆のことを『家族の代わり』にしようとして、勝手に『自分の居場所』を作ろうとして、そんなの…」
「…舞園さん。それは、君が皆の事をそれだけ『大切』に思っているってことだろう?」
「そう、ですけど…」
「ならそれは咎められることじゃあない。むしろそれは『誇るべき』ものだ」
「な…!?な、なんで…」
「だってそれは、君がそれだけ誰かを『愛せる』ことの証明なんだから」
「え…?」
「君がかつての思い出に拘っているのは、きっと君が『愛されていた』ということを忘れられないからだろう。お父さんの事を恨めないのも、お父さんが君の事を『愛している』ということを理解していたからだろう。君にとって、『愛』こそが自分の『居場所』だったんだ。だから君は他の誰かを愛することで、その人から『愛されようとしている』。誰かから『愛される』ということが、君にとっての『居場所』なんだから」
「愛…」
「君はアイドルとして、そして人間として誰からも好かれようと…『愛される存在』であろうとした。けれど、そうしようとするたびに君はかつて家族から与えられた『無償の愛』を思い出し、『お返しの愛』を期待している自分を下卑した。…けれど舞園さん、君が否定しようとしているそれは、『当たり前』のことなんだよ」
「当たり前…?」
「人は誰しも、愛されなければ愛することができない。『肉親の愛』なんてものは特例中の特例さ。君が仲間を、ファンを『愛する』ことで得られる『愛』は、君にとって『当然』のものなんだよ。むしろそれを否定することは、君を愛してくれる人たちへの『侮辱』に他らならない。だから僕は断言する。…キミは『間違っていない』。舞園さやかと言う『アイドル』は、絶対に間違ってなんかいない」
「…どうして」
「『どうしてあなたにそんなことが言えるのか?』…かい?」
「ッ!」
「簡単さ。…僕も、『愛』によって救われた存在だから」
「え…!?」
「僕は『吸血鬼DIO』の子として生まれてきた。クソ親父の所業を省みるなら、きっと僕は本来『生まれてきてはいけない存在』の筈だ。あの男の血を引いている以上、僕にもあの男のような存在にならないという保証なんてないのだから。…でも、父さんと母さんは僕を『息子』と呼んでくれた。僕に『生きて』と言ってくれた。僕にはそれがなによりも嬉しかった。僕が生きることを望んでくれる人がここにいる、僕はその『愛』があったから、こうして今ここに生きていられるんだ」
「苗木君…」
「…だから舞園さん、君のその『愛』を求める気持ちは僕には痛いほど理解できる。その上でもう一度言わせてもらう。…君は間違っていない。絶対にだ」
「あ…」
苗木の言葉は舞園の心に深く染み入り、同時に一つの『確信』を抱かせた。
(…そっか、そうだったんだ。社長さんの言ったとおりだ、『理由』とか、『理屈』なんて、関係なかったんだ。あの時、苗木君に私の嫌なところを知られて、どうしてあんなにショックだったのか、ようやく『理解』できた…)
(苗木君は、他の誰かの『痛み』を理解できる人なんだ。誰かの為に悲しみ、誰かの為に怒り、誰かの為に泣ける…。そんな優しさに、私は夢中になっちゃったんだ…。そんな苗木君に嫌われることに、私は耐えられなかったんだ…。ただ、この人の傍に居たかったから…)
(好きとか嫌いとか、そんなレベルじゃなく……私は、この人の事を『愛している』んだ)
力強く見つめる苗木の瞳としばし見つめ合った後、舞園は一瞬俯くと次の瞬間弾けるような『笑顔』を見せる。
「…心は、決まったかい?」
「はいッ!もう『迷い』はありません!私は…私らしく、『舞園さやか』として頑張ります!皆がくれた『愛』に…応えるために!」
「…うん」
「…ありがとうございます苗木君。私に、大切なことを教えてくれて…」
「たまたまだよ。僕はただの『きっかけ』に過ぎないさ。君なら、いつかきっと自力でこのことに気づけたはずだ。僕はそれをほんの少し早めただけだよ」
「それでも…ありがとうございます。今気が付かなかったら、きっと後悔していたでしょうから…」
「…なら、もう一つだけ『おせっかい』を焼かせてもらおうかな」
「え?」
「…舞園さん、君は一つだけ『忘れている』ことがある。君には、決してなくなることが無い『居場所』が残っているということを」
「それ…どういう…?」
「…もうそろそろ出てきたらどうですか、『正さん』?」
「!?」
スッ…
「……」
苗木に促され観念したように、物陰から舞園正が姿を見せる。
「お、お父さん!?どうしてここに…」
「…実は、ついさっきまで僕と話をしていたんだ。学園長からの紹介でね…」
「苗木君が…?」
「正さんも、舞園さんの事が心配だったみたいでね。なんとか君の様子を知りたいって学園に申し出て、それで僕に白羽の矢が立って話をしていたところに、君からの電話があったって訳さ。…で、一緒に来たのはいいんだけどいきなり顔を合わすのはちょっと、ってことでそこで待ってて貰ったんだけど…少し待ち過ぎじゃあないですか?」
「い、いや…その、出るタイミングを掴めず…申し訳ない」
「ふう…まあ、結果的には『ちょうどいい』のかもね」
「お父さん…」
「さやか、私は…」
「…じゃあ、あとはお二人で。僕は失礼します」
「え…!?い、行っちゃうんですか?」
「親子の会話に混ざるほど無粋じゃあないよ。…邪魔者はクールに去るぜ、ってね」
「ちょ、ちょっと…苗木君!?」
舞園が引き留める間もなく、苗木はするりとその場を立ち去って行った。
「……」
「……」
後に残された舞園親子は、どちらもお互いにどう話しかけたものかと向き合ったまま黙りこくっていた。
「…えっと、見てた…んですよね。お父さん…」
「!え、ええ…」
そんな中、最初に声をかけたのは娘の方であった。
「その…あの、すみません!盗み聞きしていたみたいで…申し訳ない…」
「い…いいですよ!そんなの…」
「…その、すみません」
「だからいいですって…」
「いやそっちじゃなく…君が悩んでいることに気づけなかったことです」
「ッ!」
「本当なら、苗木君の力を借りるまでもなく、私が君の相談に乗るべきでした。…けど、私にはそれが『怖かった』。君も知っている通り私は『臆病者』だ。目を点けられないようにするあまり、目下の人間…まして娘である君にまでこうして畏まってしまうような男だ。君と向き合うことが、私には恐ろしかった。もし、君が私を恨んでいたら…君の『居場所』を奪ってしまった私を憎んでいるのなら、もし君から『拒絶』されたとき…立ち直れなくなるのが怖かった。本当にすまない…さやか…ッ!」
「……」
「……」
「…本当、ですよ…!」
「…ッ!」
「本当は、お父さんに聞いて欲しかった…!私がどんな気持ちなのか、私が何を我慢しているのか…。お父さんに私のこのグチャグチャを全部受け止めて欲しかった…」
「……」
「…でも、私も『怖かった』…!お父さんが、こんな私を『嫌い』になるんじゃないかって、それが怖くて…言えなかった…ッ!」
「…ッ!?」
「お父さんまで居なくなったら、私は…本当に『1人』になってしまう…。いつまでも『超高校級のアイドル』ではいられない…アイドルなんだから他の皆に比べたらなおの事早い…。もし今のメンバーとまで別れてしまったら、その時…私の『居場所』は残っているの?私は一体、どこに『帰ればいい』の?それが分からなくて、なにも見えなくて…言えなかった…!ごめんなさい、ごめんなさい…ッ!」
ガシッ!
「…あ…!」
「…馬鹿で…だな…ッ!き…お前を、嫌いになんて、なるわけが無いだろう…!」
舞園を力一杯抱きしめ、涙ながらに正は使い慣れない『父として』の言葉を絞り出す。
「お前は、私の『宝』だ…私の『希望』だ…!私だって、お前に居なくなられたら耐えられようが無い…!私は、何があってもお前の『味方』だ…!お前がどんな道を歩もうが、どんな選択をしようが…私はお前の『居場所』であり続ける…。お前の『帰る場所』であり続ける…。だから…さやか。お前はお前のやりたいようになりなさい。私はどんな時も、お前を応援している。きっとあいつも…彩だってそうさ。例え見えなくても、皆お前を見ている。それを決して、忘れるな…!」
「…お、父…さん…ッ!お父さん…お父さんッ!」
「済まない…そして、ありがとう…ッ!私を許してくれて、ありがとう…さやか…!」
「私も…私を愛してくれて、ありがとう…ッ、お父さん…!」
感極まる、その言葉を体現するかのように二人は抱き合い涙を流す。すれ違ったまま無意味に過ぎ去ってしまった時間を、取り戻すかのように。
(ずっと、ずっと待ってた…!こんな日が来るのを…。苗木君…ありがとう、ありがとう…ッ!貴方は、やっぱり私の『希望』でした…貴方が居てくれたから、私は今ここにいれる…!ありがとう…)
「…さやか、彼の事を…苗木君の事を考えているのかい?」
「ッ!え、な…なんで…」
「分かるさ、父親なんだから。…好きなのかい?彼の事」
「…うん。好き…どうしようもないくらい好きです。もう理由なんか思いつかないくらい…」
「…そうか」
「…なんとも思わないんですか?」
「多少はあるさ。けど、君がそう想っているのなら、私はそれを止めたりはしないよ。…しかし、私なんかが言うのもなんだが一筋縄ではいかないぞ?彼は君も知っている通りイイ男だ。きっと彼を好きになる女の子も沢山いるだろう。それでも、君は彼がいいのか?」
「…はい。例え『どんな形』でも、私は彼と一緒に居たい。彼と一緒になれるのなら、私は…何があっても後悔しません」
「…そうか。なら、お前の好きにすればいい。決して後悔するようなことはするんじゃあないぞ」
「…はい!」
すれ違い続けた親子の絆は、互いを想いやる『愛』によって再び結ばれた。もう決して解けることは無いだろう、彼らはもう知っているのだから。彼らの『居場所』は、決して消えることなどないのだということを…
この話書いてて思ったこと。
やはり僕にドキュメンタリー的な描写は向いてないみたいだ…。どうにもこれでいいのかどうか分からないといいますか、しかしこれ以上深く描写できないというか…
やはり皆さんの意見がなによりの参考書ですんで「訳わかんねえよ」的な意見でもどしどしお聞かせください。ぜひ参考にさせていただくんで…