ダンガンロンパシリーズもひとまず終わってしまいましたが、年明けにはニューダンもありますし、二次創作界隈はむしろこれからと言わんばかりに盛り上がってますので、僕も負けないよう面白い話を考えていきたいですね
…実はもうニューダンで仕掛けるネタを考えてたりして。ただニューダンの時系列的な設定がイマイチ分からないんですよね。まったくの別時間軸なのか、希望ヶ峰学園が少しでも関わってくるのか…仮に別時間軸だとすれば、モノクマは一体だれが考えたのか…。アニメは若干煮え切らない終わりではありましたが、その分ニューダンに期待して執筆に取り組んでいきます!
…ただ一つだけ、スタンドが足りねえ…ッ!ニューダンで用意する16体が思いつかねえ…。どうしよう?
『ウオォォォォォッ!!』
『なにが希望ヶ峰学園だーッ!』
『俺達の希望を返せェーッ!!』
廊下を歩いている松田の耳に、学園の外を取り囲む『予備学科』の生徒達の声が轟く。
「…チッ、相変わらずうるせえな。何が楽しくていつまでも続けられるんだか…」
この予備学科生徒による希望ヶ峰学園へのデモ行為…通称『パレード』が始まったのは、生徒会役員の惨殺事件が起きて程なくしてからのことであった。何が原因なのか、何を求めているのか、なにもかもがハッキリしないまま、ただ『希望ヶ峰学園に対する怒り』のみをぶつけ続けたこのパレードにより、希望ヶ峰学園は教育機関としての活動を休止させざるを得なくなり、教師は勿論のこと生徒たちは現在『自習』という形で学園内に缶詰状態にさせられており、希望ヶ峰学園は実質『孤立状態』にさせられていた。
「…そうやって『他人』にあたることしか出来ねえからテメエらは何時まで経っても『予備科』なんだよ。本気で『才能』が欲しいのなら、そうしてる間に一分一秒を惜しんで自分の『才能』を探すんだよ。それが出来なきゃ…テメエらにはそうする資格すらねえ」
外の生徒達にそう毒づきながら、松田は目的の部屋まで到着する。
コンコン
「77期生、松田夜助…入ります」
ノックの後に名を言って松田は部屋に入る。部屋の中はとても学園の中とは思えないほどに豪奢な造りになっており、どこか『国会議事堂』のような雰囲気すら感じられる。そこで待っていたのは、希望ヶ峰学園学園長である霧切仁と、希望ヶ峰学園の実質的トップである『評議委員会』の4人の老人であった。
「呼び出して済まなかったね。…とりあえず、かけてくれ」
「…失礼します」
学園長に促され松田は彼らに対面するソファーに座る。そんな松田に対し向けられるのは、学園長の真摯な視線と、4人の評議委員の威圧的な視線であった。
「…さて、松田夜助。我々の事は知ってるかな?」
老人の一人が発した言葉に、松田は顔色一つ変えず答える。
「評議委員会の方々…ですよね」
「うむ。『例の件』では君にも色々と世話になったようだな」
「…なんのことでしょうか?」
「しらを切る必要はない。我々は全てを知っているのだよ」
松田を値踏みするかのように高圧的に話す評議委員の言動に、松田はまるで取り調べを受けているかのような不快感を覚える。
「『あの事件』の第一…ああ、君の『幼馴染』の方の取り調べだが、君がやったそうだね」
「…!」
その言葉に松田の心臓がドクンと唸る。
「…あの生徒の取り調べを、もう一度行え…と?」
「いや、それはもういい。…代わりに別の生徒の取り調べをやってもらいたい。その生徒は現在『問題』を抱えていてな、それはちょうど君の『得意分野』に関するものなのだよ。だから君に協力して欲しいのだよ」
「……」
動揺を必死に隠しながら、松田は状況を整理する。評議委員の言う生徒が誰なのかは見当がつく。しかし、もしその生徒から『あの事件』に関する情報が洩れれば、あの事件の『真相』が明るみになる恐れもある。加えて、今自分に対し唯一好意的な視線を向けている学園長は苗木誠とグルだ。学園長を介して苗木にその情報が伝わる様なことがあれば、『ホワイトスネイク』から言われた『最悪の事態』になりかねない…いや、奴の抜け目のなさを考えれば間違いなくなるだろう。
「…僕がそれを断れば、どうなるんですか?」
「…断る?」
『…クックック、ハッハッハッハ!』
松田の答えに一瞬の沈黙の後、評議委員の面々は松田を嘲笑するかのように笑い出す。学園長はその光景に申し訳なさそうな表情を松田に向ける。
「…キミ、そんな選択肢が存在するとでも思うのかね?まあいい、断るならそれはそれで構わんよ。…ただ、本当にそれでいいのかね?」
「…どういう、意味です?」
「君が治療中の『彼女』…治る見込みはないんだろう?」
その言葉を聞いた瞬間、松田の中の『何か』が切れた。
「我々としても、いつまでも治る見込みのない生徒に構っている暇はないのだよ。今は君の功績に免じて『休学』扱いにしているが、君がこの学園での『責務』を果たせないのなら、我々に彼女を保護しておく理由はない。…なあ、分かるだろう?彼女の『安全』を保障して欲しければ、君は君の責務を…」
「…黙れよ、糞ジジイ共」
「「「「なッ…!?」」」」
「ま、松田君!?」
あざ笑うかのように松田を諭していた評議委員に対し、松田は暴言を以て返答とする。
「ベラベラベラベラ好き勝手ほざくじゃあねえか…。お前らにアイツを語る『権利』があるとでも思ってんのか…?」
「き、貴様…ッ!?」
ゆっくりと立ち上がった松田を罵ろうとした評議委員であったが、松田の『眼』を見た瞬間それは押し込められてしまう。
評議委員の面々を見下す松田の眼は、まるで『ゴミに群がる蠅』でも見るかのような冷え切った、それでいて『価値』を見出そうとしない恐ろしいものであった。
「アイツの『価値』を決めていいのは『俺だけ』だ。アイツ馬鹿にしていいのは『俺だけ』なんだよ…!他の誰にも…『奴』にだって、アイツの『意味』を決めさせるつもりはねえ…ッ!下らねえこと考えてんなら…本気で潰すぞ」
「…ッ?!!」
松田の言葉に、評議委員の面々は完全に気圧されていた。『超高校級』の才能を持つ者だけが持つ、圧倒的な『プライド』のオーラ。『スゴ味』とも言えるそれは数十年という歳の差を覆すほどの力強さを持っていた。
…唯一小声になった、『奴』が果たして目の前の老人たちの事を示しているのか。それは松田にしか分からないことであったが。
「…あ、あー。済まないが、少し落ち着いてもらえないかな松田君…?」
そんな松田のオーラに気圧されることなく、学園長は苦笑いを浮かべて話しかける。松田の威圧的な視線を受けても、学園長はそれを柳に風の如く受け流す。苗木を始めとしたジョースター一族の『スゴ味』を体感した学園長にとっては、松田のそれですら『慣れ』の対象内であった。
「君に不快な思いをさせたことについては謝ろう。…だが、これは我々の勝手な都合だけではないんだ。『希望ヶ峰学園』という『誇り』を守るためにも、君の協力が不可欠なのだよ。…だからどうか、せめて話だけは聞いてもらえないだろうか?」
周りの老人たちの言動にあっさり謝罪した学園長の態度に、松田も若干毒気を抜かれたのか深くため息をつくとソファーにどっかりと座り直す。
「…済まないな。では仕切り直しといこうか」
「…アンタ、去年までよりだいぶイイ性格になったよな」
「そうかな?フフ…自慢の息子のお蔭だね」
「嫌味だっつーの…」
「…おい、いつまで下らん話をしているつもりだ?」
「…失礼しました。では、話を始めようか」
松田の気が散ったことで評議委員も調子を取り戻したのか、フランクに話す学園長を嗜める。それを受け学園長も表情を改めると、再び話し合いが始まった。
「…まず、『例の件』のことで『彼』のアフターケアを引き受けてくれたこと、感謝している。君をおいて他に頼れる人が居なかったとはいえ、生徒一人にこれほどの負担をかけさせてしまったことは済まないと思っている…」
「…別に、大したことじゃあありませんよ。体の怪我自体は『アイツ』が治したんだし、僕は『彼』が目覚めるまで様子を見るだけですから」
「そんなことはどうでもいいのだッ!問題は、あのような『事件』がよりにもよって『希望ヶ峰学園内』で起きてしまったと言う事だろう!!」
「…『13人』、『13人』だぞッ!警備員も含めればそれ以上だ!それだけの犠牲者を出しておきながら、何故事件の詳細が分からない!?何故このようなことがこの学園で起きる必要があったのだッ!?」
「…一応聞きますが、このことは警察には…」
「言うはずが無いだろうッ!このようなことが世間の明るみに出ようものなら、この学園は終わりだ…ッ!それに、これは『犯人』を捕まえてそれで終わりなどという問題ではないのだ!」
「保護者の方々には、どのように説明するつもりなのですか?」
「『そんなこと』はどうとでもなるッ!貴様に心配されるようなことではないわッ!」
「…そうですね、僕が気にする必要はなさそうだ。なら、僕にどうしろと?」
「…松田君、君には『彼』から事件に関する情報を聞き出して欲しいんだ」
学園長の答えに、松田は眉を顰める。
「…何故そのようなことを?あの事件は『隠蔽』すると聞いていますが…」
「それは『建前』だ。…苗木君をこの事件から遠ざけるためのな」
「…アイツを?」
「あの小僧はこの学園を自分の『庭』と勘違いしている。大っぴらに捜査を行えば、奴は無理やりにでも首を突っ込んで来るだろう」
「奴に何かができるとは思ってはおらん。『スタンド使い』だ『超高校級の希望』だと持ち上げられていようが、所詮はただのチンピラだ。…だが、奴の行動が『犯人』の琴線に触れれば、悪戯に被害を大きくしかねん。それだけは避けねばならん…!」
表面上は学園や生徒を気遣っているようにも見えるが、松田はそうでないことを知っている。この老人たちは、『誰かが死ぬ』ということよりも『学園内で問題が起きる』ことを危惧している。要するに、学園を『庭』と思い込んでいるのは苗木でなくこの老人たちの方なのだと。
「しかし…『彼』は今まともな精神状態ではない。言い方は悪いですが『廃人』に近い状態です。それは皆さんもご存じの筈でしょう」
「勿論分かっている。…しかし、だからと言って自然に目覚めるのを待っている訳にもいかない。今事件のことを知っているのは、『彼しかいない』のだから」
「…?それは、どういう意味ですか?」
奇妙な言い方に松田が訪ねると、学園長は一瞬考えた後に口を開く。
「…キミには話していなかったが、『例の事件』には彼の他に『もう一人』生存者がいたのだよ」
「…それは、初耳ですね」
「しかしながら、その生徒は今現在『行方不明』なのだよ。…目撃者である苗木君の証言から人相などは分かっているのだが、未だに見つかっていない…。故に今のところ、事件のことをはっきりと知っているのは『彼』をおいて他にいないのだよ」
「…それで僕に、彼が目を覚ますように処置を施せ、と?」
「当然、彼の健康状態や安全に最大限の注意を払った上でだがね。なにも『手術』や『投薬』をする必要はない。メンタルケアなどの観点から、彼の心理状態がほんの少しでも快方に向かってくれれば御の字という奴だよ。…もうこれ以上、学園の生徒を危険に晒すことなどあってはならないからね」
俯き加減にそう言う学園長であったが、一方でそう言いながらも自分の娘を危険な捜査に向かわせている事への『矛盾』に自己嫌悪していた。
「…ふん」
「若造が…」
そんな学園長に不満を漏らす評議委員とは対照に、松田は学園長のその態度にどこか『既視感』にも似た同情を覚えていた。
「…分かりました。やれるだけのことはやってみます」
「…そうか、ありがとう。必要であれば、過去の『超高校級のセラピスト』などの資料も貸し出そう。他に必要なものがあれば連絡してくれ。…頼んだよ」
「はい。…ああ、そうだ。一つ聞いてもいいですか?」
「何かね?」
「行方不明になっているっていうその『もう一人』の生存者なんですが…どうするつもりなんですか?」
「…どう、とは?」
「いや…少し気になっただけですけど。あの事件で生き残ったのは『彼』とそのもう一人だけだった。目撃者のあの『2人』に犯行が不可能な以上、その居なくなった生存者が犯人なんじゃあないか…と」
『…!』
言葉の奥の『真意』を悟られぬように口にした松田の問いに、学園長を除いた老人たちの顔に僅かな『動揺』が走った。
「…ああ、君の言うとおりだ。その生徒と交戦した苗木君の証言が確かなら、彼こそがこの事件の『実行犯』…そうでなくとも、重要な参考人であることに違いは無い。だが、所在が分からない以上我々としても『処分』を考慮したところで取らぬ狸の皮算用という奴だ。幸い苗木君によって彼は負傷しているらしいからね、隠れているにせよ逃げようとするにせよ、我々の監視網から逃れることは難しいだろう。…その生徒のことは我々に任せ、君は彼の治療に専念してもらいたい」
「…分かりました。…あ、それともう一つ。その苗木ですが…今どこにいるんですか?最近見ないようですが…」
「彼かい?…彼は今私用で出かけて…」
「嘘ですね」
「…ッ!何故、そう思う?」
「いくらアンタに頼まれたからって、あの野郎がそう簡単に諦めるとは思えません。…大方休学届出して雲隠れしちまったとか…そんなんじゃあないんですか?」
「……」
「沈黙は『肯定』と受け取っておきますよ」
「…参ったな。78期生の皆だけでなく、君にまで見破られてしまうとは」
「別に…気に入らねえ奴の事ほどよく分かるってヤツですよ。にしてもアンタ、自分の娘の男だろ?ちゃんと手綱ぐらい握ってたらどうなんですか?」
「ハハハ…彼の手綱は響子に一任しているんでね。僕なんかでは制御できないよ」
「はいはい、そうですか…もしアイツに会ったら、伝えといてください。…これは俺の『仕事』だ、余計なことすんじゃねえぞ…とね」
「…ああ、了解したよ」
「では、失礼しました…」
最後に評議委員の面々に一睨みを利かせ、松田は部屋を辞したのであった。
その頃、78期生の教室には苗木、霧切を除いた面々が集まっていた。
「…なんだか、きな臭いことになってきやがったな…」
「外の『パレード』のことですな」
「我らは外出を禁じられているが故、彼らの真意を知ることは出来ぬが…それでも、彼らから並々ならぬ『怒り』と『憎しみ』を感じる…」
「…確かに、ただの抗議にしては妙に殺気立っている気がする…」
「なんでも予備学科の愚民どもから集めた金が関わっているらしいが…俺個人ではそれ以上の事は分からん」
「…くそッ!なんでこんな時に学園はなにも動こうとしねえんだよッ!」
「全くだ!…学園の風紀を守るのはオレの仕事だが、学園の『秩序』を守るのは学園の仕事だろうがッ!」
「落ち着きなよ石丸、また『石田』モードになってるよ」
興奮の余り口調が乱暴になり始めた石丸を朝日奈が諌める。
「…おっと、済まない諸君」
「…でも、本当に何があったんだろうねぇ…?」
「不二咲っち、ネットとかには情報出回ってねえんけ?」
「その…なんでかは分からないんだけど、どういう訳か希望ヶ峰学園のパレードに関する情報が一切ネットから『消えている』んだよ…」
「消えている?…『消された』ということか?」
「多分…でも…」
「ね、ネット上から一切合財情報を消すとか…不可能に近いわよ…」
静かに起こり始めた『異常』に、過敏な不二咲や腐川は不安を隠し切れずにいた。
「…誠君や響子ちゃんがいなくなったのも、何か関係があるんでしょうか?」
「ほぼ間違いないだろう。…苗木は知らんが、霧切は恐らく学園長辺りが手を回したんじゃあないか?」
「霧切さんはともかく…苗木君は一体なにをしているのでしょう?」
「我らに黙って『休学届』を出して姿を消すなど、苗木らしくない行動だな…」
「…私たちを、巻き込みたくない…ってことだよね?」
「それだけ、危ないことに関わっているってことですよね…」
「…クソッ!苗木の奴、カッコつけてんじゃあねえよ!俺達ァダチだろうがッ!」
「ダチだからこそ…だろ」
「う…だよな」
憤慨する桑田であったが、大和田に諭されすぐに冷静になる。
「…戦刃、江ノ島のヤツまだ戻ってこねえのか?」
「うん…。松田君が言うにはまだ『面会謝絶』らしくって…」
「…こう言ってはなんだが、あまり『彼女らしくない』な。あれほど快活だった彼女に一体何があったというのか…」
「うん…」
(…盾子ちゃん、あなたは一体なにをしているの?)
ガラッ
「…あ、皆。ここに居たんだ」
「あ…先生」
そんな風に話し合っていると、通りがかった教員が教室に入ってくる。
「皆、そろそろ自分の部屋に戻った方が良いわよ。あまり校内に残っていると、学園側から怒られちゃうわよ」
「…そうですわね。そろそろお開きにしましょう」
「じゃあ皆、また明日…」
「うん、そうだね…また明日」
『また明日』、何気ない一言であったが、皆はその言葉を深く噛みしめていた。この言い表せぬような『不安』の中で、また明日も皆の顔が見られますように。そう心の中で願いながら。
その頃、学園の地下施設の調査をしていた苗木は資料室にあったファイルを全て読み終え、続けてそこのパソコンのデータを調べていた。
「…ここにあったファイルは全部『歴代の希望ヶ峰学園在籍者の才能の情報』だった。才能の研究をしていた以上、それがここにあるのは不思議じゃあない。…だが、全てのファイルの表紙に書いてあった『カムクライズル計画』…一体なんなんだ?学園は僕たちの『才能』を使って、一体なにをしようとしているんだ?」
と、パソコンを操作していると画面にパスワードの表示が現れる。
「…パスワードか。けど、生憎こっちには…」
と、苗木は懐から端末のようなものを取りだす。
「不二咲君特製の『ハッキング装置』…。無理言って作ってもらったのがここで役に立つとはな…」
苗木が端末をパソコンとつなげると、ハッキング装置は凄まじい速度でパスワードを検索し、あっという間に割り出してしまった。
ピコン!
「…よし、これで中のデータを…」
と、その先に在ったデータを見た途端、苗木は思わず愕然としてしまう。
「…なんだ、これは…?なんだッ…、これはッ!?」
思わず大声を出してしまいながらも、苗木は画面をスクロールさせる手を止めずそこに書かれている情報を読んでいく。
「…『カムクライズル計画』。それは…被験者の脳に『才能の情報』を強制的にインプットさせ、あらゆる才能を秘めた『万能の天才』を創り出す計画。その際、莫大な情報量に被験者の脳が耐え切れないため、代償として被験者の人格を始めとした『記憶』の全てを消去する必要がある…。被験者は実験の結果が大きく反映される『予備学科』から選抜される。才能とは別のなんらかの『技術』や『家柄』などを持ち合わせているとなお望ましい……ふざけるなッ!個人の人格をなんだと思っているッ!!?」
怒りのままにデスクを叩く苗木であったが、それでもパソコンを叩き壊すのだけは堪え、なおも読み進めていく。
「…この計画は人類にとっての『希望』であり、希望ヶ峰学園の『最重要機密』である。この計画が露呈してしまえば、学園を閉鎖してでもこの事実を隠匿する必要がある…。要するに、人体実験に対する『罪悪感』は無いってことか…!本当に腐っているッ……ん?」
と、読み進めていくと苗木はそこに何故か『自分の名前』を見つけた。
「…追記事項。この計画において、『比較対象』となる生徒が出現した。希望ヶ峰学園78期生、『超高校級の幸運』苗木誠だ。歴代の幸運の才能保持者や他の生徒に比べればさしたる才能は持っていないが、その行動力と『レクイエム』と呼ばれるスタンド能力には目を置くものがある。学園長は彼を『超高校級の希望』として祭り上げるつもりのようだが、ただの『偶然』で生まれてきたような存在に、我々の計画が凌駕されるようなことが在ってはならない。故に、彼への『対抗手段』として、被験者にはなんらかの『スタンド能力』を付与する必要がある。…ジジイ共があれだけ『矢』を欲しがったのはコレの為か。僕を潰す為に僕の力を利用しようとするなんて、情けないのか利己的と言うか…」
評議委員の恥知らずっぷりに増々彼等への評価を下げていると、ふとあることを思い出す。
「…そういえば、『奴』もスタンド能力を使っていた。しかも、僕が見たことのない未知の能力を…ということは、まさか…!」
生徒会メンバーを襲った件の青年が使っていた見知らぬスタンド能力を思い出し、苗木は再びパソコンに向き合う。
「…!計画は既に『観察段階』に入っている…!?ということは、既に実験は…『カムクライズル』は誕生している…ッ!ならば、やはりあの男がカムクライズル…!」
「…ん?資料室に誰かいるのか?」
「ッ!」
その時、扉の外から誰かが声をかけてきた。
ガチャガチャ
「…鍵かけてんのか?おい!まだ閲覧届けが出ていないぞ!ちゃんと書類を出してから使え!」
「チッ…!面倒な時に…仕方ない」
まだ作業の途中の為放置しておく訳にもいかず、仕方なく一旦招き入れて気絶させようとし、苗木が立ち上がろうとすると…
ダダダダダッ…!
「…おい!そんなところで何をしてるんだ!?」
「え?いや…ここを無断で使ってる奴が居るから…」
「んなもん放っておけ!ここに居るってことはここの職員だろ!それより、早く会議室に来い!」
「会議室?…何かあったのか?」
「評議委員の方々が揃って『行方不明』になったんだ!これから全職員で対策会議が始まる、急げ!」
「!?」
「評議委員が!?…わ、分かった!…おい、お前も早く来いよ!それと、後でちゃんと閲覧届けも出しておけよ!」
そう言い残して、外の職員たちは走り去っていった。
「…ジジイ共が、行方不明…!?何だ…一体何が起きている…?」
アニメではゼロ編はまるっとカットされていましたが、今作ではゼロ編は77期生が洗脳されている過程の裏で起きている事件になっています。…なので77期生の出番は殆どありませんし、江ノ島は音無になっているので77期との絡みはありません。
そのころの77期生に関しては、追憶編で描く予定なのでお楽しみに