ところでジョジョ4部。
まさか原作の3つのストーリーを一つの話にまとめ上げるとは予想外でした。しかし、これはある意味英断かもしれませんね。スーパーフライ、エニグマ、チープ・トリック…1話で完結させるには少々尺が足りなく、かといって2話完結だと若干尺が余る。それらの話を纏めることで時系列につながりを持たせて、なおかつ各話の前後のアニオリ部分も追加できる。いやー…アニメスタッフ有能ですわ。
そして肝心のスーパーフライ、やはり強いですね。閉じ込めさえすればほぼ勝利ですから、タイマンならほぼ無敵なんですよね。弱点としては、せっかくスタンドを使いこなしても勝った時にはすでにスタンドの本体ではなくなってしまっているということですよね。
そしてアニメで見るとミキタカの有能っぷりが映えますね!…そのぶん創作では扱いづらいキャラではあるんですけど。便利すぎて殺すしかないというもうね…
「…一体どうなっているんだ…?」
つい先ほど入って来た情報に、学園長…霧切仁は学園長室にてそう呟くしかなかった。
「評議委員が相次いで失踪…しかも次々と『死体』で発見されている…。一体誰が、何の目的でこんなことを…」
評議委員の老人たちには近々『引導』を渡すつもりではあった。だが、こんな形で引導を渡すつもりは無かったし、そもそも自分のあずかり知らぬところで起きている以上もはや自分の処理能力を超えている。
「…まさか、例の事件の『犯人』が…だとすれば、響子が…ッ!」
ガチャ
「…邪魔をするぞ」
「失礼するぜ仁さん」
「…天願さん、黄桜君…」
『最悪の事態』に思わず腰を浮かせた学園長であったが、部屋に入って来た天願と黄桜に冷静さを取り戻し、再び椅子に座る。…正直ノックも無しに入ってくるのはどうかとも思うが、タイミング的にはありがたかったのでひとまずは何も言わない。
「どうしたんですか?2人揃って突然…と、聞くまでもないですね」
「うむ。用件は言うまでも無かろう…評議委員の方々が死んだ…いや、『殺された』というのは確かかね?」
「…ええ。間違いありません。自殺にも見えるような死に方ではありましたが…アレは間違いなく『他殺』です。あの方々は間違いなく殺されました」
「『霧切』の跡取り候補だった仁さんが言うんじゃあ間違いないだろうな。…おっと、別に皮肉ってんじゃあないぜ?」
「分かってるさ。…それに、もう親父とはある程度『和解』している。今更つつかれた所でどうということはないさ」
旧友の軽口に、学園長も表情を和らげ苦笑する。
「…まあ、それは置いておくとしよう。それで…『誰』がやった?」
「…そこまでは、まだ。しかし、おそらくは『あの事件』が関わってるでしょう。彼らが死んで得をするのは、あの事件の事を徹底的に隠蔽しようとしているものか、あるいは…」
「あの爺さんたちを目の仇にしている『宗方君たち』か、あの爺さんたちに目の仇に『されている』仁さん達…ってか?」
「……」
「…失礼を承知で聞くが、苗木君が関わっているとは…」
「あり得ません」
「…ヒュウ、即答だね」
「根拠は?」
「挙げて行けばキリがありませんが…まず第一に、私はそんな下らないことをするような男に、命より大切な娘を任せたりはしません」
「…第一の根拠が『惚気』かい…」
「これだけはハッキリと断言できるからね。そもそも彼の思考や行動は私には想定できん。ならば、断言できることを優先するのは当然だろう?」
「…一応、信じるとしよう。君の『義父としてのプライド』はともかく、後任を任せた君の『眼力』をじゃがな…」
「…済みません」
若干親馬鹿モードになりかけた学園長であったが、天願に窘められ冷静になる。
「な~んか今日のお前妙に感情的じゃねえか?…なにか不安でも?」
「…実は、極秘裏にだが…響子に『あの事件』に関する依頼をした」
「なんと…!」
「…成程ね。愛娘が物騒なことに関わっている…しかも自分が送り込んだともなりゃ、そらそうなるわな…」
「…私も響子も、危険は承知の上だ。そもそも響子は『000クラス』の探偵…『殺人事件』を生業としている以上、犯人と事を構えることなど不思議ではない。…だが、現実にその危険を前にして、響子に何もしてやれないというのは…ッ!」
「『学園長』としての自分はともかく、『父親』としての自分が納得できない…か?」
苦虫を噛み潰したような表情で心境を吐露する学園長に、天願も黄桜も真剣な表情でそれを聞きいれる。
「…済みません。貴方にこんな弱音を吐くつもりは…なかったんですが…」
「…何、それでいいんじゃよ。『機械的』にしか判断を下せんような輩に、『真の希望』など見える筈が無い。実の子を危険に晒しているともなれば尚更じゃ。頭では正しいと理解していても、時に悩み苦しむ…それができなければ、『人間』ですらなくなってしまうぞ」
「…実際よ、俺は『嬉しい』ぜ、仁。お前が俺に、自分の正直な気持ちを言ってくれることがよ」
「…ありがとう。天願さん、黄桜」
暖かな二人の励ましに、学園長の顔から少し険が取れる。
「まあ、あれだ。響子ちゃんのことは心配要らねえさ。あの娘もちゃんと『引き際』って奴は弁えてるさ。…それに、もしヤバくなったら、きっと苗木君が来てくれる」
「しかし、彼は…」
「大丈夫だよ。…彼が響子ちゃんの危機に感づかねえ筈がねえさ。どこにいようと、すぐにすっ飛んでくるさ。だから…信じようぜ」
「…ああ」
「…とはいえ、ワシらもただ座して待つだけという訳にはいかんじゃろう。『もしもの備え』だけは、しておかねばな」
「ええ。…『旧校舎のシェルター化』の準備を急ぎます」
「うむ。ワシも『組織』の立ち上げを急がせよう」
「『未来機関』…でしたっけ?希望ヶ峰学園をサポートする外部組織…もしもの時は、頼んますよ?」
「うむ…無論、そうでないのが一番じゃがな」
「ええ…」
ここ最近毎日のように続く曇天の空、そしてその下で繰り返される予備学科の『パレード』を眼下に、3人はこれからのことに決意を決めるのであった。
「…ところで黄桜君、雪染君を見なかったか?今日宗方君が来ることになっているから、一応伝えておこうと思ったんだが…」
「ちさちゃん?…あー、そういやさっき教室戻っていったぜ。まあ逆蔵君だっているんだし、多分ちさちゃんももう知ってるんじゃあないか?」
「そうか、ならいいんだが…」
一方、松田の帰りを待っていた音無涼子はというと…
「待てテメェエェエエッ!!」
「きゃああああッ!?」
『超高校級のボディーガード』斑井一式に追いかけられていた。
(なんで!?なんで私追いかけられてるの!?私は松田君を…松田君を、どうしてたんだっけ?ああもう…!ノートノート…)
現状に混乱しながらも、音無はどうしてこうなってしまったのかを振り返る為に手にしていた『記憶ノート』を開く。
事の発端は、松田を待っている間にウトウトしてしまい、目が覚めた時に枕元に置かれていた一枚のメモだった。
『貴女の記憶ノートは全て頂きました。もう貴女に残っているのはそこに持っている一冊のノートだけです。つまり、それが貴女の全て…今の貴女は『それっぽっち』だということです。…返して欲しかったら、今日の深夜に噴水公園まで来てみたらどうでしょうか?』
そのメモを見た瞬間、音無は愕然とした。奪われたノートには、自分が生きてきた全ての『記憶』が記されている。そこには、大好きな松田との思い出も沢山ある。それを奪われてということは、由々しき事態どころの騒ぎではなかった。
ちょうど時間も指定された頃にほど近かったこともあり、音無は迷うこよなく部屋を飛び出した。幸い全ての『記憶ノート』の裏表紙には学園の見取り図が描いてあるため、音無は迷うことなく噴水公園まで辿りついた。
…結論から言うと、そこにノートはあった。ただし、そのすぐ近くには、『とんでもないもの』が一緒に存在していた。
「…なに、アレ…!?」
噴水公園に辿りついた音無しが目にしたのは…
自身の『記憶ノート』が放置された木陰。その上で『首をつって死んでいる』老人の死体…彼女は知る由もないが、希望ヶ峰学園評議委員の一人の首つり死体であった。
「…~ッ!!?」
叫ぶ間もなく、音無は死体の足元の『記憶ノート』をひったくってその場を逃げ出した。とにかくその場から離れたかった。気持ち悪くて吐きそうだったとか、犯人と思われるんじゃあないかとか、そんなことはどうでもよかった。ただひたすらに、その場から逃げ出したかった。誰が死んでいようが、自分には『関係ない』のだから。
飛び込むように松田の治療室のベッドに潜り込んだ時には、既に死体の事は忘れていた。この時だけは、自分の体質に感謝したかった。…走りながら死体の事をノートに書いていたことまで忘れてしまい、習慣だった寝る前の記憶ノートの『復習』で思い出してしまった時までは。
結局悶々としながら一夜を明かし、目が覚めた音無は松田を求めて校舎を徘徊していた。心細かったのだ。死体を見つけてしまったということもだが、何より松田が傍にいないことが耐え切れなかった。
そんな時だった。
「…おいテメエ。あの松田夜助の女らしいな。…アイツをおびき出すための『餌』になってもらうぜ」
殺された生徒会メンバーの『復讐』に燃える斑井一式が、手がかりを求めて関係者であるらしい松田を捕まえるために、音無の前に現れたのは。
「…って事みたいだけど…そんなの、そんなの私関係ないもぉぉぉんッ!松田くぅぅぅんッ!」
「…ハッ!精々喚けよ!そうやって松田夜助を呼んでくれるのならこっちも手間が省けるぜ!」
悲鳴を上げて逃げ回る音無とそれを猛追する斑井。当然こんなことをしていれば誰かの眼につきそうなものではあるが、現在希望ヶ峰学園は『パレード』の影響で生徒は勿論教師ですらも活動を自粛しており、おまけに彼女たちがいるのは学園の東地区にある『研究区画』…ごく一部の生徒と教師を除いて立ち入りを禁止されている場所であるため、通りがかる人など全くいなかった。
「もう…!早く松田君の所に行きたいのに…あれ?でもあの人松田君を探してるんだよね?…だったら行っちゃ駄目じゃん!でも松田君に…ああ~もうッ!どうしたらいいのぉ~ッ!?」
「…なんなんだあの女?アタマの螺子どっか飛んでってんじゃあねえのか?」
「飛んでるのは螺子じゃなくて記憶……ん?」
「あん?」
故に、彼女たちにとってそれは『偶然』であり『必然』であったのかもしれない。
「…え?」
廊下の曲がり角からひょっこり現れた、『金髪の少年』とばったり鉢合わせてしまったのは。
少々前、地下施設から地上へと戻ってきた苗木は、通りがかった職員の会話や会議の内容を盗み聞きして状況を整理していた。
「…まさか、ジジイ共が行方不明どころか揃って『死んだ』なんてね。死因は分かってないみたいだけど、おそらく『殺された』と見るべきだろうな。犯人はおそらく、『あの事件』の関係者…理由は『カムクラプロジェクトの隠蔽』だろう。…でも、きっとカムクライズル自体は今回の一件と『無関係』だろう。一日二日で治る様な殴り方はしなかったし、容姿を知られているというのにそう易々と姿を見せはしないだろう。とすると…おそらくカムクライズルはあの事件において『実行犯』でしかないのかもしれない。あの事件には『黒幕』…事件そのものを計画した『真犯人』がいるのかもな…」
地下施設から繋がっていた研究区画を歩きながら、今回の一件について自分の推理を纏めていると
「…松田くぅぅぅんッ!」
「…なんだ?」
曲がり角の向こうから女性の悲鳴が聞こえ、思わずそちらへと向かうと
「ん?」
「あん?」
「…え?」
廊下の向こうから見知った顔…斑井に追いかけられている、こちらは見覚えのない女子生徒…音無がこちらに向かって走って来ていた。
「斑井さん!?…に、あの子は誰だ?」
「き、君…助けて!あの人に追いかけられて…このままじゃ殺されちゃう!」
「ええ…?ちょ、斑井さん…どういう状況なんです…」
「…チィッ!」
予想外の闖入者に舌打ちをすると、斑井は音無を通り越し、苗木の後ろに回り込むと羽交い絞めして首に爪先を突き立てる。
「ま、まだら…ッ!?」
「黙れッ!…おいテメエ、追いかけっこは終わりだ。今すぐ松田夜助をここに呼び出せ。さもなくば…テメエのせいでこいつの首はへし折れることになるぜ」
「ッ!?私が、松田君を…」
苗木を人質に音無を脅すが、当の苗木は全く状況を理解できない。
(…ちょ、ちょっと…あなた一式さんですよね!?一体どうなっているんですか!?)
小声で斑井に説明を求めると、斑井も苗木の耳元に口を寄せ小声で話し出す。
(…悪いが苗木、ちょっとばかし付き合ってくれ。俺はこいつ…というより、松田夜助に用があるんだよ…!)
(松田さんに…?もしかして、あの事件の…)
(ああ…!あの後俺なりに少し調べたんだよ…。そしたら、松田夜助は学園の『よからぬ研究』に関わってたらしいじゃあねえか…!だったら、会長たちを殺したっていう男のことも何か知ってるかもしれねえ…。しかも、お前と同じあの事件の『目撃者』の江ノ島盾子はコイツの幼馴染なんだろ?本当なら江ノ島本人に話を聞き出したかったが、当の本人は面会謝絶…その担当医師は松田夜助だっていうじゃあねえか。なら尚更のこと、事件の事を知っててもおかしくねえ…ッ!)
(…それは分かりましたけど、あの子は誰なんですか?見覚えがありませんけど…)
(知らん。…だが、さっき松田夜助の治療室から出てくるのを見てな。たまたま通りがかった神代の話によると、あの女はここ最近松田夜助と一緒に入り浸っているらしい。多分奴の女だろう。なら、アイツを使えば松田夜助を引きずり出せる…!)
(松田さんの…彼女?そんなはずは…それに…)
苗木は斑井の頼み通り、いかにも怯えているような顔のまま、眼前の少女を観察する。
(…なんだこの子…?生命エネルギーの在り方が『不安定過ぎる』…。まるで複数の命が『混ざり合ってる』みたいだ…。『多重人格者』にしても様子がおかしい…彼女は一体…?)
と、苗木が疑問を持ったその時
「…知らない」
「は?」
「知らない…私、関係ないもん!私は…悪くないもんッ!」
タタタタッ…!
…そう言い残し、音無は二人に背を向け走り去って行ってしまった。
「……」
「…あの、逃げちゃいましたけど?」
「あの女…、まるっきりガキじゃあねえか…ッ!イイ年こいてあんな捨て台詞吐いてトンズラするか普通よぉ…」
「…もしかして彼女、『記憶』に障害があるのかもしれません。記憶喪失による『幼児退行』でああなってしまったというのなら、あの不相応な精神年齢も松田さんが関わっているということにも説明がつきます」
「…そういやあの女、『記憶が飛んでる』とかほざいてやがったな。そういうことだったのか…」
「で、どうするんです?松田さんに用があるのでしたら、僕から学園長に頼んでアポをとりましょうか?彼女のことは気になりますけど、悪戯に騒ぎを大きくする必要はないでしょう。…それに、僕も学園長に聞きたいことがありますから」
「…それができればこんなことはしてねえよ」
「え?」
「松田夜助は今『行方不明』なんだよ。校外に出た訳じゃあねえみたいだが、教職員連中も居場所は知らねえみたいだ。…なんでも少し前に学園長に呼び出されて、それっきりだとよ。だから、奴の方から出向いてもらうしかねえんだ」
「…江ノ島さんのところかな?だとしたら、学園の近くの『附属病院』にいるのかも…」
そこまで言いかけ、苗木はふと視線を『足元』へと向ける。
「…どうした?」
「いや、足元…というか『真下の階』に人がいるみたいで…これは…、『松田さん』?」
「何ッ!?…間違いないのか?」
「はい。…少なくとも、『生命エネルギー』は紛れもなく松田さんのものです。…あ、離れていきますね」
「…そうか、なら手間が省けた…!感謝するぞ苗木ッ!」
言うなり斑井は苗木を解放すると、階段目指して突っ走りながらポケットから携帯を取り出す。
「…二式、七式!俺だ、…松田夜助がその階に居る!俺が行くまでに取り押さえろッ!」
階下で待機していた『弟』達に人目も憚らず連絡を取りながら、斑井は走り去っていった。
「…危ういな、今の斑井さん…。しかも、あの兄弟は見た目も思考もほぼ同じだから、二式さんたちも似たような状況かもしれないな。様子を見に行くべきか…でも…」
苗木は先程音無が走っていった方向をちらりと見る。
「彼女…どうにも気になる。78期生は僕のクラスだけだから同級生ではない。となると77期か76期の先輩の誰かということになるけど…あんな先輩いたかな?しかも彼女のあの『生命エネルギー』の形…普通じゃあない。腐川さんと同じように、記憶に障害を受けたことで『解離性同一性障害』になりかけているのか…どの道、放っておくのは彼女にとっても危険だろう。しかし…」
音無を追いかけるか、斑井を追いかけるか。両者ともに不安要素があるが故に、苗木はどうすべきか迷っていたが、やがて決断する。
「…やっぱり、気になるしな。斑井さんも不安だけど、流石に早まったことはしないだろう。さっさと彼女を保護して、斑井さんに合流しよう」
少々暴走しがちだが責任感の強い斑井を信じ、苗木は音無の後を追いかけた。
…描いてて思った。原作の苗木君マジで不憫だよね。戦刃がいなかったら死んでただろうしね。…でもあそこで戦刃が斑井を倒してしまったから江ノ島が復活したわけで…本当にゼロって救いがないね…。
さて、そろそろ音無ちゃんにも活躍してもらわないとね。彼女はいわゆる『ドッピオ』的存在なので、そろそろ…ね?