ダンガンロンパ~黄金の言霊~   作:マイン

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番外編と合わせて二話まとめて書くのはさすがに骨だな…
というか番外編の終わりが見えない…どの辺でゼロの話にしてしまおうか
…いっそ続けまくったら第二部の時間稼ぎになるかな


二度目の惨劇

「ふああ…」

就寝が遅かったからか未だに眠い苗木。大きな欠伸をして目元をこすり視界を正すと

 

 

「うぷぷぷ、ぐっども~にんぐ、苗木クン」

モノクマがベッドの上に立っているのが見えた。

 

「うおわ!?」

驚いてベッドから飛び上がる苗木。期待通りのリアクションだったのかモノクマはそれを見て満足そうにせせら笑う。

 

「うぷぷぷ、テンプレ通りの反応ご馳走様でした♡」

「…なんの用だよ。まだチャイムはなってないぞ」

「ちょっと今回は趣向を変えて寝起きドッキリ風に起こしてみました!…それより苗木クン、こんなところでボケッとしてていいのかなあ?」

「!?…どういう意味だ?…まさか!」

「うぷぷ!皆もう食堂にいるみたいだから急いだ方がいいよ~。じゃあねー」

モノクマが消えるより早く着替えに取り掛かった苗木は急いで食堂へと向かう。そこには朝日奈、大神、霧切、十神、葉隠が集まっていた。

 

「あ!苗木!」

「他の皆は?」

「まだ来ておらぬ。…その様子からしてお主もモノクマに何か言われたのだな」

「フン、なにかも何もあの口ぶりから想像できることなど一つしかあるまい」

「……調べましょう。とにかく行動しないことには始まらないわ」

全員が同意し、それぞれ二人一組で行動することとなり苗木は十神と共に二階周辺の捜査を行うこととなった。

 

「まさかあれが本当に動機になったのかな…?」

「それ以外に考えられんだろう。まあこうなることは薄々分かっていたことだがな」

苗木と十神は話しながら二階へとたどり着く。

 

「先ずは教室か図書館あたりから…」

「いや、更衣室から当たるぞ。その方が手っ取り早いからな」

「…?うんいいけど…」

 

十神に言われ更衣室へと向かう。更衣室前にはまだ誰も来ていないらしく閑散としていた。

 

「じゃあ早速調査を…」

「待て苗木。まずはここからだ」

男子更衣室へ入ろうとした苗木を呼び止めた十神は、迷うことなく女子更衣室へと歩き出す。

 

「ちょ、十神君!そこは女子しか入れないんだよ!」

「…フン、ならお前も試してみろ」

「ええ…?」

促され恐る恐るドアノブに触れてみると、ロックがかかっている筈のドアノブは簡単に回った。

 

「!ロックがかかってない…!」

と、そこでタイミングよくモノクマのアナウンスが入る。

 

『えー、ただいま捜査のため侵入可能な場所のロックはすべて解除しています。皆さん思う存分調べちゃってください』

「…思ったとおりだ。なにかしらあったとすれば捜査の為に大概のロックは解除されている筈だ。…やはり起きているのだよ」

十神は女子更衣室を見て、口元を歪ませ断言する。

 

「…殺人がな」

その言葉に、杞憂であってくれと祈りつつ苗木は女子更衣室の扉を開ける。

 

その先にあったものは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トレーニング器具に磔にされ頭部から血を流す不二咲の姿であった。

 

 

 

「…ッ!?不二咲さんッ!!」

不二咲の名を叫んだ苗木はすぐさま近寄りその体に触れて安否を確認しようとし、

 

「…!!」

瞬間、その表情が凍りついた。

 

「…どうだ?」

十神の問いに、苗木は悲壮感を滲ませた顔で悔しげに答える。

 

「…駄目だ。もう生命エネルギーを欠片も感じない。不二咲さんは、死んでいる…」

「…だろうな」

苗木のように生死を確認できる能力を持っていなくとも、不二咲のまるで精気を感じない瞳を見ればすでに死んでいることは分かることであった。

 

「な、何だ今の声は!?一体どうしたのだね苗木君ッ…!?」

と、そこに先ほどの苗木の声を聞きつけたらしい石丸が更衣室に入ってきて、

 

「うわあああああッ!?ふ、不二咲君ッ!?」

目の前の光景に叫び声を上げる。

 

その時

 

ピンポンパンポーン

『死体が発見されました!一定の捜査時間の後、『学級裁判』を開きまーす!』

突然モノクマのアナウンスが入る。

 

「…!?何今の…?」

「そうか、お前は気絶していたから知らんのか。今のは『死体発見アナウンス』。三人以上の人間が死体を目撃すると自動的に流されるらしい。犯人捜しを公平にするためだそうだ」

そうこうしてる間に、死体発見アナウンスを聞いた生徒たちが電子生徒手帳の情報を元に集まってきた。

 

「!きゃあああッ!!…う、嘘でしょ…?」

「ふ、不二咲千尋殿ォーッ!!!」

「んだこりゃあ…!?どうなってやがるッ!?」

「ぬうう…また守れなかった…!」

不二咲の無残な姿に皆それぞれ無念の胸中を口にする中

 

「ひいいいいいいいいいいいいッ!!?」

遅れてやってきた腐川は、不二咲の死体を見るなり悲鳴を上げて卒倒する。

 

「ふ、腐川ちゃん!?」

「うおおお!?今頭からいったべ!?大丈夫け?」

いきなり倒れた腐川に朝日奈と葉隠が駆け寄る。と、そんな彼らの前で腐川がまるで逆再生するかの如く起き上がる。

 

「…」

「ふ、腐川ちゃん…?大丈夫?」

起き上がった腐川の表情は一言でいえば『異常』であった。顔面蒼白で目は据わり、爬虫類のように舌をだらんと口から垂らしていた。そして、突然狂ったように笑い出す。

 

「ぎゃははははッ!!あ!死体だ!おい、そこ死んでるぞ!!びっくりした?ゲラゲラゲラゲラ!!」

「や、やっぱ頭打っておかしくなってるべ。ひとまず部屋に連れてくべ…」

突然の豹変に心配になったので朝日奈が馬鹿笑いする腐川を引っ張って部屋へと連れて行った。

 

 

「世界は表と裏で構成されているのです!!九回裏と九回表然り!!嘘とホントもね!!まるでスタンドみたい!ゲラゲラゲラゲラ!!」

 

 

 

 

 

腐川を見送った後、モノクマからまた事件の情報をまとめた『モノクマファイル』を受け取った皆は、学級裁判に備えるため捜査を開始した。

 

(…にしても今回はやけに証拠になるものが多いな)

事件現場を見渡して苗木が受けたのはそんな印象であった。不二咲の直接的な死因は頭部に受けた打撲痕から鈍器のようなもので殴られたとみられ、足元にはそれを証明するかの如く血まみれのダンベルが転がっていた。何より異常なのは、磔にされた死体とその後ろの壁に書かれた「チミドロフィーバ―」という血文字である。不二咲の身長より高いところから書かれたことと、その規模の大きさ、意味の不明さからダイイングメッセージであることは考えにくいと推測される。

そして苗木にはまだ気になっていることがあった。

 

(…犯人はどうやって不二咲さんを殺したんだろう。不二咲さんのスタンド『20CB』の防御を突破するのは容易ではない。不意打ちで殺したにしても、不二咲さんが一人でいるところを狙う以上後から入ったのでは気づかれてしまう。とはいえ先回りして隠れているにしろ更衣室に隠れるような場所は無い。…となると犯人は不二咲さんと一緒に現場に入ったと考えるのが自然だ。現場の状況から計画性のない突発的な殺人であることは間違いない。凶器や血の処理がほったらかしだしね。電子生徒手帳の事件資料、『モノクマファイル』によると死亡時刻は午前二時頃、皆まだ寝てる時間だな…)

と、苗木はそこで思い出す。

 

(待てよ、あの『違和感』を感じたのも確か二時頃だった筈。とすれば、あの時の『違和感』は犯人が不二咲さんを殺すために使ったスタンド能力だったのか!けれど、一体どんな…?よく覚えていないから思い出せないけど、不二咲さんのスタンドを突破するほどの能力となると………突破する?違う、あれは防御をぶち破ったとかそういう感じではなかったッ!まるで…)

そこで苗木はある仮説に到達する。スタンド使いである自分にとっても、とんでもなく馬鹿らしくあり得ないと考えてしまうような犯人のスタンド能力に。

 

(まさか…「そう」なのか?我ながら突拍子もないことだとは思う。けれど、「そう」だとしたら確かに『20CB』の能力を一瞬だけど無効にすることができる。その時に生じる不二咲さんの動揺の隙を突けば不可能ではない。…だとすれば、残る問題はこの「チミドロフィーバ―」の意味だ。ここまでわざとらしく書かれている以上何か意味があってのことだと思うんだけど…)

と、考えている苗木に十神から声がかかる。

 

「…おい苗木、貴様今この「チミドロフィーバ―」という言葉について考えていただろう」

「えっ?…うんそうだけど。十神君なにか知っているの?」

「…ついてこい。教えてやろう」

言われるがまま十神についていく苗木。着いた場所は、図書室の中にある書庫であった。書庫に入った苗木に、十神は本棚からあるファイルを取り出し苗木に差し出す。

 

「これを読んでみろ」

「なになに…『警視庁未解決事件捜査報告書』…またとんでもないものがでてきたね」

「恐らく本物だろう。十神家の書庫で同じものを見たことがある。黒幕の仕業だろうが、問題なのは、ココだ」

そう言って十神が示したページには、とある犯罪者の犯行記録が書かれていた。

 

「連続殺人犯『ジェノサイダー翔』事件…被害者は必ず磔にされ現場に血文字の「チミドロフィーバ―」という文字が残されているのが特徴…これって…!」

「そうだ、今回の事件と酷似している。俺は今回の事件もこいつの仕業だと考えている。…紛れ込んでいるのだよ、俺たちの中にな」

(確かに…あり得ないことじゃあない。この資料によれば犯行時刻から犯人は学生である可能性が高いとされている。また、犯人の奇妙で支離滅裂な行動から重度の『解離性同一障害』…つまり『多重人格者』の可能性があると書かれている。確かに多重人格者なら本人に自覚がないこともある。十神君の言葉もまんざら的外れという訳でない。…でも、多重人格者なら確かめる方法はある…あれ?)

事件資料を見ていた苗木はあることに気づく。

 

(被害者の共通点は…これって…!おかしいぞ、不二咲さんが…だと知っているのは現状恐らく僕だけだ。ジェノサイダー翔はこのことを知らない筈。だとすればどうして…)

 

「苗木!十神!」

とそこに先ほど腐川を部屋へ連れて行った朝日奈が飛び込んで来た。

 

「…やかましい女だ。何しに来た」

「早く来て!緊急事態なの!!」

 

 

 

「腐川さんが…?」

「うん…。部屋に戻して、しばらくしてから様子を見に行ったら閉じ籠っちゃってて…。全然理由も話してくれなくて、十神と話したい。の一点張りで…」

「…チッ、面倒くさい女だ」

道すがら朝日奈から事情を聞きながら三人は腐川の部屋の前にやってきた。

 

「この中なんだけど…ほら十神早く!」

「チッ…、おい腐川!この俺がわざわざ来てやったぞ。さっさと出てこい!」

扉の前で十神が怒鳴ると、ゆっくりと扉が開きその隙間から腐川が顔を覗かせる。

 

「ご…ごめんなさい…約束…守れなかった…」

(約束?)

「でも…安心して…これ以上はもうッ…あたしが…ジェノサイダー翔の好きにはさせないからッ!」

「!ちょ、腐川さん!?」

言うだけ言ってまたドアを閉じようとする腐川を苗木が引き留めようとするが、苗木の手が腐川に届くより早くドアは閉じられる。

 

「もー、腐川ちゃんったら…」

「…十神君、約束って…?」

「知らん。あの女の妄想だろう」

いつも以上に挙動不審な態度に不思議に思いつつも普段が普段なので仕方なくほうっておくことにした。

 

(…これで確信は掴めた。あとは事件の流れを掴まなければ…ん?待てよ…)

「今気づいたけど…女子更衣室には女子しか入れないんだよね。だったら…」

「…なんだ貴様知らなかったのか?」

「へ?」

 

 

 

 

十神に連れて行かされたのは、変わらず堅固に封鎖された玄関ホールであった。

 

「これを見ろ」

そのホールの隅、机の上に置かれた小さな引き出しを開けた十神はその中を苗木に見せる。

 

「…あッ!」

そこには、二つの電子生徒手帳が入っていた。

 

「電源を入れて確認してみたが一つは舞園の物だった。もう一つは壊れているのか反応しなかったが、おそらく桑田のだろう。どうやら死んだ連中の電子生徒手帳はここに保管されるようだ」

「そうか…これを使えば男子でも女子更衣室に入れる。校則では電子生徒手帳の貸し出しは禁止してるけど借りること自体は違反にはならない筈だ。それに持ち主はもう死んでいるからね…。とすると桑田君の電子生徒手帳はあのおしおきの時に壊れたのかな?」

 

「ちょーっとちょっと!失礼なことを言わないでよ!!」

二人の後ろにモノクマが突然現れる。

 

「あの電子生徒手帳はこの学園においてマストアイテムなんだからあの程度のおしおきで壊れるわけないだろ!画面の前の皆に分かりやすくいうと「シアーハートアタック」ぐらい頑丈にできてるんだよ!!」

なにやらメタな発言をしているがとりあえず電子生徒手帳が頑丈だということは伝わった。

 

「でもねでもね!一つだけ『弱点』があってそこを突かれるとアッサリ壊れるんだけどねッ!!」

このクマ公は一体何がしたいんだろう。

 

「…では桑田は知らずにその弱点とやらをついてしまったという訳か?」

「さあね…。でもね、これが桑田君の電子生徒手帳とは限らないんじゃあないかなあ?うぷぷww」

そう言ってモノクマは再び姿を消した。

 

(電子生徒手帳の弱点…精密機械の弱点は衝撃、電気、あとは……そうか、あれか!だとしたらここにあるのは…)

「…どうした苗木?」

「…いや、何でもないよ」

 

苗木はそこで十神と別れ、再び現場へと戻ってきた。現場には見張りとしてまた大神と大和田が残っており、霧切も後に続く形で現場に入ってきた。

 

「あ、霧切さん。捜査の方はどう?」

「…大体の捜査は終わったわ。あなたの方は?」

「まあそこそこかな。これから詳しい現場検証を始めるところ」

「…早めに終わらせてくれよ。俺はとっととアイツの仏さん降ろしてやりてえんだからな」

大和田の言葉に頷き、苗木は捜査を開始する。不二咲の死体の状況や現場全体を見回してみると、ふと目に入ったものがある。

 

「あれ…?あのポスター、確か男子更衣室にあったグラビアアイドルのポスター?…なんで女子更衣室に…?」

遺体の後ろの壁に貼ってあったポスター。朝日奈の話によると元はジャニーズアイドルのポスターが貼ってあったところには、何故か男子更衣室に貼ってあったはずのグラビアアイドルのポスターが貼られていた。しかも、

 

「これは…血?まさか返り血か?…けれどこのポスターがあったのは……成程ね。そういうことか…だとしたら」

そう言って苗木は一旦現場を出ていく。向かった場所は隣の男子更衣室。一見変わりないように見えるその場所であるが、良く見ればちぐはぐな個所やどう見ても不自然なところが各所に見られた。

 

「やっぱりか…となるとやっぱり犯人はジェノサイダー翔じゃあない。後はあの磔と「チミドロフィーバ―」の謎だけど…待てよ?不二咲さんを貼り付けにしていたのは確か…」

再び苗木は更衣室を飛び出した。そして、向かった先で確認したもので、苗木の推理は確信へと変わる。

 

「やはりそうだったか。…これで全ては…」

「おお!ここに居られましたか苗木誠殿!」

と、そこに山田がなにやらホクホク顔でやってきた。

 

「?どうしたの山田君」

「いや~、実は拙者もの凄い発見をしまして、先日の学級裁判で素晴らしい活躍をなされた苗木誠殿の耳にもぜひ入れたいと思いまして」

「発見?」

「これです!!」

そう言って山田が取り出したのは電子生徒手帳。

 

「これって…誰の?…電源が入らないんだけど、もしかして玄関にあった奴?」

「いいえ!これはサウナルームで見つけたものです。おそらくは不二咲千尋殿の物と思われまする」

「不二咲さんの…?」

「ええ、霧切響子殿が不二咲千尋殿を調べている際電子生徒手帳が無いことに気づきましてな、気になってあちこち探してみた所サウナで壊れている状態で隅に捨てられていたのを見つけましてな。壊れているのはおそらく犯人の証拠隠滅と思われますなあ。…あ、もう霧切殿には教えてありますのでご心配なく」

(サウナ…ということは犯人はやっぱり電子生徒手帳の壊し方を知っているだろうあの人だ。…けれどなんで不二咲さんの電子生徒手帳を…?)

と、考えている苗木の脳裏にある言葉がよぎる。

 

 

 

「『男の約束』だ―」

 

 

 

「ッ!…そうか、だから不二咲さんの電子生徒手帳を…」

「な、苗木誠殿?」

「ありがとう山田君。これで全てが、本当に全てが分かったよ」

「は、はあ…どういたしまして…?」

 

 

キーンコーンカーンコーン

『えー、そろそろ飽きてきたから始めちゃおうか?お待ちかねの、学級裁判を!!』

「…行こうか、山田君」

「う、うむ!そうですな!!」

山田を伴い、苗木は学級裁判を迎えるべく裁判所へのエレベーターへと向かう。

 

真実を明らかにするために。

 

 

 

 

 

エレベーターには、既に多くの生徒たちが乗り込んでいた。苗木が乗り込むと、壁際に立っていた十神が声をかけてくる。

 

「さあ苗木よ、あれだけヒントをくれてやったんだ。少しは面白くしてみせろよ」

「…君の期待通りになる保証はないけど、まあ頑張らせてもらうよ」

 

やがてほぼ全員がエレベーターに揃った。

…が、エレベーターは一向に動き出さない。

 

「…あれ、どうしたんだべ?故障け?」

「ちょっとちょっと君たち!」

と、そこにモノクマが現れる。

 

「なんで動かないのさ!このエレベーターは全員が揃わないと動き出さないんだから、誰かいない人がいる筈なんだよ!あと誰が居ないの!?」

「……あっ、腐川ちゃんまだ来てない」

「なぁにぃ~!あの根暗め、学級裁判をフケようとはいい度胸じゃねえの!こうなりゃ無理やり引っ張り出してやるッ!!」

モノクマは一目散に寄宿舎へと走っていき、やがて駄々をこねる腐川を引きずって戻ってきた。

 

「いぃやあぁだあああああああッ!!!」

「ゴネてんじゃあねーよ!!しっかり生き恥晒して、それから死ねや!!」

グシャグシャの泣き顔で嫌がる腐川に罵声を飛ばしながら、モノクマは腐川をエレベーターに放り込んだ。

 

「フゥ~、これで一件落着。じゃあオマエラ、ボクは先に下で待ってるからね、アディオース!!」

モノクマを外に残して、扉が閉まる。そして、やっとのことでエレベーターは動き出した。腐川の啜り泣きと呪詛の言葉をBGMに、エレベーターはゆっくりと下へ降りていく。

 

やがてエレベーターが止まり、扉が開いた先には彼らにとって二度目となる裁判場があった。

 

「うぷぷ、やあさっきぶり。それじゃあさっさと席についてね。……根暗ァ!オメーもだよ!!さっさと動けこのスカタンがぁ!!」

 

無理やり席に着かされた腐川を最後に、全員が自分の配置についた。そして、桑田と不二咲が本来いるべき場所には、舞園と同じように×印がされた写真が置かれていた。

 

「ああ…また遺影が増えてるべ…」

「できればもう来たくは無かったが致し方あるまい。これで最後の学級裁判にするんだッ!!」

「……」

皆学級裁判への意気込みを言う中、霧切が苗木に声をかける。

 

「苗木君。どう?この事件分かったかしら?」

「…まあね。何とか終わらせてみせるよ。あの二人の為にもね…」

そう言う苗木の視線の先にいるのは、不二咲の遺影と犯人であろう人物。

 

(そう、真実を示さなくちゃあいけない。不二咲さんの為にも、…君の魂の尊厳のためにも…!)

 

「それじゃあ始めちゃいましょうか!学級裁判、開廷―ッ!!」

 

再びその幕が上がる。

 

命がけの裁判…

 

命がけの騙し合い…

 

命がけの裏切り…

 

命がけの謎解き…

 

命がけの言い訳…

 

命がけの信頼…

 

命がけの学級裁判が、再び始まる。

 

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