ノアside
僕は今、鈴との模擬戦を終えて食堂で食事を取った後、銀時計の時間を見て考えながら握り締めてながら部屋へ戻ろうと廊下を歩いていた。
ノア「・・・・・・・・・(やっぱり〝今の状態〟騙し騙しでやってもあれが精一杯か…このまま能力を使い過ぎると機体が…)」
ラスト(あら?ノアあれって・・・)
そう考えていると僕の部屋の前で鈴が体育座りで泣いていた。
ノア(これは関わると面倒臭そうだからスルーしよう)
エンヴィー(でもノアの部屋の前にいるから見つかるだろうし、絶対絡んで来るよね。あの様子だと)
グリード(てか何で泣いてんだよ)
スロウス(腹でも、減った、のか?)
プライド(まったくこの2人は・・・乙女心をわかっていませんね)
ラスト(まったくよ)
スロウス&グリード(え?)
グラトニー(食べていい?)
ノア(だから食べたら食中毒になるってば!)
ラスト(いや、爆発するわ)
エンヴィー(どっちでもいいから早く何とかしなよ)
よし、思い切ってスルーしてみよう。意外と気づかれないかも・・・
鈴「ちょっと待ちなさいよ!」
やっぱり気づかれたよ。銀時計をポケットに仕舞いながら本当にめんどくさいなと思った。
鈴「とりあえず部屋に入れなさいよ。話しはその後よ」
それ僕のセリフのような気がするんだけど。
鈴に言われた通り部屋に案内してお茶を出した。本音はいないようだな、風呂にでも行ったのかな?まぁいい、鈴もその方が話しやすいかもしれないし。
ノア「で、どうして泣いていたの?」
鈴「・・・実は・・・中学生の時に一夏にプロポーズをしたの」
ノア「プ、プロポーズ!?」
ラース(なんと、やるではないか)
ラスト(でも相手がね・・・)
プライド(可哀想ですね。おそらくそのプロポーズは実ってませんね)
鈴「それでね、あたしは「料理の腕が上がったら、あんたに毎日酢豚を食べさせてあげる」って言ったの」
ノア「それのどこがプロポーズなの?結婚してくださいならわかるけど・・・」
鈴「あのね、日本には「俺に毎日味噌汁を作ってくれ」って言うプロポーズの仕方があるの」
なるほど、日本にはそんな言い伝えがあるのか。つまり鈴は味噌汁ではなく酢豚に例えて言ったのか。
鈴「それでね、さっき一夏にその事聞いたら「毎日酢豚を奢る」と間違えていたの」
ノア「・・・・・・・・・」
前から呆れていたがここまで来ると何も言えんな。まさか人の心をここまで弄ぶとは。皆を守るなどと言ってその仲間を傷つけていては世話ないね。
ラスト(今回ばかりは許せないわね!)
エンヴィー(ラ、ラストが怖いんだけど)
ラース(私の妻に平手打ちされた時を思い出す)
鈴「あたしがダメだったのかな・・・あたしがもっとちゃんと説明していれば、こんな事には・・・」ポロポロ
鈴は泣きながら話した。それもそうだ、僕は恋なんてした事がないからよくわからないけど、ずっと思っていた人にこんな仕打ちされたらこうなるよね。
ノア「それで、鈴はどうしたいの?」
鈴「え?」
ノア「だから、鈴は織斑をどうしたいの?」
すると鈴は涙を拭い、こう言った。
鈴「クラス代表戦で一夏をボコって謝らせる!」
ノア「そうか、なら僕が特訓に付き合おうか?」
鈴「え?いいの?」
ノア「何を今更、ここまで巻き込んでおいて特訓に付き合わない訳には行かないよ。それに僕も今回の事は少し怒っているからね。人の心を弄ぶなんて最低だ」
鈴「ありがとう、ノア!じゃあ明日から放課後、アリーナで特訓しましょう!」
ノア「うん!」
鈴はじゃーねーと手を振り部屋を出て行った。
本音「終わった~?」
ノア「え!?本音!?」
突然シャワールームから本音が出て来た。まさかさっきの話し全部聞かれた?
本音「いや~びっくりだよ~まさかエルルンが私のいない間に他の女の子を連れ込むなんて~」
ノア「ご、誤解だ!鈴が泣いていたからなだめていただけで・・・」
本音「ふふっ・・・わかってるよ~ちょっとエルルンをからかっただけだよ~」
この女、最初から気づいていたのか。びっくりさせないでくれよ。
本音「エルルン、明日から特訓頑張ってね~!」
ノア「お、おう!」
それじゃあ、今日はもう寝るか。僕はいつも通り銀時計を近くに置いてベッドに入って静かに寝た。
ノアside out