七つの感情ストラトス   作:銀の巨人

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離れゆく想い

鈴side

 

 

 

ピット内

 

 

 

今はノアがアリーナに乱入して来た無人機と戦っている。

 

一夏「くそっ!ノアばっかりに任せられるか!」

 

一夏がもう一度出撃しようと試みたようだが・・・

 

千冬「駄目だ!お前は待機だ!」

 

織斑先生によって止められた。

 

一夏「何でだよ、千冬姉!」

 

千冬「織斑先生だ、いや今はいい。お前を出撃出来ない理由は単純にシールド・エネルギーが少ないからだ。いや、それ以前に致命的な実力不足だ」

 

はっきりという織斑先生、それに驚く一夏。

 

一夏「な・・・俺が弱いってのかよ!」

 

千冬「そうだ。実力も知識も経験も他の専用機持ちに劣っている。そんな奴をわざわざ出撃させられん」

 

一夏「なら、黙って見てろってのかよ!!俺は皆を守りたいのに・・・!」

 

千冬「守るのにも力は必要だ。だから今はエルリックの戦いを見てそこから学べ、そして努力をしろ。それが出来ないのなら誰かを守るなど不可能だ」

 

一夏「くっ!・・・・・・」

 

織斑先生の厳しい言葉に一夏は何も言えないようだ。皆を守る?この前のノアとの模擬戦の時は結構やばかったような・・・

 

真耶「他の教員はまだですか!?」

 

千冬「どうやら扉が閉まっていて出撃出来ないらしい」

 

真耶「扉が!?何故!?」

 

山田先生が必死になっている。最初にあった時から思っていたけど本当にいい先生だなぁ。

 

セシリア「ノアさん!」

 

セシリアが思わず声を上げた。何故ならノアがアリーナの壁まで吹っ飛ばされたからだ。

 

セシリア「織斑先生、私に出撃命令を下さい!」

 

千冬「・・・・いいだろう、今の状況ではお前が最適だ。だが無理はするな」

 

セシリア「はい!」

 

するとセシリアがブルーティアーズを纏いノアの元へ応援に向かった。そして間一髪セシリアがノアのピンチを救いそれからはセシリアが援護射撃をしてノアが接近して攻撃しようとするのがわかった。

 

一夏「・・・・・やっぱり、見てるだけなんて嫌だ!!」

 

突然一夏がボロボロの白式を纏いノア達の方に飛んでいってしまった。

 

千冬「っ!!一夏、待て!!」

 

真耶「織斑君!?」

 

2人の先生も予想外だったのか、一瞬判断が遅れ一夏を止めることができなかった。あたしも止めることが出来なかった・・・・・・否

 

あたしは気づいていた、一夏が無断で出撃しようとしているのを。それがわかっていて止めなかった。何故なら信じたくなかったんだ、一夏が、愛する人があんなに醜いって事を、そしてこの後ヒーローみたいに駆けつけた一夏がカッコよく決めて皆を守れるんだって信じたかった。

 

・・・・・・・・・だが、それがいけなかった。

 

 

一夏「俺がこいつを倒して千冬姉や皆を守るんだぁぁぁ!!!」

 

と言って一夏はなんと無人機の後ろからノアごと刺した!

 

鈴「!!!」

 

あたしは驚いた、いやあたしだけでなく織斑先生や山田先生、セシリアにノアまで驚いている表情をしていた。

 

セシリア「ノアさん!!」

 

セシリアがノアに駆け寄って必死に呼び掛けている。

 

真耶「織斑先生、扉が開いたようです!!」

 

千冬「よし、すぐに救護班を呼べ!!エルリックは瀕死状態だ!!早く治療してやらないと死ぬぞ!!」

 

織斑先生と山田先生の会話をよそにあたしはまだこの事実が信じられなかった。

 

鈴「そんな・・・一夏・・・それはないよ・・・」

 

あれだけ皆を守ると言っておいてこれはないよ・・・

 

あたしは思わずその場に膝をついてしまった。そこに織斑先生が支えてくれた。織斑先生の顔も雲っていた。それはそうだまさか実の弟が人を刺したんだ。そのダメージは姉である織斑先生にも来る。

 

 

そして1時間ほど経ったとき事件の当事者であるあたしとセシリアに一夏が呼ばれていた。

 

千冬「それでは、今回の事件の話しを始める」

 

織斑先生が話を始めたセシリアは顔には出さないが確実に怒っているわね、一夏は何故かウキウキした顔をしている。何でそんな顔ができるのか理解できなかった。・・・あたしは今、どんな顔しているのかな、まぁ酷い顔だってのはわかるわ。

 

千冬「まずは敵 ISの討伐、ご苦労だった。本来ならこのような事態は教員である私達が対処すべき事なのだが、言い訳をするようで嫌なのだが、出撃用の扉が閉まっていて出撃出来なかったようだ。本当に済まない」

 

なんと織斑先生が頭を下げて謝った。まさか世界最強が頭を下げるなんてね。

 

セシリア「い、いえ!扉が閉まっていたのなら仕方ないですわ!」

 

鈴「そ、そうですよ!気にしないでください!」

 

一夏「そうだぜ千冬姉、何とか俺達が解決したんだから問題ねぇよ!」

 

一夏の言葉にセシリアがピクリと眉を上げた、これは完全にご立腹ね。でも、その気持ちはわかるわ。

 

千冬「織斑先生だ!!馬鹿者!!」

 

織斑先生の怒鳴り声にこの場にいる全員がビクってなった。一瞬衝撃波のようなものが走った気がする。

 

一夏「そ、そんなに怒鳴ることないだろ?」

 

千冬「貴様・・・まさか自分が何をしたかわかっているのか!?」

 

一夏「え?俺があの敵を倒した、だろ?」

 

千冬「何だと・・・」

 

織斑先生は言葉が出てこなかったようだ、おそらく色々な感情が織斑先生の中にあるんだろうな。それも束の間、織斑先生の顔が怒りに満ちてきた。それを察したのか一夏は

 

一夏「い、いや、オルコットの援護射撃があったおかげで倒せたんだ!」

 

などと的外れの事を言い出した。

 

セシリア「何ですっ・・・!」

 

 

ドゴッ!!!

 

 

セシリアが一夏に反論しようとした瞬間、織斑先生の怒りがこもった拳が一夏の左頬をぶん殴った。

 

千冬「貴様はエルリックを敵ごと刺したんだぞ!!!!それが何故分からない!!!!」

 

一夏「っ・・・・・・!」

 

一夏も突然殴られて動揺している、そして織斑先生は続けてこう言った。

 

千冬「貴様には反省文500枚と一週間の懲罰房謹慎、夏休みの殆どをボランティア活動に強制参加の処罰を下す!!」

 

一夏「なっ!!」

 

セシリア「織斑先生!!納得が行きません!!」

 

一夏はセシリアを見て笑顔になった、まさか自分を弁護してくれるとでも思ったの?

 

セシリア「そんな処罰では甘すぎます!!普通あれだけの事をしでかしたら退学にした後警察に突き出すのが当然でしょう!!」

 

一夏「え!?」

 

千冬「それは出来ん。すでに政府が圧力をかけて来てこの事態を揉み消そうとしている。残念だがこれが限界だ」

 

セシリア「政府が!?・・・何故!!」

 

千冬「それは・・・「この事が明るみに出て学園に居場所がなくなり自殺でもされたら困る」・・・というふざけた理由だ!!」

 

・・・・・・セシリアも、もはや言葉も出ないと言う様子だ。当然だ、殺人未遂をした人間を反省文や謹慎などで許していまうんだからね。それに自殺をされたら困る?ふざけきっているわね・・・

 

千冬「そういう事だ、織斑にはすぐに懲罰房へ行き反省文を書け、と言いたいがその前にまずは保健室で治療を受けろ、鳳もだ。いいな?それでは解散!!」

 

 

 

鈴side out


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