七つの感情ストラトス   作:銀の巨人

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愚か者

千冬side

 

 

 

会議室

 

 

 

現在は会議室に私とIS学園の学園長である轡木 十蔵、山田先生、一夏が居て、アメストリス側は大総統のマスタングにブリッグズのトップ、オリヴィエ・ミラ・アームストロング中将とアレックス・ルイ・アームストロング大佐そしてエルリックの父親、エドワード・エルリック殿が椅子に座っていた。エルリックの母親と町医者のティム・マルコーさんはエルリックの治療を行っているらしい。

 

十蔵「それでは、会議を始めます」

 

会議が始まった直後、マスタングが立ち上がった。

 

ロイ「まず、政府が今回の件をもみ消した事についてだ。アメストリスの代表候補生にして国家錬金術師であるノア・エルリックを織斑一夏が刺した事をもみ消したとはどういう事なのだ?」

 

十蔵「もみ消した件については政府の指示ですので・・・」

 

ロイ「ほう、あくまで政府の指示で学園側に非はないと言うのだな?」

 

十蔵「はい・・・」

 

学園長とマスタングの話しが終わると同時に中将が話し出した。

 

オリヴィエ「織斑一夏とやらに質問がある。何故ノア・エルリックを刺した?」

 

一夏「そ、それは・・・皆を守るために・・・」

 

オリヴィエ「守る?ならばノア・エルリックは守る対象ではなかったという事だな?」

 

一夏「そんな事ない!ノアを刺したのは見えなかったんだ!」

 

オリヴィエ「おかしいな、ISにはハイパーセンサーなるものがあると聞いたのだが・・・聞き間違いか?」

 

一夏「ぐっ・・・」

 

ロイ「そしてノア・エルリックの専用機から記録を見たが、あれはどう見ても貴様が行かなくとも勝てる場面だったぞ?イギリスの代表候補生による援護射撃もあるしな」

 

一夏「そ、そんな事ない!あのISは俺がいたから倒せたんだ!」

 

一夏が何か言っているな。私の弟ながら何とも愚かな発言だ。やはり私の教育が間違っていたな。

 

エド「いい加減にしろ!!」

 

一夏「っ!!・・・」

 

エルリックの父親、エドワード・エルリック殿が怒鳴り声をあげ、一夏は黙りエドの怒鳴りに山田先生は涙目になった。

 

エド「てめぇ、さっきから聞いていればいい加減にしやがれ!!人の息子を刺しておいて謝罪も無しか!?それにさっきも言っていたが守るなんて言って実際は全然守れてないだろ!!それでよく守るなんて言えたな、それに1回でもお前に助けを求めた人間がいるのか!?」

 

一夏「ぐ・・・ぐぐ・・・」

 

一夏は反論もできないようだった。そして一夏に助けを求めた人間など1人もいないのでそれについても言い返す事ができない。

 

一夏「そ、そんなに国家錬金術師が偉いのかよ!どうせ誰でもなれるようなもんなんだろ!」

 

一夏の発言にマスタング、エルリック殿、アームストロング大佐がピクリと動いた。

 

エド「てめぇ・・・国家錬金術師がどんなものか知っていて言ったのか!?」

 

ロイ「よせ鋼の、此奴に国家錬金術師の偉大さが理解出来るとは思えんな」

 

一夏「何だと!!じゃあ、言ってみろよ!!」その言葉を引き金にマスタングは懐の銀時計を出して一夏に見せつけて話だした。

 

ロイ「国家錬金術師とはその名の通り、政府直属の錬金術師として国家に服従して研究を進め、その見返りとして莫大な研究資金と軍で少佐相当の地位そして様々な特権を与えられる。毎年一度しか無い資格試験に約50から100人の受験者が試験を受けに来るが合格者はたった1人か多くて2人、合格者0の場合もある超難関の試験だ。数年また10年間合格者が出ないケースも少なく無い、現在我が国の国家錬金術師の総数はノア エルリックを含めて約200人しか居ない。そして戦争時は強制的に人間兵器として戦場に駆り出され、敵を殺さねばならない。これの意味がわかるか?つまり国家錬金術師は軍にとって都合の良い兵でしかなく、軍の狗として扱われるのだ!国家錬金術師の中にもその現状を割り切り、積極的に殺しをしている者もいた。だが、皆が皆そうなれる訳では無い!人を殺したくない者もいる、人殺しが嫌で戦場から逃げ出した者もいる!貴様のような守られているばかりの人間には分からんだろうがな!!」

 

一夏「なっ・・・・・・」

 

マスタングの説明に一夏は何も言えない様子だった。私も楽観視していた訳では無いが、あまりにも酷すぎる。

 

一夏「し、勝負しろ!!」

 

ロイ「何だと?」

 

千冬「な、何を言っているんだ一夏!」

 

一夏「千冬姉、こいつは人を殺したんだぞ!そんな事する奴は俺が許さない!!俺の白式で倒してやる!!」

 

一夏・・・お前は一体、何を言っているんだ。マスタングの話しを聞いていなかったのか?やりたくてやっているんじゃない、仕方なくだ。国を守るために殺しをしたのだ。それにお前はISを使えない人間に対してISで戦う気か?

 

ロイ「‥いいだろう、貴様が今までどれほど甘い世界にいたのか思い知らせてやる‼︎」

 

銀時計を懐に仕舞いマスタングもやる気満々のようだ。

 

アレックス「姉上、本来ならば私が止めねばならないのですが何故でしょう、とてもそのような気になれませぬ・・・!」

 

オリヴィエ「それは同感だ・・・」

 

エド「・・・・・・・・・」

 

アメストリス側は止める気は無いようだ。正直言って一夏とマスタングが戦ったらどうなるかわからん。マスタングはアメストリスでは焔の錬金術師と言われていたが実際見た事がない。しかもISを装備出来ず生身で戦うとなれば一夏の方が優利の筈だ。それなのにマスタングは一歩も引かない上に生身で戦う、それほど強いという事か。

 

ロイ「ではさっそくアリーナへ向かうか」

 

一夏「あぁ、絶対俺が勝つ!」

 

 

 

千冬side out


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