七つの感情ストラトス   作:銀の巨人

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殺意

ノアside

 

 

 

午後の授業、アリーナ

 

 

 

エマに専用機を整備してもらったセシリアと鈴はエマに礼を言った。僕はエマの修行の成果を褒めると同時に頭を撫でた。

 

エマ「ふにゃぁ〜ん♪・・・///」

 

鈴「な、何あの空間?」

 

セシリア「さ、さぁ?」

 

エマは気持ち良さそうな顔で喜んでいる。何やら僕達の周りがうるさいがそっとしておこう。そして幸せそうなエマの前に織斑はやって来た。

 

一夏「すげぇなエマ!びっくりしたよ!」

 

エマ「・・・・・・」

 

織斑に話しかけられた瞬間、明らかに不機嫌になった。午前の時に見せた怒りとはまた違う、本気の憤怒だ。

 

一夏「なぁエマ、よかったら俺の専用機も整備してくれよ!」

 

織斑は自分の専用機を整備しろと言ってきた。随分と図々しい願いだな。セシリアと鈴は僕が世話になるからその礼で整備したと言うだけなのに。

 

エマ「・・・勝手に名前で呼ばないでください・・・あと、何であなたの専用機を整備しないといけないんですか?」

 

一夏「何でって、俺は強くなって皆を守りたいからに決まってるだろ?それにオルコットや鈴の専用機を整備して俺の専用機は整備しないなんて事無いだろ?あとノアの妹なら名前で呼んでもいいだろ?」

 

などと当然のように何様だと言いたくなる様な事を言ってきた。

 

エマ「っ!・・・そんな理由で・・・整備なんかする訳ないでしょう!!!」

 

一夏「っ!?」

 

一瞬エマの周りに衝撃波のような衝撃が走った。周りの生徒達も驚いていた。

 

エマ「強くなりたいなら鍛錬をすればいいじゃないですか!!言っておきますけど、セシリアさんと鈴さんがあそこまで強くなっていたのはあの二人が今まで頑張って来たからです!!もし、何もしないまま整備した機体に乗っていたら、機体の動きに身体がついて来れずむしろ弱体化するんですよ!!整備するかどうかは別としてせめてそれ相応の結果を出してから言ってください!!」

 

一夏「な・・・!」

 

エマ「それと意味不明な理由で名前で呼び捨てにしないでください!!あなたとお兄ちゃんは友達でも何でもないんです!!それにお兄ちゃんにあんな事にしたくせによくそんなことが言えますね!!」

 

一夏「そ、そこまで言わなくてもいいだろ!それにもうノアには謝ったじゃないかよ!!」

 

千冬「いい加減にせんか!!!」

 

織斑先生が織斑に鉄拳制裁をした。エマには片手で待ったをかけた。

 

千冬「エマさん、うちの弟がすまない!」

 

エマ「・・・・・・」

 

千冬「それに織斑!!何度言わせるんだ!!貴様には何の権限があってそんな事を言っている!!それに私はエルリックに”死ぬ気で謝れ”と言った筈だぞ!!」

 

一夏「ぐっ!!俺だって・・・あの時は本当に必死だったんだ!!ただ守りたいと思っていただけだ!!だからノアに謝る事なんて無いだろ!!」

 

セシリア&鈴「っ!!!」

 

完全にセシリアと鈴がブチ切れたな。それにしても大総統はともかく織斑先生の言葉も届かなかったか・・・哀れだな。

 

エマ「・・・・・・・・・」

 

エマがゆっくりと織斑の方へ近づいて行った。

 

ノア(っ!やばい!!)

 

ラース(このままだと確実に殺されるな、あの愚かな小僧は)

 

プライド(それは流石にまずいのでは?)

 

ノア「エマ!待て!!!」

 

エマ「っ!・・・何で止めるの?」

 

エマは僕の大声に驚き、少し戸惑っている。なので僕はエマを抱きしめ、頭を撫でてエマにしか聞こえない声量でこう言った。

 

ノア「落ち着け、大丈夫だ・・・僕の為にありがとう。でも、僕はお前に犯罪者になんかなって欲しくない、頼むからその手を汚さないでくれ。父さんや母さん達が悲しむ・・・」

 

エマは抱きしめ返してきて、そのまま僕の胸に顔を埋めたまま頷いて大人しくなった。その様子を見ていた織斑先生、セシリア、鈴は驚愕していた。

 

ノア「織斑先生、すみませんでした。もう大丈夫です」

 

千冬「そ、そうか、こちらこそすまない!」

 

このやり取りを見て何を勘違いしたか織斑が笑顔になった。

 

ノア「謝罪の方も、もういいです。最初から謝る気が無い人の謝罪なんて何の価値もありませんし、不快なだけですから」

 

僕のその言葉に織斑は怒りをあらわにして詰め寄ろうとしていたが織斑先生の拳骨で沈められた。その後、午後の実技をして僕は織斑先生に当分は専用機が使えないので学園の打鉄を借りる事を伝え、今日の授業は終了した。

 

 

 

ノアside out

 

 

 

 

 

三人称視点side

 

 

 

放課後、アリーナ

 

 

 

このアリーナでは今、一夏と千冬や他の生徒が訓練をしていた。

 

一夏「はぁはぁ・・・」

 

千冬「立て!!この程度では誰も守れんぞ!!」

 

一夏「くっそぉぉぉ!!!」

 

訓練を始めて約40分、さっそく疲れを見せている一夏。最初こそは勢いが良かったのだが、今はその勢いも無し。

 

一方観客席では

 

「あ!織斑君だ!」

 

「織斑君が織斑先生と特訓してる!」

 

「これは次の学年別トーナメントは期待出来そうね!」

 

「うんうん!ん?あれは・・・篠ノ之さん!?」

 

観客席で話していた生徒達がアリーナで一人、訓練をしている箒の姿に驚いていた。いつもは一夏と箒が一緒に訓練していて正直妬ましく思っていたのだが今日は違う。

 

「珍しいわね、篠ノ之さんが一人で訓練しているなんて・・・」

 

「それに、いつもと違って真剣に取り組んでる・・・」

 

箒は一夏と訓練をしている時、明らかに集中していなかった。ちなみに箒は一夏と千冬が来る20分前から訓練していた、だが箒はそれ程息が上がっていなかった。一夏はこれまで中学では剣道を辞め、それなりの訓練などをして来て、箒は中学の時から剣道部で体力があるが、その差ははたしてそれだけなのか・・・

 

 

 

三人称視点side out


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