七つの感情ストラトス   作:銀の巨人

67 / 97
プリンスノア?

鈴「あっ!そう言えば・・・」

 

セシリア「どうかしましたか、鈴さん?」

 

鈴「ノアの錬金術で思い出したんだけど、あたし・・この学園に来る前、代表候補生同士の訓練の時に元中国代表の人からある試合映像を見せてもらったの」

 

シャルル「鈴、それって何の試合映像だったの?」

 

鈴「非公式の親善試合だけど、中国国家代表対シン国国家代表の試合よ」

 

ノア「・・・(シン国国家代表!・・・もしかして・・・)」

 

鈴が思い出して話した親善試合の映像、中国の対戦相手がシンの国家代表と聞いたノアは何か心当たりがあるようだ。

 

ノア「鈴、良かったら話してくれ」

 

鈴「別に良いわよ、まず話すのは何故その親善試合をやる事になったか説明するわね。知ってると思うけど私の祖国中国はアジアでも広大な大陸で、世界で一番人口が多い国。そしてその中国の西の隣国がシンなの」

 

セシリア「そう言えば中国とシンは友好を結んでるでしたわ「それは違う」!?どういう事ですのノアさん・・・」

 

鈴「ノアの言う通りよセシリア・・確かに中国とシンは友好を結んでる、でもそれは表向きの話しであって実際は裏で中国政府や首相はシンを吸収して自国の領土を拡大しようと考えてるのよ」

 

シャルル「・・・物騒な事情だね」

 

鈴「ハァ〜本当にそうよ、でも中国はシンを吸収しない・・・いや、出来ないっていうのが正しいわね」

 

セシリア「出来ない・・・と言うと?」

 

鈴「それも含めて話すわ、そして10年前にISが登場して、各国にコアが分配された。隣国シンにも一つ分配されて中国政府は第1回のモンド・グロッソの前にシンに友好国同士の親善試合と称してIS同士の戦いをシンに求めたの。でも、中国政府の思惑は自分達の力を示してシンが自ら中国の軍門に降る様にする考えがあったの」

 

シャルル「それからどうなったの?」

 

ノア「察するに、鈴が見た映像がその試合の映像だった、だろ?」

 

鈴「その通りよノア、それからシンも親善試合に了承して両国の国家代表選手が試合する事になった。そして結果は・・・」

 

ノア「・・・」

 

セシリア「・・・結果はどうなったですの?」

 

鈴「・・・中国が負けたわ。しかも開始して1分もしない内に・・・」

 

セシリア&シャルル「1分!?」

 

ノア「(やっぱり)」

 

鈴から中国代表とシン国代表の試合が1分もかからずシンが勝った事にセシリアとシャルルは驚愕したがノアだけは何処か確信をしていた。

 

鈴「本当に一方的な試合だったわ・・・開始合図がなった瞬間にシン国代表は小さい鏢いわゆる日本の忍者が使う手裏剣のような物を五本一斉に投げて攻撃してきたの。そして中国代表はガードしたけど別にしなくてもあまりダメージは無かったわ。唯その鏢が星のような形になる様に機体に刺さったままを除けばね。それから中国代表は射撃攻撃で反撃したけどシン国代表は一気に地面に降下した。中国代表もそのまま、追時して攻撃を続けたけどシン国代表は後ろを見ずに避けたのよ」

 

シャルル「後ろを見ずに避けた!?」

 

鈴「そしてシン国代表が地面に着くと足で何かを描いてその上に試合開始に投げた同じ鏢を五本を星を描くように様に落としたの。その間に中国代表はブレードに替えてシン国代表に上空から急降下で攻撃仕様とした」

 

セシリア「・・それからどうなったですの?」

 

鈴「シン国代表が地面に描いた物を両手につけた瞬間・・・」

 

セシリア&シャルル「「・・・ゴクン」」

 

ノア「・・・」

 

鈴の話でセシリアとシャルルは唾を飲み込むがノアは黙って聞いてた。

 

鈴「シン国代表の両手を付けた地面から光が出て、鏢が刺さったままの中国代表の機体が空中で爆発したの」

 

セシリア&シャルル「「爆発!?」」

 

ノア「(やっぱり″あの人″か・・・)」

 

鈴「そうよ、爆発して機体も半壊し待機状態に戻り中国代表も爆破で気絶したの、しかも空中でね。幸い気絶した中国代表はシン国代表が受け止めてくれたから命に別状はなかったわ。そして試合はシン国の勝利になったのよ・・・正直な話・・あの時、映像を見てシン国の代表選手は千冬さんよりも強いんじゃないかと思ってしまったわ・・」

 

シャルル「・・・一体何で爆発を「″錬丹術″だよ」えっ!?ノア!知ってるの!?」

 

鈴「あっ!そう言えばノアの故郷のアメストリス国はシンと友好だけでなく貿易や同盟を結んでたんだったわね」

 

セシリア「ノアさん″錬丹術″とは何ですか?錬金術と同じなのですか?」

 

ノア「その質問を答えを言うなら、系統は同じではあるけど性質は全く別の物」

 

セシリア「性質は別物?」

 

ノア「″錬丹術″って言うのは医療に特化した錬金術で、止血や治療に使われ事が多い。勿論、錬金術と同じ様に使えるがその錬成の際に必要なエネルギー源は、大地や生物の内にある″気″の流れ″龍脈″と呼ばれる物を利用しているという点で大きく異なる。これを利用すると、アメストリスの錬金術には無い遠隔錬成も可能となる。ただし、気の流れが絶たれている場所では不可能で錬金術と同様に失った腕などは復元できないんだ。爆発したのは最初に投げた鏢が錬成陣の形に成る様に相手の機体に刺して″鏢自体″に構築式が刻まれており気を送る事で分解エネルギーを発生させて機体を暴発させたと言った処だよ」

 

セシリア&シャルル「「″キ″?」」

 

鈴「気と言うは全ての生き物に流れる生命エネルギーの事よ。そして中国が迂闊にシンへ手を出せない理由が正にその″気″なの」

 

セシリア「!?・・そんなに凄いのですか?」

 

鈴「・・そうよ、シンは気を自由に使う事が出来る国と言われてるの、″気を支配出来る者は大地を支配出来る″過去にIS登場前から中国はシンに攻めた事もあるけど結果は敗走、錬丹術と気の力を自由に使えるシンには中国は手も足も出なかったのよ。そしてISが出てもシンの気と錬丹術の前では無力だったのよ」

 

シャルル「・・・!!ちょっと待って、それだけ凄い人がなんで有名になってないの!?」

 

セシリア「そうですわ!?それに第1回大会にはシンは出場してませんわ!!」

 

鈴の話を聞いてシンの凄さを知り、シャルルはある疑問に気づきセシリアも気づいた。

 

鈴「それは・・・その・・「彼女が一身上の都合で大会の出場を棄権して代表選手から降りたからだよ」!?ノア、何で知ってるのよ!?」

 

ノア「それに一身上の都合と言っても只の都合じゃ無い」

 

セシリア「?何ですの?」

 

ノア「・・・妊娠だよ」

 

セシリア&シャルル「「!!!妊娠ーー!!?」」

 

鈴「な、何でそんな事まで・・」

 

ノアの口から出た言葉でセシリアとシャルルは驚愕し、鈴は何故それを知ってるノアに驚いた。

 

ノア「そう、だから彼女は妊娠してた為に代表選手から降りて代わりに現在の国家代表選手は彼女の後任で錬丹術は使え無いがシン国、皇帝リン・ヤオの側近のランファンさんがシンの国家代表選手になってるけど・・彼女を辞めさせるのはシンの国民が反対したから現在はシン国代表候補選手として席を置いてる。因みに第2回の時はアメストリス国家代表選手リザ・ホークアイさんとシン国家代表選手ランファンさんは出場したけど一回戦に勝って二回戦に進出した時、自国の事情により棄権したんだ」

 

セシリア&シャルル「「・・・・」」

 

ノアの話を聞いてセシリアとシャルルは言葉を失った。

 

鈴「・・ねぇノア、あんた何者なの?いくらアメストリスとシンが同盟を結んでるからって事情を知り過ぎよ」

 

ノア「ん?・・あぁ、そう言えば話てなかったね。シン国元国家代表選手でシン国第十七皇女並びにシン国で1の錬丹術師メイ・チャン、彼女は僕とエマの叔母なんだ」

 

セシリア&シャルル&鈴

『・・・えっ!?えぇーーーー!!!!!?』

 

鈴「叔母!?シンの元国家代表がノアの叔母!?」

 

シャルル「しかも皇女って皇族の人が代表選手だったの!?」

 

セシリア「待ってください!!・・その方がノアさんとエマさんの叔母という事は・・・ノアさんもエマさんも皇族の方・・つまりはノアさんはプリンスなんですのーーー!!?」

 

『ええぇーーーー!!!!!』

 

ノアがメイを自分の叔母だと話すと3人は驚き更に追い討ちでセシリアがノアをプリンスだと言う発言で廊下で立ち聴きしていた他の生徒達が保健室に流れ込んだ。

 

鈴「ちょっと!何であんた達がいるのよ!!」

 

ノア「・・ハァ〜僕の水晶の話から皆廊下で立ち聴きしてたよ」

 

シャルル「え!?ノア!?気付いてたの!?」

 

ノア「そうだけど・・気にしない様にしてたんだ・・」

 

アリーナにいた生徒や他にもクラスメイト等が保健室に流れ混んで来て鈴は怒鳴りノアは溜め息を吐き最初から気付いてたと曝露し、シャルルはそんなノアに驚きカオスな空間な変わった。

 

生徒1「エルリック君がプリンス・・皇子様!?」

 

生徒2「軍人で代表候補選手で地位や富や名誉もあり顔も良くて、頭も良く、強くて優しい・・そこに皇族!?」

 

生徒3「2次元にしかいない存在が・・今!目の前に居る!!!」

 

生徒4「エルリック君と結婚すれば玉の輿どころか一生安泰が約束される!!!」

 

生徒5「これって何のラノベ!?少女漫画の主人公も真っ青な主人公が此処にいるよーー!!!」

 

生徒6「神よ!!今!私はこの瞬間!この時の為に!満を持して降臨したのですね!!」

 

相川「これはまずいよ!!エルリック君の競争率が織斑君以上になってしまう!!」

 

鷹月「益々、エルリック君の難易度が上がってしまうよぉーーー!!」

 

谷本「このままじゃあ!ベリーハード・・否!ルナティークから無理ゲーモードになってしまうよ!!!」

 

本音「エルルン〜!王子様だったんだ〜カッコイイよ〜!」

 

ノアの事についてクラスメイトや他の生徒達は好き勝手言ってるが本音だけはブレなかった。

 

ノア「ちょっ、ちょっと待って!!僕は別に皇族じゃないよ!メイ叔母さんとは只の親戚ってだけで・・って、誰か!!僕の話を聞けよ!!!」

 

鈴「ノアが皇族、ノアが皇族、ノアが皇族・・・」

 

シャルル「・・・僕とノアは住む世界が違うんだね・・ハハハハハっ・・・」

 

セシリア「ああぁ〜ーー!!どうしましょう〜!!あの時、わたくしはノアさんに対して暴言を言ってしまいましたわ〜!!アメストリスとシンの同盟がイギリスと戦争になってしまうかもしれないですわーー!!!」

 

ノアの話を聞かず鈴はブツブツと独り言を言いシャルルは悟って自暴自棄になりセシリアはクラス代表を決める際の自分の発言に後悔していた、他の生徒達もまだ騒いでいた。

 

ノア「何で僕の周りには人の話しを聞かない人が多いんだろ・・・」

 

この後、このカオスな空間で少し時間が掛かったが全員、ノアの話を聞ける様になった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。