七つの感情ストラトス   作:銀の巨人

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エマのドクターストップ

ノアside

 

 

 

セシリアと鈴が組んでタッグマッチトーナメントに出ると言おうとした時、白衣姿のエマと織斑先生、山田先生が保健室に入室して来た。

 

ノア「エマ、何で此処に?」

 

僕はアリーナでエマと交わした会話で此処に来る事は分かっていたが内容については分かっていなかったのでエマに聞いた。

 

エマ「ムッ!・・・何でって、・・ハァ〜お兄ちゃん私は基本整備士だけど医者でもあるんだよ。今回は私が怪我してる二人の様子を私自身が頼んで担当する事にしたの」

 

ノア「えっ!?エマ、それって勝手に決めて良いのか?」

 

エマ「それもあの条件の一つに入ってるから大丈夫!それにその方が学園としても都合が良いみたいだから問題無いよ」

 

どうやらセシリアと鈴のケアはエマが自分で担当するように申し出たので此処に来たみたいだ。でも、確かにエマだったら此処の保険医よりも″早く″治すことが出来るだろうから僕も賛成だ。

 

セシリア「エ、エマさん・・・」

 

鈴「エマ・・・」

 

エマ「ん?お二人共どうしんですか?」

 

セシリアと鈴が遠慮がちに声を掛けた事でエマは疑問を感じたから2人に聞いてみたが2人の考えは大体察する事ができる。

 

鈴「・・・エマ!あの時アリーナで無神経な事を言って本当にごめんなさい!!」

 

セシリア「わたくしも本当に申し訳御座いませんでした!!」

 

セシリアと鈴はアリーナでエマに錬金術を使えない事を言わせるきっかけを作った事にベッドで腰を下ろした状態でエマに頭を下げて謝罪をしていた。

 

エマ「もう、良いですよ。大丈夫ですから♪」

 

鈴「エマ・・・でも!」

 

エマ「鈴さん!セシリアさんもあの時に言った通り私は私なので、気にしないで下さい」

 

セシリア「エマさん・・・許して貰いありがとうございます・・・」

 

鈴「本当にありがとうエマ・・・」

 

ノア「・・・」

 

シャルル「・・・」

 

千冬「・・・」

 

真耶「・・・」

 

エマに対する2人の謝罪とそれを受け入れるエマのやり取りを僕とシャルル、そしてさっきから黙って成り行きを見てる織斑先生と山田先生は見守った。

 

エマ「その件はもう良いです。それよりも、先程も言った様にセシリアさんと鈴さんのタッグマッチトーナメント出場は駄目です」

 

鈴「あっ!そうだった。エマ!何で駄目なのよ!!」

 

セシリア「鈴さんの言う通りですわ!いくらエマさんだからと言ってもちゃんと納得出来る説明を下さいまし!!」

 

エマからの口から宣告セシリアと鈴のタッグマッチトーナメント出場禁止。普通なら僕もエマに何か言ってたと思う″普通なら″。

 

エマ「・・・ハァ〜」

 

セシリア&鈴『?』

 

エマは溜息を吐いてベッドに座ってる2人に近づいた。

 

エマ「・・・」

 

セシリア&鈴『!!イィーー〜〜〜!!!』

 

ノア「あぁ〜やっぱり、そうだ」

 

2人の近くまで来たエマは人差し指で2人の肩を軽く触れると2人は激痛に悶え苦しんで我慢していた。エマが反対した理由、僕も最初に包帯だらけの2人を見て何となく察していた。

 

鈴「エ、エマ〜あ・ん・た・ねぇ〜!・・・」

 

セシリア「エ・マ・さ・ん〜!・・・」

 

エマに突かれた2人は恨めしそうに涙目でエマを睨んだ。

 

エマ「・・ハァ、私が出場禁止する理由はそれです。セシリアさんと鈴さんはボーデヴィッヒさんとの戦闘で身体に深刻なダメージを負ってしまってるのです。現に私が軽く触ってそれです・・・その状態で数日後のトーナメントに出れると本気でおもってるのですか!」

 

セシリア&鈴『・・・』

 

エマの正論と言う説教にさっきまで恨めしそうに睨んでいたセシリアと鈴はバツ悪そうな顔して府いて黙ってしまった。

 

エマ「それだけじゃありまん。ISのダメージレベルもCを超えています。仮に身体を治してもISがその状態では出場はできません」

 

鈴「えっ!?」

 

セシリア「ダメージレベルがC!?本当ですの織斑先生!!」

 

千冬「・・・あぁ、オルコット。エマさんの言う通りだ」

 

セシリア「そ、そんな・・・」

 

千冬「山田先生、説明を」

 

真耶「は、はい!現在オルコットさんと鳳さんの専用機のダメージレベルはCを越えています。当分は修理に専念する必要があります」

 

セシリア&鈴「・・・」

 

エマから専用機の状態を言われて2人は驚愕し、セシリアは織斑先生に確認を取るが結果は変わらず山田先生も真剣な顔で説明し、それを聞いた2人はかなり落ち込んだ。

 

ノア「・・・なぁ、エマが修理すると言うの駄目なのか?」

 

セシリア&鈴『!!』

 

エマ「ん〜ーそれも考えたけど、でも今回は流石に駄目!」

 

セシリア&鈴『!?』

 

ノア「何でだエマ?」

 

エマ「お兄ちゃんは分かってると思うけど、確かに2人から許可を貰ったら直ぐに修理をするけど、そうなるとISのコアその物にかなりの負担を掛ける事になってしまうの、知っての通りISにも人間と同じ意思があり搭乗者に合わせて一緒に成長するの、ISに自己修復があるのがその証拠」

 

ノア「成る程・・・」

 

シャルル「えっ!?ノア、何が成る程なの?」

 

千冬「簡単に言えばデュノア、ISもまた人間と同じ様に傷を自然治癒力で治療する様に無理やり負担かけて直すと機体その物に支障が出ると言う事だ」

 

真耶「更に補足を入れますとダメージレベルBならパーツ交換で何とかなりますがCなら無理にパーツ交換をすると後々の自己学習プログラムや自己修復機能の性能の低下にも繋がります」

 

シャルル「成る程・・・」

 

エマ「以上の理由で今回お二人のタッグマッチトーナメントの出場を禁止します。ドクターストップです!」

 

セシリア&鈴『・・・はい』

 

エマと織斑先生と山田先生の説明を聞いて2人共タッグマッチトーナメントの出場を断念した。

 

シャルル「そう言えばボーデヴィッヒさんは?ノアに結構やられてたけど」

 

千冬「ボーデヴィッヒは出場する」

 

セシリア&鈴『え!?』

 

エマ「正直、私も流石現役軍人だと思いました。お兄ちゃんが加減したのもありますが身体の負担も受け身で最小限に抑えて、機体も武装やスラスターは殆ど破壊されましたがダメージレベルはBで武装とスラスターを交換してもコアに問題無いのです。数日後のタッグマッチトーナメントには万全で出場できます」

 

セシリア&鈴『・・・』

 

シャルルの疑問でボーデヴィッヒ少佐はどうなったか聞くと確かにエマの言う通り僕も手加減したけど・・まさか頭に血が昇ってる状態でダメージを自分と機体共々最小限に抑えてたとは予想外だった。

2人も改めてボーデヴィッヒ少佐の実力を考えていた。

 

エマ「さて、では今度は私の番で、お二人の治療と行きましょう!」

 

『えっ?』

 

セシリア「あ、あの〜エマさん治療はもう終わってますが」

 

エマ「私からしたらそれはまだ応急処置レベルです!今準備しますね♪」

 

鈴「い、一体何をするのよ・・・」

 

エマ「ん〜〜じゃあこれを使いましょう♪」

 

ノア「あっ!それって・・」

 

エマが突然話を変えてセシリアと鈴の治療をすると言い出し白衣の内側をゴソゴソすると赤褐色の布を丸めた物を出した。それを見て僕はエマが何をするか分かった。

 

セシリア「あのぉ〜エマさん・・・それは何ですの?」

 

エマ「これですか?これはですね♪」

 

千冬「!!それは!?」

 

真耶「えぇー!!それを使うのですか!?」

 

エマが布を拡げると中に鍼治療のセットが入っていた。

 

エマ「ん〜じゃあこれを使いましょう♪」

 

エマは一つの鍼を出した。かなり手入れがされて綺麗だが一応、鍼にアルコールを吹き掛けて鍼治療の準備していた。

 

鈴「ちょ、ちょっと待って!エマ!あんた鍼灸の資格持ってるの!?」

 

エマ「ん?鈴さん知らないのですか?医師免許があれば、鍼灸の資格はいらないんですよ?」

 

エマはあっけらかんと答えた。

 

千冬「お、おい!エルリック止めなくて良いのか!?」

 

真耶「そうですよエルリック君!もし万が一の事が起きたら!!」

 

ノア「心配しなくても大丈夫です、それに逆に見ておいた方が良いですよ」

 

千冬&真耶『えっ?』

 

シャルル「・・・」

 

織斑先生と山田先生は鍼治療のリスクを知ってる為に僕に言った来たが僕は2人を落ち着かせて逆に見なければ損をすると教えてエマの方に向かせた。シャルルは既に興味津々で見ていた。

 

エマ「もし怖ければ目を瞑っても良いですよ?」

 

鈴「ばっ、馬鹿にしないでよ!こ、怖くないわよ!!」

 

セシリア「そそそ、その通りですわ!こここ、このセシリア・オルコットにききききょ、恐怖などありませんわ!」

 

エマ「ア、アハハハッ・・・」

 

エマが気をきかせたのに2人共、鍼が怖いのに見え張っていた。そんな2人にエマも苦笑いしていた。

 

エマ「では!逝きますよ♪」

 

セシリア&鈴『あれ?字が違う・・・』

 

エマが治療すると構え出した瞬間2人は震えだした。

 

エマ「・・・」

 

エマは2人の間に来てまずセシリアを見ていた。

 

エマ「・・・はい、セシリアさん終わりました♪」

 

セシリア「えっ?あっ!身体が楽になりましたわ・・・」

 

『!?』

 

ノア「・・また腕を上げたね・・・」

 

エマはセシリアの身体を見て鍼を構えて手が見えない速さで鍼でツボを刺した。しかも刺された本人も気づかないレベルで・・・やっぱりエマには敵わないな。

 

エマ「さて、次は鈴さん」

 

エマはそう言いながら鍼にアルコール吹きかけて清潔な布の拭いて鈴の方のベッドに向いた。

 

千冬「エルリック良いのか?普通、一度人に使った鍼は連続で別の人に使っては・・「大丈夫ですよ」何?どういう意味だエマさん」

 

エマ「確かに普通一度人に鍼を使ったらその鍼は捨てるか消毒して別の鍼を使わないければいけませんがこの医療用アルコールはアメストリスで開発された物で手術とかで使ったメスや注射器等の手術器具もこれを吹きかけて拭くだけで直ぐに再利用できる代物です。このアルコールは既に国境なき医師団にも使われており、医療器具の使い捨てをする事が無くなり、手術に掛かる準備も短縮されました。因みにこのアルコールの日本での使用も許可を貰ってます」

 

千冬「・・・そうか」

 

僕もエマが連続で同じ鍼を使う事に驚いたがアメストリス製の医療アルコールを母が使ってたのを思い出したから慌てなかった。

 

エマ「では鈴さん!逝きまーす♪」

 

鈴「だから!字が違うって!!・・・お願いね・・・」

 

エマ「・・・はい、鈴さん終わりました♪」

 

鈴「!?本当だ、凄く身体が軽い、それに痒いけど鍼の痛みは無い・・・」

 

千冬「・・・凄いな」

 

真耶「はい、エルリック君の言う通り見て良かったです」

 

シャルル「凄い・・・手が見えなかった」

 

若干コントがあったけど無事に鍼治療が終わったようだ。織斑先生と山田先生、シャルルもエマの腕にびっくりしてる。

 

エマ「シン国特有の自然治癒力を高めるツボと痛みを軽減するのを刺しました。身体がかなり楽になったと思いますが、その分体力がかなり減ってるので今日は保健室でゆっくり休んで下さい。食事もこっちに持って来る様に手配しますので4日後には身体は全快してます」

 

鈴「分かったわ、ありがとうエマ」

 

セシリア「本当にありがとうございました」

 

エマ「いえいえ!一応私も医者ですから当然の事をしただけです」

 

エマは2人に説明した後、お礼を言われて照れていた。

 

ノア「織斑先生、では僕とシャルルは部屋に戻ります」

 

千冬「あ、あぁ許可する・・え、エルリック!一夏の事だ「それはもう、良いです今日は僕も疲れましたから」・・・分かった。ゆっくり休んでくれ」

 

ノア「・・・はいでは、失礼します。行こうシャルル」

 

シャルル「えっ?あっ!待ってよノア!」

 

僕は織斑先生に断りを部屋に戻る為にシャルルと一緒に保健室を出ようとした。今シャルルを1人にするのは心配だから。

 

ノア「エマ、また後で」

 

エマ「うん、こっちが落ち着いたら向かうね」

 

ノア「あぁ、待ってる」

 

エマ「うん♪」

 

ノア「じゃあ、セシリア、鈴お大事に。織斑先生、山田先生では失礼します」

 

セシリア「ノアさん、シャルルさんありがとうございます!」

 

鈴「ノア!シャルル!また明日ね!」

 

千冬「エルリック、デュノア今日はゆっくり休め」

 

真耶「エルリック君、デュノア君またでは明日」

 

シャルル「はい!先生方、エルリックさん失礼しました。セシリア、鈴お大事に」

 

僕はエマと兄妹しか分からない会話をしてセシリアと鈴に織斑先生と山田先生に挨拶して保健室を退室して僕はシャルルと一緒に寮の部屋に向かった。

 

 

 

ノアside out


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