七つの感情ストラトス   作:銀の巨人

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二つ名

数日後

 

 

 

IS学園廊下

 

 

 

タッグマッチトーナメント当日を迎えた。まだ朝だがノアは先にISスーツに着替えてエマの言葉通り整備室に向かっていた。

 

ノア「それにしても、何故エマは当日に専用機渡す事にしたんだろ・・・」

 

プライド(彼女に何か考えがあるんでしょう)

 

ラスト(エマちゃんが貴方を裏切る事をする筈ないわ)

 

ラース(何れにしろ、ノア、行ってみればわかるだろう)

 

ノア「(そうですね)・・ん?あれは・・・大総統!!」

 

ホムンクルスと話しながら整備室に向かっている途中、ロイを見つけてノアは声をかけた。

 

ロイ「ん?何だ″感情の″ではないか」

 

リザ「あぁ!ノア君久しぶりね!!」

 

ノア「え!?はい!お久しぶりです!ホークアイさ・・いえ、ホークアイ少佐!」

 

リザ「ウフフ、今は私達だけだから普通で良いわよ」

 

ノア「えっ、は、はい、ホークアイさん」

 

ノアはロイから名前では無く二つ名呼びされ、リザからは挨拶された。ロイから二つ名呼びされて戸惑ったがリザに挨拶されたので挨拶を返したが堅い挨拶のノアにリザは笑い公式の場では無いため普段通り良いとノアを解した。

 

ロイ「ほぉ・・・この私を無視して彼女に挨拶するとは、偉くなったものだな″感情の″」

 

ノア「あっ!いえ、そんなつもりでは・・」

 

リザ「ンンッ・・・大総統・・・」

 

ロイ「フッ!なに冗談だ″感情の″」

 

ノア「・・・あの〜さっきから″感情の″って何ですか?つい数日前の連絡では普通にフルネームだったじゃないですか・・」

 

ロイはリザと親しく話をするノアを気に入らなかったのか少し脅しに似た挑発をしてノアを困らせたがリザの注意で直ぐに辞めた。だがノアはロイの行動よりも自分の二つ名で呼ばれる事の方が気になっていた。

 

ロイ「ん、何だ?気にいらないのか?」

 

ノア「そう言い事では無く・・」

 

リザ「・・・ハァ〜」

 

ノアの質問に対してロイの返し方にリザは呆れていた。

 

ロイ「全く、相変わらず冗談が通じないな。先程の質問に答えるなら、もう貴様も鋼のと同じ一人前の国家錬金術師だ。一々フルネームで呼ぶ子供では無い、前の連絡でそう思ったからこそ私はお前を二つ名で呼ぶ事にしたのだ」

 

ノア「前の連絡で?何処にそんな要素が?」

 

ロイ「感情の、貴様はまだ15にも関わらず自分の力に溺れる事無く限界を認め私に頼った。お前の年で、それにこんな時代でそんな事が出来る人間は特殊な環境で育った人間ですら片手で数える程しかいない」

 

ノア「・・・僕は別に大した事はしてません。ホムンクルスの復活錬成の時がそうです。僕も織斑のように力を過信し過ぎた者の1人ですよ・・」

 

ロイ「・・・ハァ、全く鋼のと違い自己評価が低すぎるぞ馬鹿者が」

 

ノア「えっ・・・」

 

リザ「ノア君、私達大人でも誰かに頼ると言う行動は中々できないの。自分で何とかできる、他人の力は要らない、他人に頼るのは弱い事、そう考える人が多いのよ。でも貴方は誰かの為に自分では無理だと判断して大総統に頭を下げた。これってかなり勇気がいる行動なのよ。それが出来る人は本当の意味で強い人で強くなる事ができる人なのだから自信を持ちなさい・・」

 

ノア「ホークアイさん・・(そういえば数日前、あの時、僕の部屋でエマにも・・・また、エマに助けて貰ったな・・ありがとうエマ)はい!」

 

ロイ「ノア・エルリック!」

 

ノア「!!はい、大総統!!」

 

ロイ「これから貴様の呼び方は″感情の″だ!お前の父と同じ二つ名呼びだ!この私が二つ名呼びをするのだ、あまり無様な姿を見せるなよ」

 

ノア「・・・(今なら分かる大総統は認めてくれたんだ・・なら後は、頑張るだけだ!!)はい!!」

 

ロイがノアを二つ名呼びをする様になった理由を聞いて、ノアは否定したがリザの言葉を聞き数日前エマのやり取りを思い出して、自分との区切りを付けた。

 

ロイ「フッ・・(良い顔になったではないか良い息子を持ったな・・鋼の)リザあれを・・・」

 

リザ「はい、これを」

 

ノア「?」

 

突然、ロイがリザを呼び、リザが手に持っていたアタッシュケースをロイが受け取った。

 

ノア「!!これって、シンザスアルケミストグローブ!?」

 

ロイがアタッシュケースを開けると中に入ってたのは今ノアが付けてと同じデザインの手合わせ錬成可能手袋、SAグローブ[シンザスアルケミストグローブ]が入ってた。

 

ロイ「感情の、お前が送って来たこの手袋の研究成果のデータ中々、面白い物だった。試しに他の国家錬金術師に使わせてみたが私や鋼の弟とその師匠のオリジナルに比べれば低いが、その者は国家錬金術師の中でも実力が低い分類だったが、かなりの力を出せた。確かに貴様が書いた論文にもある通りこれを広めれば錬金術師が更に増え質も上がり人材不足が万年の国家錬金術師も新たに多く増えるだろ。以上の事を踏まえて、学生の間3年間は査定は免除し、そして論文にもあった通り我が国で作成したこのSAグローブをお前に渡す。受け取れ!」

 

ノア「あ、ありがとうございます!」

 

ロイからアメストリスで作られたSAグローブが渡された。それだけで無くノアの研究成果は自分で書いた通りかなりの恩恵を他の国家錬金術師にもたらした様だ。早速ノアは今嵌めてるSAグローブを外しコートの中に収めて新たなSAグローブを嵌めた。

 

ノア「・・・このSAグローブ全然暑くない、それに軽い・・」

 

ロイ「当然だ、その手袋は貴様が今着てる私服型ISスーツと同じ素材で作られている」

 

ノア「スーツと同じ素材!?」

 

ロイ「あの論文に書いてあった通りに作るならISスーツの素材が一番良いと言う結果が出た。耐久や強度は勿論、水や汚れにも強くスーツと同じ耐性もある」

 

ノア「なっ!・・完璧だ・・」

 

ロイ「この私も使わせてもらっている」

 

ノア「!?大総統もですか!?」

 

ロイ「発火布と合わせて作った新素材で作られた手袋だ。驚いたよ、まさか天候はともかく水に濡れてもそのまま使う事ができるとわな・・・感謝してるぞ感情の」

 

新しく渡されたSAグローブはノアが作った試作に比べて完全に理想の形になっており、これで破損の心配も無くなった。ロイもその恩恵を受け、自身の焔の錬金術で使う発火布の手袋の素材と合わせた新素材の手袋使ってるとノアに応えた。

 

ノア「ありがとうございます大総統!」

 

リザ「良かったわねノア君」

 

ノア「はい!」

 

ロイ「では、このまま私達もIS整備室に向かうとするか」

 

ノア「何故、大総統も整備室に!?」

 

ロイ「前日、感情の妹から連絡を受けてたのだ。アメストリス製の第3世代が出来たとな。それを直接見に来て欲しいと言われたから整備室に向かっておるのだ。場所は前に学園に来た時に把握している」

 

ノア「(今分かった。エマのサプライズって大総統達の事か!!)」

 

ロイ「では向かおう。あぁ、それと感情の、確かに3年間査定は免除だがもし、命じた研究テーマの研究定期報告であまり進んでないと分かれば資格を剥奪するからな。心しておけハハハハッ!」

 

ノア「ちょっと待て・・クソ大総統!!!!」

 

リザ「・・ハァ、全くあの人は・・フフッ」

 

ノアはロイにお礼を言い、そんな嬉しそうなノアにリザも喜んだ。そしてロイもリザと一緒にエマに整備室来るように言われノアは驚きそれがエマのサプライズだと分かった。そして再び整備室に向かおうとするがロイがある事を思い出した。現在ノアがロイに命じられた、ISと錬金術を合わせた研究その研究進まなければ資格を剥奪すると笑いながら先に歩いて行きながら言われ、また大事な事をついでの様に言われノアは遂にロイ切れて暴言を言いながら走って追いかけた。そんなロイの行動にリザは呆れいたがそのやり取りが昔のエドとロイのやり取りに似て思い出し笑い2人の後を追った。

 

ノア「ところで大総統、あの件はどうなりましたか・・」

 

ロイ「あぁ、その件なら今日中に終わるだろ」

 

ノア「え!?そんなに早く、終わるのですか!?」

 

ロイ「その話は目的の場所についてから話す。妹も知っておるだろ?」

 

ノア「・・(盗聴防止か・・)はい」

 

ノアはロイにシャルルの件はどうなったのかが知りたく聞いたがロイは盗聴を考え整備室に着いたら話すと言い終わらせた。

 


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