七つの感情ストラトス   作:銀の巨人

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不穏な影の動き

千冬「マスタングあのニュースはどういう事だ!何故、私に何も言わなかった!!」

 

千冬は夜のIS学園海岸にて携帯でロイに夜に流れたフランスとシャル、そしてデュノア社のニュースについて問い詰めた。

 

ロイ『まぁまぁ落ち着きたまえ。君に話をして何が出来る?』

 

千冬「!!」

 

ロイ『君は気付いてたんだろ?彼シャルル・デュノアが女だと言う事を、だが君は理事長や学園の生徒会長を黙らせて何もしなかった。そこまでして気付かなかったとは言わせんぞ』

 

千冬「・・・」

 

ロイ『厳し事を言うが君は確かに世界最強の称号を持っている。しかしそれは″称号だけ″で実際は何の権力も無い。学園では信頼で何とか出来ても世界はそれを殆ど甘くは無い。そんな君に何が出来ると言うだ?』

 

千冬「・・・」

 

ロイ『・・・大方、君の親友、あの天災に連絡して頼むと言ったところか』

 

千冬「!?な、何故それを・・」

 

ロイ『私を甘く見るな。私はこれでも色々と知っているのだ。織斑一夏が自分から関わった問題を秘密裏で親友に頼み解決したり、あの第ニ回の大会の欠場の理由、織斑一夏の誘拐そして・・・白騎士の正体』

 

千冬「!!?」

 

ロイ『と言っても、白騎士の正体に関しては私の勘で確証がある訳では無いがな』

 

ロイの言葉に千冬は戦慄した。

 

千冬「き、貴様!!」

 

ロイ『誤解はするな。私は別にその事実について誰かに話すつもりは無いし、公表する気も無い』

 

千冬「・・・」

 

だが千冬の思惑と裏腹にロイはその事を誰かに言うつもりは無いと言う。

 

ロイ『だが、今回の件、君の弟も首を突っ込んだ様だ』

 

千冬「何!?それは本当か!!」

 

ロイ『感情の・・ノア・エルリックが私に依頼で、デュノア社を調べる様、頼む時に聞いたのだ』

 

千冬「エルリックが・・・」

 

ロイ『感情のは自分だけでは調べられないと考えて私に連絡したのだ。だが君の弟は感情のが君に相談したらどうかと提案したがそれを拒否した。その理由は君に″迷惑をかけたく無い″だそうだ』

 

千冬「あの・・・馬鹿が・・」

 

千冬はそれを聞いて一夏の行動に呆れた。

 

ロイ『奴は知らず君達が裏で問題を片付けたせいで自分なら解決出来ると盲信したのだ。自身では何もして無いのにだ。今回の事、君に言えば君はまた秘密裏で親友に頼んで解決させ、奴はそれが解決した事で自分なら何でも解決出来ると更に盲信する様になる。だから君に何も言わなかったのだ』

 

千冬「・・・」

 

ロイ『感情のも恐らく同じ事を言ってると思うが、いい加減に何とかしないと奴の進む先は・・・破滅だ』

 

千冬「・・・はい、分かっております大総統」

 

ロイの言葉を聞いて千冬は敬語で返事をした。

 

ロイ『なら、私はそろそろ失礼させて貰う。まだフランスとの話し合いがあるのでな』

 

千冬「・・・はい」

 

ロイの話を聞いた千冬はあまりにショックが大きく心に陰を落として返事をした。

 

ロイ『それと最後にもう一つ、これは警告だ。あのタッグマッチトーナメントの組み合わせだが・・・アレは″仕組まれていた″ようだ』

 

千冬「何だと!!それは本当か!!!」

 

ロイ『あぁ、かなり上手く隠されてたが第1試合の組み合わせだけはそうなる様に設定されていた』

 

千冬「・・・(まさか・・束の奴が・・)」

 

ロイが話したあのタッグマッチトーナメントの試合が仕組まれた事に驚愕する千冬は自身の親友の束の仕業だと疑った。

 

ロイ『だが残念だがこの工作は君の親友の″仕業では無い″』

 

千冬「!?そ、それは・・本当なのか?それに何故それが判るのだ!」

 

ロイ『あぁ、私の自慢の部下が調べたので間違い無い。だがそれでもプログラミングレベルは世界に何人もいない程の物だ・・(何故ならあの改算の仕方は我が国とシンが使用してる錬金術を用いたプログラムに似たのが使用されてたのだからな)』

 

千冬「・・・(それなら束以外にそんな事が出来る者はいない筈だ・・だがマスタングの口振りから確信を感じた、すると本当に束では無いのだろ・・なら一体誰がそれよりもそんな事が出来る人物が本当に束以外でいるのか!?)」

 

千冬はロイからの情報で束以外でそこまで出来る者がいるのか考えた。

 

ロイ『更にドイツ政府は隠してるが揉み消そうとしたVTシステムの研究所もトーナメント前日まであったが当日には研究者達も含めて跡形もなく消えて更地になっていた事が発覚した』

 

千冬「消えただと!!」

 

ロイ『研究データの消去や施設を破壊するなら判るが、人も含めて瓦礫1つも無く文字通り消えてしまったのだ』

 

千冬「そんな事・・いくら束でも」

 

此処までの話を聞いて、前回の無人機を超えるこの騒動の犯人が束では無いと確信した。

 

ロイ『あぁ、不可能だ。この不可解な事態にドイツ政府は上も下も混乱してる。ラウラ・ボーデヴィッヒの件どころでは無い』

 

千冬「・・・」

 

ロイ『(それに消えた研究所の周りには、消されてるが円を描いたような痕跡の報告もあったが彼女に教えても意味が無い・・いや、″アレ″を教えてはならない)ともかく、気をつけてくれたまえ。間違いなく何かが起きている』

 

千冬「あぁ・・・分かった。貴重な情報を感謝するマスタング」

 

ロイ『君も気をつけて、ではこれで失礼する』

 

千冬「・・・」

 

ロイが連絡を切ると千冬は1人夜の闇の中で考えた。

 

千冬「前の無人機は登録されて無いコアが使用されてたから束に間違い無い・・だが今回の騒動は束で無いなら、一体誰なんだ・・」

 

千冬の自問するが波の音以外で誰も答えてはくれ無かった。

 

 

 

 

???

 

暗い某所で1人の少女がフードを被った青年に声をかけた。

 

?「お疲れ様ですーーー様。ドイツの研究所の件はどうなさいましたか?」

 

?「あぁ、全てまとめてーーーにしたよ。処分して消されるよりこっちの方が彼等にとっても良かったと思うよ」

 

青年はそう答えるとフードから僅かに銀髪が見え隠れしていた。

 

?「では、指示通りに次の実験の為の準備をします」

 

?「うん、頼んだよ。彼に良い鎮魂歌を聴かせられるかも知れないから・・」

 

青年はある写真に写ってる一機のISを見ながら自身の銀の瞳に映ってるノアを見て不敵な笑みを浮かべていた。

 

?「楽しみにしてるよ・・・ノア・エルリック」


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