私はヴィラン…多分   作:まったいら

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ある方からのアドバイスで色々と他の作品を読んでいると、皆明確な目標を最初らへんで書いていたので私もちょっと遅いけど主人公の目標かきました。


17.自分の道

目的地につくまであと1日。昨日同様ベラと二人で並んで父の部屋に来た。

 

「速かったね。答えは見つかったって事かな?」

少し嬉しそうに、だが心配そうに父が言う。

 

「「はい、答えを見つけました。」」

 

「なら、答えを聞こうか。」

父の声が一段低くなった。ベラが一歩前に出る。

 

「私は目的地で、誰もが知ってるような、大物ヴィランになりたいです。いや、なります。」

 

「…理由を聞いても?」

 

「今まで存在を認められていなかったので、誰もが自分を知ってる…

 

私を認めざるおえない、そんな世界を見たいからです。」

 

「それはヒーローでも出来ることだ。いや、ヒーローの方が叶いやすい。」

父様が鋭く言う。確かに、ヴィランならば認知度は一瞬の夢で終わる。だが、ヒーローならば、コツコツ頑張れば認知度は永遠の夢になる。

 

「…私はヒーローみたいな偽善者にはなりません。それに、弱小ヴィランみたいに一瞬で捕まるヘマもしません。

ヒーローの方が叶いやすい?

お父様、私は運頼みで叶う事は望んでません。自分の力で実現させます。」

 

何というか。それこそ理想主義なんじゃないかと思う。たかが子供が何言ってるんだって。

 

でも、親に売られても何やかんやしぶとく生きてるベラなら、いつかそんな存在になれるんじゃないかと思うよ。

 

「…口先だけにならない事を祈るよ。」

 

父様はベラの事を信じてないな。

 

聞いていて思った事だけど、父様はヒーローを酷く憎んでる様に見える。だけど、その理由がわからない。

 

「鯉影はどうかな?」

そう声が聞こえる。

 

もし父様が人を助ける人が嫌いなら、私はここで殺されるかもしれないな。

けど、

 

「私は、この世界を平和にしてみせます。」

これが私が為すべきことだ。

 

言った瞬間、殺気がとんできた。勿論父からだ。ベラも疑わしげにこちらを見ている。

…真理に会う前にこの殺気を飛ばされてたら気絶してたかも。

 

「それは、(ヴィラン)にならないという意味かな?」

質問形だけど有無を言わせない空気がすごい。

 

「…いえ、(ヴィラン)にはなります。」

そう言うと、父の纏ってる空気が少し和らいだ。ならば何故と無言で聞いてくる。

 

「この世界は一見平和です。けど、現実はそうでもない。私やベラの様に夢だの希望だのを知らない人々が大勢いる。

 

個性、家柄、金、容姿。

この世界だと、人は生まれながらに不平等になってしまう。

 

そんな世界は、間違っている。

違いますか。」

父様の目を見てゆっくり喋る。静かに聞いていた父様だったが最後に、

 

「君の話は理解できる。だけど、敵になるというのは?」

 

「国家転覆は立派な犯罪ですよね。」

言ってて自分が大馬鹿者に思えた。だが、それと同時に胸に何か熱いものがこみ上げる。これが先への期待か、不安か、はたまた違う何かか。私には理解できなかったが、

 

「私が、王になります。」

"かつてのわたしの一人"の尊敬する上司は一国のトップだった。ずっと隣で仕事をしてきたから国の政治の仕方はわかる。勿論、間違った政治の仕方も。民衆を上手く使うこともできる。けど、平等を求めるなら、一国を支配しただけではどうしようもない。全世界を手中に収めないと。

 

父様は一言、

「…ジャッポーネは君が思ってる数倍強いよ。」

と言った。国をそう簡単に転覆できるとは思ってない。内戦ですら相当な被害を被ったのを覚えているから。けど、あの島はあってはならない地獄だ。

 

この世界は地獄と天国しかない。だから変える。

こんな腐りきった世界、変えてやる。

 

 

 

「…2人とも、話は聞いた。けど、本当にその覚悟があるかな。」

父様がポツリといった。まだ疑うのか。

 

 

「これから脳無を一体この船のどこかに解放する。それが逃げる前に殺ってくれ。殺った方を僕が死んだ時の後継者とする。」

 

それをやったら私達を認めるのか。後継者云々はどうでもいいけど、脳無は気になる。

 

「さ、行っておいで。」

父様がそう言うと同時にベラがダッシュで部屋から出て行った。そんなに後継者になりたいのだろうか。

 

「君は行かないのかな?」

 

「後継者の位がそんなに魅力的に感じなかったので。」

 

「…ちなみに、止めをさせなかった方はさせた方の部下になるし、…僕の財産とかも全部後継者にあげるけど。」

「いってきます。」

…世の中の全て金だ。

 

 

 

 

…あの全身グロテスク何処にいるんだ。まだ戦闘してる音は聞こえないのでベラも見つけてない筈。

ん、…何か来るな。

 

「…!何だ鯉影か。びっくりさせないで。」

びっくりしたのはこっちなんだけど。

 

「前回はあんなに煩かったのに…だいぶ遠い所にいるってことね。」

ベラはそう言ってまた何処かへ走り去っていった。

 

煩かった?あぁ、ベラは知らないのか。私達が前回会ったのは声帯が何故か機能していた暴走個体だって。

なら、私の方が早く脳無を殺れるかな。

 

父様は"逃げる前に"って言ってた。なら、逃げたいって感情があるってことだ。なら、解放されてすぐに壁を壊して逃げるかコソコソ音を出さない様にして逃げるかどっちかだろう。

壁を壊した音がしないという事は、

 

「…人間の様な感情がある化け物か。まるでキメラだな。…胸糞悪い。」

 

警戒しながらベラが歩いてきた方を探す。

 

…、

 

…、、

 

…?

 

何か今聞こえたな。…後ろにいる。

 

ギュルウゥンン

 

「うぉっと…あたったら痛いよ、それ。」

 

帽子が吹き飛ばないように片手で抑える。見たところ前回見た脳無と似ている。だけど、前回のよりも遥かに小さいな。成人男性の3分の2もない。

 

ドッドッドッドッ

その分足が速い。

 

ドゴォンン

そして威力は低い。

 

「悪いけど、君を始末しないといけないんだ。」

 

ッ!

 

話しかけてみると、僅かに反応が見て取れた。キメラになっても人語を理解しているのか。可哀想に、今、逝かせてやる。

 

「そうはさせないわ。私が億万長者になるの…よっ!」

 

いつのまにか来たベラが脳無の脳めがけ指を伸ばす。それをすんでのところで避けた脳無。

 

「コイツ、前のより素早いわね。」

まぁ、ね。

…ダッ!

 

あ、逃げた。

「ちょっと何で逃げるのよ。」

 

「ベラが来てから逃げた…私にはビシバシ攻撃してたのに。」

 

ベラが脳無の後を追いながら聞く。それを追いながら話す私。どうやら脳無が関わると、私は鬼ごっこをしなければならないらしい。

 

ダッダッダッダッ

 

…あ、窓があそこにある。だけど、出るには少し小さい。あの脳無は威力がそこまでないので、

 

ガッシャヤヤャンンッ

 

あの脳無、今どうやって窓割ったんだ?

「何かの個性よ、きっと。」

 

脳無が外に飛び出したのでこちらも慌てて外に出る。今日は…嫌な天気だな。今にも雨が降りそうで風が強い。

 

「…止まった。」

 

脳無は私達の少し前で立ち止まった。船の上だとようやく気付いた様子だ。海を見て絶句している。

 

「余所見してていいのかしら?」

ベラが脳無に一歩近づく。

脳無が一歩下がる。

 

コイツ、何でベラに攻撃しないんだ?…できないのか?それとも…

 

「…!お前、何で私には攻撃するのかな。」

 

ブルゥゥンッ フワァっ

 

…あ、また帽子とれた。大人用のを被ってるからかな。

 

ッッッ!

ダッダッダッダッ

 

逃げた。今度はベラでなく私から。何でだろう、さっきまで攻撃ばかりしてきたのに。それに、私の顔を見て何か驚いてた?

 

「あっ!貴方海に飛び込むつもりね…させないわ!」

 

脳無が海へジャンプする。その脳無に向かってベラの指が伸びる。

脳無にあとちょっとという所でどういうわけか脳無が避けた。いや、飛んで避けたが正しい。

 

「え、飛んだ…?」

 

私の目にはそう見える。

 

「どうしよう。私達どっちも止めを刺せてない。」

ベラが焦って言う。確かに父様に大口叩いてすぐに出来ませんでしたは格好が悪い。

 

「もうこの際後継者は貴女でいいから何とかして…」

 

「でも、あの脳無」

 

「でもじゃなくて。」

 

…仕方ない。何故攻撃してこないか引っかかるけど後で考えよう。今は父様に認めてもらう為に、倒させてもらう。

 

ビュゥゥウゥゥゥウ

 

強風を操って脳無の周りに空気の壁を作る。

 

「…一瞬だけの我慢だ。すぐ終わるから。」

 

ゴロゴロッ

 

空から一瞬光が見えたかと思えば、もう脳無は黒焦げになっていた。

風で拘束して雷でトドメを刺す。こんな天候だからこそできた芸だ。

 

ビュゥゥウゥゥゥ

脳無の黒焦げ体を船に置きベラに父様に報告する様に言った。

何故って?

その間に私は調べることがあったのだ。

…倒す前、気付いた。もう小さくてベラは気づかなかったみたいだったけど、脳がむき出しになっていたからこかそわかる、手術痕。島の者という事だ。

手術がだいぶ古い時に行われたものだとわかった。少なくとも自分よりは年上だ。けど、大人よりも小柄だった体を見るに子供だ。

そして、攻撃を辞めたという事は私達を知ってる者の誰か。

 

目は薄っすら水色で…、あぁ。…、わかった。だから

 

金髪青眼の男の子が笑っている顔が頭にチラつく。最後にあの幼馴染に会ったのはいつだっけ。

 

「君が私の顔を見て攻撃を辞めた時、もっと考えればよかった…

気付いてあげられなくてごめん。…コナー」

 

静かに言う。声を上手く出せない。けど、涙は出てこない。もしかしたら、私は脳無がコナーかも知れないと心の何処かでわかっていたのかも知れない。

 

「鯉影!お父様が呼んでるわ。」

 

お父様…ね。

 

父様がもしコナーと私達が仲が良かった事に気付いていたとしたら。いや、気付いていたんだろう。だから、あの時みたいな強い脳無でなくコナーを選んだのか。殺す必要があったら例え仲間でも殺せ…か?それとも自分に逆らう気力をなくさせるつもりだったのか。

 

 

私達みたいな売買可能な人間は所詮権力者の駒。そして父様もそう思ってる人の一人だとわかった。

 

…私の進むべき道は、最底辺の身分しか喜ばない道だ。けど、最底辺出身に負ける奴は上に立つ資格なんてない。

王は民に親しまれ主従関係が成立する。飼い主は飼い犬に慕われ主従関係ができる。よく思われてないで上に立つっていうんなら、自分の身くらい自分で守ってみせろよ。

 

「鯉影?」

 

「今いくよ。」




元々考えていたストーリーに繋がる話がやっと書けました。何話か前に初登場したコナー君は、最初レギュラーにしようか迷っていた子です。
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