私はヴィラン…多分   作:まったいら

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最近何かと忙しくなって来ました。
コロナで気分は萎え萎え、学校は私立なので早め…。
生活が落ち着くまでは週一更新にしますm(__)m



23. 情報

「お帰りなさいませ。」

 

女性を大通りに届けた後、真っ直ぐに帰宅した。

来た道を戻り、暗い道を歩く。

 

私は黒を悪だとか、白を正義だとかは思わない。だが、他の人はそうでもないらしい。暗い所にいる者、日陰に隠れている者は悪。お天道様の元に居る者、大通りを歩ける者は正義。

 

何でお父様はこんな路地裏に通ずる道を裏口にしたのか。

堂々としていたら案外ヴィランだってバレにくいと思う。

 

「随分遅かったね。何処に行っていたのかな。」

 

お父様が話しかけてくる。

いつもは何処に行っていたかなんて聴かないのに。

 

「土蜘蛛の所です。どんな所かなと。」

 

「そうか。何か収穫はあった?」

 

収穫?それどころか酷い目に遭わされた。お父様が言っていた様なマフィアっぽい怖さとは違ったが、別の意味で精神的苦痛だった。

 

「土蜘蛛の若頭が女に刺され重傷を負ったと言う事がわかりました。」

 

父親である事は黙っとこう。それでここを追い出されでもしたらたまったもんじゃない。それに、私の父はお父様であってあの男じゃない。

 

「…へぇ。

 なら、その若頭を狙うといいよ。確かに一番いいのは鯉焉の個性だ。でも若頭である鯉岩も君が求める土系の個性を持っていた筈だよ。正確に言うと土系と風系の個性である砂だけどね。

 彼は鯉焉と違って強個性に甘え、特訓を最低限しかしていない。怪我もしているようだし、鯉焉より遥かに相手にしやすい筈だ。」

 

…土系、しかも砂か。砂なら風を操る容量でやれば扱いやすいのではないだろうか。個性だけはいいな。まぁ、裏社会では個性婚が主流だから、基本裏の上の方の人間ってのは当たり個性が多いんだが。

そう考えると、私の個性が良いのも理解できる。私は得るべくして強力な個性を得たという事か。

 

「鯉影の個性である風雷は大きく強い風を操る。火力は強いが、その分大雑把な操作しか出来ないよね。でもそこに砂の個性が加われば、より繊細なコントロールができ、君の風は竜巻を起こせる様にもなるだろう。」

 

竜巻。まだ本でしか見た事ないが、自然災害の一つで、甚大な被害をもたらすもの。最大瞬間風速は90メートルを超える事もあるという。

そんな力を私が使える様になれば、、、

 

 更なる高みに行く為に、産みの父親には悪いが、その個性。

奪わせてもらおう。

 

「なら今度連れてきます。」

 

「殺さない様に気をつけるんだよ。死んだら個性は奪えないから。」

 

「…気をつけます。」

 

 

 

 

それからは日々土蜘蛛家の事を調べた。マフィアの次期ボスを狙おうとしているのだ。簡単な筈が無いし、私みたいな子供が勝てる相手でもない。ある時はネットで、またある時は現地視察をしながら時間をかけて調べていった。

 

勝てない相手に勝つ為には、なによりも情報が大事だ。

 絶対殺さなきゃいけない相手が居たとして、その相手が格上だった時、私達(暗殺者)は二択を迫られる。負けるか、勝つ(殺す)かだ。何も正攻法じゃなくていい。飯を食べている時、風呂に入っている時、トイレにいる時。どんな汚い手を使おうが、殺せれば、それは勝ちである。

 

前回の視察で、自分の力量なら隠れても相手にバレる事がわかった。

それからはあえて見える位置(近くの公園)に座ってひたすら、監視、もとい視察をした。

 

他のチビ共に混じって何か遊ぶなんて事は流石の私も耐えられない。何かを一緒にやるのは、百歩譲って年上で尊敬できる人だけだ。

 

「あぁー、また居る!」

 

私がここ(公園)に来る唯一の目的。土蜘蛛家若頭の息子、鯉山に接触する事だ。最初は警戒し監視していた土蜘蛛組だが、同じ事を毎日続ける事によって警戒はしても、監視はされなくなった。

 

「エイちゃん、あそぼー、」

 

彼は私をエイちゃんと呼び慕ってくれている。

もし、鯉岩がお母さんを捨ててなかったら

、、、よそう。

 

しかし、鯉山を見ていると心が苦しくなる。実際に腹違いの兄弟だからなのか。

 

「あのねぇ、聞いてよ!皆がね〜」

 

私が何故彼に接触するかというと、彼が情報を持っているからだ。

仮にも次期トップ。真正面から聞いても情報を吐かなかった。ならばとひたすら聞き役に転じると家族にも、同年代の友達にも、言えなかった愚痴を少しずつ喋ってくれる様になった。

 

「へぇ。君のお父さんは、女の人が好きなんだ。…今も女の人の所に?」

 

そう聞くと待ってましたと言わんばかりに

 

「うぅん、悪い事したからてんちゅうが下ったんだ!今はお家の一番左奥の部屋で休んでる!」

 

 鯉岩の居場所はわかった。

鯉焉は奥で休んでるとしか言ってなくて、明確な居場所は分からなかったからな。だが、木の上から見た感じ左奥の部屋は一つしかない。

 

「大変なんだね。いつ治るの?」

 

「お医者さんは全治10ヶ月って言ってた!」

 

…10ヶ月って、相当刺さり所が悪かったのか?

ひょっとして刺されたんじゃなくて、ざっくり斬られたんじゃなかろうか。刺されるだけじゃすぐ治るご時世だし。

 

「お父さんね、ずっとぐったりしてて全然遊んでくれないんだよ。」

 

そりゃそうだ、10ヶ月の重傷じゃ遊んでくれないだろ。

いや、そもそも怪我がなくても遊んでくれなさそうだけど。

 

ずっとぐったりしているのならやられたのは手足じゃないな。臓器のどれかをやられたのか。だとすると、タイマンなら勝てる可能性がある。

 

「お父さんもお爺ちゃん達も遊んでくれない。

  だからエイちゃんが一緒で僕嬉しいんだ!」

 

「…そう。よかったよ。」

 

ごめんな、鯉山。

お前には嫌な思いをさせる事になる。

 

 

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