私はヴィラン…多分   作:まったいら

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24.チャンス

公園に通い始めて、およそ半年が経つ。この間無事に6歳になり、お父様には誕生日プレゼントにcz75という銃を貰った。因みにベラからは、クローゼットの肥やしとなったスカートを貰った。

正直そっちは要らなかった。

 

お父様のお使いは続いたが、鯉山に会う為少なめにしてもらっている。全ては鯉岩から個性を奪う為だ。

 警戒を解くには少し短いが、そろそろ結果を出さなくてはお父様に叱られてしまう。

 

「チャンスは突然やって来るもの」。とは、誰がいい出した言葉だったのか。それはある日突然、向こうからやってきた。

 

「ごめんねエイちゃん、明日は一緒に遊べないんだ。」

 

「どうして?」

 

「明日は皆で西日本に行くの。」

 

最近西日本で暴れてる新参マフィアを締めに行くのだろう。ソイツ等はお父様の息のかかった奴等だし、激しい戦闘になりそうだ。暫くは帰ってこないだろうな。

 

「でもお父さんはお留守番。足手まといだからだってよ!僕も本当は行っちゃ駄目だったんだけど、社会勉強だって。」

 

…!

 鯉岩は残るのか。それは実に良いな。

 

「あ、それでね〜」

 

チラりと鯉山を見る。

鯉岩は黒髪だから、彼の栗色の髪は母親似だろう。しかし、全体的に顔は父親似であったから、最初の方は殴らないようにと、とても気を付けていたのを思い出す。

 

思えば、鯉山は色んな情報をくれたな。下らない話もあった。爺が誕生日に等身大ケーキ作ったとか、勇士がクリスマスにサンタの格好をしていたとか何とか。

 

 もし、私が捨てられていなければ、その光景を自分の目で見れたのだろうか。

 

「一足早く爺ちゃん達は京都に行ってるんだ!

それでね〜って、え、ちょっとエイちゃん、何処行くの?話はまだ終わってないんだけど⁉︎」

 

もう、この子に用はないだろう。殺すには、少し忍びない。

 

この子には、恨まれるだろうな。

 

「…隣町に新しいケーキ屋が出来たんだ。2人分買ってきてくれないかな?

 

出来合いの物じゃなくて、一から作ったやつ。「黒帽子に言われた」と言えば特急で作ってくれるから、出来るまで店待ってるんだよ。」

 

「え、、わかった。

 …僕すぐ持ってくるから!」

 

鯉焉は今京都にいる。早ければ明日には帰って来てしまうだろう。ならば今個性を貰わずにいつ貰おうか。

チャンスは拾ってくスタンスなんだ、私は。

 

 

 

 

 

「黒帽子? 止まれ、何しに来やがった!」

 

パァンッ

 

下っ端にまで私が黒帽子だとバレていたか。

それにしても、銃を持つ相手に「何しに来やがった」とは。最近は警戒の強い人ばかり相手にしていたから拍子抜けしたよ。

 

いや、この家も裏社会にどっぷり浸かってる家だ。私に対して警戒が薄いのは、大事な鯉山を懐柔したのが大きかったのか。

 

さて、この家に入るのは二度目になる。

前回は鯉山に無理矢理引っ張られて来たから、挨拶が出来なかった。今度はちゃんとしよう。

 

 

「お邪魔します。黒帽子と申します。」

 

バカかって? 別に考えも無く正面からは行かない。ちゃんと考えての行動である。お父様曰く、こういうのは余裕があるように正面から行った方が、相手には精神的に来るものがある。との事。

 

この行動をとった理由としては、一つ目はただただ怖がらせることができる。そして二つ目は、退路を断たれた事を相手にわからせる目的がある。

 

人は誰かを守らなきゃ行けない時、その人が自分より大切だと、自分を犠牲にしてでも助けようとする。皆が肉壁になろうと群がってくるから、殺し漏らしの心配をあまりしなくて済むのだ。

 

でも流石は慣れっこの家だ。

 

「お前さん、何しに来た?」

 

刀を手に今にも抜刀しそうな勇士という男。すぐに切らなかったのは、私の母がここの被害者だからだろうか。

 だか、甘い。その考えが命取りになったな。

 

 

「やるなら「一瞬」が良い。そうは思いませんか?」

 

「ならお望み通り一瞬で沈めたるわ‼︎」

 

勇士が刀を抜刀してこちらに剣先を向けた。

 

今日の天気は曇り時々雨だ。いつもなら流石にこの規模落とすには時間がかかる。だが、それを自然が後押ししてくれていたら、

 

ピシィィイッ

 

帽子が飛ばない様に抑える。

 

「頭上に注意。言ったろ、一瞬って。

抜くとこからスタートしてる時点でもう遅いんだよ。」

 

わらわらと向かってくる敵を倒しながら、一番奥の部屋まで行く。

 

鯉焉は勇士を信頼していたのか、前回来た時に会った強そうな幹部連中は皆留守だった。

 

「ここは通さね「パァンッ」ぐふっ…」

 

やっとだ。

やっと来た。

目の前には障子。

この先に母さんを捨てた男がいる。

 

「させるかぁ‼︎」

 

丸焦げになった男が私を後ろから殴った。

生きていたなら逃げれば良かったのに何で…

 

「逃げるわけねェだろ!

 

その奥にいる若旦那は!土蜘蛛家4代目大将はな、やっと大将っつー立場がどんなもんかわかり始めたんだ!

やっとテメェの命賭けてこの家守るって言ってくれたんだ。

 

俺らの大将は殺らせねぇ…

鯉焉の弟分…水猿、雨竜勇士!

 

いざ、参る‼︎」

 

アツイ男だな。こういう奴は、映画の世界だけにしてほしいよ。

現実世界だと、虐めたくてしょうがなくなる。

雨竜勇士ねぇ…ん?

水猿。水…

 

「貴方の個性、もしかして水だったりします?」

 

「ぁあ⁉︎

それがどぉしたってんだ!?」

 

「いやいや、探し物が一度に二度も得られるなんて

 

 

…チャンスが私を呼んでいる。」

 

嫌だな。

今の私の顔はきっと、

 

お父様みたいな獰猛な顔であろう。

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