私はヴィラン…多分   作:まったいら

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5.売る者、買う者

今日は木でできた少し大きめの家具を持って路上で売ることにした。値段はいつも通り、そこらで売ってる物の二分の一。

さぁ、今日も売るか!

……

………

 

「はい、椅子五つ!まいど!」

気前良い客を見送って少し、懐かしい声を聞いた。

 

「…鯉影?久しぶりね。」

 

「ベラ。」

 

「これ、貴女が作ったの?器用だねぇ。」

 

「そうだよ。…あれ。コナーは?一緒じゃないの?」

 

「私はもうスリしてないから、知らないよ。

鯉影は?私よりかは会ってるんじゃない?だってそれ売るだけじゃ、足りないでしょ。」

 

「私、生活費ほとんどかかんないから。」

 

「はぁ?何言ってんの…、?」

 

「私の個性。」

 

「…当たりを引いたってわけ?」

 

「うん。ベラは?今何してんの。」

 

「私は貴女のお母さんと一緒の仕事。幼女趣味の人、結構いるのよ。」

 

…あぁ、あれか。どうりで大人びて悪女っぽい見た目になったわけだ。あれ?ベラはお父さんと二人暮らしだった筈。そんなに金に困るかな。

 

「鯉影が考えてる事何となくわかったわ。私ね、お父ちゃんに酒代代わりに売られたの。でも雇い主には顔が良いからって重宝されてるのよ。」

 

…うわぁ。ベラも父親に売られたんだ。嫌な事聞いちゃったかもしれない。売られたってことは今より立場が下がるんだ。…私よりも下の立場っていうと、奴隷みたいなもんか。

 

「ベラさ、個性何?」

「指が硬くなって伸縮自在になる。まぁ、没個性よ。」

 

指が硬く…ねぇ。確かベラの死んだお母さんがそうだった。いや、別の人だっけ?

 

「…料理上手かったよね。」

「そりゃ父親と二人暮らしだったからね。自ずと上手くなるわよ。」

 

「家事も一通り出来てたよね。」

「まぁ。」

 

「ふぅーん。」

「ちょっと何よ。」

 

貯蓄いくらあったっけ。元々上の世界(ノーブル)から遠い良さげな家を買う為に貯めてたけど、5歳児じゃ売ってくれる人も、良い家も少ないからなぁ。

 

「雇い主のとこまで連れてってよ。」

「なんで?」

「良いから」

 

ベラは私を怪しんでぶつくさ文句を言ってたけど、娼館まで案内してくれた。

お、あれが雇い主か。どうやら雇い主ってゆーのは皆デブらしい。

娼館の雇い主はわたしを見て何を思ったのか、

 

「小せぇの、ここで働きてぇのか。」

 

と言った。木の家具を売るときは服装をわざと見窄らしく、可哀想に見える様にしてる。その時の格好で来てたのを忘れてた。

 

「違う。イザベラを買いに来た。」

 

そう言うと、男は大笑いして

 

「確かにそいつは安いが、お前の小遣いじゃ買えやしねぇよ。」

 

とベラの値段を見せてくれた。

…思ったより高い。重宝されているってのは本当だった。でも大丈夫。何とか買える。

 

「これで良い?」

 

「…あん?……………ちょっと待ってろ。」

男が話がわかる人で良かった。紙にサインをして男と共にベラの元へ行き、ベラを引き取った。

 

家に帰る為に二人で並んで歩いていると、ベラが神妙な顔して聞いてきた。

 

「…いつの間にあんな大金ゲットしたの。」

「言ったでしょ。当たりの個性だって。」

「狡いね。…で、ご主人様、私は何をすれば良いのでしょうか?」

 

ご主人様?あー、そっか。奴隷って買われたって奴隷なんだ。

 

「敬語はいらない。あとご主人様でもない。私は幼馴染を連れ戻しただけだから。…ベラは、解放奴隷ってやつ。」

 

「私は服従以外には何も持ってないよ。」

 

「家で家事して、一緒に物売ったりすれば良い。…後たまに語学の勉強。」

 

「勉強?ここでしたって意味なくない?まぁ、そんな事で良いんならやるけどさ。」

 

「他には……そうだなぁ。身を守る為の、対戦相手とか?」

 

「ん、貴女とケンカすれば良いんだね、わかった。」

 

いやぁ、良い買い物したなぁ。

 

夕焼けの空の下、私達は自分達のこれからについて話し合いながら一人暮らしじゃなくなった家に入っていった。

やっぱり、誰かと一緒だと寂しくないな。

 




ふぅ。短い一人暮らしだったな。
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