私はヴィラン…多分   作:まったいら

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shushuri様、評価ありがとうございます!


7.動きだす歯車

イザベラが家に来て早数週間。生活習慣が一人暮らしの時と変わった。一人だと、

毎朝、ご飯を用意しつつ商品を作って、昼に売りに行く。夕方に帰ってきて、ご飯を作りながら洗濯物を個性を使って迅速に乾かし、夜は個性の修行をする。土日には勉強や見学に行く。だった。

 

けど二人になって、

毎朝ご飯を食べ、商品を作って昼に売りに行く。夜に帰ってきてご飯を食べ、個性の修行をしたりベラと組手をする。と生活が楽になった。

治安が悪いここでも長時間家を空ける事が出来るようになったのは素直に嬉しい。

 

 

イザベラは今まで没個性だとお思っていた個性の修行を始めてから、成果が出たらしく、指が刃物の様に壁に刺さったり、壁を剣みたいに切ったり、鞭のように(しな)らせたり出来るようになったらしい。

 

私は指をスナップさせて静電気を強くしたものを前に飛ばす練習をしてみたり、風を弱めてもコントロールできるよう練習をしている。

 

今のところ成果なし。個性を使いすぎてお腹が痛くなる。

 

…が、スナップはできると思っている。理論上可能だし、何故か遠い昔、誰かがやっていたのを見た気がするから。

 

 

そして、

今日は日曜。つまり見学と勉強の日だ。

今日は見学。家に近く、且つまだ見学していない工場に行こうと思っている。門番には金を払ってもういつでも入れる手はずだ。

ベラにとっては未だ3回目くらいの見学で、工場は初めて。朝からテンションが高く、服はどうしよう髪型はどうしようとうるさかった。

 

「ベラ、ここにあるのは全部使っていいから、適当に選んで。」

 

「鯉影はどれ着るの?」

 

「このズボンにワイシャツ、チェーンネックレス、ベスト。あと、この帽子。」

 

「選択が男ね。」

 

「私、髪短いから男装の方が見た目良いんだよ。それに、工場みたいに助けを呼べないところに女の子二人は、襲ってくれって言ってるようなものだし。

 

男装が嫌だったら普通に女の子の格好でも良いよ。いざとなったら助けないけど。」

 

「私、男装以外に選択肢あるのかしら。」

 

のんびりと服を選び工場に向かった。

「お、オメェ、やっと来たか。さっさと入れ。」

 

「あ、おはようございます。…ちなみにここはどういう工場ですか?随分大きいけど。」

 

「オレは知らねぇよ。雇われてここで立ってるだけなんだから。いいから入れ。」

 

予め言っといたのですんなり入れて満足。それに比べて、ベラは少し怖いようだ。うん、確かにちょっと暗い。

 

「ねぇ、ここ、どんな工場なの。貴女は何作ってるか知ってるのよね?」

 

「知らない。」

 

「何で事前に調べないのよ。変なとこだったらどうするの⁉︎うわ、気のせいか今悲鳴が聞こえた気が…!」

 

「門番は何してるかわからないって工場結構あるよ。それに私は何も聞こえなかった。」

 

そんな話をしながら歩いていると窓を見つけた。チラッとしか中が見えなかったが大きなカプセルが6つ程がある。

 

カプセル。暗い。

ベラじゃないけど、確かに少し変だ。麻薬かなぁ。

 

"助けてくれぇ…"

 

…!

 

「やっぱ何か聞こえない?」

 

もしかして、マズい所に来てしまっただろうか。

 

"ぎょぁぁぁぁ…"

 

何処からか奇声が聞こえてきた気がする。

いや、本当に聞こえたのかな?

 

"ギョァアァアァア!!"

 

今度のははっきりと聞こえた。何言ってたかわからないけど。

 

「今のは確実に聞こえたわよね⁉︎…逃げるわよ!」

「うん、これ以上は行かない方が良い。…ッバカ、そっちは逆だ!」

 

"ギョァアァアァア!!"

 

…どうしよう、退路を断たれた。入ってきた方から声がする。

 

「あのさ、さっきより声近くなってない?…とりあえず、こっち来るっぽいし、このロッカーの中に入ってやり過ごすわよ。」

 

「ロッカーだといざとなった時身動きとれない。隠れるならロッカーの影だよ。」

 

ドスッドスッドスッ

足音かな。音から図体が大きくて重いのがわかる。…血の匂い有り。

 

「すごいスピードで近づいてる!早く隠れてよ!」

ベラにロッカーの影に引っ張られた。

 

「鯉影、どうしよう⁉︎」

 

「ッシィ!静かに。足音はこの廊下の隣の部屋に入った。要件が過ぎるのを待とう。」

 

ドスッドスッドスッドスッ…ドスンッ

止まった?壁一枚向こうにいるのがわかる。コッチにはこない。

良かっ………あ、まずった。

 

ドゴォォオオオォォン!

 

私達の横にあったロッカーが後ろの壁ごと吹っ飛んだ。

 

どうやらこの足音の主は私たちが狙いのようだ。

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