愛を知らないなら教えればいいい   作:Honorific88

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愛を知らない少年は入学する

  この春俺は高校生となり、施設を出て遠く離れた見ず知らずの土地に住み始める。

 当然誰も知り合いなどいないし、知り合ったとしてもそいつと戯れている暇なんざ存在しないのだ。

 入学式を終えた新入生は各自の教室へと向かってゆく。俺のクラスは1-E(A:工業科。B:商業科、C:情報デザイン科。D:普通科、E:普通科という形にクラス分けされている)ということで普通科の教室棟を目指す。周りの奴らは同じ中学同士で固まって会話しているが、遠く離れた土地に来てしまった身としては正直肩身が狭く感じてしまう。

 教室に付けば直ぐにホームルームが始まる。入学式直後のホームルームといえば、担任の一言から始まり「それぞれ自己紹介しろー」と言われて廊下側か窓側か知らんがどちらから自己紹介を始めるだろう。そこで、出身中学が遠い場所にある俺はこの中でかなり目立つことになるだろう。いくら関わりはほとんどないだろうと思っても3年間の高校生活を悪意に満ちた視線sにさらされながらすごくのは厳しいものがある。正直そのあたりのことが上手く転ぶかどうかは、クラスメイトの素性によるだろう。

「それでは、ホームルームを始めます。このクラスの担任を務める桜田といいます。科目は数学で、このクラスを受け持ちます。少人数授業となれば分かれることとなるでしょうがそれまでどうぞよろしく」

 そう挨拶したのは1-Eの担任・教科担任の桜田勇(さくらだいさむ)先生。見た目は初老の先生だがまだまだ元気が有り余っているような感じがする、

「さて。皆さん入学おめでとうございます。本当なら皆さんに何か一言いうのが普通なのでしょうが、初めは皆さんお互いに交流を持つことが重要だと思うので、そうですね。廊下側の人から自己紹介をしてもらいましょう。先生の話は帰りのホームルームで簡単に済ませるとしましょう」

 意外なことに桜田先生は新入生に言葉をかけることなく自己紹介に移らせた。自己紹介は廊下側からということで当分自分に回ってくることはないだろうが、しっかり聞いておくとしよう。

青木未紀(あおきみのり)です。出身中学は旭ヶ丘学園中等部です。よろしくお願いします」

 旭ヶ丘学園は全国的に有名なお金持ちしか行けないような学校で初等部から高等部までエスカレーター方式で進学でき。大学は同じ学校法人の大学であればそのまま進学できるような学校だ。そんな入学すれば後がらくできる学校を出てこのようななんの変哲もない普通の高校にしたのだろうか。気になったがおそらく家庭の事情が関係してくるであろうことなのでこれ以上彼女について考えることをやめる。

そのあとはなんの変哲もないこのあたりの中学校の名前を言って自己紹介していく人たちの名前だけを覚えていると自分の晩になった。

松崎浩史(まつざきひろし)です。出身中学は県外の遠山中学です。よろしく」

 え、県外?という声が聞こえるが無視して次の人の自己紹介が始まるのを待つ。

 やがてホームルームの半分が過ぎる頃にはクラス全員の自己障害が終わり、これからの授業で使用する教科書と資料集、問題集が配布されそれらに名前を記入するという作業で午前中を終えた。そのあとは。昼食をはさんで予定にはなかったが生徒同士の交流を深めるためにレクレーションとして、小さな4人ほどのグループを作り(1クラス40名のため10グループ)、そのグループ内で全員が自己紹介をすると決まった席にいる人が別の場所に移動し自己紹介をするということを全員のものを聴くことができるまで続けるというもの。

 そのおかげでクラスの全員の名前と顔を一致させることができたし、趣味のことなど少しわかった。

 そのレクレーションが終わると今度は終礼となる。ここで、クラスの日直が2人づつの男女混合ということを説明されたが実際に日直の活動が始まるのは授業が始まるあさってからになるということだった。終礼の最後に桜田先生からの言葉となる。

 「えー、最後に先生からの話ということで少し時間をもらおうかと思います。先生が高校生の頃は今とは違いSNSなんて当たり前、パソコンも国の機関くらいしかない時代でそんな便利なものなんてのは存在しない時代です。流石に電話はありましたが、それ以外の連絡手段なんて手紙だけです。だが、今は違う。SNSが復旧してきたこのご時世、よくニュースになったりしていますがラインいじめなんてものも出てきてしまっています、特にラインなどは文字での交流です。文字だけというものはいくら顔文字を用いても相手に感情を理解してもらいづらい。だから皆さんにお願いしたいのです。ラインを使うなとは言いませんが、できるだけ電話で連絡を取り合うようにしてください。ちょうどラインにも無料電話があることですしね。・・・さて、少し長引いてしまいましたが最後に一言だけ。いじめをしたものはいかなる理由があっても先生は容赦しません。それだけは覚えておいてください。それでは、号令を・・・そうですね青木さん。お願いできますか?」

「分かりました。 起立、礼」

『さよなら』

「はい、さようなら。事故には十二分に気をつけるように」

 先生の気持ちがこもった言葉は何か深いものを感じた。しかし、そんなことを考えてゆっくりしていると居酒屋のバイトの時間に遅れてしまう。流石に始めたばかりの時に遅れるのは良くないので急いで荷物をカバンにしまい込み帰宅する。途中クラスメイトの何人かに遊びに行こうと誘われたがバイトを理由に断った。

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