東方黒狐転生碌   作:lolita

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1わめ!

おっすオラどこにでもいるオタク気質の男子高校生!適当に過ぎていく毎日をつまらなく思っていた俺だったけどその日は少し違って…!?

 

 

『いっけなーい、テンプレテンプレ!』って学校に遅刻して走っていた俺は通りかかった交差点でトラックに引かれそうになっている幼女の事なんか気づかずにそのまま走り抜けようとしたんだけど、どうしたことか身体が謎の力で方向転換、幼女を救わされてトラックに引かれて即死しちゃった!

 

 

そしてその救わされた幼女こそこの世を統べる神様だったらしく、救ってくれたお礼とか言われて好きな世界に転生させられる事に!俺はもちろん喜んで『ふざけんな、元の世界に戻せ!』ってもろ手を挙げて万歳三唱した所、ニコニコ笑顔の神様の雷で祝砲が如く吹き飛ばされて、強制げふんげふん異世界転生が決定しちゃったんだ。

 

 

俺の人生、どうなっちゃうの!?

 

 

次回、『俺、死す』。

 

 

ヂュエル、スタンバイ!

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

…はーい、そういう経緯でね。どこかも知らない異世界に転生させられた、不知火葉月と申す者です。

 

 

早速というか、俺についての説明は陰キャオタクの一言で片づけられるので端折るんですが、少し困った事になりまして。

 

 

俺、狐になってました。

 

 

黒い毛並みに真っ青な瞳。そしてふわふわな毛並みを持った子狐ですよ。どうしてこうなった。

 

 

そう、俺は人から狐畜生へと転生させられた訳である。

 

 

始めこそはびっくりしたものだ。目が覚めると身体が子狐になってるし、母親はでかいし兄妹は大量にいるし、転生したばかりの俺の動揺に気が付いて外に捨てられ育児放棄されるし。

 

 

ちなみに名前は前世と同じ名前だ。だって誰も名前つけてくれなかったんだもん。よくDQNネームとかからかわれたりしてお気に入りって訳じゃないけど、折角親がつけてくれた名前だし普通に使っていこうかと。

 

 

え?あのでかい女狐はって?歩き始めたばかりの赤ちゃんをそこら辺に捨てるような奴ママとは認められない。おぎゃり願望マシマシのママソムリエたる俺の目を欺けると思うたか女狐め。せめて狐耳のじゃロリ金髪幼女になって出直してこい。

 

 

さて、そういう訳で困ったもんだ。俺、生後多分数か月。狐の姿でサバイバルとかできる訳がなく。

 

 

今は近くにあった湖で喉の渇きをうるおしたりできているが、食える物もなければ寝る場所もない。さらに付け加えるなら自分を守る術もない。

 

 

詰みですかね?ええ、多分詰みですね間違いない。

 

 

そんなこんなで餓死エンド一直線ですよ。腹が空きすぎて背中とくっつきそうだ。

 

 

しかし狩りとかできるわけがない。仕方がなく俺は仰向けに寝転がって木々から見える空を眺める。

 

 

雲がのびのびと浮いていて、透き通るような青空がとても綺麗だ。

 

 

いい天気だ今日も。もうこのまま寝ちまおうかなぁ。青空睡眠とか、きっと気持ちいいぞコレ。

 

 

と、ここで俺は、むんと濃ゆい血の匂いを嗅ぎ取った。

 

 

何かが近づいてくる。それも血を身体中にべったりつけてだ。

 

 

まあ俺には関係のない事だ。餓死で死のうが食われて死のうが同じである。ああ、だけど痛いのは嫌だから、丸呑みしてほしいというのは強欲だろうか。

 

 

そんな風に逃げも隠れもせず仰向けに寝転がった俺は、木々の隙間から姿を現したその獣を見て目を見開いた。

 

 

猪だ。クソでかい猪だ。恐らく一台のバスと同じ程度の大きさの、超巨大猪だ。

 

 

背中に苔やツタ、キノコなんかを雑多に繁茂させたその猪は、その巨体さと力強さとは裏腹に死に体だった。

 

 

血の匂いはそいつ自身の物だったのだ。恐らくそう長くはない。

 

 

何故この場所を死に場所に選んだのか、理由は分からないが、しかし猪はここで死ぬつもりなのだろう。

 

 

「…」

 

 

俺は仰向けになったままそいつの最後を眺める。猪はゆっくりと身体を地面に横たえさせ、そして湖を少しばかりの時間眺め続ける。

 

 

次第に目は細くなっていき、か細い呼吸も聞こえなくなっていく。

 

 

完全に動かなくなったのは、日が沈み、そしてまた上った次の日の朝の事だった。

 

 

「…」

 

 

こ、怖かったー!

 

 

もし見つかっていたら攻撃されていただろう。あの巨体で攻撃されたら、この子狐ボディでは一たまりもない。

 

 

昨日は食われてもいい云々言っていたけれど、やはり実際に死の恐怖を目の当たりにすると怖いじゃんじょん?少なくとも俺は怖い。

 

 

はあ、しかしやはり俺は餓死で死ぬ運命らしい。餓死って結構辛い死に方と聞いたことがあるので、やっぱり食われた方がマシだったかもしれない。俺はそう思う。

 

 

「…はあ、そらみよ…」

 

 

俺は空を見上げた。今日もいい天気である。

 

 

なあ、猪公。お前も見えてるか。いい天気、いい死に日和だぜ今日も。

 

 

ふう…。

 

 

 

 

 

 

 

「…あれ、食えば良くね?」

 

 

しばらくして俺は気が付いた。

 

 

俺はよたよたと立ち上がり、猪の方へと向かっていく。

 

 

そして、その皮に生えてきたばかりの歯を突き立てる。四苦八苦して皮を破り、露わになった赤い肉にむしゃぶりついた。

 

 

「…うっ、うめえええええええ!」

 

 

俺は思わず叫んでいた。後はもう意識がふっつりと途切れ、俺は無我夢中になって猪の身体をむさぼった。

 

 

「ふう…」

 

 

気が付いた時には、猪は骨だけになっていた。

 

 

「食った食った…いやぁ、しかし、あれだけの量、この身体のどこに消えたのやら」

 

 

自分の身体を不思議がるが、まあ、こんだけでかい猪が当たり前にいる世界だ。俺が元いた世界の常識はもう通用せんだろう。

 

 

猪のお陰で腹は膨らんだ。しかも食った肉が良かったのか、身体の底から力が湧き出てくる感じがする。今なら何でもできそうだ。

 

 

死ぬとさえ覚悟していた所から、こうして偶然生き残ってしまった。ならばもう最後まで生き残ろう。これが運命なのだ。

 

 

「まずは寝床を見つけないとなぁ…」

 

 

狐ってどこに住んでたっけ。そんな事を考えながら、俺は歩き出した。

 

 

 

 

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