魔法少女リリカルなのは 英雄の力を使う少年   作:文房具

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第11話 それぞれの戦場

悠斗SIDE

 

俺たちがいくと、もうフェイトが封印し終わっていた。

 

その近くには、昼に会った犬耳お姉さんがいる。

 

そしてもう一人、見慣れない大柄な男性も。

 

というかあの人……サーヴァントじゃないの?

 

なのはたちを見ると、目の前にいるフェイトに夢中で男の事は眼中にないようだ。

 

「ジュエルシードをどうするつもりなんだ! とても危険なものなんだぞ!」

 

「まったく……子供はいい子で、って言わなかった?」

 

ユーノの問いかけに答えずに、相手はあきれたような声を出す。

 

確かに言われたな。

 

ついでに、いい子にしないとガブッといくよ、とも。

 

「うわ……」

 

俺が声を出したのは犬耳お姉さんがでっかい犬に変身したからだ。

 

あの人ホントに何者なんだ? サーヴァントじゃないみたいだけど、あれも魔法の一種なのか?

 

「よし。ユーノあの犬耳お姉さんの相手を頼む。俺は、あっちのサーヴァントをどうにかする。3人は……まあ、フェイトの足止め?」

 

「サーヴァントと戦うのは私達よ、悠斗」

 

アリサは俺の言葉を遮り、一歩前に出る。

 

そして手に持っていたカードを、俺に突きつけてくる。

 

限定展開(インクルード)

 

アリサは手にした贄殿遮那で空を切る。

 

「あんたは引っ込んでなさい」

 

俺は目を細め、ユーノに念話を飛ばした。

 

ユーノとお姉さん、俺とサーヴァントという組み合わせでここから離れた場所に転移させるように、と。

 

そしてそれは即座に実行された。

 

転移の瞬間に何か叫び声が聞こえてきたような気がしたが――気のせいだっただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

互いに撃ちだした電撃が、周囲の木々を焼き焦がした。

 

俺が選んだ武器は、ようやく使えるようになった黒ウサギの疑似神格・金剛杵(ヴァジュラ・レプリカ)

 

全ての面において使いやすいこの武器で様子を見ようと思ったのだ。

 

すると驚くことに、男の方も電撃を放ってきた。

 

しかも、インドラの神格を持っている俺の雷と同格の物を。

 

「冗談きついぞ……ッ!!」

 

男は手のひらで雷を玩ぶように操っている。

 

名前が分からない……つまり知らないキャラと戦うっていうのは、それだけで不利なことなのに、その相手がぶっ飛んだ強さだっていうのか!?

 

英霊相手に俺が有利な点は、相手の情報をはじめから持っていることが多いことであって、それがなくなると、実力的にはアリサとすずかよりも下かもしれない。

 

アリサとすずかは限定展開(インクルード)で英霊の技量もある程度身に付けることが出来るからだ。

 

とはいえぐちぐち言っても始まらない。

 

向こうにはフェイトって子もいる。

 

あの子の相手は、なるべく俺がするべきだ。

 

なのはたちの様に小さいうちから、人に武器を向けることを日常化させるべきじゃない。

 

だから―――

 

夢幻召喚(インストール)!!」

 

黒ウサギのカードで夢幻召喚(インストール)を行う。

 

カードから青と緋色の稲妻が迸り俺を包む。

 

それが晴れた時には、俺の服は絢爛な刺繍が施された和服へと変わっていた。

 

右手では、すでに神格が解放されている疑似神格・金剛杵(ヴァジュラ・レプリカ)が蒼い雷を槍の形へと変化させている。

 

左手では叙事詩・マハーバーラタから取り出された槍疑似神格・梵釈槍(プラフマーストラ・レプリカ)が、疑似神格・金剛杵(ヴァジュラ・レプリカ)以上の雷撃を宿している。

 

《あうう。黒ウサギを酷使しすぎなのですよ……》

 

頭の中に一瞬だけ黒ウサギの声が流れたような気がしたが気にしない、この状態を維持できる時間は短いのだ。

 

魔力はダイヤがいくらでも回復させてくれるが、それには一度転身を解く必要がある。

 

敵の前で無防備な姿をさらすつもりはない。

 

瞬殺してやる。

 

「ほう、なかなかの電気だ」

 

男は顎に手を当てている。

 

何が『なかなかの』だ、これはどう考えても最強クラスの電気だ。

 

「倒す前に聞いておくぞ、フェイトとはどういう関係だ?」

 

あの場にいた時の様子から見て、フェイトは警戒はしているが敵対はしていない、という微妙な空気だった。

 

「ふむ。簡潔に言えば、彼女を動かしている者と私は手を組んでいるのだよ。そのものに言われて少し様子を見に来たという訳だ。もっとも、信じてもらえなかったがね」

 

この話が本当なら、フェイトの後ろには黒幕がいるってことか。

 

それが聞けただけでも上等だ。

 

「では、そろそろ倒れてもらおうか……いや、その前に名乗るとしよう」

 

男は自分の胸に手を置く。

 

「私はニコラ・テスラ。天才だ」

 

はああああああああ!?

 

ニコラ・テスラって、超最近の科学者じゃん! 電気方面で凄かったという記憶しかないけど。

 

しかし、まあ、

 

「関係ないな!!」

 

それどころか安心したよ。

 

あの雷は普通じゃない。

 

神様でも出てくるのかってびくびくしちまった。

 

「神の雷霆は此処に在る! さあ、御覧に入れよう!」

 

疑似神格・金剛杵(ヴァジュラ・レプリカ)疑似神格・梵釈槍(プラフマーストラ・レプリカ)を構え、ニコラ・テスラに飛びかか―――

 

「――――!!」

 

直後、俺の視界は白に埋め尽くされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリサSIDE

 

「転移魔法……良い使い魔を持ってるね」

 

「ユーノ君は使い魔じゃないよ。私達の大事なお友達」

 

そう言って睨み合うなのは達。

 

はぁ~、分かったわよ。

 

前に決めた通り、あの子はなのは任せるんでしょ!

 

まったくもう! カッコつけたのが台無しじゃない!!

 

「で、どうするの?」

「話し合いがしたいの」

「無理だよ。私はあなた達の敵だから」

「でも、話し合いで何とか出来る事ってあるよ」

 

なのはの言っていることも一理あるかもしれないけど、どちらもジュエルシードは譲れないんだから、それは難しいわね。

 

「話し合うだけじゃ、言葉なんてものじゃ何も変わらない、伝わらない!」

 

なのはの戦いが、始まった。

 

耀さんとすずか、私は見てるだけ。

 

一応すずかも限定展開(インクルード)してるみたいだど。

 

なのはがこの前練習した魔力弾を作るのをぼんやり眺めていた時、背中にゾワッとした悪寒が走った。

 

それは耀さんとすずかも感じ取ったらしい。

 

3人で顔を見合わせる。

 

空中で戦ってる2人は気付いてないみたいね。

 

「2人は気付いてないみたいだし、どうしようか?」

「今の2人に水を差しちゃダメだよ」

「じゃあ、私達だけで行く? あ、でも一人ぐらい残った方がいいかな?」

「そうね。じゃあ、じゃんけんで決めましょうか」

 

じゃんけんの結果、私と、すずかが様子を見に行くことになった。

 

すぐに嫌な感じの方に向かう。

 

《気をつけろ、おそらくサーヴァントだ》

 

首から下げているペンダントから声が聞こえる。

 

数日前から話せるようになった天壌の劫火(アラストール)だ。

 

何でもこのカードのシャナに力を与えていた魔人らしい。

 

《大丈夫よアラストール。この子充分に強いわ》

《この短期間の鍛錬にしては、だ。確かにアリサからは才能が感じられる。小さいころのお前に……いや炎の扱いに関してはお前よりも上かもしれんぞ、シャナ》

《そ、それはしょうがないでしょ!! 急な契約だったんだから!!》

 

そして、アラストールのほかに聞こえてくる声がある。

 

こっちも最近になって話せるようになった、このカードに宿っている英霊のシャナ。

 

なんか、妙に私と声が見てるような気がするのよね。

 

すずかの方もカードの英霊と話せるようになったらしいけど私には聞こえない……というか、カードの所持者じゃないと英霊と話せないみたいなのよね。

 

そうこうしているうちに、周囲の木々が不自然になぎ倒されている所が見えてきた。

 

そしてそこにたたずむ黒い鎧の騎士がいた。

 

目はバイザーで隠され、鎧の所々には赤い、血のようなラインが見られる。

 

そしてその右手には剣が握られてる。

 

禍々しい黒い気を放っている。

 

……私の剣とは大違いね。

 

《む、聞き捨てならんな。その気になれば、贄殿遮那にもわが紅蓮の業火を授けることが出来るが?》

 

はいはい、そうね、アラストール……それじゃあ、

 

「さっそく見せてもらいましょうか!!」

 

私の髪が紅蓮に染まり、天壌の劫火(アラストール)の力が私の体を満たす。

 

練習の結果、意識的に引き出せるようになった天壌の劫火(アラストール)の力。

 

それまでは無意識に翼の形にしていたけど、今は、

 

「はああああああああああああ!!!!」

 

気合とともに剣を振り下ろすと、莫大な炎が黒いサーヴァントを飲み込んだ。

 

「ア、アリサちゃん、早いよ~」

 

いつの間にか振り切ってしまっていたらしいすずかが、森の奥の暗闇から姿を現した。

 

私は振り返って腕を組む。

 

「あれがサーヴァントだよね? 頑張ろう!」

「え? もう倒したわよ?」

 

すずかが見つめる先には、カードではなく無傷のサーヴァントが立っていた。

 

《むやみに炎を出せばよいという訳ではないぞ、アリサよ》

《ふふん。まだまだね、アリサ》

 

~~~ッ!! うるさいうるさいうるさい!! 分かってるわよ!! そんなこと!!

 

「アリサちゃん!! くるよ!!」

 

すずかの声で我に返り、横に飛ぶ。

 

直後、私たちがいた場所を何かが通り過ぎていく。

 

《魔力の斬撃だ。避けれないものではない。体にも魔力を纏っているようだ。生半可な攻撃を全て跳ね返されるぞ》

 

見るとすずかの魔力弾も効果が見られない。

 

《アリサ、分かってるわね?》

 

「ええ」

 

私には3人の師匠がいる。

 

炎の使い方のアラストール、剣の振り方を教えてくれたシャナ、実践を味あわせてくれた沖田さんだ。

 

そして、剣の師匠のシャナの教えは、

 

「相手の殺しの間に自分の殺しを入れる!!」

 

私は黒騎士(黒くて騎士ぽいので、こう呼称)と切り結ぶ。

 

黒騎士の剣は見えないくらい早いけど、不思議と私の体も動く。

 

この隙にすずかが攻撃してくれれば、と思っていたがそう甘くなかった。

 

黒騎士の周りの魔力がいっきに膨張して、私は無理やり引き離されたのだ。

 

氷槍弾雨(ヤクラーティオー・グランディニス)!!」

 

空にいるすずかから、大量の氷の槍が発射される。

 

かなり早いうえに範囲も広い、一度これで仕切り直しを―――

 

そう思ったときには、すずかの弾幕には、すずかまで一直線に大きな穴が開いていた。

 

何か特別なことをしたわけではない、ただ黒い剣を氷の槍に向けただけだ。

 

それだけで、すずかの魔法は簡単に薙ぎ払われた。

 

そして、私も全力で空を駆けた。

 

黒騎士が、その穴を通るようにすずかとの距離を詰めていたからだ。

 

でも、間に合わ、ない。

 

必死に手を伸ばす。

 

もちろん届くはずもなく、黒騎士は剣を振りかぶる。

 

「すずかあああああああああ!!!!」

 

声を張り上げた時、伸ばした手が燃え上がったような気がした。

 

現れたのは、巨大は紅蓮の炎で出来た腕だ。

 

それは足りない距離を埋め、今まさにすずかを切り裂こうとしていた黒騎士を殴り飛ばす。

 

そして空中では自由に動けないらしい黒騎士のない後の抵抗である斬撃を躱す。

 

とどめの一撃は、さっきとは違う、極限まで圧縮した炎の刀だ。

 

それを以て、黒騎士の体を真っ二つにした。

 

こうして私達の勝利が確定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのはSIDE

 

戦闘が始まってすぐ、あの子が後ろに回り込んだ。

 

私は横なぎに振るわれるデバイスを避けて、空に飛びあがる。

 

「私とお話したいなら、互いのジュエルシードを一つずつ賭けて。フォトンランサー」

 

あの子の周りに小さい魔力弾が10個できる。

 

「レイジングハート、ディバインシューター!」

 

私の周りにも8個できる。

 

私たちはお互い相手の魔力弾を自分の魔力弾で相殺するけど、数の違いから内尾を世ないものが出てきちゃう。

 

それは焦らずにプロテクションで防ぐ。

 

練習通りに……ッ!!

 

私の武器は堅い守りに必殺の砲撃なんだから!! 相手の動きを見てその瞬間を待つ!!

 

あの子は速いけど、沖田さんも早かったもん。

 

とうとうその時はきた。

 

「サンダースマッシャー!」

 

あの子がしびれを切らしたのか、強力な魔法を打ってきた。

 

これを待ってたの

 

「ディバインバスター!!」

 

私も対抗して砲撃を撃つ。

 

数秒だけの拮抗で、ディバインバスターがあの子の砲撃の威力を上回り、黄色い魔法を飲み込む。

 

これでこっちの勝ち。

 

そう思って肩の力を抜いてしまったのは間違い。

 

あの子はデバイスを鎌の様にして上から襲いかかってきた。

 

「あッ!!」

 

とっさに目を瞑ったけど、何時までの衝撃が来ないから恐る恐る目を開けてみる。

 

鎌は私まであと数センチのところで止まっていた。

 

「私の勝ち」

 

あの子が無表情にそう告げるとレイジングハートは赤い宝石の部分から、ジュエルシードを1個出す。

 

「帰ろう、アルフ」

 

いつの間にか近くに来ていた犬耳お姉さんが、勝ち誇ったような顔を向けてくる。

 

「流石」

 

そうか、あの人はアルフって名前なんだ。

 

それじゃあ……あの子の名前は?

 

「待って!」

「もう私たちに関わらないで」

 

違うよ、そうじゃないの。

 

「名前を教えて!!」

「……フェイト、フェイト・テスタロッサ」

「わ、私は」

 

私も名前を言おうとするけど、その前に飛び去ってしまった。

 

地上に降りると耀さんが近寄ってきた。

 

「今回も……ダメだった」

 

私は歯を食いしばる。

 

そうでもしないと、声を出して泣いちゃいそうだった。

 

「しょうがないよ、あれは経験の差。逆に、よくこの短い期間でここまで強くなったよ。私が強くなるにはもっと時間がかかったし」

 

耀さんは励ましてくれる。

 

「あの子、話し合うだけじゃ変わらないって言ってた」

「うん」

「言葉だけじゃ伝わらないって言ってた」

「うん」

「ダメなのかな、私じゃダメなのかな」

 

 耀さんはふぅと息を漏らして語りかける。

 

「なのははどうしたいの? 諦めちゃうのか?」

「嫌だよ! あの子とお話したいよ……でも……でも……私じゃ……」

「なのはが諦めたら終わりだよ、でも諦めなければいつかチャンスはくるから」

「……うん。そうですね。ありがとうございます」

「よろしい」

 

そうだよね、一回失敗したくらいじゃ諦められないよね。

 

これから、何度でも、あの子と向き合おう。

 

そう思って顔を上げると、耀さんの体が透けていた。

 

「え、え、あ、ちょ、耀さん!! か、体が!!」

「え? あ、魔力切れっぽい。もうちょっと見てたかったけど、大丈夫そうだねなのは達なら」

 

その言葉で、耀さんがカードになってしまうという事が分かった。

 

「大丈夫だよ。カードになってもみんなの事は見てるから。悠斗がいれば一緒に戦えるし」

 

―――だから心配しないで。

 

その言葉を最後に耀さんはカードになって地面に落ちた。

 

そのカードを拾って胸に抱き、私は決意します。

 

絶対にあの子―――フェイトちゃんとお話しします。

 

だから見守っていて下さい、耀さん。

 




現在悠斗が使えるカード

セイバー:なし

アーチャー:エミヤ

ランサー:クー・フーリン,黒ウサギ

ライダー:フランシス・ドレイク,メドゥーサ

アサシン:佐々木小次郎

キャスター:トール

バーサーカー:スパルタクス
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