ここは、森の中か?
何か黒いもやもやしたものと、少年が追いかけっこをしている。
すると、突如少年の右手が光って、もやもやが吹き飛ぶ。
が、そのまま、少年も倒れこんでしまう。
そして声が聞こえた。
耳に入ったというよりも、頭の中に直接聞こえたような感じで。
それでいて、どこか自然に受け入れられるような言葉を。
「誰か僕に力を貸して、魔法の力を」
目が覚めた。
もちろん森の中ではなく、自室の布団の中で。
「なんなんだ、今の夢は……」
俺はただただ首をかしげていた。
しかし、頭に残って離れない言葉がある。
『誰か僕に力を貸して、魔法の力を』
あの言葉、もしかして……
そして学校に着いた。
昨日と同じようにおしゃべりをしている3人娘に、挨拶代わりにこう言ってみる。
「今朝、変な夢を見たんだ」
さて、どんな反応をする?
「挨拶をしなさい、悠斗」
「おっと、そう来るか」
昨日の俺の言葉を返されたな。
とりあえず挨拶をして、もう一度言おうか。
「おはようアリサ、すずか、なのは……それでさ、今朝変な夢を……」
「はいはい。それでさ、昨日のテレビなんだけど」
「無視かよ!」
毎度毎度、扱いがひどすぎるだろ。
「無視してないわ。ちゃんと『はいはい』って言ったでしょ」
それは無視したようなものだろう。
というか、俺のこの質問には、結構大事な意味があるんだ。
「いいから聞けって、それがさ……」
もちろん夢なので、そこまで詳細を覚えているわけではないが、とりあえず、印象に残ったところをかいつまんで話す。
すると、だ。
「私もおんなじ夢を見たよ!」
驚いた顔で、大声を上げるなのは。
やっぱりね。
多分今日が、原作の始まりの日なんだろう。
「ちょっとまって、私も同じ夢を見たんだけど」
「たぶん、私も……」
アリサとすずかもなのか?
確かに考えてみれば、魔法少女が一人っていうのも考えづらいな。
やっぱりこういうアニメって、仲間が増えていくのが定石か?
それとも一緒に巻き込まれて、魔法少女になるとか。
そう来ると確かに、親しい友達っていうのは、魔法少女になる確率は高いか。
もしくは、突然転校してくる生徒とかが魔法使いだったり。
まあ、とにかく、この3人には、魔法少女としての才能があるってことだな。
そして放課後。
「さて、帰りますか」
俺は帰り支度を整えて、カバンを背負う。
時刻はすでに、3時を五分ほど回ったところで、他の生徒も、着々と帰り支度を進めている。
すでに何人かの生徒と、先生は教室を出でおり、廊下からも話声がする。
「ほら、悠斗、行くわよ」
アリサに声をかけられそちらを向くと、すでに3人とも帰り支度は万端のようだ。
「お、ん?」
おう、と言おうとしたところ、不思議な違和感があったので、顔をしかめる。
この感じは、もしかして。
《マスター、クラスカードが発動しました》
「ッ!」
カバンに入っているダイヤが、念話で突然話しかけてくる。
《まだ慣れてないんだなら、驚かすなよダイヤ。念話をするなら、ちゃんとするって言ってくれよな》
《それでは念話の意味がないのでは?》
ごもっともだ。
《それで、クラスカードが発動したって?》
《はい。早急にカードに戻した方がよろしいかと》
《そうだな。多分これから、原作が始まるための何かしらの事件が起こるんだろうけど、今回はこっちを優先させるか》
俺は、ダイヤとの念話を打ち切り、アリサにその旨を伝える。
いや、もちろんそのまま伝えるんじゃなくて、一緒に帰ることは出来ないということを伝えるのだ。
「悪い、今日ちょっと先生に呼ばれててさ、先に帰っててくれ」
「あ、そうなの。それじゃあ、こってり叱られてきなさい」
「叱られませんけど! 先生の呼び出し=怒られる、っていう図式を成り立たせるな!」
アリサは、俺のツッコミに反応せずに、ぞのまま教室から出て行ってしまい、なのはとすずかも『バイバイ』と手を振りながら出て行った。
俺はそのあとすぐに屋上に向かう。
「そういえばさダイヤ。この世界に鏡面界はないの?」
走りながら、ふと頭に思い浮かんだことをダイヤに尋ねる。
クー・フーリンとの戦闘の時、俺は鏡面界に行っていないからだ。
「ありません。クラスカードはこの世界で発動します。それと、まれにですが、もとからカードの場合があります。その状態で見つけて確保しますと、発動することはありません」
なるほど、結構違いはあるんだな。
違いと言えば、カードの絵柄も、カードごとに封印されている英霊の絵になってるし。
枚数が多いぶん、この方が分かりやすくていいけど。
「それで、クラスカードは基本的にどれでも使えると思っていいんだな?」
「はい。ただし、クラスがバーサーカーのものと
「は? らしい?」
「はい……神様が私を送り出すときに、そう言っていたんです。なんでも、『クラスカードの英霊と性質が近い者にはその力が扱える』とかなんとか」
性質が近い、ねぇ。
そうこうしているうちに、屋上に到着する。
「ま、その話はまた今度にして、行きますかダイヤ。セット・アップ!」
その瞬間、俺は光に包まれる。
光りが収まり、その中から出て来た俺の服装は、全体的に白を基調とした長袖長ズボン。
さらに体のあちこちに半透明の装甲が装着されている。
「じゃあ、飛ぶぞ」
俺は空に向かって舞い上がり、目的地に向かって、発進した。
ダイヤに言われたところまで飛んでいくと、そこには顔に傷のある女性がいた。
「あれ、だよな?」
「はい。間違いありません」
ダイヤの言葉を聞き、俺はゆっくりと降下を始める。
ちなみにダイヤは今、指輪になっていて、指にはめている。
任意で杖の形にすることはできるが、俺は片手がふさがるのが嫌だったので、この形にした。
地上に降り立った俺は、女性と向き合う。
背はだいたい160cmくらいか?
決して大柄というわけではないが、彼女の醸し出す英霊としてのオーラのようなものに、早くも少し押され気味な気がする。
「やっと来たかい。じゃあ、さっさと戦ろうか」
女性は待ちくたびれたといった様子で、二丁の古めかしい拳銃を取り出す。
飛び道具が獲物ってことは、クラスはアーチャーか?
「アタシは海賊だからね。弱い奴にはつけないよ」
そう言いつつ俺に銃口を向けてくる。
つまり、闘って勝って強引にカードに戻してみろと。
大体予想はしていたな、クー・フーリンのときもこんな感じだったし。
だったら。
俺は猛スピードで駆けだす。
「
指輪が変化して、赤い魔槍が現れる。
先手必勝だ。
心臓を貫く方の
物理保護を全開にして、少しくらいあの銃を喰らうことを覚悟して、ギリギリまで近づいた後、
女性も銃を撃ってきて、時々ヒットするが大丈夫、少し痛い程度だ。
レンジまだと少しだと思った時だ。
突如空中から、大砲が出現する。
「なにぃ!」
俺は急ブレーキして、急いで横に飛ぶ。
直後、その大砲から砲弾が発射され、俺がいたところに着弾、地面をえぐり飛ばす。
「あんたは英雄王かよ!」
まんま
横に飛んだせいで、再び距離を取られている。
突っ込んだところで結果は同じ、それなら……
俺は飛び上り、力いっぱい槍を握りしめて叫ぶ。
「
作戦変更、心臓を貫くのではなく破壊力重視の
マッハ2という今の俺の目にはとらえられないスピードで発射された槍は、寸分たがわず狙い通り、女性に命中する。
が、しかし
本来ならこの一撃で倒せているはずだが、女性は耐えきっている。
「なかなかやるね……でもこの程度じゃ……」
だろうね、だから本命はこっちだ。
俺は
「
使うのは
「燕返し!!!」
まったく同時に繰り出された3つの斬撃は女性の背中を切り裂く。
「ふふふ。やるじゃないか。いいだろう、あんたの物になってやるよ」
彼女の体は消失して、後にはカードだけが残った。
現在悠斗が使えるカード
セイバー:なし
アーチャー:エミヤ
ランサー:クー・フーリン
ライダー:フランシス・ドレイク
アサシン:佐々木小次郎
キャスター:なし
バーサーカー:なし