「悠斗、パス!」
俺は声のしたほうに向かってボールを蹴り出す。
若干狙いが逸れてしまったが、うまくパスが通ってくれた。
今俺は、翠屋JFCというサッカークラブの助っ人として、試合に参加している。
試合を三人娘と見に来たのだが、急遽試合に出れない人が出てしまい、監督の士郎さんに頼まれて参加しているのだ。
俺がパスした選手は、また違う選手にパスを出し、その選手がゴールを決める。
現在二対一で残り時間は1分ない。
後は守りきるだけだ。
結果、俺たちはリードを守りきり、試合は二対一で俺達が勝った。
今は翠屋でチームのみんな+三人娘と食事している。
「結局悠斗、一回もシュート決めてないわね」
「厳しいな、オイ」
「そうだよ、アリサちゃん。悠斗君サッカー初めてらしいし」
「そうそう。お父さんも、彼は何でもできるねって言ってたし」
そうだよ? 俺は器用貧乏なんだよ?
とてつもない戦果なんて、期待しないでくれたまえ。
「まったく、情けないわね」
「そんなこといって、一番応援してたのアリサちゃんじゃない」
「バッ!! 何ってんのよ!!」
真っ赤になったアリサが、なのはに詰め寄り、すずかはくすくす笑っている。
ああ、平和だ。
ここまでは。
「「「「「ッ!!!!」」」」」
ジュエルシードの発動を感知する。
「行くか」
俺たちは、翠屋を飛び出した。
外に出て少し進むと、むちゃくちゃ大きい木が何本も生えていて、地面やビルに枝や根が張り、車を破壊している。
「これはひどいな」
「ええ、前のとは比べ物にならないわね」
「早く封印しないと」
「……どうしよう、私のせいだ……」
俺がなのはの方を見ると、うつむいてぼそぼそ何かを呟いている。
「とりあえず、手分けしてジュエルシードを探しましょう」
アリサは腕を組みながらそう提案してくる。
前回よりは冷静なようだ。
「そうだな。見つけたらなのはに連絡するようにしよう。すぐに封印できるのは、なのはだけだし」
俺はなのはの方を見るが、なのはは何の反応も示さない。
「おい、なのは、どうした? 大丈夫か?」
なのはの肩を掴んでゆすってみる。
「え? う、うん、なんでもないよ。分かったの」
「そうか? ならいいけどさ」
絶対大丈夫じゃないぞコレ。
「しっかりしろって。余計なことを考えてたら大怪我するぞ」
それだけ言って、俺たちは別れて飛んだ。
すずかSIDE
別れて探し始めて、10分くらい経ったかな。
相変わらず木は成長してるし、誰からも連絡ないからまだジュエルシード見つかってないんだ。
それにしても、クラスカードってすごいな。
使うと体が自分のものじゃないみたいに軽くなって、『魔法』の知識が頭の中に浮かんでくるんだもん。
そんなことを考えながら、ジュエルシードを探していると、50メートルくらい先に上半身裸の大きな男が背中を向けているのが見えた。
魔法で強化された目を使って、よく観察すると、その人が普通ではないことが分かる。
まず、全身が青白い。
そして、全身に傷がある。
っていうか、こんなところで上半身裸になっている時点で普通じゃない。
「……サーヴァント……かな?」
とはいえ、まだ100パーセントサーヴァントだと決まったわけじゃない。
もし攻撃して本当は一般人だったら大変だよね。
そう思った私は、いつでも魔法を発動できるようにしてその男の人に近づいていく。
「きたな」
ある程度近づくと、その男の人が振り向いた。
うん、サーヴァントだね。
さっきは気付かなかったけど、男の人は剣を持っている。
「いくぞぉ!!!」
男の人が笑顔で刀を振り上げて向ってくる。
「
私はあらかじめ準備しておいた魔法を発動させる。
私の前に現れた魔法陣から、17本の氷の矢が発射され、すべてその男の人に命中する。
これで少しは動きを止められるかと思ったら、男の人の速度は変わらない。
しかも、傷はふさがり、笑顔のままだ。
私は急いで距離を取ろうとする。
でも、腕を掴まれて放り投げられる。
「ケホッ、ケホッ……
コンクリートに叩きつけられて咳き込みながらも、何とか次の魔法を使う。
私の手に従って自在に動く雷で出来た斧をぶつけるけど、やっぱり効果がない。
意識がもうろうとする中、男の人が近づいてくるのが見えるけど、魔法を発動するだけの時間がない。
剣が振り上げられるのを見て、私は来たるべき衝撃をこらえるために目を固くつぶる。
しかし、その衝撃は訪れなかった。
「
悠斗君の声が聞こえたので恐る恐る目を開けてみると、目の前にいる男の人の左胸から赤い刃が生えていました。
悠斗SIDE
見事に
まさに会心の一撃だ。
そう、これで終わった……はずなのになんでカードにならないんだろう。
「ははははははははは。これはいい一撃だ!」
振り向いた男の顔は、満面の笑みだ。
な、なんだこの人、なんで心臓貫いてんのに笑ってんの!?
男は刀を振り上げてくるので、俺は急いで
「なあダイヤ、不発じゃなかったよな?」
「はい。確実に心臓を貫いていました」
「しかも、傷塞がって来てるよな。
男の傷はどんどんふさがり、すでに貫かれる前と見た目は変わらない。
「じゃあ、今度はこっちだ。
先日手に入れた黒ウサギの宝具である、
「はっ!!」
立て続けに雷を発射するが、まるで効果がない。
「と、言うかむしろ、魔力が高くなってないか?」
つまり、受けたダメージを回復+魔力に変換する宝具を持ってるってことか?
どっちにしろ、ちまちま攻撃しても意味がないってことはよくわかった。
俺は
黒ウサギの宝具は強力だが、これは本来彼女のものではなく、月のウサギである黒ウサギの祖先が、自ら炎に飛び込んで帝釈天を救ったという功績から、一時的に貸し出されているレプリカだ。
ゆえに真名解放をすると、武器自体が壊れて使えなくなってしまう。
まあ、俺の場合、少しの間黒ウサギのカードを使えなくなるという少し軽いものになっているが、その分威力は高い。
普段はBランク程度の宝具だが、真名解放時にのみAランク相当の神秘性をおびる。
「くらえ……疑似神格解放」
さらにそれらは収束していき、武器自体をも焼き尽くす必殺の槍へとその姿を変える。
「穿て!
男はそれを見て正面から受けた。
突き刺さった瞬間に、たくわえられていた稲妻が周囲に放出され、舗装された道路を吹き飛ばしていく。
後に残ったのはカードだけだった。
「ふう……すずか、大丈夫か?」
撃破を確認した俺は、急いですずかのもとへ駆け寄る。
「うん。ごめんね、私何もできなくて」
「いや、しょうがないさ。立てそうか?」
「難しいかも。とりあえず、なのはちゃんたちに……」
「それじゃあ、失礼して」
「ふぁ! ゆ、悠斗君!」
動くのが難しいというすずかを背負う。
「すぐに合流するから。がまんしてて」
「う、うん」
俺は、なのはとアリサの魔力を探す。
お、2人とも一緒にいるな、これは好都合だ。
そう思って飛びあがろうとしたとき、桃色の閃光が、一番大きい木に激突した。
そしてすぐに、周りを侵食していた木が消滅する。
あれ? ジュエルシード封印終わったの?
気になって急いで飛んでいくと、やっぱりジュエルシードは封印したらしい。
なんでも、なのはが砲撃魔法という魔法を使ったとか。
なんか、割とあっさりとした結末だったな。
余談だが、すずかを背負っているのをアリサが見て、真っ赤になって剣を振りまわしてきた、解せん。
別にいやらしいことなんてしてなかったのに。
現在悠斗が使えるカード
セイバー:なし
アーチャー:エミヤ
ランサー:クー・フーリン,黒ウサギ
ライダー:フランシス・ドレイク,メドゥーサ
アサシン:佐々木小次郎
キャスター:なし
バーサーカー:スパルタクス