この前倒したサーヴァントの名前は、『スパルタクス』で、クラスがバーサーカーだった。
スパルタクスは、トラキアの剣闘士であり、バーサーカーとしては珍しく言語を話せる。
と言っても、話せるだけで、相手の話を理解しているわけではないという安定のバーサーカークオリティ。
宝具の方は『
その能力は俺の予想した通りで、敵から負わされたダメージの一部を魔力に変換し、体内に蓄積でき、さらにその魔力は、ステータス強化と治癒能力の増幅に使用できるという結構使える効果のものだ。
しかし、この宝具、ダメージを受けないと、効果が発揮されないのがネックだ。
一応、傷つけば傷つくほど魔力への変換効率が高まるのだが、別に進んで怪我しようなんて思わないし。
というわけで、この宝具はお蔵入りかな。
さて、愚痴も一通り言い終わったところで、今日の予定を発表しよう。
今日はすずかの家で、お茶会プラス今後の方針決めをする事になった。
何でも、カードの説明が不十分だとか。
まあ確かに、宝具の事は全く説明していなかったし、いい機会だろう。
途中でなのはと合流したら、お兄さんの恭也さんもいた。
忍さんに会いに行くんだろうな、あの人たち付き合ってるし。
そんなリア充の事はほっておいて、俺達も会議を始める。
「それじゃあ、話してもらいましょうか。まずは、英霊についてね」
「うーんと……英霊は、色んな世界にいる異能の力を持った人を指すんだ」
「色んな世界?」
「そう。ざっくり言って平行世界だな。平行世界っていうのは、今俺達がいるこの世界とは違った法則の力が発達した世界の事だ。だから、この世界の魔法とはまるっきり違った法則の力を使うんだ」
「平行世界……そんなものがあるなんて……」
あ、最近空気になっていたユーノじゃないか。
でも、次元世界があるなら平行世界ぐらいすぐに理解してくれと思ったんだけど、そううまくは、いかないらしい。
「んで、クラスカードは、その違う世界の英霊にアクセスするための鍵で、これを使うことで、英霊が使っていた武器、道具、技術、これを宝具って言うんだけど、を一時的に取り寄せることが出来るって訳だ。OK?」
「なんとなくね」
「私も」
「私、あんまりわかんなかったよぅ……」
アリサとすずかは少しわかったみたいだけど、なのはは頭から湯気を出している。
「それで、あんたは何でそんなこと知ってんの?」
予想通りの質問だ。
「ダイヤに教えてもらったんだ」
「ふーん、そう。それで、どうして英霊と戦わなきゃいけないの?」
今度はそこか。
「考えてみろよ。自分の力を知らない他人が使うんだぞ。少しぐらい腕試ししたくなるだろ?」
「ああ、確かにそうね」
アリサは納得したようにうなずいている。
やっぱりこの子は頭の回転が速くていい。
「あ、そうだ」
すずかが手を挙げる。
「この前戦った時の最後に、黒ウサギさんの武器が凄い威力になってたけど、あれってなんなの?」
凄い威力? ああ、真名解放か?
「そうだな、次は宝具について説明するか。宝具っていうのはさっき説明したとおり、英霊が使っていた武器、道具、技術の事なんだけど。この宝具には2種類があってな、いつも効果を発揮している奴と、その宝具の名前を詠唱することで真の力を発揮する奴があるんだ。それを真名解放っていう」
「なるほど、つまり、最後のはその真名解放っていうのだったんだね」
「そういう事。真名解放は、その宝具の必殺技だと思ってくれていいよ。ただし、すずかとアリサのは、状時効果が発揮されてるから真名解放は意味ないぞ」
「なんだ、そうなの」
「残念」
ま、とりあえず、こんなもんだろうな。
アリサとすずかのも半分
俺は説明は終わったとばかりにカップを口に運ぶ。
それを見て、他の3人もカップを持つが、
――キィン、キィン
んん? これってジュエルシードを暗くカードが同時に発動したな? しかもすぐ近くで。
「……ジュエルシードだね」
「そうみたいだね」
「まったく。さっさと終わらせて続きをしましょ」
あれ? みんなクラスカードの事には気づいてないのか?
《クラスカードを感知できるのはマスターでけですよ》
念話でダイヤが話しかけてくる。
そうなのか、知らなかった。
そのことを3人に報告すると、みんな俄然やる気を出していた。
外に出た俺たちを待っていたのは、巨大な豪邸にふさわしい大きな庭、そしてこれなた巨大な猫だった。
「これはまた……」
「……子猫なんだよね?」
「……子猫でしょう」
「……うちの子かなぁ」
「あ、あはは。大きくなりたいって思いが正しくかなえられたんじゃないかな……」
「それはいいことだな。背っていうのは努力じゃ変わらんものだしな」
前世で結局身長が170㎝に届かななった俺はしみじみとうなずく。
あの頃は背を伸ばそうと必死になって牛乳飲んでたっけなぁ。
俺が懐かしい思いに浸っていると、俺達5人以外の声が聞こえてきた。
「わわわ、ダメだよ、三毛猫」
その声の方を見ると、小柄な体格の少女『春日部 耀』がいた。
また、『問題児が異世界から来るそうですよ?』のキャラクターだ。
あそこの主要人物って、チート能力しか持ってないから、なるべくまともに戦いたくないんだよな。
この子が持ってるものも、黒ウサギとはまた違った方向でチートだし。
「あの人、英霊?」
すずかは俺の肩をたたいて問う。
「そうだな」
「よかった。前みたいな人じゃなくて」
スパルタクス……哀れ、じゃなくて自業自得だな。
心臓ぶち抜かれて笑ってるなんて、恐怖以外の何物でもないもん。
と、ここで、みんなの視線が俺に集まっているのに気づく。
……俺が行けってか。
一度ため息をつき耀の方へ向かっていく。
性格からいって、早々戦闘になることはないと思うけど。
「えっと、春日部さん?」
「え? あ、君が?」
多分、君がカード回収者なの? って意味だろう。
「そうです」
「じゃあ、ちょっと待ってて。三毛猫どうにかしないと」
そういえば、耀は同じに日に生まれた三毛猫を大事にしてたっけ?
「それは俺がどうにかします。
俺は対生物御用達
でかくなっても生物は生物、これでどうにかなるだろ。
俺はすぐさま転身して、猫の上に乗る。
そして、真名解放をしようとしたとき―――
「フォトンランサー、ファイア!」
―――金色の魔力弾が飛来した。
「わっとと。なんだ?」
魔力弾が飛んできた方を見ると、俺たちと同じくらいの少女が浮いていた。
黒いバリアジャケットと黒いマント。そして金色の宝石がついたデバイスと思しき黒い斧を持っている。
英霊じゃないな、発動を感知できなかった。
なのは達の方を見ると既に戦闘準備は万端の様だ。
少女が再び魔力弾を作り、発射する。
俺はしびれているのか動かなくなっている猫から飛び上がり、
猫の動きを止める必要はなくなったので、違うカードを使おうとする。
「どうしてこんなことするの!?」
ここでなのはの方は少女に向かって声を張り上げる。
金の少女はなにも答えず、デバイスを構える。
「ロストロギア、ジュエルシードを回収する。邪魔をしないで」
「ダメだよ! ジュエルシードはユーノくんの!」
「待ちなさい、なのは」
アリサがゆっくりと上昇してくる。
手に持った贄殿遮那が小刻みに震え、非常に激しい感情を持ていることを伝えてくる。
「アンタ今、何したかわかってんの? 人に向かって魔法を使って、もし悠斗が怪我でもしたらどうするつもりだったのよ!」
「あ……それは……」
いや、闘っている以上怪我は仕方ないから、この時少女に向けられた怒りは少し見当違いなところもあるが、これはアリサが俺たちを大切に思ってくれてるからだと思う事にしよう。
もしくは、目の前で自分の知り合いに手を出されたのを見て、感情の制御が聞かなくなったからか。
思えばアリサ達は、まともな戦闘をしたことはない。
俺も少ないので偉そうなことは言えないが、『戦闘』と呼べる行為をしたことがあるのは、すずかだけだ。
つまり、ここで初めて、人が意識的に、かすり傷では済まない傷をつけようとする所を見たのだ。
しかも、知り合いに。
「早く答えなさいよ!!」
「あ、あの……」
少女は、アリサの剣幕に押されて口をパクパクさせうつむいている。
一瞬、無言の時間ができる。
しかし、その時間は唐突に打ち切られる。
猫の体からジュエルシードが浮かび上がってきたのだ。
「それでも私は!」
少女をそれを見ると、かすむほどのスピードで動いた。
俺でギリギリなのだ、みんなには消えたように見えるだろう。
そう、
俺がギリギリ防げた鎌の攻撃を、アリサが防げるわけがない。
俺がアリサを見たとき、アリサは地面に向かって落下を始めていた。
「アリサちゃん!!」
なのはとすずかがアリサを抱き留める。
幸い外傷はなさそうだ、見事に意識だけを刈り取っている。
少女にも罪の意識はあったのだろう。
アリサの言葉に反応していたのが何よりの証拠だ。
だが、しかし。
「ぶざけんなよ」
俺が怒りを収める理由にはならない。
少女はすでに離脱しようとしている。
「逃がすか!!」
「悠斗君!!」
「皆は待ってろ! ジュエルシードを取り返してくる!!」
すずかの声を振りきり、少女の後を追い始めた。
現在悠斗が使えるカード
セイバー:なし
アーチャー:エミヤ
ランサー:クー・フーリン,黒ウサギ
ライダー:フランシス・ドレイク,メドゥーサ
アサシン:佐々木小次郎
キャスター:なし
バーサーカー:スパルタクス