速いな、追いつけない。
どんどん距離を離されてるぞ。
どうするべきか、ライダー系の宝具を使うか?
「マスター、結界を張ってみてはどうでしょう?」
あ、そっか、閉じ込めちゃえばいいのか。
俺は早速結界を張る。
周りの色がなくなり、少女も動きを止め、こちらを向く。
それだけで何も言わないので、声の機構絵所まで進み、俺の方から口を開く。
「ジュエルシードを集めて何をするきだ?」
「貴方には関係ない」
こっちの連れに攻撃しといて、関係なくはないだろ。
「じゃあ、理由は聞かないさ。理由を聞く前に倒すことにする。
俺は佐々木小次郎の刀を召喚し、少女に向ける。
少女もデバイスを構え―――姿がぶれる。
とっさに右に刀を構える、と、ほとんど同時に衝撃が伝わる。
ライダーなんて目じゃないぞ、速すぎるだろ、クソ。
今までの戦いでは、これほど早い奴とは闘ったことがなかったからな。
まさか、初めての高速戦闘がサーヴァントじゃなくて、同年代の少女とは夢にも思わなかった。
少女のデバイスを力に任せて押し返す。
どうやら、筋力はそこまで高くないみたいだ、男女の差だろうか?
追撃を掛けようとしたが、すでに距離を取られている。
ちくしょうめ、早いっていうのは、ただ単に力が強いよりもよっぽど厄介だ。
「フォトンランサー、ファイア!」
「ファイア!」
少女がさっき使っていた魔力弾を発射してきたので、俺も魔力弾を発射して応戦する。
彼女からは金色、俺からは銀色の魔力弾が打ち出される。
何気に実戦で魔力弾を使うのは初めてだったりする。
いつもクラスカードを使った接近戦だしな。
さて、さて、どうするか。
やっぱり近づいて燕返しが一番いいんだろうな……黒ウサギのカードはまだ使えないし、
と、こんなことを考えている俺もかなり甘いな。
そんなことを考えていると、
「サンダースマッシャー!!」
少女からビリビリと雷っぽいものを纏ったビームが発射された。
「バリア!」
俺は目の前に5重の障壁を張る。
そしてそのまま障壁の維持を放棄して、自分の間合いに入ろうとする。
この障壁は空間に設置するタイプのもので、最初に込めた魔力の分の攻撃を防ぎ、自分は自由に動けるという優れものだ。
おそらく相手は俺が障壁を維持していると思っているはず。
その隙に近づいて、燕返しをお見舞いしてやる。
そう思って砲撃の発射点までやってきたが、そこにはあの少女はいなかった。
罠かと思いあたりを見回すと、さっきまで俺がいたところに少女がいて、俺の事を探すようにあたりを見回している。
あっちも同じことを考えてたな。
再び同じ距離でにらみ合うことになった俺達。
その時、結界に侵入者が現れたことを感知する。
しかも、
「英霊かよ」
この状況でさらに不確定要素が増えたな。
「お、やってる、やってる」
現れた英霊は『とある魔術の禁書目録』のキャラクターである、トールだった。
ハハハ……マジですか?
最近、現れる英霊のランクがバグってませんかね。
「いいね、いいね。俺の世界には存在しない未知の力。いい経験値になりそうだ」
あー残念だ、黒ウサギの力が使えれば、インドラとトール―――雷神同士の戦いになったのにな。
なんてことを考えている場合じゃない。
雷神としてのトールならともかく、全能としてのトールを出されたら勝負になんないぞ。
「ん? ああ、心配すんな。流石に、ガキ2人にソッチは使わねえよ」
俺の心の内を見透かしたように、トールは少し笑いながら告げてくる。
「ま、こっちは使うけどな。
その言葉と共に、トールに青白い光がともっていく。
さらに、トールの両手から空気を引き裂き長さ20メートルもある、10本の溶断ブレードが現れる。
長いよなぁこれ。
実際に戦闘してみると、20メートルの近接武器っていうのは反則じみてるわ。
しかもここは結界の中であり、いくら壊そうが外には何の影響も出ない。
よって、周りの被害を気にせずにあれを振るえるという事だ。
まったく、あいつにいい条件がそろいすぎだぜ。
とりあえず、武器をゲイ・ボルグに変える。
「ダイヤ、まともに受けたらどうなる?」
「防御をしなかった場合、蒸発します。全力で防御したとしても、肌は焼かれます」
ですよねー。
でも、勝機はある。
トールは何かしらの特別な体質をしているわけではなく、あくまで体自体は普通の人間である。
宝具の直撃を受ければ何とか倒せる……はずだ。
そして、とある魔術の禁書目録の上位の戦闘能力を持つキャラクターは、軽く音速を超えて戦うのに対し、トールはそういった移動ができない。
何故なら体がついていかないから。
当てることが出来れば倒せるうえに、ほかの禁書キャラクターに加えて攻撃を当てやすい。
避けられるはずがない。
「
「は!」
溶断ブレードを振られる前にぶち抜こうとしたが、それより早く足からも溶断ブレードが飛び出し、トールは空中へと飛びあがった。
な、なんだこれ、移動が不規則すぎて狙いがつけられない。
クソ、俺の腕じゃ当てらんない。
俺が狙いをつけられずにオロオロしていると、横から黄色いものが迫ってくる。
言うまでもなく溶断ブレードだ。
急降下して今度こそ真名解放しようとするが、今度は足から発生させたものが襲い掛かってくる。
「ダイヤ! 防御!!」
最大出力で左手に盾のように障壁を作る。
直後に焼け付くような痛みが俺を襲う。
というか、実際に焼かれている。
「いっつ……ッ!!」
痛みに耐えながら槍を構える。
なんか、今の俺のかっこう、重装歩兵みたいだな。
相変わらずふざけたことを考えていたが、右側からも溶断ブレードが迫ってきた、笑えない。
溶断ブレードにはさまれる瞬間、俺は何者かに抱えられてその場を動けたため、難を逃れる。
何者かというのはあの少女だ。
「あ、ありがとう。助けてくれなかったら死んでた。……えっと」
「フェイト、フェイト・テスタロッサ」
「フェイトか。ありがとうフェイト」
「それより、あれは誰?」
さらりと呼び捨てにしてみたが、特に反応はなかった。
「詳しく説明すると長くなる。対処法を端的に言うと、倒しちゃって構わない」
「……簡単に言わないで」
フェイトは少しむすっとした顔になる。
その顔がかわいくて、さっきまで戦っていたことを忘れて少し見惚れてしまう。
「切り札はある。30秒くらい時間を稼いでくれないか?」
「分かった」
そう言って、俺を離してフェイトはトールのもとへ飛んでいく。
「さてダイヤ、
「4分と32秒ですマスター」
「了解」
エミヤのカードを取り出す。
一度息を吐き、目をつぶる。
「告げる。汝の身は我に、汝の剣をわが手に、聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者、
汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手―――
莫大な魔力が俺を包み、俺の姿が、赤い外套を纏ったものに変わる。
同時に、エミヤの戦闘技術が流れ込んでくる。
エミヤになった俺は、自分の周りに大量の『雷切』を作り上げる。
雷切は雷に対する概念武装で、雷の属性を持つ物をほぼ100%切断することが出来る。
トールに対してこれ以上の武器はないだろう。
両手には弓と矢。
完全に遠距離から狙い撃つスタイルだ。
矢を弓につがえ、射る。
周りの雷切も同様に射出していく。
これの攻撃に気付いたらしいトールは、溶断バーナーを使ってくるが、雷切はそれを切断してスピードを落とすことなくトールに迫る。
接近されないように離れながら、マシンガンのごとく矢と雷切を撃ち続ける。
さっきとは違いエミヤの技術を十全に扱える俺は、トールの動きを制限しつつ、あいつに隙を作る余裕がある。
雷切での攻撃を続けつつとどめの武器を投影する。
捩じれた刀身を持つアレだ。
「
空間すら貫通するそれは、トールの胴体を貫通し、この戦いの勝敗を決めた。
現在悠斗が使えるカード
セイバー:なし
アーチャー:エミヤ
ランサー:クー・フーリン,黒ウサギ
ライダー:フランシス・ドレイク,メドゥーサ
アサシン:佐々木小次郎
キャスター:トール
バーサーカー:スパルタクス