バディファイトもSS投稿も初心者ではありますが、書きたい思いだけで突っ走ってみました。
駄文・誤字・脱字・ルールミスその他諸々、気をつけてはいますが不安は尽きません……。
ですが、やれるだけのことはやりたいと思います。
宜しくお願いします。
因みに今回は、ファイトしません。あくまで主人公たちの出会いをメインにしたかったからです。
始まりの日
5月。春の陽気が残る朝に、俺は1人、坂を上っていた。
「……はぁ」
桜の花びらが、アスファルトの坂道を埋め尽くしている。正門へ続くそれは正に青春そのもの。
そして、俺にとっては苦痛だ。
*
超東驚・第7ブロック、学が丘。かの有名な相棒学園と同じ所在地に、俺が通う、学が丘第二高等学校がある。全校生徒1500人の所謂、マンモス校だ。俺は1週間前にこの学校に転入した。
「……やっぱ、帰ろうかな……」
校舎に入り、ロッカーに携帯電話を入れて、階段を3階まで上がって、ふと足が止まった。同級生の笑い声が聞こえる。「コール!」と叫ぶ奴もいる。急に逃げ出したくなってしまう。だが、ここで逃げたら後悔することになるかもしれない。
意を決し、教室の前まで進む。行け、もっと。そして引き戸に手をかけて――
「お、おはよう……」
そろそろとドアを開けると、たくさんの視線を感じた。
「あいつ、来たのかよ」
「バディファイトも出来ないのに?」
「あんまり言うなって。泣かれたらどうすんだ」
「いない方が楽しいのに」
「気分サイアクだよ、まったく」
顔を伏せながら席へと向かう。皆の視線が痛い。さっきまでの賑やかさが嘘のように、静かになっている。椅子に着いても状況は変わらない。それも全て、俺が来たからだ。
俺は、バディファイトが出来ない。デッキを持っていないからだ。それ以前に、手元にあるカードは1枚しかない。
初めこそ「バディファイトしよう」だとか「何のワールド使ってるの?」とか言って、皆近づいてきてくれたものだ。しかし俺がロクにカードを持っていないと知ると、徐々に人だかりが無くなり、たった1週間で信頼を失った。今では腫れもの扱いとなっている。
「はい、皆!1時間目は歴史の授業ですよ」
担任の
「えー」
「いいトコだったのにー」
思い思いに抗議しつつ、ちゃんと従うのは、彼らがマジメであることを物語っている。
ふぅ、と息を吐く。やっと息苦しい時間から解放された。ここからは授業の時間。ほぼ1日中、俺は注目されない。心も体も無になるだけだ。
*
「じゃあまた明日。さようなら」
岡流斗先生のHRが終わる。俺は皆が教室を出るまで、席を離れなかった。
「あ、
「……はい」
「転入して1週間。僕は君を見ていて思うんです。あなた、いじめられていませんか?」
答えられない。そもそも自分が分かっていないのだから答えようがない。だから。
「大丈夫です。そういうのじゃないんで」
「本当に?」
「はい。もし、そう見えたのなら俺のせいです。俺がバディファイト出来ないから……」
「でもそれは無我くんのせいじゃ」
「俺のせいなんです、全部。もういいですか?帰りたいんですが」
分かりました、と岡流斗先生が告げる。さっさと席を立つと教室を後にした。弱音を吐きそうだったから、先生の顔は見ないようにした。
足早にロッカーへ向かい、携帯を手に取る。
「無我くん!」
後ろから呼ばれたが無視をした。今は誰とも関わりたくなかったからだ。
「ちょっと、無我
知らない、知らない。無視、無視。必死に言い聞かせる。振り返ることなく立ち去った。
坂道を走って下る。いつの間にか空がオレンジに染まっていた。速く帰るため、近道をしようと考えた。
超商店街を右折し、学が丘駅の駐車場を突っ切る。途中に横道があるから、そこを通ると、大都会とは思えないほどレトロな雰囲気の住宅街に出る。そこで1番古めかしいのが自宅となる。
*
それは駐車場に差し掛かったときだった。2人組が見えた。どちらも男性で、それぞれ20代後半と10代といった所か。
「バディ……ポリス?」
2人はバディポリスの制服を着ていた。思わず足を止めて、車の陰に隠れる。
「さあ、大人しくこちらに来るんだ」
10代の方――青い髪の少年が喋る。続けて20代の方――短髪イケメンが話し始める。
「俺達はお前の話しが事実か、確認しなければならない。頼む、一緒に来てくれ」
2人が向き合う相手が気になる。窓越しに覗いてみた。
「――っっ!!」
そこにいたのは、白いモンスターだった。人型をしているが、鎧のようなものを身に着けている。頭には王冠、だろうか?武器は持って無さそうだ。何となくジェネリックのモンスター、≪キング・ザ・ドミネーター≫を思わせる雰囲気がある。
『確認も何もない!我らはゼロワールドに開いたゲートに飲まれ、人間界に来てしまったのだ!それが事実なのだ!確認できるようなことではない!』
「だがそれが俺達の仕事。従わないなら仕方ない……タスク」
「分かりました、滝原さん。頼むぞ、ジャック!」
『イリーガルよ、選ぶがいい。このまま私と相まみえるか』
「大人しく僕らと来るか」
鼓動が速まる。ゼロワールド。聞いたことがあるような、ないような。それにあのモンスター、見覚えが……。
“いこう、エンペラー”
“ほーら、零人。こいつが俺のバディだ”
“もうやめろ!父さんと母さんを放せ!”
“君達はワールディアスの糧となるか、単に命を失うか”
“誰か、助けて……”
あの時の記憶が思い起こされる。そうだ、俺もあの時、「選べ」と言われた。「助けて」と願った。あのモンスターも、もしかしたら……。
『ゲートを開けたのは我らではない!信じてくれ、人間!我らを』
モンスターの顔が歪む。
『我らを、助けてくれ……!』
深い考えは無かった。ただ、重なったんだ、あの時の俺と。最悪の状況をひっくり返して、「助けに来た」と言ってくれる。そんな誰かが来ることを願い続けた自分と。だから、気付いた時にはもう、飛び出していた。
「あ、あの!」
3人がこちらを向く。
「そいつ……バディ、いないんすか」
「誰だ?なぜこんな所にいる?」
タスクと呼ばれた青い髪の少年が訊ねてくる。もう片方の「滝原」は、苦い顔をしている。
「たまたまです。それより、そいつ、イリーガルなんですか?」
「ああ。だから連行しようとしたんだが、言うことを聞いてくれないんだ」
「じゃあ、誰かがバディになれば、イリーガルじゃなくなるってことですか?」
「そう簡単な事じゃない。上層部の許可が出ないといけない」
「タスク!」
滝原が呼び寄せる。何か耳打ちをしているが、聞き取れない。
「本当、ですか?」
「ああ。記録も残っているそうだ」
そんな会話だけは分かった。タスクがこちらに向かってくる。少し身構える。
「滝原さんが上層部と協議してくれたよ。そのモンスターをイリーガルから外すそうだ」
「え?」
「詳しいことは分からないけどね」
『我らの言い分が通った、ということか』
「それじゃあ、こいつを連行しなくていいってことですね?」
タスクが頷く。
「お前はどうしたい」
滝原が訊ねた。バディポリスとしては当然、話しを聞きたいだろう。
『イリーガルとして見なされなくなったのなら、心配はない。あなた方に付いていこう。先程は取り乱してすまなかった』
『やっと話しが進むな、タスク』
「そうだね、ジャック」
タスク達が安堵の表情を見せる。俺は気になっていたことをモンスターに聞いた。
「お前の名前は?」
『我が名は《ゼロ・エンペラー》。ゼロワールドの皇帝である』
「俺は、無我零人。なあ、俺とバディにならないか?」
『よかろう。助けてもらった恩を返したかったからな。あなたを我が主としよう、零人』
「よろしく、エンペラー」
何も持たない俺と、ゼロワールドの皇帝。この出会いが、後の運命を大きく変えるきっかけだったことを、このときはまだ知らない。
うーん。やっぱり初回からファイト無しってどうなんだろう?
次回はファイトがあるはず……!