今回は懐かしの「あの人」がひょっこり出てきます!
原作ではファイト描写が少なく、途中から空気に。しかし結構、いいポジションのあの人が!
そして、前回から割と期間が空いてしまいました。ごめんなさい。
あまり無理せずに行こうと思います!
七瀬とトウカ先輩のファイトから1週間。俺たちは相変わらず、『キャッスル』で特訓という名のファイトを行なっていた。
「……なあ、ソウタ」
「んー?どうしたよ?」
「俺の戦略って弱いかな?」
ソウタが驚いた顔をしている。そんなに変なことを言ったつもりは無いが。
「どうした?バカみたいな顔して」
「バカは余計だろ!?いやまあ、急にどうした?って思っただけだ」
「ほら、今のゼロワールドの動きは『デッキを0枚にする』ことが基本。その上で『サイズ3で戦う』こと。大まかに言ってこの2つだろ?ちょっと不安でな」
「確かにそうだな。あんまし変わり映えしないっつーか、読まれやすいっつーか」
「……そうだよなぁ……」
ここ最近のファイトでも、戦略の幅が狭すぎるからか、敗北が多くなった。つい先ほども……。
*
30分前・超商店街ファイティングステージ
「2つのゼロが重なって、新たな未来が今、始まる!ルミナイズ、『ビギニング・ゼロ』!」
「心の先には宵の月。闇に潜むは忍び者。ルミナイズ、『
「「オープン・ザ・フラッグ!!」」
「ゼロワールド!バディは《ゼロ・エンペラー》!」
「カタナワールド。バディは《ナノマシン忍者 白夜》」
数ターン後――
「……零人のヤツ、ヤバくね?」
「センターに《月影 剣神もうど》、しかも前のターンに《超・絶命陣》を張られてる。その影響で白夜の防御力は2000。倒せなくはないけど……」
「……ラ、ライトの《エージェント忍者 間宮》の能力で、超・絶命陣のソウルは2枚……。1枚は……《秘剣 星影》、で確定、してる……」
くそ……俺のライフは3、ライトに《ゼロ・エンペラー》、レフトに《ゼロ・エクスキューショナー》がいる。設置魔法の《無常の城》で打撃力はそれぞれ2になってるけど、相手のライフ6を削りきるのは難しい……。
「さあ、攻撃してきても良いですよ。もっとも、拙者を倒せるのなら、ですが」
「くっ……。エンペラー、頼む!白夜に攻撃だ!」
『任せろ!ロイヤルスマッシュ!』
「仕方ない……。すまない、白夜」
ステージを揺らすほどの強烈な一撃が、月影に決まる。今なら……!
「センターが空いた!頼む、エクスキューショナー!ファイターに攻撃!」
「――あなたの命は今、絶たれる。ゲージ3を払い、キャスト!超・絶命陣のソウルより《秘剣 彗星》、発動!」
しまった、本当の狙いはこっちだったのか!?
「あー、終わったな。零人の負けだ」
「……あ、相手の攻撃力5000以上のモンスターが、い、1枚でファイターに攻撃している攻撃中に使える……。無我くんは、その状況を、作らされた……のでしょうか……」
「油断禁物……。零人くん、ご愁傷様」
『トドメだ。ダメージ3を受けるでござるんるん!』
「ちくしょ……。つーか、ござるんるん……?」
(L:3→0)
*
「ありがとうございました、如月さん。まさか誘導されていたとは思いませんでした」
「暁で良いですよ。歳はそちらの方が上なのですから」
『暁殿はそこまで考えていないでござるよ!』
「こら、白夜!余計なことを!」
忍者の様な格好をした少年は、如月暁と名乗った。あの相棒学園に通う6年生で、有名なカタナワールド使いだそうだ。俺はよく知らないがソウタによると、兄の斬夜も中等部2年で、学年1の秀才とのこと。流石に出来が違うものだと感心してしまう。
「……また稽古を付けてもらえますか?」
「はい。機会があれば、また」
そう言って彼はその場を後にした。小学6年生とは思えないほど、落ち着きのある人物だった。
*
このファイト中に様々なことが知れた。プレイングミスの多さに始まり、魔法無効化にコール無効化を行なうカードの存在。自分のデッキ構築の悪さ……。他にも様々、至らない部分が多い。
「プレミは特訓でどうにかするしかないとして、それ以外の所がな……」
「そうだ、エンペラーは?何か意見は無いのか?」
俺はカードを取り出す。光に包まれ、エンペラーが現れた。
『済まない。我が仲間が不足しているばかりに、零人に苦労をかけさせてしまっている』
「仕方ないだろ、事情が事情なんだから」
「確か突然ゲートが開いて……だっけ?そりゃ、どうしようもないよな」
先週のファイトの後、ソウタとトウカ先輩にはゼロワールドとの出会いについて話した。……記憶のことは言わなかった。何故かは分からないが、やたらと話しをしない方が良いと思ったからだ。
『今あるカードだけでは、戦略を変えることはできない。一度、ゼロワールドに戻らなければ……』
「そんなことができれば、苦労しないもんね」
「お、お疲れ様……です……」
「七瀬。トウカ先輩。買い物は済んだのか」
「うん!スーパーで大安売りだったから、いっぱい買っちゃったよ~」
「や、やっぱり、お買い物は……楽しいですね……!」
『荷物がたくさんニャ~。持つのも大変ニャ~』
暁とのファイト後に、2人は買い物へ出かけていた。先週以降、彼女たちの距離は一気に縮まったらしい。普段から一緒にいることが多くなり、お泊まり会なるものも開いている。ちなみに今回は2回目で、最初はファイトをした日だったそうだ。
「それでちょっと聞こえたんだけど……零人くんのデッキ調整の話し?」
「ああ。さすがに負けが多くなってきたからな」
「た、確かに……い、今のままじゃ、……大会は勝てない、かも……」
トウカ先輩の言うとおりだ。舞台は校内、見知った者が相手になることも考えられる。その時にいつもと同じ手が通用するのか?
「んー。やり口を変えるとかしねーと、きっついな」
「ねぇ、本当にどうにもならないの?エンペラー?」
『むぅ……』
エンペラーも考え込んでしまった。今、手元にあるカードはデッキを作る際に、枚数調整で余ったものがほとんどだ。試していないカードは僅か。それも、デッキ内のカードと能力はさほど変わらない。
「エンペラーだけじゃない、何か起爆剤が欲しいところだね」
「んじゃ、俺らが取りに行ってやろっか?」
不意に、男性の声がした。入口から誰かが歩いてくる。
「よぉ!七瀬ちゃん!元気してた?」
「え!?シ、シオウさん!何でここに!?」
暁とのファイト、自分の弱さ、シオウとの邂逅。
イベント盛りだくさんになってしまいました……。
次回へ続きます!