前回、シオウが現れた所から始まります。
事件を動かす為のテコ入れ、始めます!
もしかしたらいつも以上に強引な展開かもしれません。
「エンペラーだけじゃない、何か起爆剤が欲しいところだね」
「んじゃ、俺らが取りに行ってやろっか?」
不意に、男性の声がした。入口から誰かが歩いてくる。
「よぉ!七瀬ちゃん!元気してた?」
「え!?シ、シオウさん!何でここに!?」
バディポリスの制服を着崩している男性は、七瀬と親しげに話しを始めた。
「誰だ、あのおっさん?バディポリスみたいだけど」
「……せ、先輩さん……でしょうか?」
「……彼氏に1票」
『我は友としよう』
『零人はバカだから間違いニャ!シオウはニャニャせの先輩だニャ!』
……この猫、一本残らず毛をむしり取ってやろうか。
「シオウさん、こんな所に……ってあれ、七瀬さん?」
「あ、タスクさん!ご苦労様です!」
龍炎寺タスクがそこにいた。エンペラー達と出会った日以来だからか、久しぶりに会うことになる。
「零人さん……お久しぶりです。お元気そうで、何よりです」
「お、おう……?」
よそよそしい態度に、少し違和感を感じた。だが、そんなものだろうと納得することにした。
「すっげーー!!お前、あの龍炎寺タスクと知り合いなのか!?」
「あ、ま、まあな……」
「それでお2人とも、今日は何か捜査ですか?」
「いや違うんだよ。そこの無我零人とエンペラー殿に用があってね」
俺たちに用事?バディポリスに目を付けられるようなことはしていないが、何なのだろう。
「実は最近、あの現場でもう一度、ゲートが開きかけているんです」
「あの現場って、まさか……」
「そう。エンペラーたちが現れた、あの駐車場です」
「んで、もしかしたらゼロワールドに行けるんじゃないか、と思ったんだ」
「ということは、エンペラーの仲間も連れてこれるんですか?」
「可能性はあるわな。そんで俺らの出番ってわけよ」
「出番?どういうことですか?」
「俺らもゼロワールドの調査がしたくてね~。ちょうどいいタイミングだったんだよ」
新しいカードが欲しい俺たちと、ゼロワールドに向かいたいこの男性。利害の一致というやつか。
「……シオウさん、でしたっけ。俺たちも付いていくことは出来ませんか?」
「あ、ズリィ!俺も行きたい!」
「……ダ、ダメですよ。お、お仕事、ですから……」
「そうだな。その子の言うとおりだ。つっても、エンペラーには来てもらうけど」
『我のみか。何故だ?』
シオウさんによるとこのゲートは特殊で、本来、モンスターしか通れない。バディのイデアがいなければ、彼も通ることは出来ないそうだ。
「つまり一般人は通れないってことだ。イデアの能力で保護出来るのは1人だけだからな」
「……そ、その上で、ゼロワールドに詳しいエンペラーを……あ、案内役に、したい、ということ、ですか……?」
「お!頭いいね~、君!タスクと同じかそれ以上の頭脳って所かな?何ならバディポリスに入隊しちゃう?」
「シオウさん、僕たちの仕事、忘れてませんか?」
「あ……忘れてた。すまんすまん!」
「全く……。では僕から説明します。零人さん、少しの間、エンペラーをお借りすることはできませんか?」
突然の発言に、皆、言葉が出なかった。
「ゼロワールドの探索にはエンペラーの協力が必要です。零人さん、お願いします」
「……俺は構わない。エンペラーは?」
「は!?いやいや、ダメだろ!大会が近いんだぞ?それにもし、エンペラーがこっちに戻りたくないとか言ったら」
「……エンペラーはどうしたい?」
『我は、戻れるなら戻りたいと思う』
当然の答えだろう。元々、地球に来たのは事故だったのだから、帰りたいと思うに決まっている。
『だがその選択で、我が相棒とその友が苦しむのは、見たくは無い。我は零人と、そして可能なら仲間と共にこちらで生きたい』
「つーことは、エンペラー殿は……」
『3日だ。3日だけ付き合おう。その間に、我は仲間を集め、お前は我が世界を調べる。どうだ?』
「そんな……。いくらシオウさんでも無理だ!」
「へっ……いい度胸してやがる。いいぜ、乗った!お前さんの言うとおり、3日で終わらしてやんよ!」
『と、言う訳だ。皆の者、少々外す。零人を頼むぞ』
エンペラーも俺も、覚悟は決まっていた。今より強くなるために、やるべきことをやろう。
「頼むって、何言ってんだよお前!大会までもう日が無いんだぞ!もっと腕を磨かないとヤバいだろ!?」
ソウタの言うことは正しい。でも、どうしても譲れない。
「俺たち、もっと強くなりたいんだ。でもこのままじゃ、今いる場所で止まっちまう気がしたんだよ」
『我らが頂に上がるには、もっと仲間が必要だ。分かってほしい』
ソウタの顔は怒りに満ちていたが、突然、頭を掻きだした。
「あぁもう、しゃーねーな!しっかり仲間、連れて来いよ!」
「……ソウタ。サンキューな」
「……く、くれぐれも、体に気を付けて……」
「エンペラー、ちゃんと帰って来てね。後、零人くんなら心配しないで!私たちがいるから!」
『うむ!任せたぞ!』
*
俺たちは超商店街を出た。そしてあの場所――駅の駐車場に向かった。
「確かにゲートが開きかけてんな」
「じゃ完全に開くぞ~。イデア、宜しく!」
『創造神竜の力、ご覧あれ!そいやっさぁぁぁああああ!』
「……掛け声が、お、お祭り……?」
「先輩、イデアはあんな感じだから、気にしたら負けです」
『ほれ、開いたぞ!後で肉をよこせ、シオウ!』
イデアという竜型のモンスターがいとも簡単にゲートを開いた。こんなことが出来るなんて、何者なんだ?
「よし、行くか!」
『では、行ってくる!我らの勝利のために!』
「……おいエンペラー、拳を出せ」
『何をする気だ?』
エンペラーが右の拳を突き出す。俺も右手を握り締めると、エンペラーの拳に向かって、思い切り突き出した。強い衝撃と痛みが、腕から伝わる。
『っ……!これは……』
「バディからの激励ってやつだ。任せたぞ、エンペラー!」
『……うむ!任せろ、零人!』
エンペラーがゲートの向こうに消える。続いてシオウさん、最後にイデア。こうして彼らはゼロワールドへ向かったのだった。
次回はゼロワールドよりお送りします!
※主にシオウさんとアホ竜が動きます。