ゼロワールドを襲ったのは?今回はその部分が明かされます。
後、余談ではありますが、この物語においてコアガジェットは限られた人物しか持っていない事とします。ご了承ください。
では、どうぞ!
「イデアーー!!」
ほぼ同時に、再び爆発音がする。通路から施設の方を見ると、炎が煌々と揺らめいている。
「……おい、どういう事だよ?」
そこで気付いた。さっきよりも燃焼範囲が広がっている?くっそ、時間からしてあまりにも早すぎる。……てことは自然発火じゃない、人為的な火災か!
『シオウ!!何だ今の音は!?』
中庭に出られる道のある、先程も通った場所でイデアと遭遇した。
「イデア!ガキ達はどうした?」
『眠っている。我が秘伝・眠りのツボを押したからな、8時間は起きないだろう』
「カウントとバロンは?まさか出ていったんじゃあ」
『我が頼んでおいた。子どもと城を護れとな』
「グッジョブだ、イデア!」
さすがにコイツも緊急事態だと判断したらしい。いざとなれば動きは速い。……普段からこれ位、動いてくれればなぁ。
『それであれは!?施設の方から出火しているのか?』
「ああ。しかも燃焼速度が尋常じゃない。たった2回の爆発でこの状況だ」
『空気はそれ程、乾燥していない。油か何かが撒かれていたのか?』
「いや。多分、何者かの襲撃……」
その言葉にイデアが驚愕する。敵の襲撃となれば、地球へ帰る為に僅かに開けておいたゲートを利用されたことになる。しかし開けていなければ唯一、地球と繋がるゲートを失ってしまい、帰れなくなる。重大なミスとは言えないが、ショックを受けるのも当然だろう。
『くっ……我としたことが……。このミスは取り返す、その襲撃者を捕らえてやろうではないか!』
切り替え早っ!まあその位じゃなきゃやってられないからな。
「よっし行くぞ!イデア、バディスキル頼むぜ!」
『任せろ!ポゥッ!!』
コアデッキが拳銃型に変わると、俺の足元に楕円型の光が生成される。その上に乗ると、後は俺の意思で飛行速度・高度を操るだけ。
「……Go to work」
俺たちは中庭から出ると、曇天の闇へ向かった。行く先を見つめる。前方、赤い輝きが視界に入った。全速前進、速度は80キロ。多分、数分で着くはずだ。
「進めぇぇぇ!!」
体が一瞬、軽くなるような感覚がした。進むたびに空気が強引に割かれていくのが分かる。耳に入るのはその際の音だけ。目が乾かないように薄目にしているのに、それでも涙が眼球を覆っていく。体は少し、冷え始めていた。
『速度80キロで安定。約5分で現場に到着予定!』
イデアがテレパシーを使う。これなら耳が使えなくても意思疎通が出来る。
「くっそ、もうちょい速度出ねぇか!?」
『無茶だ、今ですら限界なのにこれ以上は、身体がもたないぞ!』
*
『エンペラー様、間もなく例の施設です!』
『うむ!見えておる!……ん?』
先に向かっていたエンペラーとデュークだったが、もう100メートル程で現場に着くという所で、2人が動きを止めた。
「待っていましたよ。《ゼロ・エンペラー》、《ゼロ・デューク》」
『この辺りを焼けば、慌てて来るだろうと思っていたよ』
闇に紛れるように、その少年は宙に立っていた。フードで隠れていて顔は確認できないが、黒ずくめの格好をしている。エンペラーは彼に見覚えがあった。
『貴様、あの時の……』
無我零人と出会ったあの日。バディカード管理庁へ向かっていた彼らを襲撃した、黒フードの男だ。
「覚えていてくれたんですね?嬉しいです、本当に」
『なぜ貴様がここにいる?この炎はお前たちの仕業か?』
「だからそう言ったでしょ。僕のバディが」
先程から黒フードの背後にいる竜が目つきを鋭くする。よく見ると上半身は黒く、対して下半身は白い。背中と腰辺りに見られる翼は、体色と同じ色をしている。
『僕は《パラダイス・ロスト》。今後ともよろしく』
「それで1つ目の質問。なぜ僕らがここにいるか?だっけ?そんなの簡単さ」
『命令されたからね、ワールディアス様に』
「ほうほう、そんで?その、ワーなんとかっつーのが何を命令したって?アァ!?」
後ろから声がした。振り向くとそこには、光の上に乗る竜神シオウがいた。かと思う間もなく、強い風が吹き荒れた。同時に、先程とは比にならない程の爆発音が耳を
『シオウ、消火はしたぞ!』
「サンキュー、イデア」
シオウが親指を立てる。イデアと呼ばれた巨大な白色の竜も、それに合わせて同じポーズをとる。
『な、何だ、今の爆発は?』
『聞いたことがあります。確か、爆風消火という方法です!』
「デューク殿、正解!イデアに頼んでおいたんだ。現着したら周りを吹き飛ばせ、ってな」
『火を吹き飛ばし、周囲を破壊することで延焼を防ぐ。規模の大きい火災に有効な手段の1つだ。ちなみに、かなりパワーを使ったから疲れた!』
「帰ったら、たらふく飯を食わせてやるよ」
『おう!頼むぞ、我がバディ!』
口調はいつも通りながら、SD化を解いたイデアは大きな翼をはためかせた。闇を照らすような真っ白な身体は、空を覆ってしまうかと思うほど大きく、そして輝いていた。
「へぇ……面白いなぁ。せっかく燃やしたのに、苦労が水の泡だ。……本気、出さないとなぁ」
少年がフードを脱いだ。シオウの目に金髪が映る。その時、彼の目がオッドアイであることに気付いた。右目が青で、左目が赤。その鋭い目つきからは、先程の多少は温厚そうな雰囲気からはかけ離れた、殺意が溢れている。
「おい、おっさん!アンタが竜神シオウだろ!?俺とファイトしろよ!」
「……こいつ、キャラが変わりやがった?」
「あぁ!?自己紹介がまだかよ、メンドくせぇな。……俺はアルマードで、さっきのはドラコ。2人合わせてドラコ・アルマードだ」
「つーことはお前、人格が2つある、のか……?」
「そんなことはいい。俺とファイトするのか!?するよなぁ!?しねぇと、ぶっ殺す!!」
殺意というより最早、狂気といってもいい。アルマードと名乗った少年は所謂、バトルジャンキーというタイプなのだろう。
「……分かった。受けて立つぜ、その挑戦」
「いい度胸だ。死ぬのが分かってて乗るなんてな!」
『シオウ、必ず勝ってこの者たちを捕らえるぞ!』
『やってみなよ、見かけ倒しの創造神竜さん』
お互いにコアデッキを構える。シオウは拳銃型、アルマードは手甲型のガジェットに変化した。
「古の理が世界を生み、新たな理が希望を創造する!ルミナイズ!『創造の神撃』!」
「黒く塗りつぶされた欲望で敵を食らえ!『黒転葬獄』、ルミナイズ!」
『このゼロ・エンペラーがファイトを取り仕切ろう。バディ、ファイッ!!』
「「オープン・ザ・フラッグ!!」」
「エンシェントワールド!バディは《創造神竜 イデアライズ・ドラゴン》!」
「灼熱地獄!バディは《変貌を迎えし竜 パラダイス・ロスト》!」
シオウ
ライフ10/ゲージ2/手札6/デッキ42枚
アルマード
ライフ8/ゲージ4/手札6/デッキ64枚
『先攻はシオウ!』
「お前が決めるのかよ!」
『ナビゲートもそう言っているだろう?』
確かにコアガジェットから流れる音声ナビゲートは、シオウが先攻であることを伝えている。
「本当だ……勘のいい王様だなぁ。ま、いいか」
シオウはコアガジェットを持ち直し、引き金に手をかけた。彼のカード操作は、銃の発射を模している。ドローやコール、キャストの度に1回、引き金を引くのだ。ちなみに、チャージに関しては従来と同じく、手での移動となる。
「さてと、始めますか。チャージアンドドロー!」
曇天の闇に乾いた音が一発、響いた。
さあ、やっと次回はシオウのファイトになります!
そして相手は地獄。これまた書くのが大変です……主にドロップとデッキ枚数。
次回に続きます!