バディファイト ZERO   作:無料太郎

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今回は零人とラグナのファイトです。

例によって、ゼロワールドのカードは壊れ性能ですので、ご了承いただければと思います。

それでは、どうぞ!



零人vsラグナ

「始めようか、ラグナ」

 

「僕はドラコだ!!」

 

「2つのゼロが重なって、新たな未来が今、始まる。ルミナイズ、『ビギニング・ゼロ』」

 

 ルミナイズと同時にコアデッキケースがマイク付きのヘッドセット型に変化した。これはまるで、インカムだな。

 

「天に満ちるは聖なる煌めき!ルミナイズ!輝け、『天救聖光』!」

 

「「オープン・ザ・フラッグ!!」」

 

「……ゼロワールド。バディは《ゼロ・エンペラー》!」

 

「楽園天国!バディは《変貌を迎えし竜 パラダイス・ロスト》」

 

 零人

 ライフ10/ゲージ0/手札6/デッキ44枚

 

 ラグナ(ドラコ)

 ライフ12/ゲージ1/手札6/デッキ43枚

 

「僕の先攻、チャージアンドドロー!《舞い降りる御使い アンジェラス》をセンターにコール。登場時、ドロップが1枚以下なので1枚引くよ」

(G:1→2、手:6→5→6)

 

 舞い降りる御使い アンジェラス

 サイズ1 攻3000/打2/防1000

 

 おいおい、ちょい待て。相手は[地獄]って聞いてたんだけど、あのカード[天国]とか書いてあるよ?どういう事っすか?

 

「アンジェラス、ファイターに攻撃」

 

『貴方に祝福の光を……ハァッ!!』

 

「うわああっっ!!」

(L:10→8)

 

 左腕に細身の剣による刺突が決まった瞬間、身体が後ろに飛ばされた。その時、何かが腕から抜けた気がした。思い切りよく壁に叩きつけられると、直後、背中と左腕に激しい痛みを感じる。腕に触れると生温かい液体の感触があった。

 

「ターンエンド」

 

「ぐ、くっ……う、そ……だろ……」

 

「おい、ラグナ!お前まさか……」

 

『ああ。ドラコはフューチャーフォースを発動できるんだよ』

 

 フューチャーフォース……。もしかしてシオウさんやタスクが使った“カードの能力が使える能力”の事か?

 

「く……っ、ドロー、チャージアンドドロー……」

(G:0→1、手:6→7)

 

 ヘッドセットの右側に付いたコアデッキケースからドローする。意外に痛みに飲まれる事は無かった。過去にいろいろあったからなのか、どうやら俺の痛覚は少し鈍っているらしい。

 

「……《ゼロ・サプライヤー》をセンターにコール。能力で1ドロー。更に《ゼロ・ブラスター》をレフトにコール、能力で2ドロー。ゲージ1とライフ1を払って装備、《無我の刀 ゼロソード》」

(G:1→0、手:7→8→7、L:8→7)

 

 ゼロ・サプライヤー

 サイズ0 攻0/打0/防0

 

 ゼロ・ブラスター

 サイズ1 攻0/打0/防4000

 

 無我の刀 ゼロソード

 攻6000/打2

 

 現れた刀を地面に突き刺し、それを支えに立ちあがる。左手を動かすと少し痛むので使うのは右手だけ。

 

「……行くぞ、アタックフェイズ!ゼロソードは俺のセンターにモンスターがいても攻撃できる。まずはアンジェラスに攻撃!おおおおっ!!」

 

 振り上げた刀を下ろすと、三日月状の白いエネルギーが飛んで行った。瞬く間にエネルギーはアンジェラスを真っ二つに切り裂いた。

 

「くっ、アンジェラス……!」

 

「続け!サプライヤーとブラスターで連携攻撃!ゼロソードの能力で、ゼロワールドのモンスターが連携攻撃した時に、相手にダメージ2!」

 

「ぐあっ!!」

(L:12→10)

 

「……ターンエンド」

 

 

 

 零人

 ライフ7/ゲージ0/手札7/デッキ39枚/墓1枚

 

 ラグナ(ドラコ)

 ライフ10/ゲージ2/手札6/デッキ41枚/墓1枚

 

 

 

「僕のターン。ドロー、チャージアンドドロー。《支天甲 ドレアマーティ》を装備!ドロップのカード1枚をデッキの下に戻して、デッキの上から1枚をゲージに置くよ」

(G:2→3→4、手:6→7→6、墓:1→0)

 

 支天甲 ドレアマーティ

 攻4000/打1

 

 [地獄]はドロップを増やすと聞いていたけど、[天国]はどうやらその逆のようだ。ドロップが少ないほど得をする、らしい。

 

「ゲージ1を払い、《純白の御使い ホワイティア》をライトにコール。更にゲージ1を払って《煌めく御使い キラリアン》をレフトにコールだ。キラリアンの能力でデッキから《許しの門 -フォーギブン-》1枚を手札に加える!」

(G:4→3→2、手:6→5→4→5、墓0→1→2)

 

 純白の御使い ホワイティア

 サイズ2 攻6000/打2/防2000

 

 煌めく御使い キラリアン

 サイズ1 攻3000/打2/防1000

 

「何だ?さっきからワールドに関係なく、カードを使えてるぞ?」

 

『零人。どうやらあのフラッグの能力が関係しているようだ』

 

「マジで?……うわ、本当だ。[天国]属性なら何でも使えるんだな……」

 

「驚いたかな?じゃ、続けるよ。《許しの門 -フォーギブン-》を設置!そして《舞い降りる御使い アンジェラス》をレフトにコール。キラリアンは押し出しでドロップへ行き、アンジェラスの能力で1枚引く。ゲージ1とライフ1を払いキャスト、《天竜神明》。ドロップのカード3枚をデッキの下に戻して2枚引くよ」

(G:2→1、L:10→9、手:5→4→3→4→5、墓:2→3→2)

 

 手札がほとんど減らないし、ドロップは5枚以上にならないし……。サツキさんとの稽古では使わなかったが成程、これが[天国]の戦い方か。

 

「待たせたね、アタックに入るよ。アンジェラス、センターのサプライヤーに攻撃!」

 

「キャスト!《アタック・ナッシング》!連携攻撃ではない攻撃を無効にする!」

(手:7→6)

 

「ホワイティアはドロップが5枚以下なら【貫通】を、3枚以下かフォーギブンが設置されているなら【2回攻撃】を得る!センターへ攻撃だ、ホワイティア!」

 

『主の思いのままに……。はぁっ!』

 

『エンペラー様、零人様、ご武運を!』

 

「ガハッ!!……あぁ、任せろ!この程度の【貫通】、どうってことねぇ!」

(L:7→5)

 

『サプライヤーよ。お前のくれた力、無駄にはせんぞ!』

 

 もう一発来る!何とか防ぎ切りたいが、ゲージが足りないし、デッキもまだ残っている。頼りはサプライヤーの能力で引きこんだ、手札の《アタック・ナッシング》1枚だけ。

 

「【2回攻撃】!ホワイティアでファイターに攻撃だよ!」

 

「キャスト、《アタック・ナッシング》!攻撃を無効化だ!」

(手:6→5)

 

「トドメはさせないか……。ならレフトに攻撃させてもらうよ!」

 

『うわぁぁぁ!!』

 

「くっそぉ、ブラスターの能力!場を離れたのでデッキの上から1枚をゲージに置く……!」

(G:0→1)

 

「まあ仕方ないね。これでターンエンドだ」

 

 何とかターンが帰って来た……!どうにかこのターンで決めきりたい所だが、相手の動きが今一つ読み切れない。とりあえずやるべき事は……。

 

「……ドロー。チャージアンドドロー。ライフ2を払ってキャスト、《ブレイク・ルール》。デッキの上からゲージを5増やし、5枚ドローする!更に《オーバードロー》をキャスト!俺のゲージと同じ枚数、つまり7枚ドローだ!」

(G:1→2→7、L:5→3、手:5→6→10→16、墓:5→6→7、山:残19)

 

「全く、さっきから詐欺めいたカードばかりですね」

 

「褒めてくれてサンキュー。ライトに《ゼロ・ファントム》をコール。登場時に3枚引いて、手札を1枚捨てる。《ゼロ・コング》をレフトにコール。登場時、デッキの上から3枚をドロップに置き、その中の属性[ゼロ]のモンスターの数だけ相手にダメージ1を与える!」

(手:16→17→16、墓:7→8→11、山:残19→13)

 

 ゼロ・ファントム

 サイズ1 攻0/打0/防3000

 

 ゼロ・コング

 サイズ2 攻0/打2/防0

 

 ・置いたカード

 ゼロ・ソルジャー(モンスター)

 オーバーチャージ(魔法)

 ゼロ・エクスキューショナー(モンスター)

 

「モンスターが2枚。よって、ラグナに効果ダメージ2!」

 

「うわぁっ!!小細工とは……中々やりますね」

(L:9→7)

 

「手札1枚を捨てて《無常の城》を設置。俺の場の[ゼロ]のカード全ての攻撃力を+4000、打撃力+2する!行くぞ、アタック!」

(手:16→14、墓:11→12)

 

 無我の刀 ゼロソード

 攻6000→10000/打2→4

 

 ゼロ・ファントム

 攻0→4000/打0→2

 

 ゼロ・コング

 攻0→4000/打2→4

 

「ファントム!ホワイティアに攻撃!」

 

「ゲージ1を払いキャスト!《竜の祝福》!僕の場のモンスター全てを手札に戻すよ」

(G:1→0、手:5→4→6、墓:2→4)

 

 しまった、手札に逃げられた……!次のターンに回られると面倒だな。コングとゼロソードでライフを削り切れればいいんだけど……。

 

「コング!ラグナに4点ぶち込め!」

 

「キャスト!《ヘブンズシールド 聖域の盾》で攻撃を無効化して、ライフを+1する!これでどう足掻いても倒せないですよね?」

(手:6→5、L:7→8、墓:4→5)

 

「くっそ……それでも、ゼロソードで攻撃!うぉらぁぁぁっっ!!」

 

「ぐっ……はっ……!」

(L:8→4)

 

「……ターンエンド」

 

 零人

 ライフ3/ゲージ7/手札14/デッキ13枚/墓12枚

 

 ラグナ(ドラコ)

 ライフ4/ゲージ0/手札5/デッキ38枚/墓5枚

 

 デッキが無くなるまで、あと1ターン……。手札もゲージもあるにはあるがライフ差では負けている。ラグナが次のターンでトドメを刺しに来るのは確実。ここは受けて立つしかない……!

 

「僕のターン。ドロー、チャージアンドドロー。フォーギブンの能力発動。ドロップから3枚をデッキの下に戻してライフ+1。そしてドレアマーティの能力で1枚戻してゲージ+1」

(G:0→1→2、L:4→5、手:5→6、墓:5→2→1)

 

 不意に何かマズイ気がした。このピリピリした感覚……あの白黒竜が出て来るのか?

 

『来るぞ。構えろ、零人』

 

「……あぁ、やっぱりそういう事か」

 

「ゲージ2を払い、デッキの上から1枚をソウルに入れて、ライトにバディコール!!頼むよ、《変貌を迎えし竜 パラダイス・ロスト》!!」

 

『やっと暴れられる!こんな喜び、他にあるかい!?嬉しいからバディギフトあげるよぉ!!』

(G:2→0、L:5→6、手:6→5、墓:1→3)

 

 遂に出やがったな、白黒竜――いや、パラダイス・ロスト。場に登場する姿は、正に狂喜乱舞といった所か。

 

『ぼくたちをはなせーー!!』

 

『ああ?もうこのオモチャ、邪魔だなぁ。お前らまとめて飛んでっちゃえ!あはははは!!』

 

 そう言うとパラダイス・ロストが子どもたちを掴んだまま振りかぶる。まさか、と思った瞬間、城の外へ投げやがった……!

 

『カウント、バロン!行くよ!』

 

『ガキどもーー!!』

 

『間に合ってくださーーい!!』

 

 デューク達が飛び出す……のは見えた。それに気付いた時にはもう、空中で子どもたちを抱きかかえていた。

 

「頼んだよ、ジャック!」

 

『お前達、私の手を掴め!』

 

 SD化を解いたジャックが飛び出し、両手を伸ばす。子どもを抱えた3体は、全く躊躇することなく、その手を掴んだ。

 

「デューク、子どもたちは無事か!?」

 

 泣き声1つ上げなくなった彼らに対し、どうにも両親の最期の記憶がよぎってしまう。まさかあの子達も……?

 

『うん!皆、気を失ってるけど、大きな怪我もないみたい!』

 

『良かった……本当に、良かった……。すまない、皆。我が不甲斐ないばかりに……』

 

「……そう気にするな、エンペラー。あいつの気紛れだが、とりあえず人質は解放。後は俺らが勝てば万事解決」

 

『とは行かないだろう?あの外道共は許さん。小童と狂気の竜に、しっかりと灸を据えてやらねばな』

 

「やっぱりそうだよな。取りあえずやる事はしっかりやってやろうぜ」

 

 ふうっと息を吐く。人質という枷が外れたからか、怒りが薄れ、幾分か頭がすっきりしている。改めて相手と向き合う。

 

 ソウタとファイトした時、感じた喜びや楽しさ。どんなに過酷なファイトでもそれを忘れちゃいけない。

 

「僕のターン中に好き勝手やってくれちゃって」

 

「悪かったな、ラグナ。ファイトを続けようぜ」

 

「だから、ドラコだーー!」





今回の後書きは、ファイトで使用した新たなゼロワールドのカードです!



《無我の刀 ゼロソード》
 
属性:ゼロ/武器
■【装備コスト】ゲージ1を払い、ライフ1を払う。
■このカードは君のセンターにモンスターがいても攻撃できる。
■君の場の、ゼロワールドのモンスターが連携攻撃した時に、相手にダメージ2!この能力は1ターンに1回だけ使える。
攻撃力6000/打撃力2




《アタック・ナッシング》
 
属性:ゼロ/防御
■相手のターンの攻撃中に使える。
■【対抗】その攻撃が連携攻撃でないなら、無効化する。




《ゼロ・ファントム》
 
サイズ1
属性:ゼロ
■このカードが登場した時、君のデッキから3枚引き、1枚捨てる。《ゼロ・ファントム》は1ターンに1枚だけコールできる。
攻撃力0/打撃力0/防御力3000




《ゼロ・コング》
 
サイズ2
属性:ゼロ
■君のターン中、このカードが手札から登場した時、君のデッキの上から3枚をドロップゾーンに置く。置いたカードの中にある[ゼロ]のモンスターの数だけ、相手にダメージ1。
■《ゼロ・コング》は1ターンに1枚だけコールできる。
攻撃力0/打撃力2/防御力0




2人の決着はどうなるのか?次回に続きます!

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