何かやっと、バディファイトの小説らしくなって来た気がします。
※今回は、後半から文体が変わります。
「すげ……」
俺たちはホビーショップ『キャッスル』に来ていた。小さな子どもから大きなお友達まで、幅広い年齢層の客がいる。何て明るい雰囲気だろう。
「いろいろ、あるんだな」
ソウタの発言からてっきりカード専門店かと思ったが、ドーム型の遊具などがあったり、ぬいぐるみや置き物など様々なオモチャもある。
「お、ソウタくんに七瀬ちゃん。いらっしゃい」
「よ、店長。いつ来ても賑わってんな」
「お久しぶりです、店長!」
ソウタと七瀬は誰かと話している。ボサボサの頭にキャップを被り、店のエプロンを着用した、半そで短パンのがっしりした体格の男性だ。どうやら大量の段ボールを片づけている最中だったらしい。少し汗をかいている。
「あれ、君は?」
「ああ、こいつは無我零人。この前、ウチの学校に転入してきたんだ。結構、面白いヤツだぜ?無愛想なトコあるけど」
「初めまして、無我零人といいます。……つかお前、余計なこと言うなよ」
「これはまたご丁寧に。僕は『キャッスル』の店長。皆からはそのまま役職で呼ばれてるから、店長で構わないよ」
「……分かりました。よろしくお願いします、店長」
「ちょっと固いけど、まあいいか。よろしく、零人くん!」
少年のような笑顔を見て、優しそうな人だなと思った。そういえばソウタの周りはこういった雰囲気の人が多い。彼の友人も皆、明るく優しいタイプだ。
「なあ店長、俺らの名前決めてよ!」
「うん?どういうことかな?」
「あ、実は私たち」
それから七瀬は俺たちが校内大会に出ること、チーム名で困っていることを話した。……もちろん、微妙な三択のことも。
「うーん、確かに微妙なセンスだねぇ」
「そうか?結構いいと思うんだよなー、『ソウタWithゆかいな仲間たち』」
「それは無い」
「僕もあまり……。七瀬ちゃんは?」
「無しの方向で」
「ヒドイ!寄ってたかって!」
やはり平行線。中々、進展しないな。しっくりくる名前って難しいものだな……。
「……あ、あの……店長……」
「ん?」
4人が一斉に声のした方を見る。
「……えっと……そろそろ……レ、レジの方が……」
「あっ!《銀河魔神》にやらせたままだった!ごめん、トウカちゃん、僕と交代ね!」
そういうと店長はさっさと、レジの方に行ってしまった。確かによく見ると、ブリキのロボットのようなモンスターが、レジ打ちをしていた。
「……ちょ、えええっ!?て、店長……?」
あからさまに「トウカ」と呼ばれた少女は戸惑っていた。無理もない。彼女はただ、店長を呼びに来ただけなんだから。
「あー、トウカ、さん?その制服、ウチの学校のだよね。何年生?」
ソウタが果敢に攻める。手を出すのが速いだろうと思った。案の定、彼女は瞬きばかりして、全く話しに付いていけていないようだ。
「もしかして……
「う……、は、はい……」
さすが七瀬。バディポリスだけあって、記憶力が並みじゃない。
「嘘、先輩!?3年生っすか?」
「いや、2年ですよね。先輩」
「あ、その、……は、い……」
さっきからオドオドしているせいか、先輩という感じではない。赤いフレームの眼鏡の奥は、今にも泣き出しそうになっている。
「あの……トウカ先輩」
「……ぇあっ!?ご、ごめんなさい!?」
トウカ先輩が90度に腰を曲げる。なぜ謝る……?
「先輩。えーと、あんまりビビんないでください……食ったりしないので」
「そっすよ、先輩!俺らちょーーっと、ご相談がありましてですね」
「急な話しで申し訳ありません。私たち、困っている事があるんです。少し、相談に乗ってくれませんか?」
「え……あ、ぅ、……私で、……良ければ」
それから俺たちは店長に話したことを、トウカ先輩にも話した。
「何か、他に良い案はないですかね」
「私たちにぴったりな名前、か」
「何つーか、こうさ、カッケーのがいいよな!」
無茶ぶりにも程があるだろうよ、ソウタ。
「……あの」
トウカ先輩が口を開く。この会話の中で初めて、彼女から話し始めた気がする。
「そ、その……皆さんは、えっと、……目標は、何か、ありますか……?」
「んなもん決まってるっしょ!」
「私たちは優勝したいです!」
「随分、先の話しだな」
「でも目標は高くないと、だよ」
「そーだぜ、零人!未来を見据えて、いざファイトってな!」
「み、未来を……見る……」
そう呟くとトウカ先輩は、眼鏡の位置を直した。一瞬、レンズが光った気がした。
「あの、その、……『フューチャーゲイザー』……なんて、ど、どうでしょう……?」
「『フューチャーゲイザー』?どういう意味なんだ、零人?」
「未来を見つめる人、ってとこか」
「……は、はい……」
「優勝という未来を見つめる、か……良い名前です!ありがとうございます、トウカ先輩!」
七瀬が嬉しそうな顔をする。ふとソウタを見ると、なぜか震えていた。
「おい、どうした」
「だってよ、すっげーカッコいいチーム名じゃねーか!ワクワクしてきたぜ!」
個人的には「長い名前だな」と思ったが、2人の喜び様を見て、「まあ悪くない」とも感じていた。
「零人くんは?これでいい?」
「……ああ。良い名前だと思うよ。サンキューです、トウカ先輩」
「にゅっ!?……あ、あ、あの……か、解決して、良かった……です!」
トウカ先輩が少しだけ笑った。七瀬よりも控えめで、だけど笑ってくれてよかった、と思わせてくれる顔をしていた。
「そうだ先輩、俺らのチームに入りませんか?」
「にゃっ!?」
いや、いきなり過ぎるだろう。だが帰って来たのは、予想外の言葉だった。
「う……そ、その……。わ、私で……よければ……」
未だに泣きそうではあるが、了承はしてもらえた。ノリは悪くないらしい。
「じゃあトウカ先輩、よろしくお願いします!私は1年の戸村七瀬です!」
「同じく1年、音峰ソウタ!よろしくっす、先輩!」
「……無我零人です」
「……え、えっと、戸村さんに、音峰さん。……無我くん、ですね……」
「よっしゃーー!俺ら4人で『フューチャーゲイザー』!結成だーー!!」
「うるせぇわ、お前……」
こうしてトウカ先輩を仲間に加え、俺たち4人は『フューチャーゲイザー』として出場することになった。まずは明日、生徒会室に行って申請しないと……。
*
「さて、そろそろ連絡入れとくか。な、イデア」
バディポリスの制服を着た男性が、SD化した竜型のモンスターと話しをしていた。
『おい、シオウ!何だそれは!』
「何って通信機だよ。秘匿通信用の」
『何だそのヒトクツーシンヨーとは!美味なのか?我の舌にあうのか!?』
「だあああっっっ!うるせぇバカ竜、ちと黙れ!」
『バカではない、アホだ!』
「知るか低能!《創造神竜》って名前ならもうちょい、利口そうにしてろ!」
『我は常に利口!上位種!最強無敵、完全無欠!』
「アーハイハイ、ソウデスネー。さて、さっさとタスクに連絡入れてっと」
これ以上は埒があかない。そう考えたシオウは、イデアを無視してバディポリスと通信を始めた。秘匿通信とは、バディポリス同士で行うものの中で最も機密性が高く、他者の妨害を受けづらい特別な通信方法だ。
「あーもしもし、聞こえますかー?こちら、
〔こちら龍炎寺タスク。お久しぶりです、シオウさん〕
通信機から聞こえる声は、4年前より力強くなっている。後輩の成長は喜ばしい。だが事は急を要する。
「『ワールディアス・インシデント』に関するモノ……『カグラレポート』を見つけた。もう少ししたら帰るけど、その前に連絡だけ入れようと思い、秘匿通信を行なった」
〔……なるほど。確かにそれは重大な発見ですね〕
「一応、コマンダーIと滝原にも伝えてくれ。それより上の奴には話すな」
〔分かりました。シオウさんがそこまで言うとなると……〕
「黒いぞ、上の方は」
通信を終える。シオウとしては本来、後輩のタスクがこのような事件に関わるのは気分がよろしくない。しかし彼もまたバディポリス。いずれは首を突っ込まざるを得なくなる。ならば先に引き入れて、戦力にした方が良い。そう考えてシオウは、旅立つ前にタスクに分かる範囲の全てを伝えた。
「おい、イデア。ゲートを開いてくれ」
『天上天下唯我独尊!オンリーワン!エンシェント最強!』
「……まだ言ってんのか、エセ創造神竜」
悪態をつくシオウだったが、イデアは一向に自画自賛を止めない。頭を抱える彼の後ろには、広大な空と大地が広がり、古の時代よりこの世界を守る竜たちが飛び回っていた。
新キャラ続出で、訳が分からなくなりそうですね。
そろそろキャラのまとめでも作ろうかな……。