妖怪こと青波お爺様は孫に弱い   作:ブハラ

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序章
プロローグ


 「魔法」ーこの御伽噺の産物は21世紀初頭に現実の技術として体系化された。

 

 2030年頃から始まった急激な寒冷化に伴い、世界の食糧事情は非常に悪化した。エネルギー資源を巡る争いも頻発し、20年にまで及ぶ第3次世界大戦が勃発。

 誰もが最早世界はお終いだと考えただろう。実際、この戦争は熱核戦争にまで発展し、地球のバランスを大きく崩しかねない危険すらも孕んでいたのだから。

 

 しかし、この戦争は熱核戦争にまでは発展しなかった。

 

 それは偏に「魔法技能師」の世界的な団結による所が大きい。魔法技能師ー魔法師は魔法を使う者たちの事を指す。

 この21世紀末。各国は魔法師の育成に競って取り組んでいた。

 それは日本も同様だ。中でも日本は、世界的にも魔法技術大国とされており、十師族を代表としてその技術力は畏怖されている。

 

 日本がその地位を確立するまでは、それはそれは厳しい問題を幾つも乗り越えて来た。

 

 第2次世界大戦後の経済成長で先進国となった日本だが、その栄華は長くは続かなかった。深刻な少子化や技術力の低下。GDPなど国家としての価値は大きく下落する事になる。

 アメリカ(現USNA)やその他周辺国との関係の難しさも、その日本の没落に拍車を掛けた。

 

 しかし、日本がそのまま没落せず再び魔法先進国という形で復活を遂げたのだ。

 

 それには様々な要因があるだろうが、やはりその中でも政治の力が大きいだろう。政治力あってこそ日本がここまで復活出来たと言っても過言ではない。

 そして、その政治力を代表する存在が「東道青波」だろう。彼は魔法黎明期から生きており、裏で日本を支えて来た。

 

 青波入道閣下とも呼ばれる東道青波は、明治時代から続く東道財閥(現東道グループ)を1代でより強大にし、東道グループの会長として若い頃から辣腕を振るって来た。

 また、政治家としてもその才は群を抜いており、自社党の議員から上り詰め、現在では党の名誉顧問を務める程だ。

 

 人は青波を「フィクサー」や「キングメイカー」と多くの呼び名で呼ぶ。その呼び名のどれもが、青波の力に対して畏怖するモノであり、青波が如何に権力を有しているかを物語っていた。

 

 何事にも動じず日本を裏から支えて来た青波。

 

 東道青波という名を聞くだけで、どんな政治家も企業家も魔法師も頭を垂れる。そんな青波には弱点など存在せず、常に冷酷で目的の為なら手段を選ばないーそう誰もが考えていた。

 

 しかしーそんな妖怪こと青波にも1つだけ弱点が存在した。

 

 「孫に弱い」という普通の老人のような弱点が。

 

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