妖怪こと青波お爺様は孫に弱い   作:ブハラ

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第3話

 それから数年ー青信は真夜という世界最強の師の下魔法の才を飛躍的に伸ばしていた。

 勿論、真夜とて暇ではない。むしろ四葉家の現当主として非常に忙しい立場である。青信は真夜からの教えの他に、四葉家の人間たちからも魔法を教わっていた。

 そんな経緯もあり、青信は四葉家のとある兄妹とも面識がある。

 

 その兄妹とは、司波深雪と司波達也の2人のことだ。四葉家の兄妹とは言ったが、正確には四葉家の分家である司波家の兄妹だ。

 青信は真夜からも青波からもこの兄妹について聞かされている上、四葉家で顔を合わせる度によく話すので、この兄妹についてはよく知っている。

 

 ある日ーいつもの通り、四葉家に来ていた青信は、たまたま本家に来ていた司波兄妹と廊下で顔を合わせていた。

 

 「達也に深雪さん、久し振りだね」

 

 そんな青信の挨拶に、深雪も達也も仮面のではない本当の笑顔を浮かべて応えた。青信と司波兄妹の関係性は客観的には、少々複雑だが当の本人たちは、特に青信からしたら司波兄妹とは仲の良い友人であったからだ。

 

 「久し振りだな青信」

 「お久し振りです青信さん」

 

 司波兄妹も青信の事を名前で呼ぶ事から、その関係性が伺えるだろう。特に深雪は、あっけらかんとして優しい性格で、大好きな兄を正当に評価している青信に対して好意的な印象を抱いていた。

 達也も、青信を一応警戒してはいるものの、深雪と同様に好意的な印象を抱いている。

 

 「2人は四葉家の用事か何か?」

 「ええ。そんな所です」

 「僕はいつも通り魔法関係でね」

 

 青信は、何て事ないという態度でそう言ってのける。そんな青信の態度に毎度の事ながら、呆れを覚える達也。

 それもその筈、仮にも世界中から恐れられている四葉家の本家に居るのだ。多少なりとも緊張しそうだが、青信は全くそんな色がない。

 勿論、東道家と四葉家の関係もあるだろうが、それでも青信は少し異常だと達也は考えていた。

 

 「相変わらずだな青信。仮にも此処はあの四葉家の本邸だが」

 「あはは。確かにね。でも四葉家の人たちも、話してみると優しい人たちが多いよ」

 「……四葉家の人間を、そう評するのは青信くらいだろうな」

 

 当の青信は何処吹く風。青信はあっけらかんとした性格だが、少しその性格が行き過ぎている所がある。一応それも青信の長所ではあるのだが。

 その後、達也と深雪はしばらくの間青信と話した後に、お互いに時間が来た為別れる事に。

 

 「それじゃあ僕はこれで。そう言えば、2人とも第一高校受験するんだよね?今度会うとしたらそこかもね」

 

 去り際にそう言って別れた青信と司波兄妹。達也は内心で、青信が第一高校に入学するとしたら、色々荒れるだろうと思っていた。青信がトラブル体質なのは、達也もよく理解していたからだ。

 

 

 +++

 

 

 青信は何も魔法の練習ばかりにかまけている訳ではない。東道家の跡取りとして、やるべき事はこなしていた。パーティへの参加もその例と言えるだろう。

 しかし、青信はその性格故に堅苦しい場所が非常に苦手だった。祖父である青波に甘えてパーティは極力避けていたのだが、やはり参加しないといけない時もある。

 

 そんな時、パーティで青信はとある出会いをする事になる。その出会いというのが、経済界のパーティの時に起きた、北山雫という少女との出会いだ。

 

 北山という姓は青信も知っていた。東道家程ではないが、前世紀からの実業家の家系で、経済界の大立者と呼ばれている。

 そんな北山家の長女として、パーティに参加していた雫。青信はそんな雫に最初はただ話し掛けただけだった。何となくお互いにパーティに対して退屈そうにしていたからだ。

 

 そうして話す内に、青信と雫は意気投合した。影で大人たちの悪口を言い合ったりと仲を深めた2人は、パーティが終わった後も連絡先を交換して交流を続けていた。

 そんな2人は次第に惹かれ合い、最終的に付き合う事になる。実際に交際が開始されたのは最近だ。

 

 ある日ー青信は忙しい合間を縫って、雫と会う時間を取り付けた。完全にプライベートで、先に来た青信は駅前で待ち合わせをしている。

 

 「ごめん青信くん。待ったよね」

 

 青信が駅前に来て少し経過した後、雫がそう言いながら待ち合わせ場所にやって来た。

 今日の雫の服装は、雫らしい落ち着いたーしかし可愛らしい女の子らしさも感じる格好だ。

 

 「全然。今来たとこだよ。それにしても、雫の服装凄く可愛いね」

 「本当に?ありがとう」

 

 雫は基本的に無表情だ。しかし、感情がないという訳では当然なく。注意して見れば、勿論キチンと感情が分かる。

 青信は雫の彼氏なのだ。当然雫の感情は理解している。今の雫は、青信に褒められて嬉しそうだ。

 

 「雫と会うのも久し振りだね」

 「うん。私たち忙しいし」

 「雫と会えて嬉しいよ」

 

 そんな青信の言葉に、雫は珍しく分かり易く感情を顕にした。照れもせずに歯の浮く事を言う青信に、雫は思わず赤面してしまう。

 

 「うん。私も嬉しい」

 「第一高校に入学したらいつでも会えるね」

 「確かに。あと1年だね」

 

 青信と雫は、そう言いながらデートを開始した。

 そうー青信が第一高校に入学するまであと1年。青信というイレギュラーの存在は物語を大きく変化させる。

 

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