妖怪こと青波お爺様は孫に弱い   作:ブハラ

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閑話

 私ー北山雫と彼ー東道青信との関係の始まりは、本当にただの偶然だ。経済界のパーティで初めて出会い、青信くんの方から話し掛けてくれた。ただそれだけ。

 あの時のパーティはよく覚えている。勿論青信くんと出会った場所だからと言うのもあるが、大人たちがピリピリしていたからだ。

 

 後でお父さんに聞いたら、東道家の現当主ー東道青波という青信くんのお爺さんが参加していたかららしい。

 当時まだ子供だった私でも、東道家の事は知っていた。東道グループを興した一族で、有名な政治家や企業家が多い、そして大人たちが異常なまでに怖がっているという事を。

 

 あの時、パーティに行く前に珍しくお父さんに「東道家の人には気を付けなさい」と言われたから余程なのだろう。それこそ、魔法師界で言う所の十師族ー四葉家のような。

 私も大人たちと同じように、何となく東道家の人を怖がっていた。だから、パーティで青信くんに話し掛けられた時には少しビックリしたっけ。

 

 でも、話してみると青信くんは私の想像より遥かに面白くて優しい人だった。

 

 私はパーティみたいな堅苦しい場所が苦手だ。そして何より、名家と呼ばれる家の人たちが苦手だった。

 全員が全員そうではないけど、少なからず傲岸不遜な人が多い気がするからだ。

 だからこそ、そんな私のイメージを壊してしまう程、いい意味で名家の子らしくない青信くんに惹かれたのだろう。

 

 しかし、パーティという一時だけの関係。そう考えていたが、それは違っていた。青信くんの方から連絡先を交換しようと提案してくれたからだ。

 そしてそれから時が経過し、私は青信くんと交際する事になった。

 

 今の時代、何十年も前の時代とは違い、交際するという事はそれなりに重みを持つ。それが名家の子ならば余計にそうだ。

 少なくとも、私と青信くんは名家と呼ばれる家に生まれている。だから、交際するまでにはそれなりに大変だった。

 

 それでも、お互いの家とも私たちの交際には賛成してくれたから、まだマシな方だろう。

 青信くんに会う前は、毒を吐いてお父さんに宥められていたお母さんも、実際に会ったら青信くんの事を「いい子」だと言って認めてくれたし。

 

 でも、青信くんのお爺さんと会うのは私もかなり緊張した。

 「フィクサー」や「妖怪」など青信くんのお爺さんは本当に恐ろしい存在だと皆が恐れている。そんな人に会うのは荷が重すぎるからだ。

 

 しかし、最初は確かに異様で、その雰囲気からして怖い思ってしまったが、緊張しながらも話す内に私の事を認めてくれたのか、大分優しく対応してくれた。

 それに、お爺さんは「孫に彼女が出来るなんて」と涙を流していた程だから、言われている程怖い人ではないのかもしれない。

 

 兎に角、私は青信くんと出会えて本当に良かった。今は家の用事があったり学校が違かったりでなかなか会えないけど、お互いに第一高校に入学出来れば、もっと一緒に居られるだろう。

 私は高校生活を想像して、笑みを零した。

 

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